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JUGEMテーマ:行政書士試験
■はじめに
社労士試験が終わってから、何か面白そうな試験はないかと調べてたら11月に行政書士試験があることを知りました。9月から10月の上旬までは何かと準備があったので勉強する時間を確保できず、実質1ヶ月の勉強期間になりそうでしたが、たとえ不合格になっても来年再度受験すればいいや、という軽い気持ちで受験申し込みをしました。
■概要
行政書士とは、官公庁に提出する書類作成および提出、またその相談などを行なう業務独占資格です。行政書士試験は、その業務に必要な憲法や民法、行政法などの知識を問う試験となります。試験範囲を詳細にすると「憲法」「行政法」「民法」「商法・会社法」そして「基礎法学」「一般常識」から出題されます。
以前は比較的取得が容易な資格とされていたようですが、近年は資格保有者数や受験者数の増加に伴い、中小企業診断士や社会保険労務士などと肩を並べるほどの難関試験となっています。
また「もっとも稼げない資格」のように言われることも多い行政書士試験ですが、使い方次第だと思います。行政書士は「街の法律家」とも言われるように、日常生活上関係してくる民法や商法の専門的な知識を取得することができます。後見人や相続、土地所有権問題、さらに会社設立事項などを知っておくことは、自分がその立場になった際に役立つ知識だと思います。
■試験結果
・期間:30日(勉強時間 100 時間)
・費用:18,232円(受験料7,000円、参考書代等11,232円)
・得点:208点(300点満点中180点以上で合格 ただし、法令等科目の合計点122点以上、一般知識等科目の得点24点以上)
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(内訳)
〇法令等
5肢択一式:128点
多肢選択式:18点
記述式 :22点
〇一般知識等
5肢択一式:40点
今年は記念受験のつもりでしたので、試験後に自己採点は一切しませんでした。合格発表の当日に郵便ポストを確認したら一通の葉書が入っており「やっぱり不合格だったか」と思いました。概して、合格の場合は合格書類が同封されている場合が多いので書留とか大きな封筒で郵送されてくることが多いからです。
得点だけ確認しようと中を開いてみたら、まさかの合格。しかも合格最低点をそこそこ上回ってました。非常に嬉しかったですね。これだから難関試験受験はやめられません(笑)
■計画
勉強期間が1ヶ月しかないので最小限の学習に絞らなければなりません。記念受験といっても、ただ不合格になっても仕方がありません。少なくとも1ヶ月は試験に注力するわけで、合格率4割程度には持っていきたいのですよね。
まずはインターネットにて情報収集開始…… と行きたいのですが、今回は書店に直行しました。そこで行政書士試験コーナーに行って唯一おかれていたのが「スッキリわかる行政書士シリーズ」。手に取って中をパラパラめくるとイラストが多くて初学者でも取り付けそう。その場でインターネットで調べても悪い噂はなかったですし、個人的に日商簿記2級ではスッキリシリーズにお世話になっていることもあって、早速購入を決めました。この場で購入したのはスッキリわかる行政書士シリーズのテキストと頻出過去問題集のみです。
次にインターネットで調べたところ、テキストや過去問だけでは不十分なことを知りました。特に、行政書士試験では民法と行政法の配点が非常に高い! ということで伊藤塾の「うかる! 行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター」を補助教材として購入。
また、頻出過去問題集だけでは不安を覚えて演習量を増やすために早稲田経営出版の「合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック」。さらに、記述式対策として「合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」を購入しました。
他のサイトで「行政書士試験の勉強をするのに行政書士試験の参考書を購入しても受からない」との情報がありまして、司法書士試験や国家公務員試験の問題集を紹介しているところもありました。しかし、司法書士試験の民法の範囲は行政書士をかなりオーバーしておりますし、国家公務員試験も試験範囲にズレがあります。ですので、素直に行政書士試験のテキスト・問題集だけで挑みました。
さらに、判例集や条文集は使わないことにしました。というのも、これらは読むのが苦痛…… 私は文字を淡々と読むのが非常に嫌いなのです(笑) それゆえ、テキストや問題集の中で出てきたものを覚えていくことにしました。たとえ判例を知らなかったり条文を覚えていなくても、法律知識を使って読み取れば正答できることも多いとの意見をいくつか見ましたしね。
そして、一般常識は足切りが存在するので怖いといえば怖いのですが、試験日まで1ヶ月しかありません。何が出るのか分からないのであれば自分の知識を信じるしかないので、自分の知識外、書籍外の問題が出たら諦めて切り捨てることにしました。これまでに中小企業診断士、日商簿記、社会保険労務士の学習をしてきてるし、そしてIT系は専門なので多分大丈夫でしょう(笑)
あとですねー、憲法については書籍を買わずに「憲法をわかりやすく」のサイトを利用しました。サイト運営者様は法学部出身の方のようで、対話形式で憲法を非常に分かりやすく説明してくれます。書籍を読む前にこのサイトを読んだ方が効率が良いと思いますが、自分は勉強の途中に当該サイトを知ったのでスッキリシリーズを終わらせた後に使わせていただきました。
特に憲法の重要判例についてはイラストで説明してくれるので判例集よりも理解しやすいと思います。
以上よりまとめると使用する書籍は5冊、参考サイト1つ。そして、判例集は買わず、条文も読みません(大事なことなので2度書きました)。
具体的なスケジュールは以下の通り。
1.「スッキリわかる行政書士シリーズ」頻出過去問題集を3周
2.「スッキリわかる行政書士シリーズ」テキストを3周
3.「憲法をわかりやすく」を1読
4.「うかる! 行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター」を3周
5.「合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック」を3周
6.「合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」を3周
7.書籍5冊の総復習
1〜7を1ヶ月で終わらせることになります。先にも書きましたが、3のインターネットサイトは一番初めに読んだ方がいいと思います。法律の頂点に立つ憲法を初めに知ることで各法律の理解が早く進むと思いますので。
■実行
まずは頻出過去問題集から。
進め方は、問題を読んですぐに解説を読みます。いきなり学習を開始して過去問を解けるはずがありません。そんな感じで基礎法学と憲法を終わらせます。丁度この頃、衆議院選挙があったので内閣の機能などは非常に興味深かった。特に、解散後の初総選挙だったので最高裁判所裁判官の投票もあったという。
ここで気をつけることは天皇、内閣、国会、議院、裁判所の役割を1つ1つ丁寧に覚える必要はないということです。問題に出てきたものだけを覚えてください。そうでないと全然先に進みません。各役割については学習を進めていくうちに自然と覚えていくことになります。
あ、でも衆議院と参議院の違いは抑えておいた方がいいです。衆議院には内閣不信任請求権と予算の先議権があって、参議院には緊急集会を開く権限がある、のように。
憲法の次が大変だった…… 行政法です。もう行政強制とか行政審査不服法とか行政事件訴訟法って一体全体何なの?? という(笑)
もうひたすら解説を覚えていくしかありません。行政法は取りあえず分かった気になって進めましょう。行政審査不服法と行政事件訴訟法がゴッチャになると思いますが、徐々に違いが分かっていけばいいのです。どうせ伊藤塾の本で再度より詳しく学ぶことになるわけなので。
その次がこれまた大変でした(泣) もう本当に勉強が嫌になりましたね。はい、民法です。
私は中小企業診断士試験をクリアしていたので、この分野は全く初学者ではありませんでした。そのため、心裡留保とか詐欺とか強迫等の用語には困りませんでした。しかし、一番大変なのはそこじゃなかった。
債権者代位権と詐害行為取消権の違いとか、売り主の担保責任とか、抵当権とか…… もう行政法と同じで民法も分かった気になって先に進めました。どうせ後で伊藤塾の(以下略
相続のところは興味があったので楽に進められたのが救いでした。特に遺言状のところは直近関係しそうなところなので念入りに学習しました!
次が商法・会社法。
まぁこの商法・会社法の分野は配点低いし、最悪は捨ててもいい。中小企業診断士や簿記で学んだところだからサクサクっと。株主総会の普通決議、特別決議、特殊決議の定足数とか頭から抜け出てたので覚え直す感じでしたね。細かい数字なんてどうでもいいじゃんね?
法律が終わると次は多肢選択式。この分野は判例からの出題が多いという特徴があります。
ここの進め方も問題文読んですぐに解説読めば大体理解できると思います。特にこのスッキリシリーズは判例知識がなくても文脈と選択肢から正解を絞り込む方法が説明されてるのが良いですね。星の数ほどある判例を片っ端から覚えるよりも国語力を駆使した方が現実的でしょう。
そして記述式。
記述式は如何に適切なキーワードを使いこなせているか。今までの択一式や選択式の応用ともいえる分野です。他サイトで「記述式は全捨てでいい」と書かれているところもありましたが、それもあながち間違いではありません。おそらく記述式の学習を捨てても合格圏内に入ることは可能でしょう。が、ここにきて行政書士試験の面白みに気がついてしまいました。
基礎知識を応用して与えられた訴訟を読み解く、というのはとても面白いですよね。単なる法律の丸暗記ではなく、暗記した知識を適切な事件にあてはめ、しかも適切な文字数以内にまとめるという行政書士に絶対的に必要な能力。
まぁ、こんなのは合格してからやればいいんですが、この記述式でこれまで淡々とこなしていた暗記作業がとても楽しくなりモチベーションが一気にあがりました。
頻出過去問題集にある最後の一般常識は適当に覚えればよいでしょう。
この問題集に載ってるのは膨大な試験範囲の中から一部を抽出したものでしかないので、これを全部覚えたとしても本試験で出ることはまずないでしょう。それこそ砂浜から1粒の砂金を探し当てるようなもの。この分野にこだわる必要はないでしょう。
頻出過去問題集を3周ほど終わらせた後で、テキストに移ります。
テキストも馬鹿正直に初めから読んではいけません。テキストはまず章ごとの確認ミニテストをやってから、確認として本文を読むこと。これを実践すれば3周はすぐに終わります。
このテキストを進めながら頻出過去問題集で理解があやふやだったところの知識保管になりました。特に民法の債権あたりはイラストが載ってたので分かりやすかったです。
スッキリシリーズが終わり、ここからインターネットサイト「憲法をわかりやすく」での憲法理解。
結構ボリュームがあるのですが、面白いのでサクサク進みました。エホバの証人事件とか、重要判例も文章で読むよりよっぽど分かり易かった。
ここで恥ずかしながら初めて憲法が人権を守るためのものだという一般常識を知りました。逆に言えば、このレベルでも行政書士試験に受かることができるということです!
そして一番重い伊藤塾の民法と行政法の本。率直に言って難しい。本自体は薄いんだけどねぇ……
本書の構成は演習問題を解きながら理解していくというものなので初めから順番に読んで、ポイントごとの問題を解いていけばOK。いきなりこの本からはじめると挫折しそうですが、スッキリシリーズである程度知識はついているので、全く理解できないということはないでしょう。
1周目で理解できなくても最低3周は読むので、分かりづらいところがあっても気にせずに進みましょう。これも3周こなします。
さて、ここまで学習した時点で知識だけ考えれば合格レベルに達していると思います。しかし、演習量が圧倒的に足らない。ということで一問一答で演習量を増やします。スッキリシリーズや伊藤塾とは違った出版社による書籍なので、問われる論点も当然違います。このように1つの出版社に絞らないことで幅広い勉強ができます。1つの出版社に絞ると各書籍の連携が取れているので、それはそれで利点はあるんですけどね。
この本は大体3日くらいで1周終わりました。3周繰り返します。
最後に記述式の特訓。丁度早稲田出版の記述式本には多肢選択式問題も含まれてるので、これにて全ての試験形式の演習をこなせることになります。試験日が近づいてきたため少し頑張った結果、2日で1周目が終わりました。記述式は設問のキーワードに反応して、適切なキーワードをあてはめられるようになるための訓練です。もう初めてきく用語はないでしょう。3周終わらせます。
試験日前日に去年の過去問を時間を計測して解きました。普通に解いていって時間が余ることが分かれば十分です。過去問を解いて時間が余らなかった、もしくは時間ギリギリの場合は解くペースを少し早めにすると良いでしょう。練習で試験時間ギリギリだと本番試験では時間内に終わることはできません。そもそも去年の問題はテキストや問題集でも何問かみているので本番よりも早く解けて当然です。
昨年度の問題の採点はしませんでした。過去問から全く同じ問題が出題されることがほとんどないことが知り、本番でかなりの応用力が試されることが分かったので、昨年度の問題を完璧にしても仕方がないと考えたからです。
最後に、全部のテキスト・問題集を解き直し、出来なかったところや気になったところに付箋をペタペタ貼りました。
■本試験
試験は午後からなので試験日の朝は付箋のついた箇所を見直します。
解けたらどんどん付箋を外していき、全部剥がし終わったところで試験会場に向かいました。
試験会場は武蔵大学江古田キャンパス。以前高度試験で訪れた場所です。
1時間前に会場に到着しましたが、特にやることは無し。以前、敷地内をブラブラしたので大学は知り尽くしていたため大人しく着席しています。
時間になると解答用紙と問題用紙が配られて試験開始。
第1問からして初見の問題。初めて聞くなんちゃら序説のなんちゃら理論とかでわけ分からん。適当に消去法で終わらせて次の問題へ。またもや初見…… まぁこういう問題は自分の持ってる知識と国語力を駆使して消去法で答えを絞っていくしかないです。
途中からやっと実力で解ける問題が出てきました。特に、行政手続法の条文はテキストで頻出なので初めて自信をもって解答。択一式は明らかに誤っている箇所に下線を引いて選択肢を絞り込み、ひとつひとつ丁寧に解いていきました。穴埋め式は分かるところから選択肢を絞り込み、あとは運を天に任せるのみ。記述式はキーワードを書き留めるだけでOK。マークシートに転記するタイミングで肉付けします。
そして一般知識へ。ここで24点取れなければ即足切り。
1問目は良く分からん孫問題。いやぁ各国の血筋なんて全部覚えてねぇっす…… 金正恩って金日成の息子じゃなく孫ってことを試験後に調べて初めて知りました。常識なくてすみません……
で、公的年金制度は得意分野なので楽勝。そして話題のビットコインもIT系の人間にとってはサービス問題でした。私も仮想通貨取引してましたし。あとは知的財産権の問題も中小企業診断士試験で飽きるほどやってたので問題なし。それにしてもIT系の問題多かったなぁ。ここら辺は全部自信もって答えられました。
そして最後の国語の読解問題については、すべて自信をもって解けました。一応、大学受験生に国語を教えていたこともありますし、ここで落とすわけにはいきませんでしたね。足切りクリアを確信しました。
全部解き終えた時点で試験終了まで残り約1時間。ここからマークシートに解答を転記します。再度問題をサラリと読んで確認してからマーク。
やっぱりほとんど自信がない…… また、来年あるからいいや、と思いながらひたすらマークを塗り塗り。記述式はキーワードを繋げて字数以内にまとめます。
全てマークし終わったのが試験終了の10分前。結構ギリギリでした。10分間を使って記述式で読みづらい字を綺麗に書き直し。特に、句読点を丁寧に書くだけで読みやすさは格段に良くなります。
試験終了の合図とともに筆記用具を置きます。やっと試験から解放されると思うとホッとしました。
解答用紙が回収されて、さぁ帰ろうか…… というところでトラブル。試験官が何回も解答用紙の枚数を数えていました。もしかして枚数が足らないのかな? 早く帰りたいのにウズウズしながら20分くらい待ってようやく解放。
帰りは試験のことをなるべく考えずにして、自己採点もするつもりはありませんでした。どうせ不合格だろうし、今年の復習は来年受験するときにとっておこうという気持ちで。
そして2ヵ月半後に郵便ポストをみると1通のハガキが。そこからは本記事の冒頭で説明した通りです!
■総評
今回は奇跡的にわずか1ヵ月という勉強期間で合格できました。参考書を絞ったとはいえ、それは私が社労士試験や中小企業診断士試験や簿記試験、そしてIT知識に精通していたからだと思われます。法律は慣れないと解釈が難しいので、自信がない人は数ヵ月余裕をもって早めに着手した方がよろしいかと思います。
最後に、独学で行政書士に挑むのは不安だという方は「行政書士合格者が「資格スクエア」を使用してみて感じたメリットとデメリット 〜効率的な使い方も紹介〜」をご一読いただければと。
合格した翌年にオンライン通信講座というものを使わせていただいたので記事を書かせていただきました。やはり独学よりお金と時間がかかりますが、独学に慣れていない方にとっては通学以外の手段として考慮するのはありなのかなと思います。
以下、紹介した書籍
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