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今回は、中小企業診断士二次試験の合格体験記です。
筆者は4年前に一次試験に独学で1発合格しており、その年の二次試験に不合格。翌年は試験を受けずにスルーし、中小企業診断士の講師をはじめた関係で翌々年の1次試験に再度受験して合格。その合格した年にも二次試験を受けられず、その次の年に3年ぶりに受験して無事合格しました。
しばらく試験を受けなかった理由としては、業務が多忙だったことに加えて確実な合格方法が見つからなかったことがあげられます。中小企業診断士二次試験は解答が公表されず、対策が立てづらい試験です。合格体験記を書くにあたって「中小企業診断士は運です!」なんて言っても有用な記事になりません。
そして今年やっと中小企業診断士二次試験に合格できるという自信があったため受験し、見事に合格できました。
他サイト様では独学とは言っても通信講座や情報商材を利用している例が多々みられます。が、本サイトでは書店で購入できる書籍のみで合格した体験記を紹介します。結論から言って、独学は非常に難しかった…… しかし、大変な反面、情報収集能力や分析能力は格段に向上しますね。市場に出回っている書籍をすべて購入して比較検討したりと、無駄な出費も結構かさんでしまったため、このノウハウが皆さんの役に立てられればなと思います。
さらに、初年度は不合格となっているため、なぜ不合格になったのか、その時にはどの教材をどのように使っていたのか、という誤った学習方法にも所々触れていきます。
■概要
中小企業診断士全般につきましては過去の一次試験の記事をご参照ください。本記事では二次試験の中の、特に筆記試験について概要を説明します。
筆記試験を合格すると次に試験としては最後の口述試験がありますが、その合格率が毎年99%以上であることを考えると筆記試験が中小企業診断士試験の最大の山場と考えられます。一次試験をくぐり抜けてきた受験生の中で争わねばなりません。合格率が毎年20〜25%あたりであることを考慮していると、合格点をとったから合格という絶対評価でなく、受験生の中の上位何割かを合格させる相対評価の試験だと考えるのが妥当でしょう。つまり、ハイレベルな受験生の中で上位にならなければ合格できないことになります。
試験科目は事例1、事例2、事例3、事例4の全4科目。それぞれの受験時間が80分なので合計320分の試験となります。それぞれの科目の概要は以下の通りです。カッコ内は一次試験の関連科目になっています。
事例1:組織人事(企業経営理論)
事例2:マーケティング流通(企業経営理論、運営管理)
事例3:生産管理(運営管理)
事例4:財務会計(財務会計)
年度によっては、経済学、経営法務、中小企業経営・政策、経営情報システム、の知識を使う場合もありますが、基本的には企業経営理論、運営管理、財務会計がメインです。つまり、これらの3科目についてはシッカリと理解しておく必要があります。
そして、筆記試験最大の特徴は解答が公表されないことです。出題の要旨は試験委員会から発表されますが、具体的な模範解答は公表されません。ですので、各資格学校が提供する過去問題集の解答がすべて違うことが起こりえるため、非常に学習が難しい試験となっています。せめてもの救いは、暗記科目ではないため学習時間をそれほど多く確保しなくても済むといったところでしょうか。
■試験結果
・得点:254点(400点満点中240点以上で合格)
事例1 :48点
事例2 :68点
事例3 :62点
事例4 :76点
今回は時間の算出が難しく、費用に関しましても市場に出回っている中小企業診断士二次試験対策本をほぼ全て購入したため計算が困難なため割愛させていただきます。私自身はすべての書籍を読破しましたが、購入した書籍の中で個人的に有用と思ったものに絞って本記事で紹介します。
一応、合格した年に関しての学習状況を説明しますと、試験日の10日前から勉強を開始したので総勉強時間は10時間ほどです。が、筆者は中小企業診断士の講師をしていましたので一次試験の知識(特に財務会計)は一般の方よりかなり高いレベルで習得していました。さらに初年度の受験で事例攻略のセオリーは終わらせていたため、事例の解き方も習得した状態からのスタートでした。
事例4は9割取れてる自信があったのですが、成績開示をしてみたらまさかの76点。これは得点調整されている可能性が高そうです。
■計画
自身の経験およびインターネットで調査した結果、事例4に力を入れて他の事例は過去問を1年か2年分だけシッカリと解く計画を立てました。
事例1〜事例3は学習時間と点数が比例しないため、深く踏みこんではいけません。なぜならば、これらの事例は国語力の問題であり、さらに出題者が意図した解答を制限時間内に読み取らなけらばならないという、ある意味博打的要素があるからです。一方、事例4は努力と得点が比例する科目であり、二次試験唯一の「答えがある」科目でもあります。傾向と対策を練れば確実に得点できるということです。しかも、一般的に中小企業診断士受験生は財務会計が苦手とのこと。二次試験は相対評価ですので事例4が得意だと他の受験生と大きく差をつけることができます。
以上より、事例1〜事例3では多面的解答によって出題者の意図を大きく外さないように意識します。多面的解答とは、解答を1つの要点に絞って深く詳細に記述するのではなく、幅広くキーワードを入れ込むことで失点を回避する手法のことです。事例1〜事例3においては満点をとる必要はありません。3科目平均で50点以上取れれば合格は近づきます。なぜならば、仮に事例1〜事例3の平均点が50点だったとしても、事例4で90点取れれば合計点が240点を超えるため合格基準点をクリアできる可能性もあるからです。
あとは、試験委員会の方が書籍を出していますので、通勤時間や風呂の時間などを使って読むようにしました。単純に読み物として面白いですし、中小企業ならではの強みの生かし方や成功例を学ぶことができます。ちなみに筆者は現在までに各書3回以上繰り返し読んでいます。書籍の詳細につきましては【具体的な書籍の進め方】に箇条書きにしております。
学習の注意点としましては、複数の事例を解き過ぎないことです。インターネット上では解いた事例数を競い合っている例もありますが、個人的にはおススメしません。過去2年、3年分を何回も繰り返して「ふぞろいな再現答案」のキーワードと見比べて、解説をシッカリと読み込んだ方が良いと思います。「ふぞろいな再現答案」は解答基準が不明な中小企業診断士試験には強力な書籍です。「ふぞろいな再現答案」は、各年度の受験生の答案と評価(合格、A、B、C、D)を収集し、それぞれの評価と答案を見比べて加点されているであろうキーワードを推定し、編集グループの考察とともに問題の分析、対策をしていこうという趣旨のもと作成されたものです。
不合格になった初年度は過去10年分の事例を万遍なく学習してしまいました。事例を複数解くことのデメリットは、?解いたことで満足してしまい復習時間が減ること、?次の事例を早く解かなければならないという強迫観念のようなものに駆られて1つの事例に集中できなくなること、?書籍購入代金がかさむこと、です。
筆者が合格した年には、事例は過去2年分しか解いておりません。1つの年の事例に注力し、各々3回ずつ復習しました。同じ問題を何度も解いてると分かりますが、事例文は非常に奥が深い。何気ない1文が解答への伏線になっていたりと、事例文すべての文言に意味があることに気がつかされます。
80分以内という制約の中では出題者の意図を完全にくみ取ることは難しいですが、大きく外すことはない解答を作れるようになります。
さて、事例1は人事・組織、事例2はマーケティング、事例3は生産管理、という視点で解く必要がある点を除けば基本的な解答の仕方はすべて同じです。事例文から解答の根拠を見つけ出し、もしも見つけられなければ一次試験の知識を使って解答する、という事例攻略のセオリーを採用できます。
一方で事例4は知識と計算勝負。優先順位のつけ方も必要です。事例4では新問題も出る傾向にあるため、中小企業診断士試験対策の参考書だけでは不十分だと考え、簿記1級のサクッとシリーズ、税理士・公認会計士試験対応の意思決定会計講義ノートを採用するのが良いです。
実際に「意思決定会計講義ノート」は非常に有用でした。元々は、税理士や公認会計士の試験対策書なのですが、中小企業診断士試験にも非常に有用です。全体を通してかなりレベルが高いので簿記1級の書籍と並行して進める必要があります。特にCVPやNPVに関しては本書をマスターしておけば本試験でどんな問題が出題されても対応できるレベルになっているはずです。
なお、平成23年度の本試験には、本書に掲載されている予防原価が初めて出題されています。近々デシジョンツリーも出題されるかもしれません。
簿記1級の本は商業簿記第3巻のキャッシュフロー計算書の章、そして工業簿記第3巻の原価計算の章を完璧にしておくと良いかと思います。余裕があれば1級の商業簿記3冊と工業簿記3冊の合計6冊終わらせても良いかもしれません。平成25年度の中小企業診断士試験では200%定率法が出題されたのですが、商業簿記をやっていれば難なく対応できる問題でした。
あと、問題と課題、対策の違いを理解することは非常に大切です。課題を聞かれているのに問題を答えたり、対策を聞かれてるのに抽象的な解答をしてしまうと大きく失点してしまいます。過去記事にこれらの違いをまとめておりますのでご参照ください。
「問題」「課題」「対策」の違いとは 〜ロジカルシンキング〜
具体的な書籍の進め方は下記の通りです。カッコ内は初年度受験生の完了目安です。一次試験から二次試験筆記試験までは約2ヵ月あるため、合計60日になるようにしました。多年度受験生は1年計画で一つ一つ丁寧に解くと良いでしょう。
1.中小企業診断士2次試験事例攻略のセオリー(10日)
2.中小企業診断士2次試験セオリーで解く模擬問題集(5日)
3.意思決定会計講義ノート ※サクッと受かる日商簿記1級 と併用(40日)
4.中小企業診断士2次試験 ふぞろいな再現答案(5日)
また、空き時間には以下の書籍を読書代わりに読みます。中小企業診断士試験の試験委員会に属する先生方が執筆したものです。
・小が大を超えるマーケティングの法則
・引き算する勇気 ―会社を強くする逆転発想
・ビジネスモデル革命―グローバルな「ものがたり」への挑戦
上記書籍を読み終えて余裕があるなら「スモールビジネスマーケティング」もおすすめです。ただし、小が大を超えるマーケティングの法則とかぶってる内容も多いので必須ではありません。
■実行
まずは「中小企業診断士2次試験事例攻略のセオリー」を解きます。事例を解くノウハウが詰まっていますので、はじめはこの書籍からはじめると良いかと思います。他の書籍から解いてしまうと、何となく解説を読むだけであいまいな理解になってしまうのですが、事例攻略のセオリーでは論理的に解答の導き方が説明されており、なおかつ時間配分のモデルまでも提供してくれています。
本書で演習が足りないと感じたら「中小企業診断士2次試験セオリーで解く模擬問題集」を補完教材として解くと良いでしょう。セオリー通りに演習を何回もこなすことでセオリーを身につけることができます。
なお、「中小企業診断士2次試験事例攻略のセオリー」は年度によってはプレミアがついて高額になることがあるため、最新のものを早めに購買すると良いでしょう。もしも買うのが遅れてしまった場合、過去のもので安いものを探して中古で購入すると良いです。というのも、セオリーのノウハウはどの年度のものを買っても変わりなく、解く対象の問題が異なるだけだからです。
次にはじめるのが「意思決定会計講義ノート」です。これが非常に大変です。ちなみに筆者はこの本を30周くらいこなしています。もう全ページ皺くちゃです(笑)。この本は一次試験を受験する前に着手すると良いかもしれませんが、そうすると一次試験の学習効率が落ちてしまうのが悩みどころです。
直接原価計算のメリットやデメリット、CVPやNPVの多岐に渡るバリエーション等、非常に多くの内容を、しかも高いレベルで学ぶことができます。本書に載っていない要点で中小企業診断士試験で頻繁に出題されるのはキャッシュフロー計算書関連だけでしょう。そこに関しては、サクッとシリーズの商業簿記第3巻の対応する章を反復演習すれば問題ありません。キャッシュフロー計算書は原理さえ分かってしまえばなんてことはないのですが、丸暗記で対応しようとすると誤答が増えます。実際に平成28年度試験では前年度と今年度分の減価償却費が問題文で与えられており、今年分のキャッシュフロー計算書を作成する問題が出題されました。減価償却費の増加分を今年度分に計上していると解答した人がちらほらいたようですが、原理を理解していれば今年分の減価償却費だけ考慮すれば良いなんてのは容易に分かることです。
閑話休題、意思決定会計講義ノートを進めるにあたってつまずいたら、サクッとシリーズ(工業簿記 第3巻)に戻ると理解できるようになります。時間があれば工業簿記第3巻を仕上げてから意思決定会計講義ノートに進むのが良いので、試験日までの残り日数と勘案して進めることが肝要です。
最後に着手するのが「中小企業診断士2次試験 ふぞろいな再現答案」です。
これまでに、事例攻略のセオリーで各事例の解き方を習得済みで、意思決定会計講義ノートおよびサクッとシリーズで事例4にも対応できる知識・計算力が身についているはずですので、今度は実際の試験問題と解答用紙をダウンロードして、時間を計測して解くようにします。
この段階で学んで欲しいことは、事例攻略のセオリーが絶対ではないということです。ふぞろいな再現答案をやると分かりますが、事例文の内容が複数の問題に渡ってキーワードとなっていることがあることに気がつきます。ここで意識すべきなのが多面的解答です。基本的に事例攻略のセオリー通りに解けば良いのですが、迷った場合や少しでも自信がない場合は、与件文中の複数のキーワードを盛り込んで部分点を稼ぐのが得策です。
事例文を抜き出す際の留意点としては、ただ単に事例文の言葉を使うだけでは不十分だということです。
例えば、「売上が向上していないA社の組織上の問題点をあげよ」という設問で、事例文に「A社は事業部間で人員の異動が行なわれていない」と書かれていた場合、そのまま抜き出して解答しただけではダメです。異動が行なわれていない結果、何がおこり、どういう問題が生じるのか、まで書けるかどうかが合否を決めます。解答例としては「A社は事業部間で人員の異動が行なわれず、繁忙期に部署間異動を通じて適切な人員配置ができないため、人手不足の事業部では顧客への十分なサービスが提供できず、売上に伸び悩んでいる。」のように、具体的にどういった状況で、どういった問題が生じているか、まで論理展開しなければなりません。
もちろん、文字数との兼ね合いになりますので、そこら辺は本試験で臨機応変に対応する必要があります。
さらに、各事例には「助言系」と呼ばれる問題が存在していることに気がつきます。この「助言系」の問題は、文中からただ単に抜き出すのではなく、事例文の内容をヒントにして一次試験の知識を活用して解く問題です。これにはフレームワークが存在し、事例1であれば「○○によって従業員のモラール向上を図る」「○○の人員を増強し、△△できる組織体制を構築する」、事例2であれば「○○に対し、高付加価値である△△に商品を、□□を通じて販売する。それにより、客単価が上がる」のような「誰に、何を、どのように。効果」を基本とし、事例3であれば「○○の一括購入、一括配送の体制を構築してコスト削減を図る」「作業の標準化を実施し、○○面での品質改善を図る」等、です。
補足ですが、文字数調節として「愛顧:顧客ロイヤルティ」「士気:モラール」のような組み合わせをいくつか覚えておくと、どの問題に対しても文字数ギリギリまで解答欄を埋めることができるようになります。
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先日、高度情報区分のITストラテジストに合格しましたので、いつも通り合格体験記を書いていきます。
ちなみに筆者はITストラテジストの実務経験はなく、また他の高度区分を取得していません。ITストラテジストが初の高度情報取得となります。
今回の秋試験は、元々情報セキュリティスペシャリストかネットワークスペシャリストを受けるつもりでしたが、忙しい時期にあり勉強時間が確保できない恐れがあったので、知識問題の少ないITストラテジスト試験を受けることにしました。予想通り、試験前はほとんど勉強できず、勉強時間は累計で12時間しか確保できませんでした。が、結果は合格。記念受験のつもりで受けたので合格したときは目を疑いました。
なお、関連資格の中小企業診断士試験に関して興味のある方は以下のリンクをご覧ください。試験範囲が類似しているため、同時に受験するとシナジー効果が得られます。
中小企業診断士1次試験 独学1発合格 〜勉強時間: 250時間〜
■概要
本試験は、IPAの公式ページによると以下のように定義されています。
高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術を活用して改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。また、組込みシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者
まぁ小難しく書かれていますが簡単にいうと、企業の経営層に対してITを活用した利益増加や業務改善を提案したりするのが役割ってことですね。CTOとかCIOとかをイメージすると良いかと。試験を受ける際にも、常に経営層に提案するつもりで答案を作ることを心がけることが重要になります。
また、ITストラテジスト試験の難易度についてですが「ITストラテジスト 難易度」とかで出てきたサイトをみると必ずといっていいほど最高ランクに位置しています。弁護士や公認会計士とならんで表示されることも少なくありません。確かに非常に難しい試験ではありますが、弁護士や公認会計士と比べて私生活を犠牲にするような膨大な勉強量の必要な試験ではないため、誰でも合格できる試験ですので、ぜひとも驚異的な難易度に尻込みせずに挑戦してもらいたいと思います。現に筆者は実務経験がなく、さほど勉強せずとも合格できましたので。
次に試験方式ですが、4段階選抜方式となっています。
他の高度区分を受験している方々には説明の必要ないと思いますが一応説明すると「午前1」「午前2」「午後1」「午後2」の4科目を受けることになります。午前1と午前2はマークシート方式、午後1は記述方式、そしてITストラテジスト試験では午後2は論文試験となります。以下順に詳細を説明します。
【午前1】マークシート形式
午前1は主にITに関する基礎知識が出題されます。過去2年以内に応用情報技術者に合格、もしくは過去2年以内に他の高度情報区分の午前1試験を合格していると免除になります。ITストラテジストにおいては例年受験生の6割ほどが免除するようです。ただし、ITストラテジストは広い知識を必要とされる業務のため、ITストラテジスト試験に合格できるレベルにある人はたとえ試験免除がなくても無勉強でここはパスできると思います。そうはいってもここで落ちると不合格になってしまうので少しでも対策をしておくのが賢明でしょう。
【午前2】マークシート形式
午前1と比べて範囲が狭まり、狭く深く問われる科目です。特にITストラテジストでは、マネジメント系とストラテジ系の問題が多く出題される一方、ネットワークやデータベースなどはほとんど出題されません。他の高度区分と比べて計算問題は比較的少なく、用語の確認が多いイメージです。問題数が少なく小さいミスが大きく影響します。また、気をつける点としては技術系の内容があまり出題されないため、IT系業界の方には無勉強は多少つらいかもしれません。例年2割ほどの受験生がここで足切りを食らっています。
【午後1】記述形式
ここからがITストラテジスト試験の本番、そして知識問題がほとんどなくなります。問題文を適切に読解し、問われている内容を本文から忠実に解答していくことになります。知識を吐き出すというよりも、文章を理解する国語力が必要になってくるため、一朝一夕で対応することは難しく、逆に国語が得意な人であればほとんど勉強しなくてもパスできるため、勉強時間を減らして合格できるところでもあります。例年4割ほどの受験生がここで足切りをくらうようです。
【午後2】論文形式
ITストラテジストの最難関。いくら勉強しても受からない人がいるのは午後2が原因であると考えてまず間違いないでしょう。午後1をクリアしてきた受験生の中での勝負になるため、ハイレベルな争いとなります。当日の試験では原稿用紙を渡されて、自分で内容を構成して1からすべて記入することになります。試験時間は120分と長く、構成を練った後は試験時間終了まで、ひたすら書き続けることになります。試験自体の時間は長いのですが解答に要する時間が非常に少なく、論文ネタの事前準備が必要な科目です。
■試験結果
・期間:7日(勉強時間 12 時間)
・費用:18,708円(受験料5,100円、参考書代等13,608円)
・得点
午前1:免除
午前2:84点(100点満点中60点以上で合格)
午後1:74点(100点満点中60点以上で合格)
午後2:A(A評価で合格)
合格基準は午前、午後ともに60点以上となっていますが、午後1と午後2については合格率調整が入っているものと思われます。毎年合格率が15%ほどになっているのをみると、大体その前後になるように調節されていると考えるのが妥当です。つまり、全受験生の上位15%に入ることが目標になります。
■計画
まずはインターネットでの情報集めです。
受験の申し込みをしてから、やはり勉強時間がほとんど確保できない状況になりましたので、テキストや問題集をひとつひとつ完璧にするのではなく、複数の書籍を流し読みをして試験に備えるようにしました。この方法は一般的な試験ではNGなのですが、このITストラテジスト試験では有効です。なぜならば、暗記する内容が極端に少ないため1冊をとことんやり込む必要がなく、色々な合格者の論文を数多く読むことで合格レベルの答案の書き方を学ぶことで、試験の感覚をつかむことができるからです。
購入する書籍は過去問を2冊、その他には午前用の知識まとめに1つ、そして午後2の論文用に1つ購入することにしました。
過去問については、iTec社の「徹底解説ITストラテジスト本試験問題(2024時点ではITストラテジスト総仕上げ問題集)」と「ITストラテジスト 専門知識+午後問題の重点対策」を購入することにしました。これはどちらかに絞っても良いと思いますが、高々数千円ケチることで1年無駄にしたくなかったため、念のため両方買うことにしました。
そして午前2用に「ITストラテジの基礎」を1冊購入。午前1から受験する人は、念のため午前対策用書籍を1冊終わらせておくと良いと思います。そして一番力を入れるべき論文用に「ITストラテジスト 合格論文事例集」を採用しました。この本にした理由は、豊富な論文事例とともに、口コミ評価が高かったからです。
試験準備は試験日直前の1週間前から。他にやることがあったため非常に大変でしたが、時間を見つけて何とか12時間確保することができました。
■実行
まずは午前の基礎知識から。書籍を開いて中を読むと、初見で解ける問題だらけ。筆者は中小企業診断士の対策講師をしていることもあり、経営系の用語には日頃から触れる機会が多いため、1時間ほどかけて半分ほど読み進めたところで十分だと判断し、午後1に進むことにしました。経営系の試験を受験したことのない人はこの1冊をしっかりと終わらせたほうが良いと思いますが、特に中小企業診断士や公認会計士の受験経験者は午前はサラッと確認するだけで良いかと思います。
次に午後1に進みました。
初めに過去問を開いて思ったのは……中小企業診断士二次試験と同じ。試しに問題を解いたところ、これも午前同様ほとんど解けました。一応過去問に載っている3年分だけは終わらせましたが、特に実際に時間を計測して解くということはせずに電車の中などの隙間時間を使いました。過去問は2冊購入していたので、1つの問題に対して2冊分それぞれの解説を読みながら進めました。
午後1は、4つの選択問題から2つを解く形式なのですが、第4問目は組み込み系の問題となっています。そのためか、組み込み系をやったことがない受験生はそれを敬遠するようですが、午後1に関して言えばそれは得策ではありません。午後1は国語の試験です。必ず文中に解答の根拠があるので、組み込み系だろうがシステム開発系だろうが解き方は変らないため、本番は4つの問題をすべて吟味してから選択することをおススメします。
なお、試験時間は90分ですので、1問あたり45分で解くことを目安にすると良いでしょう。本番では、たとえ1問目を解答中でも45分経過したら次の問題に移るようにすべきです。
なお、国語試験に自信がないという人に筆者がおススメする午後1対策は中小企業診断士二次試験対策本として有名な「事例攻略のセオリー」です。全ての回答の根拠は本文に存在し、もしも本文中になかった場合は午前の知識で解く、という記述試験の基本中の基本が学べます。ITストラテジスト受験者にとって特に関係するのは中小企業診断士の事例3でしょう。生産管理はITストラテジストでも頻出です。逆に事例4には一切手を付ける必要はありません。この本を仕上げれば合格点に達することができるでしょう。
そして最後の午後2。
「ITストラテジスト 合格論文事例集」の第1部の合格論文の書き方を読み進めました。作文と論文の違い、章立てにすること、論文を書く前に全体構成を考えること、文字数指定に気をつけること等、基本的な作法が書かれていました。中でも一番役立ったのはワークシートです。書籍の後ろに論文作成に役立つワークシートが用意されており、それを埋めていくことで論文構成を作ることができます。試験前にこのワークシートを使って論文ネタを作っておきます。
次に論文のネタについてです。筆者は、ITストラテジストの実務経験がありませんので、自分が下流エンジニアとして携わった案件を思い返し、上流のITコンサルタントや顧客の考えたアイデアをさも自分が考え出したかのようにストーリーを作り上げ、さらにその中で自分なりに工夫したかった点などを盛り込んで、頭の中にオリジナルの案件を2件ほど用意しておきました。それを出題に合わせて調整しながら答案を作ることで、勉強時間を大幅に減らすことができます。
ITストラテジスト試験の他受験生はベテランがほとんどで、彼らは多くの案件を経験しているため引き出しが多く、そういう人たちは試験の場で出題内容に合わせることができるかもしれません。しかし、実務経験が不足している筆者がそれをできるはずがありません。事前に用意する2つに関してはベテラン勢並み、もしくはそれ以上のレベルで用意しておき、それを適宜問題に合わせて変更するほうが得策でしょう。
また、午後2は3つの選択問題のうちから1つを選ぶ方式なのですが、必ず組み込み系の問題が1題含まれています。午後1と違って全く携わったことのない案件で論文を組み立てることは難しいので、普通のSEであれば組み込み系は対象外になると思われるため、本番試験では2つのうちから1つを選択する形になると思います。
試験日までの日数が少なく、一度も論文を書く機会はありませんでしたので、とにかく本書の論文事例を読みました。ただ読むだけでは意味がありません。内容はどうでも良いので、重視すべきは論理展開。案件の中で何かアイデアを出すときは必ず複数列挙し、その中から理由とともに1つに絞るようにしました。そして、案件が順調に進むことはまずあり得ずトラブルはつきものですので、案件の最初と途中にそれぞれ問題(問題解決の際の問題の意)があったというシナリオを入れて、それを○○という工夫で解決した、というような展開にしていきました。
特に、ITストラテジスト試験においては、問題に直面した際に、ツールを用いて華麗に解決する、という方法は歓迎されないらしく、体を使って動き回ることを盛り込むと評価点が上がる、という意見が多かったので、顧客のキーマンに何度も足を運んで直接提案をしたり、それでも無理なら顧客の担当者にお願いして打ち合わせの場を設けてもらったり、社長に取り次いでもらってトップダウンの意思決定をしてもらったり、といったストーリーを作り上げました。
最後の改善点については、自分の提案について抜けがあったというストーリーにするのではなく、こういう工夫をすればより顧客の満足を得られた、次のリリースではこういう点を組み込んで利益増加を通じて顧客満足を図る、というようにしました。そうすることで、自分の提案にアナが少なく、かつ顧客志向であることをアピールできます。
なお、時間配分は、はじめの40分は論文構成を考え、残りの80分で一気に仕上げると良いと思います。書くスピードにもよると思いますが、これなら大体文字数の最低ラインはクリアできると思われます。
本番では、本書に記載されているレベルの論文を書くことは不可能なので、多少繰り返しを使って字数を稼ぐことを考えたり、多少の矛盾があっても気にせず答案を書こうと思ったり、していました。
■本試験
試験会場は東京都三鷹市の明星学園高校でした。午前1が免除だったので、午前は時間に余裕がありました。なので、自転車で1時間かけて試験会場付近の無料駐輪場に停めてそこから歩いて会場に向かいました。今回は情報セキュリティスペシャリストと同じ試験会場らしく、比較的年齢層の低い受験生も多く見られましたが、自分の部屋に入ると周りはほとんどベテラン技術者といった風格の方だらけでした。
まずは午前2から。試験時間が短いのですが、その分問題数も少ないので時間を半分以上残して順調に終わりました。途中退室ができないため、何度も見直しして点数予想まで計算しました。厳しめの採点で6割は超えていたので安心して昼食を迎えられることができました。
午後1は、初めの選択は第2問の物流を選び、問題選択に成功したためほぼ満点を取ることができたと思います。そして残りの3問を見渡して第4問を選びました。初めの方の問題は解答の根拠が見つけやすかったのですが、後半にいくにつれて難しくなっていき、全問解き終えた時には解答を重ねたものが結構ありました。
時間ギリギリまで根拠を探し続けましたが、結局書き直すことなく試験時間が終了。ここで足切りをくらったかもしれないという不安とともに答案を提出しました。
午後2では、予想とは大きく異なった問題が出題されました。
事前に用意したストーリーを適用しづらかったのですが、半ば強引に当てはめて論文構成を作成していきました。そのため、多少問題に対してズレた解答をしていた不安はありましたが、時間は120分と少ないため後戻りはできず、ひたすら書き続けました。
試験時間が残り30分となったところで、それまで1回も論文を書いていなかったことが仇をなしてか、文字数が足りないという状況に陥りました。そこで、減点を覚悟で特に強調したい部分を言葉を代えて繰り返すことで文字数稼ぎに走りました。試験時間が終わるまで一切止まらずに書き続けて、文字数を少しオーバーしたところで終わりを告げるチャイムが鳴りました。長かった試験が終わってホッとしたと同時に、かなり適当に答案を埋めていたので不合格も確信していたため、来年試験にはどうやって挑もうか思考を巡らしました。
2ヵ月後の合格発表日も結果を確認せずに、それから10日以上経ったところでたまたま受験票をみつけたので確認してみたら、なんと驚きの合格。思いもよらなかった結果にしばらく呆然としながらも嬉しく思いました。
■総評
今回、12時間という非常に少ない勉強時間で合格することができましたが、誰でもこの時間で合格できるとは思いません。やはり、中小企業診断士試験の経験があり、午後1までの勉強時間を極端に減らせたからここまで勉強時間を減らすことができたと思います。
また、論文試験は運も必要になってくるため、人によっては何回受験しても受からないという事態に陥る恐れもあります。採点基準が不明なため、雲を掴むような勉強になりがちですが、論文試験に関しては5割弱が合格できるため、まずはほぼ確実に午後1を突破できる力を身につけ、あとは毎年諦めずに受験し続けるという強い意志を持つことが肝心です。
あと、試験は何が起こるかわかりません。筆者自身、当日自信のない試験は受けずにスルーしたりすることがあったのですが、今回の試験を期にその考えを改めて1%の合格可能性がある限り、取りあえず受けていこうというスタンスにすることにしました。
受けなければ受かることはないのです。
◎ITストラテジスト試験午後?問題の解き方のnote
ITストラテジスト試験午後?問題の解き方を説明したnoteを投稿しました。事例攻略のセオリーが絶版になったため、代替書籍を求める声が多かったのがnote執筆理由です。以下のより飛んでいただければ幸いでございます。
なお、午後?に関しては今のところ執筆未定です。要望があれば執筆することにいたします。
最後に。
実務経験がないというところで誤解がないようにするため、筆者の経歴は「スカイプ家庭教師」でご確認を。IT業界では下流エンジニアとしてテスター及びプログラマーを担当しておりました。
本ブログで紹介した書籍は以下のリンクから
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いざ問題に直面した際、適切な解決策を提案できますか?
問題解決に不慣れな人は、いきなり問題を解決しようとしたり、無計画に情報収集を始めたりすることがあります。これは避けるべき代表的な失敗例であり、実際にほとんどの人がこれらのアプローチのどちらかに陥ります。
ただし、問題解決には特定のフレームワークが存在します。フレームワークは物事を論理的かつ合理的に考え進めるための基本的な枠組みであり、これを意識することで問題解決が効率的に進み、解答の質を向上させることが可能です。
本記事ではフレームワークを活用して質の高い解答を導く問題解決のプロセスについて議論していきたいと思います。
■なぜいきなり問題を解こうとしてはいけないのか
問題解決を進める上で、なぜいきなり問題を解こうとしてはいけないのでしょうか。問題に直面した際、まずは問題から一歩距離を置き、高い視点から物事を俯瞰(ふかん)することが重要です。
問題は多岐にわたります。組織問題から個人的な問題までさまざまですが、一人で全ての問題を解決することは不可能です。したがって、本当に解くべき問題を絞り込むことが重要です。絞り込んだ本質的な問題に焦点を当てることで、アウトプットは飛躍的に向上します。
問題を解く前に、その問題が本当に解く価値があるかどうかを検討することが大切です。やるべきことに焦点を当て、無駄なことに時間を費やさないようにしましょう。
次に、問題を解くためには適切なレベルまで問題を分解する必要があります。例えば、売上が下がっているという一般的な問題を解決するためには、客単価×客数や地域ごとの売上など、問題を本質的に分解していくことが求められます。
■なぜ闇雲に情報収集をしてはいけないのか
問題解決が絞り込まれ、解決すべき問題が明確になったら、次に情報収集のフェーズがやってきます。しかし、手当たり次第に情報を集めることは避けるべきです。そこで役立つのが情報収集のためのフレームワークです。具体的なフレームワークとして、業界分析のための5F分析や商品戦略のための4P分析、マーケティング環境の分析に使われる3C分析、自社周りの環境を把握するためのSWOT分析などが挙げられます。SWOT分析については以前紹介しているのでご参照ください。これらフレームワークを活用してダブりなく、漏れなく必要な情報を手早く入手します。
ただし、フレームワークは使い方に注意が必要です。状況によってはフレームワークだけでは不十分であり、柔軟に使用方法を変える必要があります。状況を理解し、適切なフレームワークを選択し、正しく使うことが重要です。客単価や客数を求めるのにSWOT分析が適切でないことは容易に想像できるかと思います。
また、情報収集の際には一次情報にアクセスすることが重要です。誰かから聞いた情報ではなく、直接現場に行ったり、本人が述べたり書いたりした情報を参照することが信頼性の向上につながります。
■次ステップから問題解決までの大まかな流れ
問題が分解され、必要な情報が集まったら、次に問題を優先順位付けする必要があります。これは他人を説得するためにもストーリー性を持たせるために重要です。問題の優先順位が付けられたら、各問題について分析と検証の方法を考えます。最終的には、論理構造を確認して他者に伝わる形でまとめることが求められます。
■安宅 和人の『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』を読んで
今回の記事では、『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』という書籍から得た知識を、私自身の理解のためにまとめました。何度か読み返しても理解が進まなかったのですが、ブログに書き起こすことでかなり理解が深まりました。
この本はマッキンゼーで戦略コンサルタントとして活躍した著者が、問題解決の本質をまとめたものです。読んだだけでは実践に役立つレベルにはならないかもしれませんが、是非一次情報として手に取ることをお勧めします。
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JUGEMテーマ:ビジネス
『情けは人の為ならず』という言葉をご存知でしょうか?
次のうち正しいものを選んでみてください。
A.人に情けを掛けておくと巡り巡って結局は自分のためになる
B.人に情けを掛けて助けてやることは結局はその人のためにならない
C.(A)と(B)の両方
D.(A)と(B)とは別の意味
文化庁がとったデータによると正しく答えられたのは全体の45%程度だったようです。つまり、日本人の2人に1人はこの言葉の意味を分かっていないことになります。
答えは(A)の「人に情けを掛けておくと巡り巡って結局は自分のためになる」です。しかし「人に情けをかけることは結局はその人のためにならない」と答える人も同程度いたようです。「人の為ならず」というのは「人の為にならない」、つまりはその逆の「自分の為である」と読み替える必要があるわけです。
さて、本記事は国語の誤用問題の確認テストをしたいのではありません。この「情けは人の為ならず」という振る舞いが実社会においてどのように影響するかについて議論していきたいと思います。
■成功と失敗の背後にある3つの人格タイプ
世の中の人たちのタイプは大きく3種類に分けられます。まずは自分の取り分をできるだけ多くしようとするテイカー、自分よりも他人の取り分をできるだけ多くしようとするギバー、そして自分と他人の取り分を釣り合わせようとするマッチャーです。
この3タイプについて仕事業績および学業成績で調査した結果があります。そのソースは記事の最後の方で紹介します。さて調査の結果、一番失敗グループと一番成功したグループはどのタイプだったでしょうか。先を読み進める前に少し考えてみてください。
どうでしょう。答えは決まったでしょうか。
まず、一番失敗したグループはギバーだったようです。実はこれについては多くの人が予想できたようです。ギバーというのは他人に与え続けるがゆえに、自分を犠牲にしてしまってまで尽くしてしまうことが原因のひとつとして考えられますね。
それでは、逆に一番成功したグループですが、こちらはほとんどの人が誤っていたようです。実は、そのグループもまたギバーだったという興味深い結果が出たのです。アメリカの成功者は多額の寄付をするので有名ですが、彼ら彼女らは金持ちになったから寄付するわけではなく、元々寄付するような性格だったから成功できたと考えると納得できます。マイクロソフト社のビルゲイツさんは多額の寄付をしていることで有名です。なんでも個人で旅行するときは飛行機のエコノミークラスで移動するのだとか。そもそもテイカーであればいくらお金を持っていても自分が損をする選択はしません。具体的な名前をあげるのは避けますが、とある世界最大サイトの創業者は寄付額が極端に少ないことで国民から非難を受けているようです。
自分よりも相手を優先するギバーが成功するための環境として、まず世の中全体のパイの大きさが決まっているかどうかというのは考慮に値します。もしパイの大きさが決まっていた場合は、自分の取り分をできるだけ多くしようとするテイカーが上位を占めるのは想像に難くありません。
■パイの増大とWin-Winの可能性
もし世の中全体のパイの大きさが決まっていて、そのパイを皆で取り合うような世界だった場合は、人に情けを掛けるのは得策でないかもしれません。そのケースではWin-Winの関係など存在せず、すべてが競争で成り立っているため、情けを掛ける余裕など存在しないでしょう。
しかし、世の中は本当にパイの大きさが一定なのでしょうか。世界中には未開発の地域は多く、宇宙開発もほとんで実施できていない状態です。20年前の技術と今とを考えると、スマートフォンも存在せず、AIが今ほど発展しておらず、ビットコインや量子コンピュータもありませんでした。新しい領域が存在する限り、パイは大きくなり続けます。このように世界にはまだ未開のモノが多く、また常に前進を続けています。パイの大きさは決して一定ではなく、常に大きくなり続けているということです。
この考え方を小さなコミュニティに応用してみます。組織のチームについて考えてみてもいいかもしれません。はじめ売上は小さく、構成員も数人程度です。しかし、売上が増えて実績が上がるとともに構成員は10人を超えていき、徐々にチームの規模が増えていきます。売上の伸びがメンバの増加よりも早かったとすると、このチームではパイの取り合いは起こらず、各メンバが得るパイは大きくなります。例えば、3人で売上300万円の場合は1人あたりの売上は100万円です。それがメンバが10人に増えて売上を2,000万円に増やすことができたとします。すると1人あたり200万円の売上になります。3人から10人へとメンバは増えましたが、それにつれて全体のパイが300万円から2,000万円へと増えたため、全員がWin-Winとなることができたわけです。
以上のように全体のパイというものは拡大する前提だと、誰かが得をしたことによって誰かが損をするといったような取り合いにはならないことが分かります。
■情けは人の為ならずーーギバーの成功戦略
テイカーは既存のパイの大きさを変えようとはせずに取り合うことを考えます。マッチャーはパイを皆で平等に取り合うように考えるかもしれません。それではギバーはどうでしょうか。
はじめに失敗するギバーと成功するギバーがいると紹介しましたが、パイの大きさを考えることで両者の違いをみることができます。失敗するギバーはパイの大きさを変えようとせずに他の人が得するように自分のパイを譲ってしまいます。いわゆる自己犠牲です。これではテイカーの食い物にされてしまっている状態です。
それでは成功するギバーはどのように行動するでしょうか。ここまでの議論をみてきた皆さんは想像できたかもしれません。成功するギバーはパイの取り合いではなくパイ自体を大きくして、他人と自分の両方の取り分を大きくするように動いていたのです。他のギバーはパイを大きくしてくれたことに感謝してパイを分け与えてくれます。マッチャーは自分の取り分を大きくしてくれた分だけパイを還元してくれます。その結果、パイを大きくしたギバーが一番大きく取り分を増やしていたということです。
まさに「情けは人の為ならず」。人に情けを掛けておくと巡り巡って結局は自分のためになるというわけです。
■アダム・グラントの『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』を読んで
本屋に足を運んで何気なく手に取った一冊がこちらの本でした。かなり前に知り合いからおススメされたものの、当時は行動経済学を中心に読み漁っていたため、読めなかったことを思い出してその場で購入を決めました。読んでみると想像以上に面白い。以前に「影響力の武器」を紹介しましたが、その著者ロバート・B・チャルディーニも本書を絶賛しているようです。
人を「ギバー」「テイカー」「マッチャー」に3分類をし、ギバーがもっとも得するという話を統計データとともに示してくれています。本記事のデータは本書を引用しております。
本を読み終えて私なりに理解した内容をこの記事にまとめてみました。しかし、書籍を読んでの感想は人それぞれですので、興味を持った方には是非とも読んでもらいたいと思います。特に、成功するギバーと失敗するギバーの違い、成功するギバーがテイカーから身を守る術については書籍に詳しく紹介されております。
自分だけが得するのではなく、自分も皆も得する。そういった思考で何事も進めていきたいですね。
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JUGEMテーマ:ビジネス
勝利を得る役目を担う者
戦争を起こさせる者
飢饉をもたらす者
死に至らしめる者
新約聖書ヨハネの黙示録に登場する神の使いである四騎士です。聖書の中でのみ存在するとされる彼らが、今まさに私たちの世界に誕生していると言われても中々に実感が湧きにくい。
さて、私のブログのアクセス数トップの記事は中小企業診断士試験の受験関連のものです。中小企業診断士というのは、いわゆるコンサルティング業務のことで、大企業というよりは中小企業に特化したコンサルティング知識を学ぶことができます。そのため大企業、中小企業含めてビジネス全体の戦略に関心をもった場合、この中小企業診断士試験では限界があるのも事実です。
中小企業診断士試験の主催者は経済産業省です。バブル景気の時に日本は確かに世界のトップを走っていたかもしれません。当時の世界時価総額ランキング上位には、NTTや各種日系銀行の名前が並んでいました。ですが、今現在は上位のほとんどを米国に占められ、今後中国やインドが世界を牽引していくという予想が立てられています。ということは、日本の産業というものは世界の中では決して最先端ではなく、その国の省庁が作成しているコンサルティング試験は果たして役立つのだろうか。しかも実際にテキストを作っているのも起業家かどうかも疑わしく、頭でっかちの官僚や研究者である可能性もある。
その中で実際に世界のトップ企業と戦ったアメリカ人起業家が書いた本があります。今現在世界の覇者である企業がどのような特徴があるか、についてその書籍をベースにして紹介していきたいと思います。
■成功に必要な要素
まず成功というものについて考えていきたい。成功するのに必要なのは一般的に努力と才能が必要だと言われます。ですが、それに加えて運という要素も忘れてはならない。どんなに才気溢れた努力家でも成功しない人たちは世の中に五万といるでしょう。その中で運に恵まれた人だけが成功を手にしているのだと。
さて、運について議論しても仕方がないので具体的にどのような企業が世界のトップになれているのか。世界のトップに躍り出るためには努力や才能といった抽象的な要素ではなく具体的に何が必要なのか。それは、?商品の差別化、?大きなビジョン、?世界展開、?好感度の高さ、?垂直統合、?AI、?キャリアの拍付け、?地の利、だということです。
これらの細かな説明を本記事で扱ってしまうと文字数がとんでもないことになってしまいますので割愛して書籍に任せます。ただこの8つの要素によって、安く資本が集められ、無駄なヘイトを買わないことで足を引っ張られず、他企業からの追随を免れること、が期待できます。中小企業診断士の対象は規模の小さな企業のため、安く資本が集められる点や無駄なヘイトを買わない等の、大企業特有の性質についてはあまり語られることがありません。ですが、中小企業のその先の発展を考える際には重要となる考え方です。
■商品が訴求すべきターゲット
世界的な起業家の多くは、ビジネスでの成功には低コストでの大規模化が必要だと口を揃えて言います。具体的には、クラウド化、仮想化、ネットワーク効果です。しかしこれはテクノロジー的な視点であって、本来の訴求ターゲットはもっと低次の、人間の本能的な体の部位に対して行なっています。その訴求対象の部位とは脳、心、性器です。
脳は合理的に判断を下します。例えば、まったく同じ商品がA店で1,000円、B店で800円だったとしたらA店で買います。インターネットショッピングで安い順に並べて一番上に出てきたものを購入した経験がある人も多いと思います。脳は単純に安いかどうかを天秤にかけて、一番お得な判断をしてくれます。とはいえ、時には合理的な判断をくださない状況もあります。
それは心を揺さぶられた場合です。時に人は合理的な判断をしないことがあります。人との繋がりをはじめとした、共感や愛という感情が出てきたケースです。同じ価格で、同じ品質だったとしても、好みのブランドや好意にしている店で購入したいという人は多くいらっしゃいます。他にも人に自慢したいとか、よく見られたい、といったーーいわゆる承認欲求や優越感ーー理由からインスタグラムのようなSNSに投稿するために非合理な選択をすることもあるでしょう。「理動という言葉はないが感動はある」というように、人は感情的な生き物です。心ーー感情が揺さぶられた場合は、脳の合理的な判断を覆すことが起こるわけです。
もう一つ人間の機能として重要なのが性器です。これは異性へのアピールと換言した方が分かりやすいでしょうか。
生物の本能として子孫繁栄があります。クジャクのオスは綺麗な羽でメスにアピールしますし、ウグイスは綺麗な鳴き声でメスにアピールします。これは人間も例外ではありません。遥か昔の狩猟時代に良きパートナー選びは生きるか死ぬかの死活問題でした。そこでより権力を持つ男性が異性にモテるようになりました。その時代にはより多くの獲物を射止めた男性がより多くの権力を持ち、異性を引き付けたことでしょう。それから時代が進んで貴族や武士の世の中になって富や武力を持つものが権力を持つ。そして現在の資本主義社会では富がある男性が権力を持つとされています。
つまり現代においては富を持つことがそのまま異性へのアピールとなるわけです。そこで所有物ーー特に身に着けるものを高価にしはじめる。そこには脳の合理性も心揺さぶられるわけでもなく、ただ単に異性に格好よく見せてモテたいという動機で購入に走ることになります。
■『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』を読んでみて
本書はニューヨーク大学スターン経営大学院の教授であるスコット・ギャロウェイの著書です。スコット教授は自身が連続起業家(シリアルアントレプレナー)であり、その過程でGAFAとビジネス上対峙したこともある実業家です。そのため、研究者や官僚のような頭だけで考えたような机上の空論とは違い、自身の経験に裏付けられたリアリティの高い議論を展開する点において、他の書籍とは一風変わっております。
GAFAというのはGoogle、Amazon、Facebook、Appleの頭文字をとったものです。世界の時価総額のトップに名を連ねるこれらの米国企業をヨハネの黙示録の四騎士に例えて、GAFAがなぜこれほどの力を得たのか、世界をどう支配してどう創り変えたのか、創り変えた世界で我々はどう生きるか、といった点を丁寧に解説されています。
本記事で紹介した成功のための8つの要素をすべて備えて、人間の脳、心、性器の3つのポイントをターゲットに的確に訴求している点も本書に詳しく述べられています。具体的には、GoogleとAmazonは脳に、Facebookは心に、Appleは性器をターゲットとしております。本記事を遡っていただいて、これらの企業名を思い浮かべながら読むと納得できるかと思います。
スコット教授はあまりGAFAに良いイメージを持たれていないようでかなり批判的な内容になっております。読み物としても非常に面白いので、皆さんにも是非とも読んでいただきたい一冊です。
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JUGEMテーマ:ビジネス
虎は死して皮を留め人は死して名を残す
「虎が死んだ後に立派な皮を残すように人は死後に名が残るような生き方をすべきである」という教訓です。ビル・ゲイツはWindowsを作り出し、スティーブ・ジョブズはiPhoneを作り出しました。それらは世の中を変えた誰しもが認める偉業で、おそらく後世にもその名が残ることでしょう。まさに教訓通りの生き方をしたと言えます。
偉業を残す人たちは素晴らしいですし、皆がそのような偉業を成すことができれば世界は益々発展するでしょう。資本主義の成功者はーー将来に目標をおいてそこに向かって日々邁進するべきだーーと口を揃えて言います。その意味するところはーー現在を犠牲にして将来を輝かしいものにしろーーということです。
モノが不足していて発展途上だった昔はそれで良かったかもしれませんが、逆に弊害になってしまっているのが現代。将来の目標が高過ぎるがゆえに、また、世間のプレッシャーが強いがゆえに、現在の自分と将来像にギャップがあり過ぎるためにストレスが溜まり、絶望し、沈んでゆく。
今回は、このようなストレス社会を生き抜くための考え方について議論しようと思います。
ちなみに、今現在モチベーションが高く、大きな偉業を達成したいという人には本記事は有用ではありません。むしろ、モチベーション低下にも繋がる恐れがあるのでご注意ください。
■そもそも偉業とは何か?
偉業と一言で言っても人によってその意味は多様で受け取り方もそれぞれです。
冒頭で述べた世界的に有名なビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズを上げる人もいますし、松下幸之助や孫正義、澤田秀雄のような日本国内の経営者。リオネル・メッシや大谷翔平のようなスポーツ選手。アルバート・アインシュタインや湯川秀樹のようなノーベル賞受賞者、将又ある分野だけで知られているような賞の受賞者もあり得ます。地域貢献をした市長や町長、もしかすると自分の祖父母や両親の名を出す人もいるかもしれません。
ここでご理解いただきたいことは、偉業といってもその種類は様々で、必ずしも世界的に直接影響を与えることだけが偉業だとは限らないということです。ビル・ゲイツが幼少の時にお世話になった近所のおじいさんの小さな親切は、ビル・ゲイツにとっては偉業になるかもしれません。スティーブ・ジョブズがカフェにいる時に聞こえてきた隣の人たちの会話が発想のヒントとなったとすれば、それもまた偉業となり得ます。
つまり、偉業というものは主観的なものであって、人によってその範囲も意味も異なります。自分の知らない人たちに喜ばれたとしても、あなたの身近な人には全く感謝されないような可能性だってあります。近所の公園を憩いの場としていて携帯電話を持っていないお爺さんにとってはiPhoneの発明よりも、公園の清掃や花壇の手入れをした方が感謝されるでしょう。近所に住んでいる野球に全く興味のない子供の面倒をみることは、子供にとっては大谷翔平よりも尊敬に値するでしょう。
多くの人には関係なくとも感謝されたい一人に感謝されること。それは立派な偉業です。今現在、大きなことをやろうとしていて、それがプレッシャーになっていたとすれば、今一度誰に感謝されるのか、を考えてみると良いかと思います
■果たして人の偉業は宇宙的にみたらどれほどの影響力なのか
さて、仮に人生をかけて世界的な偉業を達成したと仮定しましょう。それがどれほどの影響を持つでしょうか。
澤田秀雄がHISを創業したことで、それまで嗜好品だった旅行が庶民でも手が届くようになりました。ソフトバンクの登場によってこれまで高額だった携帯料金が大幅に下がり、ほぼすべての日本人が携帯電話を手にすることになりました。これらは世の中への素晴らしい貢献といえるでしょう。とはいえ、旅行に興味がない人や携帯電話を持たない人たちもいるわけです。そのような人たちにとってはあんまり影響はありません。
スティーブ・ジョブズがアップル社を一度追放されて、再び戻って来たことは有名な話です。彼がアップル社に復帰した際にこれからどうするかと聞かれて「We’re here to put a dent in the universe(宇宙をへこませる)」と語ったと言われています。そしてiPhoneという世の中を一変させる商品を世界に発信しました。
確かに地球に住む人類にとってiPhoneの登場は劇的なものでした。どこからでも情報にアクセスでき、SNSを通じて世界中の誰とでも即座にコミュニケーションができるようになりました。買い物に出かけるときも財布を持っていく必要はなく、スマホだけで十分な時代です。
しかし、地球上の人間以外の生物ーー例えば、ネコやイヌはiPhoneの存在を気にしていませんし、それによって自分たちの環境が変わったとも感じていないでしょう。さらに、地球は太陽系の極々一部であり、その太陽系も銀河系の一部。そして銀河の外には宇宙が広がっているわけです。地球というのは宇宙の末端の方に位置しているため、仮に宇宙大帝国みたいなものがあったとしても誰も気にしないほど瑣末な存在でしかありません。
再びジョブズの「We’re here to put a dent in the universe(宇宙をへこませる)」という言葉を思い返しましょう。彼は確かに地球上の人類規模ではへこませられたかもしれません。しかし、宇宙にとっては銀河系ですら取るに足らず、銀河系にとっては太陽系ですら取るに足らず、太陽系にとっては地球ですら取るに足らず。つまりはiPhoneの存在は宇宙にとっては全く取るに足らない発明ということです。
我々人類がどんなに偉業だと思っても、周囲の人たちにとっては影響を与えたとしても、宇宙規模で考えたら非常に虚しい事象でしかない。であれば、私たちが近所の人のため地域環境のために貢献するのと何が違うのか。iPhoneの発明は価値のあることですが、公園清掃のボランティアにも価値があります。人類規模でみたらそこには大きな違いがあるのですが、宇宙規模で見たらどちらも同じようなもの。
穿った見方をすれば、偉業というのは自己満足と承認欲求です。自己満足はともかく承認欲求は以前の記事( 人生に重要な3つの柱は「知恵」「決断力」「行動力」 )で紹介した通り弊害だらけです。であれば偉業に捉われずにできることをやれば良いのではないでしょうか。
■未来のために「今」を犠牲にする考えについて
偉業を成すことが悪いと主張したいのではありません。アルバート・アインシュタインは物理学に興味があって、その延長に光量子仮説や相対性理論があったのかもしれません。ライト兄弟は空を飛びたいという純粋な関心から飛行機を作ったのかもしれません。
近年のビジネスーー主に新規事業開拓においてでは「ペインポイント」という考え方があります。このペインポイントとは、顧客がコストをかけてでも解消したい課題のことをさします。ペインポイントを探し出し、その解消までの道のりをマイルストーンとして描いて日々の業務をこなしていく。つまりは、現在というのはペインポイントを解消するまでの過程であって、将来のために今を頑張っているということです。
確かにこの思考は新規事業を成功に導くためには無くてはならないものです。偉業を成し遂げたいという強い気持ちがあり、プロジェクト完遂までのモチベーションがあれば問題ないでしょう。そういう方々がいなければ新しい発明は世の中に出てこないのは確かです。
ですが、もしもツライと感じたら改めて偉業とは何かを考えてほしい。偉業から得られるのは自己満足と承認欲求です。今現在を犠牲にして、生涯をかけて大きなことを達成し、死ぬ間際になったときに自分の人生を振り返ったときにどう思うか。そこで満足を感じられれば良いのですが、虚しくなったら時すでに遅し。現実はゲームのようにセーブポイントから再開はできません。
これを回避する最良の方法は過程を楽しむこと。将来に囚われずに今現在を楽しみながら生きることです。その楽しんだ延長上に偉業を成し遂げられればベストですが、仮に何も成し遂げられなかったとしても、楽しんだ事実は自分の記憶に経験として残り続けます。
未来のために今を犠牲にするのは当たり前ではありません。今を楽しむことが第一で、その延長上に未来がある。今がなければ未来もない。常に頭に入れておきたいと思います。
■オリバー・バークマンの『限りある時間の使い方』を読んで
長い目でみれば、僕たちはみんな死んでいる
そんな書き出しからはじまり、生産性の罠について丁寧に説明しているのが本書です。全米のベストセラーにも選ばれたようで、それが最近日本語に和訳されたようです。
世に普及している「時間の使い方」を紹介するほとんどの本がタイムマネジメントに関する中、本書はタイムマネジメントに対して真っ向から否定しています。現実を直視し、幻想を捨て、好奇心を持つこと。ただそれだけで人生は有意義になると。
ストレス社会においては鬱病が蔓延り、最悪自殺する人もいます。心療内科や精神科医といったところは予約で数ヶ月先まで受診できないような現状です。確かに偉業を成し遂げることは素晴らしいことですが、そのために自分自身が病んでしまっては元も子もありません。
そんな時は宇宙がどんなに広大で、周囲への貢献だけでも十分に自分の役割を達成したんだと実感できれば良いと考える。無理難題をこなす必要はありません。小さな成果でもコツコツやれば大きな成果に繋がりますし、何よりも自分ができることで貢献すれば良いですから。
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JUGEMテーマ:検定試験にむけて
JUGEMテーマ:行政書士試験
■はじめに
社労士試験が終わってから、何か面白そうな試験はないかと調べてたら11月に行政書士試験があることを知りました。9月から10月の上旬までは何かと準備があったので勉強する時間を確保できず、実質1ヶ月の勉強期間になりそうでしたが、たとえ不合格になっても来年再度受験すればいいや、という軽い気持ちで受験申し込みをしました。
■概要
行政書士とは、官公庁に提出する書類作成および提出、またその相談などを行なう業務独占資格です。行政書士試験は、その業務に必要な憲法や民法、行政法などの知識を問う試験となります。試験範囲を詳細にすると「憲法」「行政法」「民法」「商法・会社法」そして「基礎法学」「一般常識」から出題されます。
以前は比較的取得が容易な資格とされていたようですが、近年は資格保有者数や受験者数の増加に伴い、中小企業診断士や社会保険労務士などと肩を並べるほどの難関試験となっています。
また「もっとも稼げない資格」のように言われることも多い行政書士試験ですが、使い方次第だと思います。行政書士は「街の法律家」とも言われるように、日常生活上関係してくる民法や商法の専門的な知識を取得することができます。後見人や相続、土地所有権問題、さらに会社設立事項などを知っておくことは、自分がその立場になった際に役立つ知識だと思います。
■試験結果
・期間:30日(勉強時間 100 時間)
・費用:18,232円(受験料7,000円、参考書代等11,232円)
・得点:208点(300点満点中180点以上で合格 ただし、法令等科目の合計点122点以上、一般知識等科目の得点24点以上)
)
(内訳)
〇法令等
5肢択一式:128点
多肢選択式:18点
記述式 :22点
〇一般知識等
5肢択一式:40点
今年は記念受験のつもりでしたので、試験後に自己採点は一切しませんでした。合格発表の当日に郵便ポストを確認したら一通の葉書が入っており「やっぱり不合格だったか」と思いました。概して、合格の場合は合格書類が同封されている場合が多いので書留とか大きな封筒で郵送されてくることが多いからです。
得点だけ確認しようと中を開いてみたら、まさかの合格。しかも合格最低点をそこそこ上回ってました。非常に嬉しかったですね。これだから難関試験受験はやめられません(笑)
■計画
勉強期間が1ヶ月しかないので最小限の学習に絞らなければなりません。記念受験といっても、ただ不合格になっても仕方がありません。少なくとも1ヶ月は試験に注力するわけで、合格率4割程度には持っていきたいのですよね。
まずはインターネットにて情報収集開始…… と行きたいのですが、今回は書店に直行しました。そこで行政書士試験コーナーに行って唯一おかれていたのが「スッキリわかる行政書士シリーズ」。手に取って中をパラパラめくるとイラストが多くて初学者でも取り付けそう。その場でインターネットで調べても悪い噂はなかったですし、個人的に日商簿記2級ではスッキリシリーズにお世話になっていることもあって、早速購入を決めました。この場で購入したのはスッキリわかる行政書士シリーズのテキストと頻出過去問題集のみです。
次にインターネットで調べたところ、テキストや過去問だけでは不十分なことを知りました。特に、行政書士試験では民法と行政法の配点が非常に高い! ということで伊藤塾の「うかる! 行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター」を補助教材として購入。
また、頻出過去問題集だけでは不安を覚えて演習量を増やすために早稲田経営出版の「合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック」。さらに、記述式対策として「合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」を購入しました。
他のサイトで「行政書士試験の勉強をするのに行政書士試験の参考書を購入しても受からない」との情報がありまして、司法書士試験や国家公務員試験の問題集を紹介しているところもありました。しかし、司法書士試験の民法の範囲は行政書士をかなりオーバーしておりますし、国家公務員試験も試験範囲にズレがあります。ですので、素直に行政書士試験のテキスト・問題集だけで挑みました。
さらに、判例集や条文集は使わないことにしました。というのも、これらは読むのが苦痛…… 私は文字を淡々と読むのが非常に嫌いなのです(笑) それゆえ、テキストや問題集の中で出てきたものを覚えていくことにしました。たとえ判例を知らなかったり条文を覚えていなくても、法律知識を使って読み取れば正答できることも多いとの意見をいくつか見ましたしね。
そして、一般常識は足切りが存在するので怖いといえば怖いのですが、試験日まで1ヶ月しかありません。何が出るのか分からないのであれば自分の知識を信じるしかないので、自分の知識外、書籍外の問題が出たら諦めて切り捨てることにしました。これまでに中小企業診断士、日商簿記、社会保険労務士の学習をしてきてるし、そしてIT系は専門なので多分大丈夫でしょう(笑)
あとですねー、憲法については書籍を買わずに「憲法をわかりやすく」のサイトを利用しました。サイト運営者様は法学部出身の方のようで、対話形式で憲法を非常に分かりやすく説明してくれます。書籍を読む前にこのサイトを読んだ方が効率が良いと思いますが、自分は勉強の途中に当該サイトを知ったのでスッキリシリーズを終わらせた後に使わせていただきました。
特に憲法の重要判例についてはイラストで説明してくれるので判例集よりも理解しやすいと思います。
以上よりまとめると使用する書籍は5冊、参考サイト1つ。そして、判例集は買わず、条文も読みません(大事なことなので2度書きました)。
具体的なスケジュールは以下の通り。
1.「スッキリわかる行政書士シリーズ」頻出過去問題集を3周
2.「スッキリわかる行政書士シリーズ」テキストを3周
3.「憲法をわかりやすく」を1読
4.「うかる! 行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター」を3周
5.「合格革命 行政書士 一問一答式 出るとこ千問ノック」を3周
6.「合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」を3周
7.書籍5冊の総復習
1〜7を1ヶ月で終わらせることになります。先にも書きましたが、3のインターネットサイトは一番初めに読んだ方がいいと思います。法律の頂点に立つ憲法を初めに知ることで各法律の理解が早く進むと思いますので。
■実行
まずは頻出過去問題集から。
進め方は、問題を読んですぐに解説を読みます。いきなり学習を開始して過去問を解けるはずがありません。そんな感じで基礎法学と憲法を終わらせます。丁度この頃、衆議院選挙があったので内閣の機能などは非常に興味深かった。特に、解散後の初総選挙だったので最高裁判所裁判官の投票もあったという。
ここで気をつけることは天皇、内閣、国会、議院、裁判所の役割を1つ1つ丁寧に覚える必要はないということです。問題に出てきたものだけを覚えてください。そうでないと全然先に進みません。各役割については学習を進めていくうちに自然と覚えていくことになります。
あ、でも衆議院と参議院の違いは抑えておいた方がいいです。衆議院には内閣不信任請求権と予算の先議権があって、参議院には緊急集会を開く権限がある、のように。
憲法の次が大変だった…… 行政法です。もう行政強制とか行政審査不服法とか行政事件訴訟法って一体全体何なの?? という(笑)
もうひたすら解説を覚えていくしかありません。行政法は取りあえず分かった気になって進めましょう。行政審査不服法と行政事件訴訟法がゴッチャになると思いますが、徐々に違いが分かっていけばいいのです。どうせ伊藤塾の本で再度より詳しく学ぶことになるわけなので。
その次がこれまた大変でした(泣) もう本当に勉強が嫌になりましたね。はい、民法です。
私は中小企業診断士試験をクリアしていたので、この分野は全く初学者ではありませんでした。そのため、心裡留保とか詐欺とか強迫等の用語には困りませんでした。しかし、一番大変なのはそこじゃなかった。
債権者代位権と詐害行為取消権の違いとか、売り主の担保責任とか、抵当権とか…… もう行政法と同じで民法も分かった気になって先に進めました。どうせ後で伊藤塾の(以下略
相続のところは興味があったので楽に進められたのが救いでした。特に遺言状のところは直近関係しそうなところなので念入りに学習しました!
次が商法・会社法。
まぁこの商法・会社法の分野は配点低いし、最悪は捨ててもいい。中小企業診断士や簿記で学んだところだからサクサクっと。株主総会の普通決議、特別決議、特殊決議の定足数とか頭から抜け出てたので覚え直す感じでしたね。細かい数字なんてどうでもいいじゃんね?
法律が終わると次は多肢選択式。この分野は判例からの出題が多いという特徴があります。
ここの進め方も問題文読んですぐに解説読めば大体理解できると思います。特にこのスッキリシリーズは判例知識がなくても文脈と選択肢から正解を絞り込む方法が説明されてるのが良いですね。星の数ほどある判例を片っ端から覚えるよりも国語力を駆使した方が現実的でしょう。
そして記述式。
記述式は如何に適切なキーワードを使いこなせているか。今までの択一式や選択式の応用ともいえる分野です。他サイトで「記述式は全捨てでいい」と書かれているところもありましたが、それもあながち間違いではありません。おそらく記述式の学習を捨てても合格圏内に入ることは可能でしょう。が、ここにきて行政書士試験の面白みに気がついてしまいました。
基礎知識を応用して与えられた訴訟を読み解く、というのはとても面白いですよね。単なる法律の丸暗記ではなく、暗記した知識を適切な事件にあてはめ、しかも適切な文字数以内にまとめるという行政書士に絶対的に必要な能力。
まぁ、こんなのは合格してからやればいいんですが、この記述式でこれまで淡々とこなしていた暗記作業がとても楽しくなりモチベーションが一気にあがりました。
頻出過去問題集にある最後の一般常識は適当に覚えればよいでしょう。
この問題集に載ってるのは膨大な試験範囲の中から一部を抽出したものでしかないので、これを全部覚えたとしても本試験で出ることはまずないでしょう。それこそ砂浜から1粒の砂金を探し当てるようなもの。この分野にこだわる必要はないでしょう。
頻出過去問題集を3周ほど終わらせた後で、テキストに移ります。
テキストも馬鹿正直に初めから読んではいけません。テキストはまず章ごとの確認ミニテストをやってから、確認として本文を読むこと。これを実践すれば3周はすぐに終わります。
このテキストを進めながら頻出過去問題集で理解があやふやだったところの知識保管になりました。特に民法の債権あたりはイラストが載ってたので分かりやすかったです。
スッキリシリーズが終わり、ここからインターネットサイト「憲法をわかりやすく」での憲法理解。
結構ボリュームがあるのですが、面白いのでサクサク進みました。エホバの証人事件とか、重要判例も文章で読むよりよっぽど分かり易かった。
ここで恥ずかしながら初めて憲法が人権を守るためのものだという一般常識を知りました。逆に言えば、このレベルでも行政書士試験に受かることができるということです!
そして一番重い伊藤塾の民法と行政法の本。率直に言って難しい。本自体は薄いんだけどねぇ……
本書の構成は演習問題を解きながら理解していくというものなので初めから順番に読んで、ポイントごとの問題を解いていけばOK。いきなりこの本からはじめると挫折しそうですが、スッキリシリーズである程度知識はついているので、全く理解できないということはないでしょう。
1周目で理解できなくても最低3周は読むので、分かりづらいところがあっても気にせずに進みましょう。これも3周こなします。
さて、ここまで学習した時点で知識だけ考えれば合格レベルに達していると思います。しかし、演習量が圧倒的に足らない。ということで一問一答で演習量を増やします。スッキリシリーズや伊藤塾とは違った出版社による書籍なので、問われる論点も当然違います。このように1つの出版社に絞らないことで幅広い勉強ができます。1つの出版社に絞ると各書籍の連携が取れているので、それはそれで利点はあるんですけどね。
この本は大体3日くらいで1周終わりました。3周繰り返します。
最後に記述式の特訓。丁度早稲田出版の記述式本には多肢選択式問題も含まれてるので、これにて全ての試験形式の演習をこなせることになります。試験日が近づいてきたため少し頑張った結果、2日で1周目が終わりました。記述式は設問のキーワードに反応して、適切なキーワードをあてはめられるようになるための訓練です。もう初めてきく用語はないでしょう。3周終わらせます。
試験日前日に去年の過去問を時間を計測して解きました。普通に解いていって時間が余ることが分かれば十分です。過去問を解いて時間が余らなかった、もしくは時間ギリギリの場合は解くペースを少し早めにすると良いでしょう。練習で試験時間ギリギリだと本番試験では時間内に終わることはできません。そもそも去年の問題はテキストや問題集でも何問かみているので本番よりも早く解けて当然です。
昨年度の問題の採点はしませんでした。過去問から全く同じ問題が出題されることがほとんどないことが知り、本番でかなりの応用力が試されることが分かったので、昨年度の問題を完璧にしても仕方がないと考えたからです。
最後に、全部のテキスト・問題集を解き直し、出来なかったところや気になったところに付箋をペタペタ貼りました。
今回は日商簿記2級の合格体験記です。
働きながらの受験でしたが1ヶ月かけずして合格できました。応用情報技術者試験の直後でしたので、この2ヶ月間は休む暇もなく試験を受けていました。応用情報技術者試験の結果が出ていなかったので多少気になってはいましたが、受け終わってしまった試験のことを気にしても仕方がないので日商簿記試験だけ考えて集中しました。
試験日から合格発表日まで1ヶ月と長かったのですが、 厳しめの自己採点で丁度70点でしたので応用情報技術者試験ほど心臓に悪くはありませんでした(笑)
■概要
日商簿記2級は、試験を主催している商工会議所では以下のように説明されています。
経営管理に役立つ知識として、最も企業に求められる資格の一つ。企業の財務担当者に必須。
高度な商業簿記・工業簿記(初歩的な原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できる。
高校(商業高校)において修得を期待するレベル。
https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class2 より
資格試験の公式ホームページには企業の財務担当者に必須とありますが、一般の社会人にも勧められる資格です。
会社勤めの方であれば経費申請の際に勘定項目を記入することもありますし、計算機の使い方に慣れることも日々の業務で役立つことが多々あります。
また、経営管理に少しでも触れられるので、コスト意識を持つことができます。特に会社勤めの社会人はコストを意識することが少ないと思います。実際に「減価償却」という用語を説明できない人は非常に多いのが現状です。会社では経営に近くなればなるほどコスト意識は必要になり、ある意味管理職以上は必須であるともいえます。
ですので、出世していきたい人には是非とも取得していただきたい資格です。
日商簿記試験は4級から1級までありますが、筆者は一般的に評価されるのが2級以上ということもあって3級を受けずに2級から受験しました。 日商2級から受験するにしても、3級の知識を前提に出題されるため3級からはじめることになります。
■試験結果
■計画
いつも通り、試験勉強をはじめる前にインターネットで調査しました。その結果、以下のことが分かりました。
注目すべきは工業簿記です。出題パターンが少ないということは、全てのパターンを理解してしまえば、 毎回満点近く取れるということです。 つまり工業簿記で満点(40点)を取れれば、商業簿記は半分の30点だけ取れば合格できる ことになります。
具体的に立てた計画を以下に記載します。前述した通り、2級は3級の知識を前提に出題されます。そこで、はじめの1週間は3級の勉強をしました。
利用した参考書はサクッとシリーズ。絵が多く、1日の学習量ごとに項目が分かれており、簿記初心者にはおススメとの声が多かったからです。なお、サクッとシリーズ以外ではスッキリシリーズもおススメします。筆者は日商簿記の講師をする際には、サクッとシリーズではなくスッキリシリーズを利用しています。
スッキリシリーズの特徴は、サクッとシリーズより本が厚くボリュームが多いので、ある程度学習に時間を要します。が、絵が多く、項目ごとに非常に丁寧に説明しているため、ボリュームの割りには苦も無く進めることができます。巻末にも問題が多く載っているので、演習量も問題なくこなせます。
さて、具体的に立てた計画を以下に記載します。はじめの1週間は3級の勉強をしました。サクッとシリーズを選択された方は、以下スッキリシリーズをサクッとシリーズに読み替えてください。
【3級】
・1日目〜2日目
「スッキリわかる日商簿記3級商業簿記 テキスト」の1周目
・3日目〜6日目
「合格するための本試験問題集 日商簿記3級 (よくわかる簿記シリーズ)」の1周目
・7日目
休息
【2級】
・8日目〜10日目
「スッキリわかる日商2級商業簿記テキスト」の1周目
・11日目〜12日目
「スッキリわかる日商2級工業簿記テキスト」の1周目
・13日目〜18日目
「合格するための本試験問題集 日商簿記2級 (よくわかる簿記シリーズ)」の1周目
この1周目で分からなかった問題のみをチェック
【3級・2級】
・19日目〜21日目
3級のテキスト、2級のテキストを復習し、2級過去問題集については1周目にチェックした問題だけを解答
■実行
計画通りに3級のテキストは2日で読み終えました。 本来は1週間かける本のようですがボリュームが少ないため1週間もかかりません。 3級で理解が難しいのは減価償却費と貸倒引当金でしょうか。普通に社会人をしている際には、馴染みの薄い内容のせいか、つまづく人が多いようです。減価償却に関しては、ファイナンシャルプランナーなどの関連資格を取得している人には理解しやすいかもしれませんが、具体的な計算まで踏み込むことはないため、計算方法については反復学習する必要があります。
簡単な講義資料をまとめましたので、興味のある方は以下のリンクをご確認ください。
3日目から過去問題集に取り組み、ここから電卓を使い始めました。 過去問を解く際に意識したことは、必ず書いて問題を解くことです。 簿記試験は暗記というよりはむしろ大学受験の数学のように解法の流れを覚える試験です。 読んで理解しようとしてもなかなか身につかないので、 電車乗車時などの隙間時間を活用しづらいため他資格と比べて勉強が大変でした。
そこで過去問を解く際には、特に時間を測ることはせず、大問ごとに区切って学習を進めました。朝の電車内では第1問を実際に書くことはせずに読むだけで頭の中で仕訳を行ない、 帰りの電車では座席に座れるよう帰宅時間を合わせ、問題集のコピーを膝の上やカバンの上に広げながら書いて解きました。
ちなみに3級過去問題集は全て解かず、ある程度理解できたところで切り上げました。なぜなら、過去問を6回分ほど解いた時点で70点以上とれるようになり、2級に進める準備が整ったからです。目的は2級に受かることであり、3級試験に合格することではありません。ですので、3級の過去問を完璧にする必要は全くありません。
2級に関しても商業簿記テキスト、工業簿記テキスト、過去問題集は全て計画通りに進みました。
商業簿記に関しては、株式や社債等の株式会社ならではの仕訳が加わります。そして、工業簿記自体3級では出題されないため、ゼロから知識をつけることになります。
これらは一見、難しそうに思えますが、テキスト内にイラスト付きで詳しく説明されているため、ジックリ読んで、演習と解いているうちに理解できるようになっていきます。
注意すべき点は、分からないところは時間をかけても構わないのでシッカリと理解することです。幸いインターネット上には情報が溢れています。イラストや動画で説明しているサイトも数多くあります。苦手なところは、文字だけでなく、イラストや動画のようなイメージを交えて理解すると良いです。
19日目から3級テキストと2級テキストの復習を開始しました。その際、本文は一切読まずに練習問題だけ解きました(スッキリシリーズでは巻末の練習問題)。分からなかった問題のみを付箋等でチェックし、もう一度その章の解説を見直し、解けなかった問題に関しては3回解けるまで繰り返しました。
2級過去問題集については過去試験12回分、全て解けるようになるまで繰り返すことを意識して本番に挑みました。
■本試験
試験会場は明治大学の和泉キャンパスでした。京王線の明大前駅から出ると、受験生がゾロゾロ同じ方向に向かっていきましたので、迷うことなく到着することができました。年間十万人を超えるマンモス試験だけあって、部屋数も多い。それだけトイレも混むといういうことなので、早めにトイレは済ませた方が良いです。
余談ですが、簿記試験というか商工会議所の主催する試験では気をつけるべきことがあります。それは……
この試験は例外なく途中退出ができません。 つまり、トイレ休憩ができないということです
試験会場到着時にトイレに行っていたのにも関わらず、試験開始直後にトイレに行きたくなったので、尿意を耐えながらの地獄の2時間でした。 朝コーヒーを2杯も飲むんじゃなかった……
また、鉛筆削りも使用禁止ですので、鉛筆を使用する人は気をつけましょう(隣の人が注意されていました)。
閑話休題、本番は「第一問→第二問→第四問→第五問→第三問」の順番で解きました。
この順番にした理由は、時間のかからない問題をはじめに解くためです。特に、第三問は財務諸表作成問題や精算表作成問題などが出題されるため非常に時間がかかります。第三問が終わったら残り10分しか残ってなかった、という事態も十分にあり得ます。同様に第五問も原価計算のため時間がかかります。そこで、比較的容易に解ける第一問、第二問、第四問を先に解くという戦略です。
実際に私が受験したときには、第五問が終わって第三問に取り掛かる時点でかなり時間に余裕ができていたため焦らず解けたので、結果的にこの順番は成功だったと思います。
もうひとつ気をつける点としては、第三問に精算表が出題された場合、貸方と借方が合わなかったからといって焦ってはいけません。精算表はところどころ加点ポイントがあるため、合計金額が誤っていたとしても、加点ポイントの欄が正解していれば部分点をもらえます。実際に、筆者は借方と貸方が合いませんでしたが、それまでの過程が正解していたため、第三問では6割以上得点することができました。
ですので、時間があれば焦らずに一つ一つ丁寧に見直しし、少しでも加点ポイントで得点するように減点を回避するのが賢明です。
■総評
簿記試験は隙間時間を利用しづらい試験のためかなり大変でした。一般的に合格までに6ヶ月かかると言われているようですが、綿密な計画を立てて、ひたすら紙・ペン・電卓で反復練習すれば1ヶ月以内で十分受かることができる試験です。
また、一般的に「2級の商業簿記は3級からの流れである程度解けるので工業簿記が難しい」と言われているようですが、 問題パターンの少ない工業簿記は安定して得点できます。商業簿記でどれだけ点を削られるかが合否を分ける試験であると思います。
以下、紹介した書籍
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今回受験した試験は、難関資格と言われる中小企業診断士試験です。
他のサイトをみていただくと分かりますが、この試験の合格までの平均勉強時間は1000時間と言われています。しかし、その4分の1の時間で十分合格できました。応用情報技術者試験の時も思ったのですが、平均勉強時間は相当多めに算出されている気がします。
試験の概要から合格体験記まで書くため記事が長くなりそうですので項目で区切って順番に説明していきます。使用したテキスト等は記事最下部にまとめて配置しました。こう並べてみると随分勉強したなぁ、と思います(笑)。
■概要
まず、本資格取得のためには1次試験から実務補習まで終了する必要があります。
・1次試験 マークシート
・2次試験 筆記試験
・最終試験 口述試験
・実務補習
このようにマークシートから口述試験までバラエティに富んだ1年に1度行われる長丁場の試験です
この試験は1次試験から最終試験まで1発合格する必要はありません。1次試験は合格すると2年間免除されます。つまり、1次試験に合格した年とその次の年の2回までは2次試験から受けられることになります。この試験の性質上、1発合格の難易度は相当上がります。なぜなら、1年前の1次試験合格組は1年間2次試験の勉強だけに集中でき、この合格組と1次試験から2次試験の間の約2ヶ月半の勉強期間だけで勝たなければならないからです。さらに、合格率は年によってバラつきがありますが、1次試験が約20%、2次試験も約20%ですので、1発合格率は20%×20%=4%となり計算上約4%となります。最後の口述試験についてはほとんど落ちることはない、ということですので2次試験が山場であるといえます。ちなみに口述試験に落ちた場合は、再度2次試験を合格しなければなりません。この時、1次試験免除で2回目に2次試験を合格した場合は、1次試験からの受験となってしまいます。実務補習は「中小企業診断士第2次試験に合格後、3年以内に実務補習を15日以上受けるか、診断実務に15日以上従事することにより、中小企業診断士としての登録を行うこと」とあります。実務補習の日程は診断士協会で定められているため、社会人は有給を使わなければならないでしょう。
私の場合は同じ試験を何年も受けるのが嫌なので、1次試験は1発合格を目標に全科目受験することに決めました。しかし、独占業務が存在しない試験ということもあり、早期に取得するメリットがそこまで大きくないこと。また、何度も1次試験を受けることで確かな知識にするという目的から、敢えて長期間で合格するように計画するのも選択肢の一つです。実際に、1発合格した中小企業診断士は知識が曖昧で使えないというケースも多いようです。
■合格基準
本試験は科目免除制度があるのですが、免除した場合は60点扱いになります。そして合格基準が「総点数(7科目なので700点)の60%(60点)以上であって、かつ1科目でも40%(40点)未満のないこと」です。例えば、科目合格や科目免除によって4科目受験する場合、総得点(400点)の60%(240点)以上であって、かつ1科目でも(40点)未満のないこと、になります。免除する科目は得意科目であることが多いので、免除できるけれどもあえて免除せずに総得点を上げるという選択もできます。しかし、私は以下の3つの理由から以前取得した応用情報技術者による科目免除を選択しました。
?苦手科目を重点的に学習したかったこと
?当年に難化した際に得点稼ぎに使えないこと
?免除科目の試験時間中に他科目の勉強をできること
?に関しては資格取得と同時に知識習得も目的だったため、?は今年の経済学のように極度に難化した場合に得意科目でも稼げなくなるため、?は特に暗記科目の直前の際に詰め込みができるためです。本試験では経営情報システムの次が暗記科目である中小企業経営・中小企業政策ですので、迷わず科目免除を選択しました。
■試験結果
8月の第1週の土日に中小企業診断士の1次試験を受けました。
過去の記事を読んでいただければ分かる通り、この試験だけの勉強をしていたわけではありません。ですので、勉強期間は長かったのですが、平日1日1時間くらいで少しずつ進めたのでトータルの勉強時間はそんなに多くありません。1日2時間やれば約4ヶ月で受かりますし、頑張って平日1日5時間勉強して土日もつぶして休日8時間くらい勉強すれば、2ヶ月ほどで受かる可能性もあると思います。そういえば久しぶりに本格的な国家試験を受けた気がします。
いつも通り過去の試験と同様に試験合格点ギリギリでした。最低限の努力で合格点に達するというのが私のポリシーですので、今回も思惑通りになりました。
・期間:8ヶ月(勉強時間 250 時間)
・費用:49,320円(受験料13,000円、参考書代等36,320円)
・得点 424点(700満点中420点以上で合格)
経済学・経済政策 52点
財務・会計 67点
企業経営理論 59点
運営管理 62点
経営法務 62点
経営情報システム 60点(※免除したため60点として計算)
中小企業経営・政策 62点
■計画
まず、インターネットで情報収集です。
勉強方法が詳しく書かれている独学合格のサイトがあまりなかったので調査対象が少なく、信頼できる情報の取得に苦労しました。主に「中小企業診断士 資格試験体験記」様を参考にしました。そして、独学の合格体験記でTACのテキストだけで合格したという書き込みを多く見つけたので、上記サイト通りTACのテキスト・問題集・過去問を購入しました。
12月から勉強をはじめたので、かなり試験まで時間があったため1日に1時間程度を目安に進めました。勉強方法のまとめを以下に記載します。
1.問題集・テキスト 全科目が終わるまで(a)〜(c)を繰り返す
(a). 問題集を完璧に仕上げる
(b). テキストを1回読む
(c). 次の科目へ
2.全科目の問題集・テキスト総復習
3.全科目の過去問題集
4.全科目のテキスト、問題集、過去問題集の総復習
今回、過去問から取り組まなかったのは以下の理由からです。
?中小企業診断士試験の知識をしっかりと習得しようとしたから
?TACの問題集からはじめて合格したという体験記が多くあったから
また、勉強する順番は以下のように決めました。
この順番にした理由は各科目ごとの勉強方法の時に説明します。
1.企業経営理論
2.経済学・経済政策
3.中小企業経営・中小企業政策
4.運営管理
5.経営法務
6.財務・会計
自分の場合は使用する参考書、問題集に関してはインターネットを参考にしますが、勉強方法は独自の仕方で行ないました。テキストからはじめているサイトも多かったのですが、私は今回もテキストから読むことはせずに問題集から取り組みました。なぜなら、自身の経験上最短で合格するのにもっとも効率の良い方法はまず演習をすることだからです。
■実行
ここからは科目ごとに書いていきます。
自分の場合は応用情報技術者を取得していたので、経営情報システムは免除しました。したがって、残りの6科目について科目別に書いていきます。ちなみに、この試験の前に簿記3級、ITパスポート、販売士2級を取得しておくと、財務・会計、経営情報システム、運営管理の理解が早くなるようです。どれも比較的容易に取得できるため、試験まで1年くらいあるのであれば取得しておいて損はないと思います。また、ITストラテジストは同様のコンサル資格として出題範囲が大きくかぶっていますので、同時に受験するとシナジー効果が得られます。
なお、日商簿記2級、販売士1級、ITパスポート、応用情報技術者、ITストラテジストの合格体験記は以下のリンクからご確認いただけます。筆者は中小企業診断士を初受験した時には、上記の内日商簿記2級、ITパスポート、応用情報技術者を取得しておりました。他資格は後日取得したものです。
日商簿記2級 独学1発合格 〜勉強時間: 50時間〜
販売士検定試験1級 独学1発合格 〜勉強時間:50時間〜 (現:リテール・マーケティング検定試験)
ITパスポート試験 独学1発合格 〜勉強時間: 10時間〜
応用情報技術者試験(AP) 独学1発合格 〜勉強時間: 50時間〜
ITストラテジスト 独学1発合格 〜勉強時間:12時間 実務経験無し〜
●問題集・テキスト
【企業経営理論】
試験前年の12月から開始しました。
本試験の中核であり、2次試験にも一番影響する、ということで最初に取り組みました。
初めに取り組むことで、もう一度全科目を見直すまでの期間が開くため、より長期記憶に残るという目論見もありました。
例えば、1ヶ月後に見直すと1ヶ月後は覚えていても、3ヶ月後のように期間がさらに開くと忘れることがあります。1次試験まで8ヶ月、2次試験まで12ヶ月もあるので、2次試験まで記憶を残しておくためには、復習までの期間を長くする必要があります。
※詳しくは忘却曲線で検索してください
【経済学・経営政策】
1月から開始しました。
事前に学習に時間がかかるという情報を得ていたため、2科目めにもってきました。
早速問題集を解きはじめましたが、予想以上に1問1問に時間がかかりました。解説を読んでも分かり辛い問題も多く、何回読んでも分からないところは飛ばしました。
問題集を終えるまでに2ヶ月かかり、その後テキストを1回読みました。テキスト一読後に、問題集に戻り問題集の説明だけでは分からなかった問題を再度解きました。テキストと問題集を行き来することで、すべての問題を理解することができましたが、合計3ヶ月かかりました。予想以上にハードな科目でした。
【中小企業経営・中小企業政策】
4月から開始しました。
次にこの科目を3科目めに選んだ理由を以下に記載します。
?残りの科目の中では一番自信がなかったから
?思考を問う経済学の直後だったので、暗記科目をしたかったから
問題集から解いていきましたが、経済学と比べて暗記科目なため、特に止まることなくスムーズに進みました。ただし、私自身暗記科目が好きではないため、相当苦痛でした……
似たような名前の政策の細かな融資金額や期間など、切り分けて覚えなければならないことが盛りだくさんでした。運転資金と設備資金で貸与期間が違うことや、単純に貸与期間だけでなく据置期間まで分けられてたことがさらに暗記を大変にしていました。
【運営管理】
5月から開始しました。
残りの科目の中で、もっともテキスト・問題集が厚かったので、最後の方にもって行きたくなかったという理由から運営管理を4科目めに選びました。
問題集を解いていくと…… 面白い! 特に後半の店舗設計はハマりました。スーパーやコンビニ等に行く際にも建物の外観や内装に目が行くようになり、色々な発見をしながら知識を確かなものにしていくことができました。
8月が本試験にも関わらず、5月の時点で手をつけていない科目があと2つも残っており、また過去問にも一切触れていなかったため、3週間で終わらせました。
【経営法務】
試験までの期間が短くなってきたため、5月の第4週から財務・会計と同時に開始しました。
電車の中では経営法務をし、机の上等で財務・会計をするようにしました。
法律は初めて学ぶため、基本用語(善意や悪意など)すら分からない状態でしたが、インターネットを参考にしながら、地道に進めました。この科目も中小企業経営・中小企業政策のように、細かい任期を問う問題などがあったので、切り分けて覚えるのが大変でした。
かなり急いで勉強したため、財務・会計とともに3週間で終わりました。
【財務・会計】
経営法務と同時スタートしました。
簿記2級を取得していたため、多少なりとも自信があったので最後に回しました。しかし、実際に取り組んでみると、簿記とはかなり出題範囲が違うことに気が付きます。例えば、簿記2級においては「どの勘定が流動資産で固定資産か」ということに関してはそこまで触れられませんし、NPVなどの企業価値に関する問題は出題されません。なので、問題集に載っている問題数が少ないこともあって、急遽「中小企業診断士 集中特訓 財務・会計 計算問題集」を購入しました。ただし、精算表や損益分岐点などに関しては簿記より簡単なため、初学者と比べて勉強することが少なくなった点は有利でした。
なんとか3週間で終わって経営法務と同時に終わり、6月の第3週めから各科目の総復習に入ることができました。
●問題集・テキスト総復習
企業経営理論の問題集からもう一度すべての科目を解きなおします。各問題集→各テキストの一読→次の科目へ、というサイクルで進めました。
この時点で解ける問題は試験日まで覚えているだろうということで、解けなかった問題にのみ付箋をつけていきました。……すると、約半年間が空いたこともあって、ほとんどすべての問題に付箋がついてしまいました。しかし、過去に一度は理解している問題なので、解説を読めばすぐに理解できたため、再度問題集を解きはじめてからすべて解けるようになるまで1科目あたり3日くらいで完了しました。
過去問を終えた後に、再度この段階で分からなかった問題をやり直そうとしたため、付箋は外さずに解けた問題に関しては付箋にシャープペンでチェックを入れていきました。
こんな調子で全6科目終わるまで3週間かかりました。すでに7月に入っており、試験日まで約1ヶ月となっていました。ここまで過去問を一度も解いていなかったので、かなり焦りました。
●過去問題集
去年の試験問題は試験前の力試しとして試験1週間前に解くと決めていたため、一昨年以前4年分の過去問を古い順に解きはじめました。
過去問を解きはじめて思ったことが、スピード問題集よりかなり難しい。実際、試験1ヶ月前の時点でほとんど解けませんでした。過去問題集にはスピードテキストに載っていない問題も多く、本当にTACシリーズだけで大丈夫か? とも思いました。しかし、基礎知識はついていたためか、解説を読めばすんなりと理解できる問題が多く、1科目あたり4年分を3日程度で全問題終えられました。何年分か解くにつれ、出題のパターンを把握するようになったため、一昨年の過去問を解く頃には6割はいかずとも、ある程度解けるようにはなっていました。
全科目を1周終えるまでに3週間かかり、7月の第4週目に突入しました。過去問の全問題をもう一度解き直し、分からない問題だけに付箋をつけました。全科目に付箋をつけた後に付箋のついた問題だけをもう一度解き直し、すべての付箋に正解のチェックがつくまで繰り返しました。
この作業を終えるまでに1週間かかりました。
●テキスト、問題集、過去問題集の総復習
テスト1週間前の土日を使い、昨年の過去問を解きました。
結果はちょうど6割くらいでした。間違った問題だけに復習のための付箋をつけました。
試験週の月曜日から付箋がついている問題だけを問題集から順番に解いていき、解けたと同時にどんどん付箋を外していきました。すべての付箋が外れた後に、各科目のテキストで自信のないところだけに付箋を貼って重点的に読みました。
この作業が終わるまでに3日かかりました。
●中小企業白書の購入
テストまで残り3日となった時点で、中小企業経営・中小企業政策に関して足切りをくらうかもしれないという不安に駆られました。
もう一度この科目について調べると「TACのテキストだけでは難しい」という意見がちらほらありました。前年度の中小企業白書と今年の施策ガイドブックを入手すると良いという情報を、インターネットや知人からのアドバイスを受け、前年度の「中小企業白書」を購入しました。毎年、試験問題を作成する頃には最新版の中小企業白書が完成していないためか、最新版からは2、3問しか出題されていないようです。施策ガイドブックに関しては商工会議所などでもらえるようでしたが、政策に関しては今年からそこまで制度が変わるとも思えず、スピードテキストの内容だけで勝負しようと決めました。
中小企業白書がAmazonから翌日届き、その日からスピードテキストと見比べながら進めました。白書の中小企業政策の直前までを2日間で1周読み終えることができ、試験日までひたすら中小企業白書を読みまくりました。試験日までに3周ほど読めました。
■本試験
試験は土日に行われました。試験日程は以下のようになっています。
・1日目
1限目 経済学・経済政策 60分
2限目 財務・会計 60分
3限目 企業経営理論 90分
4限目 運営管理 90分
・2日目
1限目 経営法務 60分
2限目 経営情報システム 60分
3限目 中小企業経営・中小企業政策 90分
1日目のはじめが経済学・経済政策と財務・会計というのが一般受験生にはきついようです(経済学と財務会計を苦手としている受験生は多いようなので)。私は経済学と財務会計を得点源としようとしていたので、特に焦ることもなく落ち着いて試験に挑むことができました。
試験会場は市ヶ谷でした。
当日は、筆記用具、時計、受験票、と1日目の科目のテキストを持っていきました。テキストは各科目の前に付箋のついている箇所を見直すためです。いつも通り、電車の遅延などで当日に焦るのは嫌なので、試験開始1時間前までに会場に着くようにしました。
1限目の経済学が開始しました。
1問目から解いていこうとすると…………………………………………………………………………………………………… 全然分からない。次から次へとわけの分からない問題が襲い掛かってきました。去年こんなに難しかったっけ??
全問題を30分ほどで解き切り、絶望しました。
しかし、諦めるのもバカバカしいので再度1問目から見ていきました。思いっきり頭をフル回転させ、解き直した時には、はじめに書いた答えを半分くらい訂正しました。
そこで試験終了。「不合格か……」という絶望的な気分になり、科目合格だけでも取ろうと思い、休み時間に次の財務会計のテキストを見直しました。
次の財務会計は経済学とは正反対で、異常なほど簡単でした。過去5年で一番簡単だったのではないでしょうか。
全問題解いた後に時間があまり(財務会計で時間があまることはまずあり得ないようです)、計算問題を検算し、時間終了まで待ちました。
企業経営理論は、相変わらず手応えがないというか何というか。
自信を持って解けた問題はほとんどなく2択まで絞って、あとは雰囲気で答えた問題が多かったので、少々不安でした。
1日目最終日は運営管理です。
この科目も企業経営理論に似たような感じで、自信を持って解けた問題はほとんどありませんでした。時間が余ったので、最終科目ということもあって、10分残して途中退出しました(試験に最後まで残ると会場を出るのに時間がかかり、帰りの電車も混むので)。
1日目の午後にはTACから「経済学・経済政策」と「財務・会計」に関しては解答速報が出ていたので、おそるおそる採点しました。その結果、経済学52点(TACの経済学22問の解答が公式と違っていたため実際は48点)、財務会計7割弱でした。財務会計に関しては相当自信があったのですがケアレスミス(数量差異って書かれているのに価格差異と数量差異の合計を求めてしまったり……)などもあり、予想以上に点数が伸びませんでした。
2日目は経営法務からです。
この科目も例年と比べて簡単だったのではないでしょうか。「ゆるキャラの毛をむしって……」という面白い問題もあったことが記憶に残っています。暗記科目なので試験時間内に余裕で終わりましたが、他科目と同様に2択まで絞れた問題が多く、そんなに自信はありませんでした。
2限目は科目免除だったため、
最終科目の試験開始まで中小企業白書とテキストを見直しました。試験3日前から集中的に勉強したため、この科目にも自信をもてるようになりました。
中小企業経営・中小企業政策も暗記科目なので、他の科目同様にかなり時間が残ったため、丁寧に見直した後に途中退室しました
全然自信がないまま、数日後に全科目の解答が配点とともに中小企業診断士のサイトに掲載されました。
自己採点をしてみると、足切り科目はなしで、6割ちょうどでした。1問でもマークミスがあったら落ちるという状態でした。しかし、毎年中小企業診断士試験では没問があるということなので、気にはなりましたが、気持ちを切り替えることにしました。
翌月合格発表が行われ、1次試験合格者一覧の中に私の受験番号がありました。合格発表と同時に得点調整が行われようで、受験者全員に経済学に4点追加されたようです。難しすぎると思ったよ……
■総評
試験を振り返ると、ちょうど合格率が20%前後になるように上手く調節されてることを実感しました。試験問題を分析してみると、以下のようになりました。
・常識で解ける問題が1割
・テキストなどでしっかり勉強していれば分かる問題が1割
・2択まで絞り込める問題が8割(つまり、確率では4割とれる計算)
市販されている参考書などで勉強すれば1+1+4=6でギリギリ6割に届くように作られている感じです。おそらく合格までの平均勉強時間の1000時間かけてしっかりと勉強すれば安定して合格できると思います。
2次試験の合格体験記は以下のリンクから飛べます。
最後に。
経歴を掲載した方が良いとのご意見をいただいたので、私の経歴に関しては「スカイプ家庭教師」をご確認ください。以下、要望があったため合格証も掲載いたします。スマホでの撮影のため画像が荒いので、後日改めてスキャナー画像に変更します。
以下、本記事で紹介した書籍
・中小企業診断士 最速合格のためのスピードテキスト(1) 企業経営理論
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WHOが出した統計によると日本人の平均寿命は84.3歳です。
両親や祖父母の寿命を考える時、そして自身の寿命を考える時、平均寿命を基準にする人は多いかと思われます。特に近年は平均寿命と合わせて健康寿命を意識する人も増えているようです。
「隣のおじいちゃんは不摂生な生活をしているのに平均寿命を超えた」「うちのおばあちゃんは平均寿命を10歳もオーバーしてる」のように考えたことがある人は是非再考してもらいたい。果たして、その寿命は本当に『平均』を超えているのかどうか。
平均とは予測値ではなく実測値です。現在という"点"における観測から導かれた数値ということです。我々は現在を生きていますが、過去から未来へと流れる時の中で人生を送ります。果たして現在という定点で観測された値を基準にして良いのだろうか。
そういった疑問を抱きつつ、本記事ではこれからの人生設計をどうやって見直し、自分のもっている資産を改めて棚卸ししてみてる。そして、新たに再設計された人生の中で所有資産をどう磨いて、どう生かしていけば良いか、について議論をしていきたいと思います。
■人生設計の見直し
皆さんは縄文時代の人類の平均寿命をご存知でしょうか。近年のデータによると縄文時代は男女ともに平均寿命が31歳程度でした。これが室町時代には36歳まで少しずつ伸び、江戸時代には40歳を超え、昭和20年頃には52歳となりました。そこから高度経済成長期を迎えて昭和後期には一気に75歳を突破し、そこからなだらかに上がり続けて令和には80歳をオーバーしました。
国連や内閣府によると2060年には女性の平均寿命が90歳を超えると推定されているようです。2000年頃に生まれた世代は高い確率で100歳以上まで長生きするというのには驚きです。つまり、人間の寿命は今のところ右肩上がりになっていて、どこが上限なのか探っているような状況となっています。
さて、話を元に戻しますが、今現在の平均寿命を参考に、私たちの寿命を推定することに意味はあるのでしょうか。その答えは「ノー」と言わざるを得ないでしょう。なぜならば、今現在の平均寿命とは、これまでに亡くなった方の平均寿命ということであり、その元データには平均寿命が50歳程度だった昭和初期の方々も入っているからです。
平均寿命が上がるということは単なる出来事ではなく、すべての人々に影響を及ぼす事象です。どういうことかというと、日本を含む多くの国々で年金という制度が採用されています。日本においては65歳で仕事を引退し、その後は年金を受給することで健康で文化的な最低限度の生活が保障されています。この年金設計に平均寿命の伸びがほとんど考慮されていない点が大問題です。
年金制度はネズミ講のようなものでして、若い世代になればなるほど崩壊していきます。もしあなたが年金制度をあてにして、65歳定年を信じて人生設計をしているとなると、実際に定年を迎えた際に多くの誤算が生じてしまいます。その時に受給される年金額は今の半額かもしれませんし、受給年齢が大幅に上がって85歳で受給開始となる怖れだってあります。
仮に年金が85歳受給スタートになった場合にどうなるのか、といったシミュレーションを他人事ではなく自分事として捉えて実施してみると、置かれている状況がいかに危機的で、政府ともどもあまりにも危機感がないことが見えてきます。
先に説明した通り、我々はすでに65歳定年の世の中ではなく100年時代の人生に突入しています。当然に人生設計を柔軟に変えていかなければなりません。これまでのような、20歳までは勉学に励み、65歳までひたすら仕事をして働き、その後は年金を受給して余生を楽しむ、という古い型を捨てる必要があります。
85歳から年金受給がはじまる世の中になったとすると、今より20年長く働く、収入を維持する仕組みを作る、もしくは蓄えをもっておく、のような選択を取らざるをえません。ほとんどの人は20年長く働く選択をすることになるかと思います。しかし、近年の技術進歩を考えると、長く働き続けるためには知識と技術のアップデートは欠かせません。20歳以降もどこかで腰を据えてジックリと勉強するフェーズを取り入れたり、時代に乗り遅れないよう働きながらでも定期的に自己を磨き続けなければなりません。
今でこそ業務時間外に学習することが他人と差別化を図ることに繋がっていますが、これからの時代は皆そうせざるを得なくなるということです。そこで、増えた20年間を生き抜くためには具体的にどうするかという話を次に進めていきましょう。
■あらゆる種類の『資産』にバランスよく投資
資産と聞いてまず思いつくのは、現金や不動産のような有形資産でしょうか。このような有形資産を多く蓄えておくことは100年時代において今よりも重要になってきます。
しかし、資産は何も有形資産だけではありません。物理的な形をもたない無形資産も存在します。無形資産ではじめに思いつきそうなのは知識や技術といった仕事の生産性を高める生産性資産でしょうか。これらは自己研鑽を通じて磨くことができます。特に、仕事以外の時間を有効活用することも視野に入れて、かつグローバルを見据えた観点で実施することが肝要です。
他の無形資産で思いつくものがあるか、次に読み進める前に今ここで少し考えてみてください。
どうでしょうか。財務に強い人は貸借対照表(BS)を参考にしたかもしれません。が、残念ながら貸借対照表は有形資産が多くを占めており、無形資産に関しても先ほど紹介した技術を端とするような知的財産しか載りません。それは財務諸表が数値化できるものに限定されているという特徴でもあるからです。
閑話休題、他の無形資産としては、健康や家族、友人関係などが挙げられます。あまりに当たり前すぎて普段特に意識していない人もいるかもしれませんが、これらは間違いなく資産として計上すべきです。健康、家族、友人関係は人生の幸福度をあげる原動力ともなる活力資産です。
健康でなければ人生を楽しめませんし、そもそも有形資産を生み出すこともできません。家族や友達が支えてくれるからこそ、日々を生きるモチベーションに繋がります。健康も家族も友達も維持し続けるためには、放置せず継続的に投資しなければ目減りしてしまいます。つまり、これらは資産としての性質を十分に持ち合わせているといえるでしょう。
これらを維持するためにはバランスのとれた食事や適度な運動、家族や友人との付き合いを疎かにしない習慣をつけること。よくやってしまう過ちとして、仕事を最重視するあまりにこれらの資産を蔑ろにしてしまう。確かに生産性資産は重要ですが、それと同じくらい活力資産も重要だという認識をする。特に、友達とセミナーや勉強会を実施するといったシナジー効果も利用しつつ、効率良く研鑽するのもおススメです。
最後の無形資産としては、知己と多様性のある交友関係です。知己と多様性のある交友関係の目的は変化に応じた柔軟な切り替えをスムーズにするため、不確実な状況への適応力のための変身資産ともいうべきものです。
知己とは、自身のアイデンティティを保つこと。周りから揺さぶられようがシッカリとした軸をもって自立すること。そして変化を受け入れる柔軟な思考も重要です。一般的に歳をとるにつれて変化を嫌う傾向があります。そこで、自分が何者かを改めて考えたり、新しい物事に常に触れられる環境を作ったり、若い世代との話し合える場を設けたりすることが肝要になります。
また、気の合う仲間以外の多様性ある交友関係にも注力すべきです。人は普通に生活していると趣味が合う、考え方が似通ったグループに属してしまいます。小学校や中学校、高校での友人関係を思い出してください。クラスの中にはいくつかのグループができますが、それぞれのグループが干渉することはあまり無かったのではないでしょうか。よほど意識して別グループへのアクションを起こさない限り、各グループが独立するよう振る舞っていたかと思われます。
つまり、多様性のある交友関係を作るためには、それなりの行動を起こす必要があるということです。具体的には、別コミュニティの勉強会に参加したり、友達から友達の紹介を受けたり、そもそも所属組織を変えることも考えられます。
ひとつの資産だけでなく、以上のような有形/無形資産にバランスよく投資することが求められる時代になってくることは意識しておいた方が良いでしょう。
■Lynda Gratton(リンダ・グラットン)著の「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略」を読んで
本記事の内容についてより詳細にデータをみながら理解したい方には、リンダ・グラットンの通称「ライフシフト」をお勧めします。本書は、学生から社会人まで幅広く読んでいただきたい良書です。
新しく何かをはじめる際に、40歳/50歳の人で「もう少し若かったら勉強したのに」とおっしゃる方がいらっしゃいます。私もこれまでに何度か耳にしています。しかし、ライフシフトの考えに触れると、40歳や50歳というのはまだまだ若い。これからの100年時代においてまだまだ人生の半分でしかありませんから。
むしろ40歳なんかはこれから転換の時期を迎えるべきで、新たに人生を再設計し、スキルの棚卸しを実施し、資産に投資すべき世代です。
何かを学ぶのに遅すぎるということはない
スタンリー・ボールドウィンの有名な言葉の通り、人生のどのステージにおいても学ぶ姿勢を忘れずに、常に自分を磨きつつ投資していきたいものです。
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現状を抜け出して何とかしたい。
そう考えて資格受験を決心する人は少なからずいらっしゃるかと思われます。しかし、勉強が習慣になっている方や、よほど計画性があり且つ意志の強い方以外は、中々勉強を長く続けることが難しいかと思います。現実問題として人は変化を嫌います。頭では変化をしたいと考える人は多いのですが、実際に行動に移すとなると面倒くさくなって現状を維持してしまう。これはある種人間の習性でもあって抗いづらいものなのかもしれません。
そういった場合に「ご褒美を設定する」「目標を細分化する」「隙間時間を活用する」といったアドバイスがありがちです。しかし、これらは結局は自身の意志が前提となっていて継続実行できず、役に立たなかったと感じる人も多いのではないでしょうか。その結果、三日坊主で終わってしまい何も変われない。
そこで本記事では本人の意志というよりは、人の本能に訴えかけたり、環境から勉強せざるを得ない状況を作ったりする、という観点で勉強を続ける方法について議論していきたいと思います。ポイントは、返報性、コミットメントと一貫性、社会的証明、権威、好意、希少性です。
●返報性
まずは返報性です。
返報性とは、人が何かしらの恩を受けた際には恩を受けたままにしておけず、恩を返さなければ申し訳なく感じる、といった人間の本能のことです。
例えば、隣人からお土産を頂いたり、手伝ったりして貰った場合に、次はその人のために何かしてあげたいと思うような時に返報性の原理が働いたといえます。企業が展示場で配るアメニティや、デパ地下こと百貨店内のスーパー等での試食サービスも返報性を利用したマーケティングです。何かを貰ったら施し返すーーこの場合は、商品を購入することが返報ーーという心理を利用しているわけです。
これをどう勉強に生かすかといえば、何かしらの好意と自分を強引に結び付けてしまいます。
友達や家族に何か買って貰ったり、世話を焼いて貰った場合は、その恩に報いるよう合格で返す、といったような感じです。特に家族の場合は、親を対象にするのが良いでしょう。子供自慢をしたがる親であれば猶更です。
●コミットメントと一貫性
次はコミットメントと一貫性についてです。
コミットメントとは、約束をする、責任をもつ、といった意味です。つまり「自分で〇〇を達成します」宣言してしまえば良い。特に、自主的で、行動を伴い、努力を要し、公知することがコミットメントをする上で重要だと考えられています。
そして一貫性は、話の筋が通っていて論理的であることです。言ってることに一貫性がない人は信用されない傾向にあるのはみなさんも実感していると思います。面接では、この一貫性を確認していることが多く、つまりは一貫性がある人は評価が高いということです。さらに先に進んで、話していることと行動していることが一貫していると更に評価が高くなります。
例えば、自ら学習計画を作ってSNS等で宣言し、その通りに実行し、日々の成果をSNSで書き込む。ここには自主的、行動、努力、公知というコミットメントのすべての要素が詰まっていることに注目です。こういったことを実践することでコミットメントを有利に働かせることができそうです。また、宣言した通りに実践しなければならないという点において一貫性の原理も利用できます。
●社会的証明
次は社会的証明についてです。
社会的証明とは、自分の判断よりも多数である他人の判断を信じ、それに従った行動をしてしまう心理です。
いわゆる"さくら"やお笑い番組で流れる録音された笑い声も社会的証明を利用したものです。しかも興味深いことに、ほとんどの人がさくらや録音された笑い声に良い印象を持っていないにも関わらず、その効力に屈服してしまっているという。それほどまでに強い力とも言えるわけです。
この力を使うには、勉強する環境に身を置いてしまうことがまず考えられます。資格学校を使うメリットはこういった所にあるんですが、少しでもお金を節約したい場合は図書館に通うのも良いでしょう。私の場合は、近所に図書館と公共の自習スペースがありましたので、そういった施設を利用しています。
お金も極力使いたくないし、自習は難しいと考える人は、SNSで勉強仲間を募るのも良いアイデアです。同じ志を持つ仲間同士で定期的に集まって学習することで、社会的証明を利用しながら勉強を習慣化することが期待できます。
●権威
さて権威についてです。
権威とはいわゆる肩書きのことで、大学教授や医師や弁護士のような専門家、加えてハーバード大学卒や東京大学卒といった世の中で優秀と思われている肩書きを使った心理トリックです。
テレビでは頻繁に専門家が登場します。そして内容の裏付けを専門家自身に話してもらうことで説得力をもたそうとしています。本来は専門家自身に話してもらう必要はなく、立証されているデータや論文をソースとともに明示しさえすれば、誰が話しても違いはないはずです。もちろん、そのデータを作った本人や論文の著者であれば、信用度をあげることに貢献できるでしょうが、多くの場合は本人ではなく似たような研究をしている専門家です。
本屋に足を運んでも「ハーバード大学の教室で〜」「スタンフォード発の〜」「東大生が書いた〜」のようなタイトルを多くみかけます。これも権威の力を利用したマーケティングです。本来は内容が良ければ評価されるはずなんですが、それでは星の数ほどある書籍の中に埋もれてしまう。そこで大学名をタイトルに使うことで手に取ってもらう確率を上げようという目論見です。
ここで重要になるのが「誰が言ったかではなく、何を言ったかが重要」という思考です。肩書に惑わされずに内容だけを判断して評価する癖をつけることで権威の力に騙されなくなるでしょう。
さて、権威を勉強に応用しようとなると中々難しい。逆に変な書籍を掴まされてしまう恐れもあります。つまり、ここに関しては利用するというよりも自己防衛で活用すべきです。書店に行ってもタイトルに惑わされずに内容で評価すること。塾や家庭教師を頼むにしても肩書きよりも、その人のブログや実績で判断する。可能であれば一度話して色々と聞いてみるのが良いでしょう。
大学受験では東大理?の家庭教師の単価が他と比べて異常に高いのですが、これも権威の力によるものです。東大理?だからといって必ずしも教え方が上手いわけではありません。そもそも講師は生徒の質問に当意即妙で答える必要はありません。生徒の質問を受けてからジックリと解法を考え、次にどうやって説明したら分かりやすいかを資料にまとめ、生徒のレベルに合わせて丁寧に解説できるスキルがより求められます。生徒に質問にすぐに答えられる"権威の強い"先生よりも、生徒のレベルに合わせて適切な説明をできる先生の方が講師としては優秀です。
●好意
次は好意です。
好意とは、好意を向けられた相手に対して好意を返したくなるという心理です。返報性にも似たような話ですし、好意にこれ以上踏み込んでも勉強に役立つことは難しそうなので、今回は割愛します。
●希少性
最後に希少性です。
希少性とは、希少なものに価値を感じる心理です。
数量限定セールなどを思い浮かべれば分かりやすいでしょうか。たとえその商品やサービスを欲しくなかったとしても、それを手に入れることが困難になってくるにつれて欲しくなってくる心理です。
難関資格は合格率が低いので希少性は高いですし、あまり知られていない資格や受験までのハードルが高いような資格も希少性は高くなります。特に、希望する資格がなくて、自己研鑽をしたい場合等は、希少性の高い資格を視野に入れてみるのも良いかもしれません。
■『影響力の武器』を読んでみて
以上、心理学を逆手に取った勉強法について議論してきました。
本記事は多くの部分を『影響力の武器』という書籍を参考に書いています。こちらは米国を代表する社会心理学者のロバート・B・チャルディーニが、多くの文献と自身の経験から、人々が日々晒されている影響力の力をまとめた書籍となっています。1984年に初版が刊行されて以来、世界的なベストセラーとなりました。そして2014年に第三版として改定されてからもロングセラーとなり続けている名著です。
本の中では、日々我々が晒されている影響力の力が紹介され、それをどう回避すれば良いかについて丁寧に説明されています。防衛策はそれぞれの影響において異なりますが、基本的な考え方としては、パターンを理解しておいて、アンテナを張っておき、そのアンテナに引っかかったら思考を開始する。といったことを意識しておく必要があるといったような。
現在は昔と比べてどんどんスピードが求められる時代になっています。それにつれて迅速な判断が求められることも多くなります。人間の脳には処理できる限界量があって、情報過多の現代においては全ての物事について一つ一つ丁寧に判断していくことはできません。そこで、多くの人は思考の近道を使って、右から来たものをそのまま左へ流すように処理する思考のパターンを作っています。
情報フレアともいうべき、毎日我々に降り注ぐ情報の粒に対してひとつひとつ対応するのは不可能です。しかし、危険な粒だけをマーキングし、それだけを回避するようにすれば、かなりの労力を割くことができるでしょう。その思考パターンを悪用することが横行しているのが現状です。逆にその思考パターンを逆手にとって、自分に有利に働かすことができれば、強い原動力にもなり得ます。ぜひ影響力の武器を有利に働かせて、勉強の習慣を勝ち取っていきたいものです。
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知り合いが一発で合格したのに自分は何回やっても不合格。そういった時に、嫉妬心や自虐心から怒り苦しみ、それだけではなく合格した人の邪魔をしたり、社会から離れて鬱病になって引きこもってしまったりする人がいます。一方で知り合いの合格を素直に喜び、それを目標に頑張れる人もいます。
現代においては前者のような人が少なからずいます。引きこもりになるのは自身の問題だけですむかもしれませんが、邪魔をするような人は自身だけの問題にとどまりません。よく言われる足の引っ張り合いというのはまさにそれでしょう。自分ばかりが休みを取れないのにあの人は休んでいて納得がいかないとか、あの人ばかり人気があってズルいとか、金持ちからもっと多くの税金を取るべきだとか、列挙したらキリがありませんが全て典型的な足を引っ張る思考です。
他人は他人、自分は自分。他人が得しようが損しようが自分には関係ない。そう考えられる人が多ければ足の引っ張り合いなど起こるはずもなく、無駄なストレスを感じることも少なくなり、現代のようにここまでストレスに苦しんで自殺者が増えるような状況にはなり得ないでしょう。出る杭は打たれない世の中になってもっと経済発展していた可能性もあります。
人は社会的な生き物であるがゆえか、どうしてか他人に興味を持ってしまう。幸か不幸か、良い方にも悪い方にも影響されてしまいます。興味を持つことが悪いのではなく興味の持ち方が悪い。そしてそれが人生の幸福度に大きく影響してしまいます。では、どのように考えていけば人生の幸福度を高められるのか、が本記事の議題です。
■原因論から目的論からへ
何か問題が生じたときに原因を追及する人が多いと思います。確かに仕事などのプロジェクトにおいて同じ問題を発生させないために原因を特定し、今後再発しないような体制を作ることは必要です。しかし、こと自分自身に起こっている問題についてこの思考は得策ではありません。なぜならば、原因思考では現状を打開する可能性を失くしてしまうからです。これを原因論とでも呼びましょうか。そこで新たに出てくるのが目的に焦点を置いた目的論です。
原因論と目的論の違いを理解するために、引きこもりの人がなぜ外に出られないのかを例に考えてみましょう。
原因論では、過去の虐待やいじめといったトラウマによる不安があるという原因がゆえに、家から出られないという結果をもたらしたと考えます。一方で、目的論であれば、外に出たくないという目的がはじめにあり、それを満たすために過去のトラウマを引き出して不安という感情を作り出していると考えます。
この場合、原因論では引きこもりは治すことができない不治の病となってしまいます。引きこもりの原因である過去は変えることが不可能なので、その過去がある限り一生引きこもりから脱することはできないという帰結です。しかし、目的論で考えるのであれば問題を解決することが可能です。目的論ではあくまでも外に出たくないという目的があって、それを実現するための手段としてトラウマを持ち出しているにすぎないと考えます。つまり、外に出たくないという目的さえ変えてしまえば引きこもりは治るということ。
ここで、なぜわざわざ引きこもりになりたいのかと疑問を持つ人がいるかもしれません。引きこもっていた方が楽だし、現状を変えるほどの気力がない、とか色々と考えられそうです。が、本当の原因なんて本人にしか分からないので、そんなことを考察しても仕方がありません。引きこもりになるという目的があって、その手段としてトラウマを持ち出した。だから目的を変えればいい。それで十分でしょう。
■承認欲求がある限り他人の人生を生きることになる
承認欲求とは、他人から認められたいという欲求のことです。マズローの欲求五段階説をご存知であれば、第四段階目に位置するアレです。
承認欲求は、例えば、親から褒められたいから有名大学に合格する、上司から認められたいから成果を出す、といったもので一見するとプラスに働くようにも見えます。実際にマズローの欲求五段階説でも承認欲求は満たすべきものとして位置づけられています。よく考えてほしいのは、承認欲求の行き着くところは他者の期待を満たすことです。他者の期待を満たした後で、果たして自分の元来やりたいことを満たすように柔軟に切り替えできるでしょうか。いえ、おそらく承認欲求を満たした後は、今度は他者の期待を裏切らないように期待に応え続けることに躍起になってしまうでしょう。つまり、承認されることで更なる承認を求めていってしまう。その結果、自分自身が消えてしまい、他者の期待通りの人生を生きてしまうことになりかねない。現在においてマズローの説はすでに古く過去の遺物でしかない。
あなたはあなたの人生を歩んでいるのであって、他者の人生を歩んでいるわけではない。承認を得られた結果、その他者に好かれることで自身も満足を感じられるというのであれば構いません。ですがそうでない人は歳をとってから人生を振り返ったときに、他者の期待通りに生きていたと気づいた時にどう感じるでしょうか。それで良い人生だったと満足できれば良いのですが、自分が本当にやりたかったことをできなかったことに気がついた時に、すでに手遅れだと感じた時の喪失感は想像に難しくありません。
また、承認欲求の弊害として劣等感によるコンプレックスがあります。他者の期待に応えられず、身近な誰かがその期待に応えたことによって、あたかも自分が劣っているかのように感じて塞ぎ込んでしまうような状況です。ドラマとかで見るような優秀な兄と比較されて自己嫌悪になる弟のようなシチュエーションです。そもそも自分は自分、他人は他人なので、劣等感はあったとしてもそれをコンプレックスとして受け止める必要はないはずです。これも元をたどれば他者を意識しすぎたがゆえに生じた弊害ともいえるでしょう。
自分自身の為に生きようとするならば承認欲求を捨て去ること。非常に重要なポイントです。
■自分がコントロールできる範囲とできない範囲を切り分ける
世の中には、自分でコントロールできるものとできないものがあります。例えば、自分が何に興味を持つか、相手をどう思うか、といった自分の考え方。また、本棚の本を処分したり、家をどう改造したり、といった自分の所有している物であれば思うようにコントロールすることができます。
一方で、相手の考え方や自分が所有していない物についてはコントロールの範囲外となります。そして、どうやら多くの人は、この自分では変えられないものをどうにかしてコントロールしようとしてしまう。相手の考え方を変えようとすることで悲劇が起こります。自分の希望や期待、要求、主張を相手に訴えかけ、頷かせようとするケースです。もし頷かないとしたら意地でも納得させようと躍起になり、時には周囲の第三者を利用し、あの手この手で相手を屈服させようとする。これは相手からしたら余計なおせっかいであり、自分の領域を他者に侵害されたと感じてもおかしくありません。
相手の考え方を変えることはできませんが、相手を屈服させようとする自分の考え方は変えることができます。自分が変えられるところは変えて、変えられないところは相手の決断に委ねる。このような、どこまで介入してどこから介入しないかを「課題の分離」と言います。そういった思考をした方が相手も自分もお互いにハッピーになれるでしょう。
しかし、よくある問題は、自分がコントロールできないにも関わらず、コントロールできるものだと誤解しているケースです。
以前、親の期待した通りに子供が育たないことがTwitterで話題になっていました。その時、ホリエモンこと堀江貴文さんは親が子供にできることは金銭的援助のみと話されておりました。まさにその通りで、親と子供はそれぞれ違った人間であり期待を押し付けてはいけない。親ができることと子供が自分自身で責任をもってやることをシッカリと切り分けるべきでしょう。親は子供の所有物でもなければ、全く別の個人のためコントロールできるはずもありません。最終的にどう子供が育つかは子供の責任で決めるべきことなので、親がそこに介入すべきではないと考えるべきだということ。
自分がコントロールできないことに意識しても徒労に終わることが多いし、無駄なストレスが溜まり、主張の衝突を引き起こします。他人を変えようとしている人は、他人をコントロールしようとしているーー悪い言い方をすれば自己中心的だとも言えます。
■「嫌われる勇気」からアドラー心理学を学ぶ
冒頭の受験で合格した人に対してどう考えるか。ここまで議論してくれば自ずとどう反応すれば良いか分かるかと思います。まずあなたの中で他者の足を引っ張りたいという目的があって、その手段として嫉妬心や自虐心を生み出している。また、他人は他人、自分は自分なので劣等感によるコンプレックスを感じる必要もありません。受験は他人の期待に応えてするものではなく、自分自身のためにするものだからです。そして合格不合格は他者の課題であるため、そこに対して第三者であるあなたは関係ありません。あなたができることは、自分自身のタスクである勉強に注力し、合格できるよう努力すれば良いだけです。
これまで目的論から承認欲求の否定、課題の分離まで議論してきたような内容は、アドラーが提唱したアドラー心理学に基づいています。心理学というと胡散臭く感じる人もいるかもしれませんが、アドラー心理学は哲学の側面が大きい。
アドラーは法的に正しいとか道徳的にかく有れとか、そういう話をしているわけではなく、どう考え、どう行動すれば自分が幸せになれるかを議論しているに過ぎません。であれば、他人の主義/思想に真っ向から反対し、議論をした末に論破するような行動をとることには何の意味もない。誰かの意見に対して自分なりの考えはもっていい。ただし、その誰かの考えを変えようと努力するのは自分の幸福度を下げるだけなのですべきではないということです。
さて、これまでのことを踏まえて今後どう反応していけばよいのか。それは、知恵を磨いて、何が変えられなくて、何が変えられるかを理解する。変えられないことに対しては割り切り、変えられることを変える行動をする。つまり必要スキルは「知恵」「決断力」「行動力」の3つ。
以前「原因と結果の法則」という書籍を紹介したことがあります。一見すると原因よりも目的を重視しろと言っている本記事と相反する内容のような気もします。しかし、思い出してもらいたいのですが、原因と結果の法則というのは思考が人格を作り出し、人格を映し出す鏡が環境として現れる。すなわち「思考→人格→環境」ということでした。結局、自分自身が変わるしかないという本質は変わらず、深いところでは本記事と繋がっています。
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感情的になることで「得したか?」と問われて「得した」と自信をもって答える人はそんなに多くないのではないかと思います。かくいう私も感情的になった後は後悔ばかりで、あんまり得したという記憶はありません。感情がなかったら生きる意欲がなくなり自殺してしまうと主張する人もいるほど人は感情の生き物と言われます。「理動」はなく「感動」という言葉はあることから人間は理屈では動かないが感情では動く生き物であると説く人もいます。人はそれほどまで感情に左右されるのに、それがマイナスにしか働かないということに違和感を覚えます。もしも感情的になることで損にしかならないのであれば、どうして感情などというモノが存在するのか。
自分が子供の頃を振り返ってみるとあの頃はなんでも感情を外に出していたように思い出します。特になにかを我慢するわけでもなく本能で生きていたような感じでしょうか。そして学校に通うことで集団行動を学び、周りに迷惑をかけないようになっていく。自分勝手な行動をすれば先生に怒られたという人も多いでしょう。そういった環境の中で感情を抑えつける術を身につけていき徐々に童心を失う。高校を卒業する頃にはそれなりに感情を抑えた「大人」になって巣立っていく。思えば学校教育で学んできたのはすべて感情を抑える方法でした。それが学校教育の目的とする「大人」であると考えるとなんだか寂しくなりますが、感情は正義だと学んだ記憶は全くありません。
世の中の多くの人たちは理不尽があったら耐えるし、面白いことがあっても我慢するように感情を抑えて生きています。果たしてそれは幸せなことなのでしょうか。本来やりたいことを好きなだけやって嫌なことはやらない。そういった本能に従った方が楽しそうです。とはいえ子供のように感情を思いっきり出して頭にきている時は怒鳴り、痛い時は声に出して泣く、というわけにもいきません。その結果、自分の周りから人がどんどん離れていってしまうことになるのは容易に想像できます。そうではなく、自身の心の内から、そして自分を取り巻く外から与えられる感情の揺さぶりに対して、自分にプラスになるものについては感情を使い、マイナスになるものについては冷静に対応する。これは先天的な性格もあるかもしれませんが、後天的なスキル次第で何とでもなる、ということを認識できたのは一冊の書籍のおかげです。
その書籍については最後の方に紹介するとして。どうやら感情を上手にコントロールしてプラスに働かせていることに成功している人もいるのだとか。もしそんなことが可能であれば大きく人生が変わりそうな気がします。
以前「 『自省録』に学ぶ 〜感情をコントロールして人生を謳歌する〜 」の記事にてローマ帝国五賢帝の最後の皇帝であるマルクス・アウレリウス・アントニヌスが著した自省録を紹介しました。この自省録は感情的にならないためのメモとしてまとめられたものです。今回は感情的にならないようにするためではなく、そこからさらに進んで感情をコントロールすることについて議論していきたいと思います。
■大人と子供の違いとは
冒頭に子供の頃の話をあげたので、本題に入る前に少し大人と子供の違いについて考えてみます。肉体的には歳をとれば大人になったと言えるでしょうが精神的な観点でみるとそれらの境界線を引くのは中々考える必要がありそうです。思考力があるとか、知識があるとか、そういったことで測れるものでも無さそうです。
ひとつは自立しているということが挙げられるでしょうか。自分で生活するだけのお金を自分の力で稼いでいる。となると、テレビに出ている子役や、今の時代だと小学生YouTuberは大人となるのでしょう。逆に自分自身で稼げずに親からの仕送りに頼っている人は子供となるのかもしれません。とはいえこれについては本記事の論点とはズレてしまうので別の切口で見てみましょう。
子供はお腹が空けば泣くし、体のどこかに痛みや痒みを感じても泣きます。少しでも自分が不快に感じると感情を思いっきり出して泣くという手段に出るわけです。喜怒哀楽をすべて感情で表現し、喜べば高揚して手を叩くし、怒りが湧けば叫び暴力に訴え、哀しければ泣いて、楽しければ笑う。大人であれば泣いて感情に訴えることはありません。感情を外に見せずに自分でお腹を満たしたり、体の不調を治すように労わったりと、自身で解決手段をとるのが普通です。もし肉体的に大人に見える人が、お腹が空いたから泣くような状況をみれば殆どの人は子供だと感じるのではないでしょうか。
そのような感情を表に出さずにコントロールできるのが大人なのではないでしょうか。
■感情をコントロールすることの利点
感情のコントロールには多くの利点があります。例えば、困ったときに助けてもらえる仲間を作れることが挙げられます。例えば、気分屋と呼ばれる人と付き合いづらいと感じる人は多いと思います。初めのうちは付き合っていても周りの人からは少しずつ距離を置かれ、いづれ相手にしてくれる人は非常に少なくなることでしょう。気分屋の人はそれなりに自分一人で何でもできる人が多い傾向にあるようにも思えますが、ひとりだけでは解決が難しい問題に直面した際に、頼れる人が少ないのは大きなデメリットになり得ます。
次に、感情をコントロールできる人は騙されにくいという特徴もあります。世の中には人間の心理を揺さぶるようなトラップが複数ちりばめられています。オレオレ詐欺に代表される悪質な手法だけでなく、街角で目にする広告やテレビで流れてくるCM、さらには政府が打ち出す政策もすべて私たちの感情に訴えかけてきて正常な判断をできないよう罠を仕掛けてきます。
この罠を回避するには感情的にならずに論理的に判断できるようになる必要があります。感情的にならないかどうかは文系とか理系とか関係なくそもそも人間は感情的な生き物だということを理解した上で、どういった状況で、どういったアプローチをされるか、を事前に知っておくことで対応できます。論理的というのは理系出身だから得意とかではありません。むしろ自分を論理的だと思っている理系人間こそ感情的な人間が多いように思えます。
ここでいう論理的というのは、こういうケースではこういったアプローチをされるのでこういった対処法をする、というようなパターンを頭に中に入れて準備をしておくということです。なので、自分が理系出身者ほど論理派と思いこんで準備をせず、どんどん罠に嵌っていく傾向にあるので、より注意が必要になると考えております。
感情的にならないというだけで騙されないようにはなるのですがこれは盾と矛でいう自分を守るための盾です。感情をコントロールすることは行動力を高められるという矛の観点で非常に重要になります。多くの人は現状維持を臨みがちです。現状打破することがプラスになることを頭では分かっていても実行に移すモチベーションが湧かないという経験をした人も多いことでしょう。そこで、マンネリを突破する初動として感情を爆発させて一時的にヤル気になるといった手法が有効になります。
感情が湧き出たタイミングで行動するというのが多くの人が選ぶ道になるのでしょうが、感情をコントロールできると自分が好きなタイミングで行動できる点で大きなアドバンテージとなり得ます。企業が事業をはじめる際にSWOT分析と呼ばれるフレームワークを利用することが多いのですが、これは自分の強みを機会に投入することで新規事業をはじめるベンチャー企業にとって有効な戦略です。機会はいつもあるわけではないので、自分の好きなタイミングで、というのが非常に重要だということが分かるかと思います。
■行動経済学について学ぶ
大人になるとは感情をコントロールできるようになるということ。そして感情をコントロールすることで有利に生きていけるということを議論してきました。
「理」が勝ちすぎると軋み、「情」が勝ちすぎると緩む、という。頭では理解していても行動が伴わなければ何もはじめられない。一方で、ヤル気になっていても論理が伴わなくては続かない。つまり、理論と感情はお互いに補完関係になければならず、どちらか一方だけでは弱いということです。人間は「感情」で動き「論理」でその動きを正当化する生き物なので双方のバランス感覚を養うと強い。
先述した通り、世の中には感情を揺さぶってくるような外的要因が非常に多く、意識していないと気がつかずに感情に流されてしまっているというケースが多い。気分屋でなくても報道や広告、政策などの外からの働きかけによって引き起こされるのが恐ろしい。
これらに対応するのは事前にどのように揺さぶりをかけてくるか、その際にどのように対応したら良いか、を準備しておくことが重要になってきます。良くあるケースを事例として紹介し、その際の心がけを表してくれるのがマッテオ・モッテルリーニ著の「世界は感情で動く 行動経済学からみる脳のトラップ(Trappole Mentali)」です。
行動経済学という言葉を聞くことが多いと思いますが、その中でも本書を1冊読んでおけば問題ないと言えるほど本書はおススメです。350ページほどのボリュームにたくさんの事例とエビデンスや実験データが紹介されており、ただ箇条書きで説明されるよりも納得しながら読むことができると思います。ピーク・エンドの法則、フレーミング効果、アンカリング効果、バーナム効果、ハロー効果、など。知っていれば自分に得なように働かせ、他人から仕掛けられた場合は回避できるようにシッカリと知識をつけておきたいと思います。
書籍は知識をつけるには良い手段ですが、実行に移さなければ使いこなすことはできません。知識をインプットとして行動としてアウトプットする。このサイクルを回すことが重要なのです。
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1.100万円を投資すると確実に25万円値上がる
2.100万円を投資すると50%の確率で100万円の値上がり益か、50%の確率で50万円を失う
そんなウマい話があるかどうかはさておき、実際にこのような投資案件があったとした場合にあなたはどちらを選ぶでしょうか?
本質問に回答する前に次の状況をイメージしてください。
あなたは銀行に100万円の預金があります。老後資金2,000万円が必要な時代と言われていますが、これから働いて稼ぐにしてもそんなに貯められる気がしません。歳をとるにつれて出費も年々増えていくことも見込まれています。昔は銀行の定期預金の利息が良かったようですが、今の低金利の世の中では100万円につく利息はたかが知れています。
そんなある日「ピンポーン」。あなたの家のインターホンが鳴りました。革製の黒のカバンを手にして紺色のスーツを着こなした出で立ちの男性がカメラ越しに見えました。年齢は30歳ほどでしょうか。少しパーマのかかった黒色の短髪の下にうかがえる額に少し汗が浮かんでいました。普段から利用している大手銀行の担当者です。簡単な挨拶をしてたわいもない話をした後に彼は本題に入り「只今2つの投資案件があります」と。さらに続けて「1つめは100万円を投資すると確実に25万円値上がります。なので確実に25万円が増えることになります」
ここで「は?」と、胡散臭いと感じたあなたの感覚は正常です! しかし、そこを考えてしまうと本記事で話そうとしている議論を逸脱してしまうため、登場する銀行の担当者は詐欺ではないという前提でお願いしますね。それでは物語に戻ります。
確実にお金が増える案件に前向きのあなたに対して、彼は「もうひとつの方ですが」とミネラルウオーターを口に運んでから「100万円を投資すると50%の確率で100万円儲かるか、50%の確率で50万円を失うというものです。先ほどの案件と違って貯金を減らすリスクを伴います」と。
さて、直感で答えてください。あなたはどちらの案件を選んだでしょうか?
1の確実に25万円もらえる方? それとも、50万円を失うリスクをとってでも100万円がもらえる方?
ちなみに1を選ぶ人が多い傾向にあるようです。これについて詳細を論じる前に次の2択を考えてみてください。
1.100万円を投資すると確実に20万円値上がる
2.100万円を投資すると50%の確率で100万円の値上がり益か、50%の確率で50万円を失う
さて、今度はどちらを選びましたか?
期待値計算をしてみると分かりますが今回提示した2択において期待される利益は、1の選択肢が20万円であるのに対して2の選択肢は25万円です。つまり、2の選択肢を選ぶほうが賢いということになります。にも関わらず、全員が2を選択せずに1を選んでしまう人もいたということです。はじめの選択肢と加えてこのことについての議論が今回のテーマとなります。
■リスクプレミアムという考え方
まず本議論を進めていく前にリスクプレミアムという考え方を理解する必要があります。経済学を学習してきた人にとってはお馴染みの用語でしょうが、そうでない方のために簡単に説明させてください。
リスクプレミアムとは『あるリスク資産の期待収益率から無リスク資産の期待収益率を引いた差』のことです。これは、『リスクをとることによって上乗せされた利益』と言い換えることができます。
ここで冒頭で紹介した2つの選択肢をみていきましょう。
1.100万円を投資すると確実に25万円値上がる
2.100万円を投資すると50%の確率で100万円の値上がり益か、50%の確率で50万円を失う
期待値としてはどちらも25万円です。試しに2について計算してみると"50%×100万円ー50%×50万円=25万円"となりますね。しかし、実際にアンケートをとってみると1の選択肢「100万円を投資すると確実に25万円値上がる」が選ばれる割合が多いことが分かっています。どちらも期待値は変わらないにも関わらずです。これは数字だけで考えると不思議な現象です。
次に選択肢1を次のように投資しない選択肢へ変えてみましょう。
1.100万円を投資せずに貯金する
2.100万円を投資すると50%の確率で100万円の値上がり益か、50%の確率で50万円を失う
このケースにおいて2の「100万円を投資すると50%の確率で100万円の値上がり益か、50%の確率で50万円を失う」の選択をすると明確に回答した人の割合が30%程度であるという調査もあります。すでに皆さんはご認識の通り、2の選択肢の期待値は25万円のプラスなので投資をした方が得に決まっています。
これは損失回避行動と言われいて、人は得することよりも損をすることを嫌がるという性質によるものだそうです。つまり、人は概して数字通りに実行できず、リスクを回避して安定した利益を選ぶ傾向にあるということです。ここで数字通りに思い切りができるーーすなわちリスクを取れるという姿勢はそれだけで得することができるということです。
世の中は、このようにリスクを回避することで損をすることが多いです。理由は先ほど述べたように、安定した利益に対してはリスク分が上乗せされない一方で、リスク資産についてはリスク分が上乗せされるからです。例えば多くの保険商品はリスク回避思考を逆手に取った商売ですし、利回りの良い投資信託や債券があるにも関わらず貯金を選ぶ人が多いですよね。
そのような理由からリスクを避けている人は、避けていない人に比べて気がつかない間に損をしていることになります。これこそがリスクプレミアムによるものです。
さて、冒頭の選択肢も戻りますが、この2つのケースでは1の「100万円を投資すると確実に20万円値上がる」には5万円のリスクプレミアムが上乗せされていることになります。なぜならば2の「100万円を投資すると50%の確率で100万円の値上がり益か、50%の確率で50万円を失う」の期待利益が25万円だからです。
■人と同じことをしていては大きなリターンを得られない根拠
ソフトバンクの孫正義社長は何か事業をする際に勝率が6割であれば実行すると話されておりました。これは非常に合理的な思考です。半分より高い確率で勝てるのですから。
しかし、実際にこのように決断して実行できる人はどのくらいいるでしょうか。先ほど説明したように人はリスクを回避する傾向にあるので、多くの人は6割程度の勝率ではリスクプレミアム分を上回るほどの大きなリターンが見込めないと実行できません。そもそも勝率が高い勝負であれば誰でも戦ってしまうため、そこに優位性がなくなってしまいます。その結果、リターンが少なくなるのは当然の帰結です。
これが人と同じことをしていては成功できないという根拠です。人は基本的にリスク回避的です。人と同じことをするということはリターンの少ない安定を求めているということです。もちろんそれはそれで幸せな人もいるかと思いますが、リターンを大きくするという意味では誤った行動と言わざるを得ません。
そもそも世の中は、何かを選択すれば何かを失うようになっています。これまで金銭について考えてきましたがそれだけに限りません。このことは、知識や人脈、社会的地位や名声など多岐に渡って応用できます。ほとんどの人はリスク回避的な行動をとることで今ある現状を維持しながら何かを得ようと動きます。その行動の結果は一見すると何も損をしていないように見えますが、リスクを取っていれば得られた利益を失っていることになりますーーこれを機会損失といいます。この機会損失を念頭に入れて、リスクを許容できるようになるとリスク回避思考から抜け出せるようになれるかもしれません。
■最後に
以上から、リスクを許容することでリスクプレミアムの分だけ得ができ、また、大多数のリスク回避思考から抜け出した行動をとることで大きなリターンが得られるようになることが期待できます。
本記事内でも述べたように、リスクを取るということは金銭的な話だけではありません。もちろんリスクをとらずに安定的な人生を歩むことも一つの選択だと思います。しかし往々にしてリスクをとることが自分の思った人生への近道になることは覚えておきたいですね。
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人々の多くは、環境を改善することにはとても意欲的ですが、自分自身を改善することにはひどく消極的です。
何かにつまづいたときや、思い通りにいかないとき、不安に感じているときーー人はどうしても環境のせいにしがちです。そして、その環境を変えようと努力はするが自分を変えようとは思わない。
大前研一氏は人が変わる方法について次のように話しました。
2番目と3番目は環境を変える話です。しかしよく考えていただきたい。これは根本原因が何かをつきつめずに手段を提示しているだけに過ぎません。確かに実践できれば一時的には変わることはできるでしょう。が、住む場所を変えても飽きて元に戻らないといえるでしょうか。いきなり何のキッカケもなしに、突然つきあう人を変えることはできるでしょうか。
大前氏のような傑物であれば即実践することが出来るかもしれません。そして継続させることもできる。しかし、これまでに大きな実績のない大多数の人にとっては実践することも、その恩恵を継続的に受け続けることも難しいと思われます。
つまり、これは根本原因を解決した上で実践しなければ効果をなさない可能性が高いということです。
逆に、根本原因さえ取り除いてしまえば人は変われます。大前氏は先ほどの名言の後に「もっとも無駄なのは決意を新たにすることだ」とも話しています。決意を新たにすることに意味はありません。もっと根本で変わることができれば自然と決意も固まることになるでしょう。
その根本が何かというと「思考」です。人は思った通りに成長し、環境もそれに追随します。それでは順番に説明していきたいと思います。
■思考が人格を作り上げる
人間は思った通りに成長します。これはその場限りの一時的な思いではなく、本心からの長期的な思いのことです。
有名な経営者やスポーツ選手は、ただ漠然と普通に生きていた結果今の自分たちに成れたのでしょうか。そんなはずはありません。経営者であれば、自分の力がどこまで通用するか試したい、世の中のために新しいサービスを作りたい。また俗物的ではありますが、誰よりも金持ちになって名誉を得たい、と考えた人もいるかもしれません。スポーツ選手であっても、誰よりも上手くなりたい、オリンピックで金メダルを取りたい、スポーツで成功して家族に楽をさせてあげたい、等。
その分野で有名になるというのは非常に大変なことです。強い思い無しで長続きできるはずがありません。テレビでは成功部分にしかスポットが当たらないため、視聴者からは「運が良かったんだなぁ」と一言で片づけられてしまいがちです。しかし、その成功の裏側には多くの挑戦があり、失敗があり、そして挫折があります。それらを強い思いを持ちながらも乗り越えたからこそ今の彼ら/彼女らがあるわけです。
逆に環境に身を置いてさえしまえばいいかというとそうでもない。
確かに周りの影響はキッカケにはなるかもしれませんが継続するには物足りない。人間は概して熱しやすく冷めやすい。外からの影響だけではすぐに冷めてしまう。内から湧き出すエネルギーがなければモチベーションを維持し続けるのは難しいということです。
人はこうした思考によってイメージされた人物になっていく。強烈な思いに外部環境の入り込む余地はない。つまり、思考が人格を作り上げることになります。
■人格が環境を作り出す
人格が思考から作られた後、その人格から環境が形成されます。
人は居心地の良い環境を選んで定着します。例えば、学校のクラスが良い例です。クラスとしては1つのまとまったグループですが、その中でいくつかの小集団が出来あがっていきます。クラス全員が等しく均等に仲が良かった、という激レアな環境にいた人はほとんどいないでしょう。
なぜクラスの中でグループが分かれるかというと人は居心地が良いところに集約されるからです。共通の話題が増えたり、普段の何気ない会話でも同調する機会も増えます。異なった人格を持つ者同士よりも、同じ人格を持った者同士の方がまとまりが良くなります。企業が採用時点で自社の理念にあった人材をふるいにかけるのも同じ理由です。本気で世界一のスポーツ選手を目指している人が、何も目的を持たずに他人の足だけを引っ張っているような人と付き合うはずがありません。
逆に自分自身を偽って、自分の望んだ環境に入ろうとしても難しい。そしてこの相違が往々に起こっているのが現実です。なぜならば、記事の最初の方に書いた通り、人は自分が変わるよりも環境を変えようと働きかけてしまうからです。その結果、理想とする環境と自分に最適な環境というのは必ずしも一致しないことになる。
「人間は周りにいる5人の平均をとったような人になるものだ」と、アメリカの有名な起業家ジムローン(Jim Rohn)は言いました。まさにその通りで、環境は自分自身の写し鏡となります。そこで環境を変えたいと思った場合に周りを変えようとはせず、自分自身が変わるように行動することが肝要になってきます。
■自分の考え方を変えるしかない
思考が人格を作り、人格がそのまま環境を作り上げます。人はこのように収まるところに収まるようになっています。にも関わらず環境との不整合が常日頃から頻繁に起こってしまっています。友達に合わせるのが面倒くさい、レベルの低い集団から抜け出したいーーこう感じる場合は環境のせいにするのではなく、自分自身が今現在そのレベルにあることを意識して反省し、考え方を改めることからはじめます。
多大な労力を支払えば、もしかしたら環境を変えることも可能なのかもしれません。その過程で自分の考えが変わっていくことがある可能性はゼロではないのかもしれません。しかし、自分でコントロールできる範囲を変える方がはるかに労力は少なく済む。自分の行動の結果、望んだ環境が手に入るのであれば、そちらを選んだ方が賢明ではないでしょうか。
■「原因」と「結果」の法則
本書は、「人を動かす」で有名なデール・カーネギーも影響を受けたほどに自己啓発書の先駆けです。稲森和夫も「成功の秘訣から人の生き方まで、すべての原理がここにある」と語っています。世の中の自己啓発書はすべて本書に集約されるとまでも言われるほどの名著なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
作者のジェームズ・アレンがは一貫して「世の中は秩序によって動かされている」ということを主張しています。本記事でも説明したように、思考が人格を作り、環境に反映される。ただこの秩序通りに動いているだけでしかないと。
具体的な事例がちりばめられている一般的な自己啓発書とは違って、シンプルに成功哲学がまとめられています。なので、イメージしづらかったり、読みづらいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。そういう意味では、いくつか自己啓発書を読んだ後に読むと、如何に本書が要点を絞ってまとめられているかを実感できるかと。
もし、今何かに悩んでいたり、不安に感じていることがあったり。逆に、何かに挑戦したいと思っている人がいたら、是非本書を手に取っていただきたいと思います。
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前回の記事で受験に求められるスキルについて議論しました。今回は仕事に求められるスキルについて考えてみて、その後両者を比較していこうと思います。
■仕事に必要なスキル
仕事といっても多岐に分かりますが、ここでは目標を達成する一般化したものを考えていきます。
目標の達成を以下のプロセスを経ると仮定します。
1.目標の決定
2.環境の分析
3.戦術の立案
4.スケジュールの策定
5.実践
さて、このプロセスを意識した上で仕事で成功するための具体的なスキルについてみていきます。
●『1.目標の決定』
このプロセスの目的は、ゴール/目標の決定です。企業が存続するためには顧客を創造し、売り上げを継続する必要があります。そのために具体的な顧客の定義、売上目標、シェア拡大施策、商品企画等、様々な目標を立てて達成していかなければなりません。
受験と違ってここを疎かにする企業はないと思います。とはいえ、やはり目標の設定が上手い人もいれば下手な人もいる。あまりに簡単な目標にしてしまっても存続はできませんし、難しすぎる目標だと絵に描いた餅になってしまいます。つまり、企業が成長するためには実現的なものでなければなりません。
このプロセスでは「目標設定」能力が求められます。
●『2.環境の分析』
このプロセスの目的は、自社と他社の両方を取り巻く環境を知ることです。環境とは会社の外だけを意味するのではなく、社内環境も含みます。自社の強み/弱みは何か、他社の強み/弱みは何か。また自社や他社を取り巻く環境はどうなっているのかーー機会は何で、脅威は何か。広い範囲で自分と敵を知るということです。
市場規模や競合他社の売り上げ状況、自社のリソースから目標が実現的かどうかを確認する必要があります。もし当初に立てた目標が現実的でなければ、市場を広げたり、目標の修正を行なったりします。もちろんこの環境の分析のプロセスを経た後に目標の設定をするケースもあるとは思いますが、そこら辺は柔軟に対応していけばよいでしょう。兎にも角にもこのプロセスで目標も確定することになります。
さて、環境分析は外部環境分析と内部環境分析に分けられます。
外部環境分析とは今現在の市場を取り巻く機会と脅威を洗い出すことです。例えば、景気が良かったり、自社製品/サービスが世間的にブームになっていたりすれば機会になります。逆に景気が悪かったり、法律の規制が厳しかったりすれば脅威となります。
内部環境分析は自社の強みと弱みのことです。
企業には軸となる製品/サービスがあります。特に他社には真似のしづらいモノが強みとされます。例えば、非常に熟練を要するノウハウや特殊な人脈です。一方で、苦手とする弱みもあるはずです。口下手な技術畑出身者だけで構成されているような組織であれば営業力等が弱みになる傾向にあるでしょうか。
環境分析はカバーする範囲が広すぎるため、ある程度絞って実施しなければなりません。特に、中小零細企業であれば弱みや脅威は軽視し、機会に強みを生かした戦略が常套手段となります。なぜならば、経営資源の少ない企業が弱みの克服や脅威を意識してしまうと、強みが死んでしまって中途半端な企業になってしまう恐れがあるからです。まずは強みを生かして売り上げを伸ばしていき、規模が大きくなってはじめて弱みの克服を考える。これが基本的な考え方です。
環境の分析ができたら次の人材の確保へ進みます。
このプロセスでは「自己認識」能力、「情報収集」能力が求められます。
●『3.戦術の立案』
このプロセスの目的は、目標達成の道筋を立てることです。前プロセスで分析した環境の中でどのように自社が優位に立てるかを考えます。
収集された情報を使って戦術を立てていきます。前述したように基本的には機会に強みを生かすことを目指します。
戦術を立てる上で重要なのは相手の動きを予測することです。受験と仕事の大きな違いはこの点にあります。受験の場合はこちらの勉強方法に応じて出題傾向が変更されることはありません。しかし、相手が人間となると話は別です。相手も頭脳を使って臨機応変に対応してきます。つまり、こちらのアクションに対して敵がどうアクションしてくるかを想像しながら戦術を創造していく必要があります。
基本的に戦というものは戦わずして勝つのが理想です。そのためには、準備を万端にして戦う前に相手に敗北感を植え付けて戦意喪失を狙う。仮に戦になったとしても相手の攪乱をしたり、奇策を使ったりする。つまり、なるべく正面から堂々と戦うことを避けることに邁進します。
戦術を立案したら次のスケジュールの策定に進みます。
このプロセスでは「想像/創造」能力が求められます。
●『4.スケジュールの策定』
このプロセスの目的は、ゴール/目標までのロードマップを描くことです。ゴールまでに必要なアクションが決まったとしても、いつまでに何を終わらせれば良いのか、といったマイルストーンはありません。そこで、そのマイルストーンを置く必要があります。
そもそもその目標は現実的なのか、達成時期をずらす必要があるのか、目標自体を変える可能性も考慮します。
例えば、3年以内に10億円を売り上げる目標を立てていたとしても、初年度に5,000万円、2年目に1億円が限界だとした場合、3年目の10億円は難しそうです。そこで3年後から5年後へと目標の期限を変えたり、目標を2億円に下方修正する等の必要が出てきます。
ビジネスにおいても基本的には受験と同様に目標から逆算するバックワードスケジューリングを採用することになります。3年後に10億円の売り上げが必要であれば2年後には7億円、1年後には5億円必要だとマイルストーンを立てていくことになります。そして1年後の5億円が現実的でない場合はスケジュールや目標自体を変更することになります。
また、人材の確保もスケジュールに織り込まなければなりません。売り上げが上がるにつれて費用が上がるのが常です。企業にとっての最大の費用は人件費になることが多いので、1年後には何人、2年後には何人、というように最低でも年ごとに人材確保のスケジュールを立てていくことになるでしょう。
スケジュールの策定が終わったら実践に入ります。
このプロセスでは「スケジュール策定」能力が求められます。
●『5.実践』
ここまで出来ればあとは実践あるのみです。立てたスケジュール通りに進めていきます。
自分がこなすべきタスクを処理していけばよいのですが、戦術の立案でも説明したように業務によっては相手の出方に応じて臨機応変に対応しなければなりません。なので、相手の動きを伺いながら柔軟にタスク処理をしていくことが求められます。
また、受験は基本的に自分との勝負ですが仕事ではチームメンバとのコミュニケーションが必要になってきます。チームメンバが力を最大限に発揮できるような立ち回りをしたり、相手の考えていることを先回りして処理し、信頼関係を築いたりすることもあります。自分がこう動けばメンバはこう動く、そういったことを予測して動くこともあります。さらに、困難に直面した時に助けを求める姿勢、そしてその際には自分が何をやっていて、どこで躓いているのかを分かりやすく説明するーー説明力が必要になったりもします。
このコミュニケーションスキルについては多人数のスポーツをやってきた人の方が得意になる傾向にあるでしょうか。実際に就職活動においてはスポーツ経験が重視されることが多いのですが、こういったチームプレーに慣れているのが一つの理由だと考えられます
このプロセスでは「情報処理」能力、「コミュニケーション」能力が求められます。
以上から受験に必要なスキルとしては受験と同様の以下5つ、
・適切な目標設定スキル
・情報収集スキル
・自己認識スキル
・スケジュール策定スキル
・情報処理スキル
加えて、以下2つの合計7つが必要となります。
・想像/創造スキル
・コミュニケーションスキル
■受験と仕事に必要なスキルの比較
さて、ここまでで受験と仕事に必要なスキルをみてきました。受験においては以下の5つのスキルが重視されます。
・適切な目標設定スキル
・情報収集スキル
・自己認識スキル
・スケジュール策定スキル
・情報処理スキル
その一方で仕事はさらに以下の2スキルが必要になってきます。
・想像/創造スキル
・コミュニケーションスキル
こう見ると仕事の方がより多くのスキルが必要になるため難しく思えます。しかしそうとも言えません。例えば、少ないスキルでも深く突き詰めるものと、広いスキルで浅く知っていれば良いのとでは、どちらが上かは議論が難しい。
まず受験についてですが、先に述べた5つのスキルを深く習得する必要があります。そして、特に受験で重要なのは情報処理スキルであるといえるでしょう。なぜならば、塾や家庭教師を使えば目標設定からスケジュール策定までは他人に任せられるので、自身は情報処理スキルのみに注力すれば良く、その場合は情報処理スキルのみ秀でていれば良いということになります。独学で自分で目標設定から全て実施するにしても情報処理スキルが低いと受験突破は難しくなります。そのため、この情報処理スキルが非常に大きなウェイトを占めていることが分かるでしょう。
以上より、受験が得意ーーすなわち勉強ができる人は情報処理スキルは高く、その中でも独学の人は目標設定スキル、情報集スキル、自己認識スキル、スケジュール策定スキルも必要とされます。
次に仕事についてみていきます。
まず仕事は基本的にひとりで完結するものではありません。個人事業主は別ですが、そもそもひとりでは達成が難しいものを達成するために組織化されるのが企業です。
仕事は基本的に分業です。得意な人が得意な分野をやれば良い。つまり、目標設定が得意な人はそれだけやればいいし、スケジュール策定が得意ならそれだけやればいい。自分の得意なことと業務が一致すれば晴れて仕事ができる人と周囲から認識されることになるでしょう。が、実際はそんなに都合良いことは中々起こりません。
で、もし業務の都合上どうしても苦手なことをしなければならない状況であればどうしたら良いか。勤勉な人は一から学ぶでしょうが、それではスピード感に欠けます。即結果を出すにはその業務に得意な人の力を借りつつ、自分がスキルアップしていくのが最善です。ここで求められるのがコミュニケーションスキルです。
必要な時に、必要な人に、自分がどこで躓いているのかを適切に伝えて解決に向かうこと。仕事は何も自分だけの力で達成する必要はありません。手段はどうであれ目的を達成できれば晴れて業務遂行と評価されます。
このように情報処理スキルが最重視される受験と比べて、仕事ではコミュニケーションスキルが重要だと考えられます。もちろん他スキルが高ければ高いにこしたことはありません。
また、想像/創造スキルというものも中々受験では必要とされるケースが少ない。このスキルがコミュニケーションスキルと組み合わさると鬼に金棒です。想像力で相手の思惑を看破し、相手の出方のパターンをリスト化し、対応策を考えられれば強力な人材となるでしょう。もちろん対応策を考えるのは他の得意な人に任せても構いません。
コミュニケーションスキルや想像/創造力が高かったとしても情報処理スキルが低い場合は受験で結果を残すことは難しいのではないでしょうか。ここら辺が、勉強はできなかったけど仕事ができる人の特徴になり得ます。
以上から、受験と仕事では必要とされるスキルが近いけれども重要視されるスキルが異なります。
勉強で最重視されるスキルは「情報処理スキル」、仕事で最重視されるスキルは「コミュニケーションスキル」であると考えられます。
■孫子の兵法を読んで
今回の記事を書くキッカケになったのがきっと皆さんも名前をご存知の『孫子』です。
本書は、ビルゲイツや孫正義も愛読していると言われる古代中国の戦争に勝つ心得をまとめた書物になっていますが、現在の経営についても十分応用の効く内容となっているようです。昔は剣や火薬を使って国同士が戦っていましたが、現在は人、モノ、金、情報を使って各企業同士が生き残り戦争をしている状況といえます。
本書の中には、
・準備にこそ時間をかける
・短期決戦を旨とせよ
のような受験で役立つような内容もあるんですが、
・敵の意図を見破る
・敵の意表をつけ
・敵の判断を惑わす
・敵の心をかき乱す
・油断を誘って叩く
といったような敵が意図をもって行動する前提で、その心理を利用したり、裏をかいたりする記述が非常に多い。これが『彼を知り己を知れば百戦危うからず』の彼(敵)を知るという部分になります。
もし、今現在仕事に対して何かしらの手応えを感じていなければ、一度孫子の兵法を手に取って読んでみると、現状を打破できる何かがつかめるかもしれません。
なお、孫子の原文は漢文で書かれているため、かなり読みづらくなっております。もし原文に抵抗がある方は、守谷洋氏の「世界最高の人生戦略書 孫子」が非常に読みやすく、論点も箇条書き形式でまとまっているのでおススメです。
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仕事に学歴は関係ない
Google検索でこのワードで検索すると"約231,000,000件"表示されました。どうやら仕事と学歴に興味を持つ人は多そうです。私も教育を行なっている傍ら勤め人としての顔も持っているため、両者の間に関係性があるかどうかは気になるところです。
取りあえず原因を探る前に結果がどうなってるのかを調べてみます。そもそも成功者に高学歴が少なければ議論の余地はありませんので。
■仕事での成功者の学歴をみてみる
まず、仕事といっても広すぎるのでサラリーマンと経営者の2軸に分けてしまいましょう。さらにその中から資本主義らしく特に稼ぎの多いエリートサラリーマン、世界の総資産ランキング上位の起業家を成功者の代表としてみていきます。
もし仕事と学歴が関係無いとしたらエリートサラリーマンに人気のある企業の採用条件に学歴要件は無いはずです。試しに世界的に就職先として大人気のマッキンゼー・アンド・カンパニーの採用プロセスを確認してみました。すると露骨に要件として「有名大学出身であること」があげられていました。実際に社員紹介ページにおいても出身大学名が書かれていて、いわゆる有名大学出身者だけが掲載されていました。少なくともこの会社は仕事と学歴が関係ないとは考えていなさそうです。
とはいえ世界的人気企業のGoogleは採用に学歴を意識しないことで有名なようです。真偽のほどは分からないので何ともいえませんが、私の観測範囲でいうとGoogleに内定をもらったのは東大出身者しか知りません。ソフトウェア開発には高度な数学が用いられることも多いので、学歴が必要ないってのも中々考えづらいと思いますが。
次に経営者をみてみましょう。Amazonのジェフ・ベゾス、MicroSoftのビルゲイツ、Googleのラリー・ペイジ&セルゲイ・ブリン、Facebookのマーク・ザッカーバ−グ。恐ろしいことにこの方たちは全員名門校の出身です。国内の起業家をみてみると柳井正や孫正義も高学歴です。孫正義に関しては高卒と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、出身高校は久留米大学附設高等学校ですし、アメリカの名門校カリフォルニア大学のバークレー校が最終学歴です。最近何かと話題の前澤友作も名門の早稲田実業高校ですね。
以上から仕事と学歴は少なからず相関はありそうです。学歴は受験の結果なのでここからは仕事と受験を比較しましょう。つい最近とあるビジネス戦略の世界的書籍を読んでいて、学歴と受験の共通点とそれ以外が綺麗に分かれていることにふと気が付いたので以下まとめていきます。
ここから受験と仕事でそれぞれ求められるスキルをあげた後、比較対照することで整理していきたいと思います。
■受験に必要なスキル
まず、受験で合格する手段として独学と通学/通信があります。ここでは本ブログの趣旨である独学について議論していきます。
独学で試験を突破するには以下のプロセスを経ることになります。
1.試験の決定
2.出題傾向の把握
3.教材の決定
4.スケジュールの策定
5.実践
そして、実践しながらスケジュールの見直しを実施することが常なので、4と5を行き来することもあるでしょう。
さて、このプロセスを意識した上で受験で成功するための具体的なスキルについてみていきます。
●『1.試験の決定』
このプロセスの目的はゴールの決定です。目標設定という言い方もできるでしょうか。受験においてはまず受験対象の試験がなければ何もはじまりません。受験対象がなく、ただ闇雲に勉強することは羅針盤を持たずに航海に出ることと同義です。
受験において大前提となる目標設定プロセスですが実践できていない人も相当数います。大学受験にて目標校を設定しない学生にこれまで何人も会ってきました。が、資格受験でも時たまこのような人がいらっしゃいます。
大学受験においては受験校、資格受験においては資格名。当たり前ですが、これは学習の一番初めに決めることです。ゴール/目標があってはじめて次以降のプロセスに進めることになります。
このプロセスでは「目標設定」能力が求められます。
●『2.出題傾向の把握』
このプロセスの目的は、ゴール/目標を知ることです。どんな問題が出題されて、どんな問われ方をするか。敵を倒すにはまず敵を知ることが先決です。
教科書や参考書の1ページ目からはじめる。
こういったことを実践している人は今後は出題傾向の把握を意識するようにするべきです。
出題傾向には「出題範囲」と「問われ方」の2つの軸があって両方重要です。
出題範囲を勉強していても本試験で解けないことは多々あります。知識があっても問われ方を知らなければ答えることは難しい。例えば、中小企業診断士試験では各業種の多い割合順を答えされる問題が出題されますが、細かい数値というよりも全体の中でどの位置にあるかを意識して覚える必要があります。また、社労士試験においては厚生労働白書の穴埋め問題が出題されるため、虫食いされそうな箇所を想定して対策をしていく必要があります。
出題傾向の把握ができたら次の教材の決定へ進みます。
このプロセスでは「情報収集」能力が求められます。
●『3.教材の決定』
このプロセスの目的は、?現状の自分のレベルを知ること、?目標と現状の差異を埋めること、の2つです。インターネットで合格体験記を調べたり、実際に書店に足を運んでどのレベルの書籍であれば解けそうか実力を測ります。すでに前プロセスまでで敵のことは分かっているため、ここでは自分自身のレベルを認識して適切な教材を選択することになります。
インターネットで調べた通りの教材が解けそうであればそのやり方を真似れば良いですし、もし教材が難しいと感じたならばレベルを落とした書籍を加えることになります。教材を選びながら現状の自分のレベルを知ることができます。そして、必要な教材が決定した時点で、現状と目標を埋める手段が完成したことになります。理論的には、その教材をすべて終わらせれば合格できるからです。
ここで重要なのは合格までに必要な教材をすべて集めてしまうことです。直近やる教材だけ買ってそれが終わったら次の教材を買うという方法をとってしまうと合格までの道筋が見えづらくなってしまいモチベーションが維持できない。それに加えて、次のプロセスであるスケジュールの策定ができなくなってしまいます。
教材を決定したら次のスケジュールの策定に進みます。
このプロセスでは「自己認識」能力が求められます。
●『4.スケジュールの策定』
このプロセスの目的は、合格までのロードマップを描くことです。ゴールまでに必要なアクションが決まったとしても、いつまでに何を終わらせれば良いのか、といったマイルストーンはありません。それを置いていくことがこのプロセスの具体的な作業となります。
ここでは日程を作るうえで、目標は現実的なのか、受験時期を後ろにずらす必要があるのか等、ここまで実施してきたプロセスの結果を根本的に変えるような可能性も考慮します。
例えば、高校3年生の時点で中学レベルの知識もなければ現役東大合格はほとんど不可能といえるでしょう。そこで志望校を変えたり、浪人を前提にした計画に変更することとなります。
具体的な作業としては、各教材をどの順番で実施し、いつまでに、何ページ進めるか。そしてポイントとなるのは、直近日から決めるのではなく、試験日から逆算して計画を立てていくことです。スケジュールを立てる際にやりがちなのは、今現在から受験日に向かって順番に決めていくフォーワードスケジューリングという手法ですが、受験日が決まっているような試験にこの方法は不向きです。それよりも受験日が決まっているのであれば、その日から現在に向けて逆算するバックワードスケジューリングを採用すべきでしょう。
また、ギリギリのスケジュールにするのではなく、余裕を持った日程にすることも重要です。試験日までに急な用事が入ったり、病気になったり、その他予測できない事態は起こりえます。そこで、そのようなケースに備えて勉強にあてない日を設定しておきます。私の場合は、土日には勉強をしない予定で組んでおき、何かあった場合にやむなく土日に勉強するようにしています。
スケジュールの策定が終わったら実践に入ります。
このプロセスでは「スケジュール策定」能力が求められます。
●『5.実践』
ここまで出来ればあとは実践あるのみです。立てたスケジュール通りに進めていきます。
もし当初よりも教材が難しかったり進みが芳しくなかった場合は、一旦手を止めて原因を考えます。そして原因が分かったら、スケジュールの見直しに戻ったり、場合によっては教材の変更まで戻らなければならないかもしれません。
基本的には『1.試験の決定』『2.出題傾向の把握』を1回だけ実施し、『3.教材の決定』『4.スケジュールの策定』『5.実践』のループを必要に応じて回すこととなります。試験日は決まっているため、当初立てた計画通りに進めていかなければなりません。
このプロセスでは「情報処理」能力が求められます。
以上から受験に必要なスキルとしては以下の5つが重視されることとなります。
・適切な目標設定スキル
・情報収集スキル
・自己認識スキル
・スケジュール策定スキル
・情報処理スキル
■次の記事に向けて
さて、受験で重視されるスキルについては分かりました。今回の目的は仕事と受験の関連性を明らかにすることです。記事が長くなってきたので仕事に必要なスキル、そして受験との差異については次回記事に持ち越します。
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たびたび本ブログで論じてきた『捨てる』ことの重要性について今回も取り上げたいと思います。
日々何気なく生活をしていると、要らないモノも含めてどんどん溜め込んでしまいます。それは目に見える物理的なモノであることもあるし、仕事などの目には見えない抽象的なモノであることもあります。
私もここ最近は『捨てる』ことを意識していなかったのですが、一度冷静になって自分の周りを洗い出してみたら不要なモノでいっぱいになっていることに気がつきました。少し気を抜くとこうなってしまうのがダメですね……
なので、今回は私自身への戒めも含めて「なぜ捨てることが重要なのか」を今一度考えた上で「どうやったら捨てることを意識し続けられるのか」の方法論について議論していきたいと思います。
そういえば最後にブログを更新したのは一ヶ月以上前になってしまいました。
ブログを書くことを習慣化している人もいらっしゃいますーーそれは素直に称賛しますーーが、私の場合はひとつひとつの記事の質を高めたいがためにどうしても更新が飛び飛びになってしまいます。で、私がブログを書く際にはキッカケがあって、まぁそれがいつものように一冊の本だったのですが、それは本記事の最後で紹介させてください。
■器用貧乏は所詮貧乏である
「器用貧乏」という言葉があります。これをプラスに捉える人はまずいないでしょう。しかし、世の中のほとんどの人はこの「器用貧乏」に陥ってしまっているというのが興味深い。
実は「器用貧乏」になることは然程難しくなく、特に常日頃から努力できる人にとっては簡単に成れてしまいます。努力の方向性というのは様々なベクトルを持っていて、自分の興味のある分野だけを追っていけばそれだけで多種のスキルを習得でき、いつの間にか器用貧乏の入口に立つことになります。
ここで「入口に立つ」という表現をしたのは、まだこの時点では器用貧乏になってはいないからです。器用貧乏というのは、数あるスキルの関連性を全く無視して、それぞれ別の方向へ発揮しているような状態のことです。スキルが多いことは素晴らしいことです。使い方によっては強いスキルセットとなるからです。
ここで重要なことは、それらの使い方が誤ってはじめて器用貧乏となり、その状態は何を持っていないのと同じです。つまり、器用貧乏は所詮貧乏であるということです。
■すべての物事はトレードオフである
さて、本題である「捨てる」ことの大切さの議論に進んでいきましょう。
まず、今は明らかに物事が溢れている時代です。店に行けば欲しいものが手に入りますし、テレビをつければ勝手に情報が入ってきますし、欲しい情報があればインターネットやSNSを使えば家から一歩も外へ出ずに得られます。
このような時代において、周囲から降ってくる物事をすべて受け入れていてはすぐに飽和状態となってしまいます。人一人には受け入れられる限界量がありますーーこれを器と呼ぶことにします。なので、何かを受け入れたということは、何かを受け入れないことと同じ。このような何かを得る代わりに何かを失うことをトレードオフと言います。
興味深いのは、世の中には捨てることが出来ない人が多数いるようなのです。どうやら周囲から良く見られたいがため、嫌われたくないがため、取りあえず受け入れてしまうという思考があるらしく。が、それは結果的に器に入りきらなかったものを捨てているのと変わらないという事実。しかも本人はそれを「捨てた」とは感じていないようで、結果的に意図せず周囲からも嫌われていき、そして信用を失っていくことになります。
すべての物事がトレードオフであるならばーーどうせ嫌われるのあればーー主体的に捨てる選択をした方が良いのではないでしょうか。
自分のやりたいことで器を使い切るのか、自分のやりたくないことで器を使い切るのか。仮に将来に目的を持たない人であれば後者を選んでも構わないでしょう。が、少なくとも本記事を読んでいる読者は何か思うところがあって、このブログに辿り着いたのだと思います。であれば、迷わず前者ーー自ら進んで取捨選択することーーを選ぶべきでしょう。
■ルーチン化することで本質に注力する
最後にどうやって「捨てる」ことを意識し続けていられるか。
冒頭の通り、私自身いつの間にか捨てる思考が疎かになってしまっていました。これによる損失は甚大で、捨てなかったことによる、自分本来がやりたいことができなかった時間は非常に勿体ない。完全な機会損失です。
これを防ぐためにはまず、自分のやりたいことが何なのか。その軸を明確にして、どこまでなら引き受けて、どこから引き受けないのかを具体化・明確化して線引きをすること。何かが降りかかってくる度に、拾うか捨てるかの判断をしてしまうと脳に負担がかかってしまいます。なので、事前に捨てるかどうかの境界を決めておくことで取捨選択をルーチン化させてしまう。
このルーチン化にはさらにメリットがあって、本質的な物事に注力できるようになります。
人はインプットとアウトプットを繰り返しています。どちらも重要なのですが、より頭を使うのはアウトプットの方です。なぜならば、インプットはただ本を読んで知識を吸収したり、インターネットに書かれている情報を頭に入れれば良いのですが、アウトプットをするためにはインプットを応用させなければなりません。勉強で得た知識をどう成果に結びつけるようにするのか、本に書かれている内容を実案件にどう適用すれば良いのか、それらは単純なインプットの横流しではなく、一旦思考という作業を挟んでインプットの形を変えてあげなければなりません。
先ほどの器の話と同じように人間の思考にも限界があります。何を拾って何を捨てるか、というのはインプットの問題です。このインプットをルーチン化することで、アウトプットに割り当てられる思考量が多くなります。これは野球のイチロー選手や、かつて水の怪物と呼ばれた水泳のマイケル・フェルプス選手も実践していたようです。
すなわち、まずインプットの時点でふるいにかけ、さらにそのふるい作業すらもルーチン化させることで本質的な物事に注力する。この習慣化こそが「捨てる」技術の肝です。
■『エッセンシャル思考』のススメ
本記事で本質的な物事に注力すると再三連呼し続けましたが、これは『エッセンシャル思考』という本にも書かれている内容です。
この書籍はシリコンバレーのコンサルティング会社ThisのCEOが書いたもので、後に日本語に和訳されました。このCEOはApple、Google、Facebook社へのアドバイザーもしていたようです。
結局書かれていることはランチェスター戦略に近しい内容なのですが、より多くの具体例や異なった観点での捉え方を知るという意味で読んでおいて正解でした。
私自身、中小企業診断士試験の講義やセミナーをやっていたり、スタートアップ企業に身を置いたりしていました。が、実際に現場に立ってみるとエッセンシャル思考から外れてしまう非エッセンシャル思考に陥ってしまうこともあります。その時に、このような書籍を近くにおいて置くと、いざ道を踏み外しそうになった時に修正がきくようになります。
このエッセンシャル思考は仕事だけではなく日々の生活にも役立つものです。
より少なく、しかしより良くーー『捨てる』選択こそが本質的な思考を可能にしてくれます。
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何かのキッカケで習慣を変えたいと思ったはいいけれど、一週間、一ヶ月経ったら元の習慣に戻ってしまっていた。
こんな経験をしたことはありませんか? ……私は数えきれないほどあります。
人は元来楽をしたがる生き物ですので、慣れ親しんだ習慣に戻ってしまうことは自然の摂理であり、仕方がないことなのかもしれません。ですが、それに逆らって変わりたいという変わり者も一定数いるわけで、本記事はそのような人たちを対象に習慣を変えために実施すべきことについて紹介したいと思います。
■人から言われたことを実践する
これまで自分の意志で「変わろう、変わろう」と思っても変われなかったからこそこの記事を読んでいただいているのだと思います。つまり自分の力だけでは変われなかったということです。であれば、これからは他の人から言われたことを無条件に実施してみるのはどうでしょうか。そのアドバイスがどんなにくだらないものだと思っても実施するようなルールを設定した上でです。結局、自分自身の力や意志だけで変われないのであれば、他の人から言われたことを逐一試していく選択をすべきだということ。
もちろんこれで成果が出るとは限りません。ですが、これまで実施したことから成果を出なかったのであれば、他の手段を試してみる価値はあります。もし、これを続けても習慣が変えられなかったら、そこでまた別の方法を試せばよいのです。まずは手っ取り早く身近にいる人から言われたことを順番に試していくことをおススメします。もし相談できる人がいない環境であれば、本に書かれていることをひとつずつ実行するのも良し。その際の参考書籍については本記事の最後で紹介させていただければと存じます。
■自分の欲求を満たした後の延長上に何があるのかを考えてみる
例えば「お金持ちになって贅沢をしたい」と考えたとしましょう。資本主義社会においてはお金は絶対的なものであることは確かなのでこの考えはある意味では正しいと思いますが、今はその是非を問うつもりはありません。
で、そのような俗物的な考えをしていたとしても、そこからもう少し先を考えてもらいたい。金持ちになって自分の欲求を満たしたら次は何をしたいのか。余った金を使って、身近の家族を幸せにするという考えは浮かびませんか? もう少し範囲を広げて地域に公園や図書館を立てて地域貢献したいという考えは浮かびませんか? もっと広げて世界の貧困を撲滅するために寄付をして…… というように承認欲求や自己実現欲求の達成まで思い浮かべられますか?
今回はお金を例にあげましたが他のどんな夢でもその範囲を広げていけば自分だけではなく人々を巻き込んだ夢に繋がります。自分の欲求だけでは長続きはしなくても、周りを巻き込んだ広い範囲の欲求であればモチベーションの続き方も違うでしょう。
このように自分が手に入れたいものをさらに広げていったときに何があるのかを考えてみましょう。そして、それを他の人に語ってしまいましょう。すると、周囲からの期待も合わさって習慣を変えることができるかもしれません。
■せざるを得ない環境に身を置いてみる
人が変わるということは長距離走のようなもので、一気に変わるというよりも時間をかけて少しずつ変わっていくのがセオリーです。が、中には一気に変わりたいという人もいるでしょう。そのような人は環境をマルっと変えてしまうのが良い。現状に満足している人が新しいことにチャレンジするのは非常に難しく、そんな人はそもそもこの記事を読んでいないでしょう。自分を窮地に追いやって、せざるを得ない環境に身を置いてしまうことで手っ取り早く変わるーーある種裏技です。
実は私もこの方法を実践したことがあります。企業勤めで働きながらアプリ開発をしたり、ブログを大きくしたいと思っていましたが、中々実践できなかったので一旦仕事を辞めてしまいました。すると、これまでよりも時間も増えたし、何よりも収入が無くなったために焦り、必死になってアプリの開発に取り組み、無事「最短合格! 世界遺産検定2級」をリリースできました。ブログも当時は月間PV100程度でしたが、それから10倍以上になりました。
この経験を経て短期で変わりたかったらそれ相応のリスクを背負う必要があるということを身をもって実感しました。まぁあんまり他人におススメできる方法でもありませんが。
■夢をかなえるゾウ
本記事で紹介しきれなかった内容は数多いため、もし読書の時間が取れる人は「夢をかなえるゾウ」を是非読んでみてください。
本書は水野敬也氏によって2007年に刊行され、現在でも売れ続けているロングベストセラーです。その後続編が出続けて今では4巻まで出ているほどです。
内容は、ごく普通のサラリーマンがあるときにインドの神様ガネーシャと出会って、その神様の出す課題を日々こなしながら成長していく物語です。数々のメディアへも展開されていて、テレビドラマやアニメの他、ゲームにもなった話題作なのですでに読んでいる方も多いかもしれませんね。
以前紹介した「チームはどこへ消えた」もそうですが、実践し続けることが重要というのはどのビジネス書でも見かける内容です。しかし、本書は実践すべき課題ごとに章が分かれており、本に書かれていることを読者に実践することを求めながら読み進めさせる、といったことを奨励している点で他書籍とは違ったアプローチをとっています。一気に読んでしまうというよりも一ヶ月や二ヶ月といった長い期間を使って読み進めると効果が高いでしょう。
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新しいツールを導入したのに目に見える成果が表れなかった。
効率的な勉強法を実践してみたのに成績が上がらなかった。
そのような経験をしたことはありませんか?
元々は目的があって、それを実現するためにツールや勉強法の導入を決定したはずです。が、何故か期待通りの結果が出ない。そして導入は済んだもののツールの使用コストが高くなってしまって使われなくなってしまう。結局、導入する前に逆戻りしてただの遠回りになってしまっただけ。
本記事のテーマは広く一般的なツールにおいて当てはまる話ではありますが、本ブログの趣旨にマッチするように今回は勉強法に焦点を当てて説明したいと思います。
■ツール導入前のやり方で最適化されてしまっている状態では効果は期待できない
ある優秀なツールーー超高効率な勉強法を取り入れて実践するとしましょう。
成績が伸びているうちは既存の学習方法を変えようとは思いません。ちょっと壁にぶつかったと感じても既存のやり方の中で可能な限り成果を出そうとやり方を工夫するでしょう。色々と試行錯誤してその制限下での最適化された方法に行き着きますが、いづれ限界を感じます。そこではじめて新しい方法を取り入れて実践するというケースが多いのではないでしょうか。
革新的な方法を発見し、それを導入しさえすれば効果が出るように思えます。しかし、実際のところは新しい方法を取り入れたからといって思ったような成果が出ないどころか、かえってマイナスになってしまうことが多いというのが今回の話です。
なぜこういったことが起こり得るのか。それは、既存の方法で最適化された方法に慣れてしまっていて、新しい方法を導入した場合でも、これまでのやり方を変えずにツールを使用してしまうからだと考えられます。
話が抽象化されていると分かりにくいので物語でたとえて説明しましょう。
■ボートの物語
はじめ人は海に出るために小舟を作りました。小舟は木製のオールを漕ぐことで船が進みます。より早く進めようとオールの形を変えたり、漕ぐ人数を増やしたりします。人数を増やしたら今度は皆でリズムよく声をかけながら漕ぐような工夫を進めます。このように小舟を早く漕ぐための最適化が行われます。
しかしさらに人数が増えてきて、より遠くまで長い航海に出かけるようになります。そうなると、これまでの小舟では小さ過ぎますし、手動でオールを漕ぐ方法では長時間の航海は不可能だという点で限界を感じます。そこで、エンジンを使ったモーターボートを導入していくことになります。
さて、モーターボートに乗り換えた今、小舟で最適化されたオールの漕ぎ方は役に立つでしょうか。
モーターボートと小舟では進め方が全く違います。モーターボートではモーター整備やハンドルを用いた進路変更のような、小舟とは根本から違った方法が求められます。
オール自体が不要なのですから当然オールは捨てるべきです。しかし、これまでの方法に慣れてきた人たちが簡単にオールを手放せるでしょうか。モーターボートに代わってからもオールを手放せずに一生懸命オールで漕いでいるような人が多く残ります。彼らはオールを捨てられずに、モーターボートになってもエンジンに頼った方法を考えようともせず、ただ今までと同じようにオールを漕ぎ続けます。モーターボートは小舟と比べて重いのでオールでは中々前に進みません。確かにボートが立派になって大勢乗られるようになりましたが、スピードは小舟の時より格段に遅くなってしまいました。
■新しい手法と同時に既存のルールを変える必要性
笑い話のように聞こえますが、実社会においてもこれと同じような現象が起こっているのですから驚きです。新しいシステムを導入してもこういった理由で成果が出ないことが多いです。
勉強法についても全く同じです。学校教育では教科書を読んでから問題集に進みます。そして一単元ごとにテストを実施して、完璧にした後に次の単元へと進む。しかし、資格試験に独学で効率的に受かるためには初めに問題集、次にテキストという順番の方が良く。さらに、一単元ずつ完璧に仕上げるよりも全範囲をサラッと終わらせてから各単元を平均的に仕上げていった方が良い。その高効率な学習法を実践するためのツールが、アプリ問題集やWeb学習システムで提供されていることがあります。
しかし、このようなツールを使ったところで中々実践できないことが多い。なぜならば、これまでシッカリと理解してから次単元へ行く進め方をしていた人は、曖昧な理解なまま次へ進むことが抵抗に感じてしまう。その結果、学校で学んだように一単元ずつ仕上げる方法に戻ってしまうというのは良くあります。つまり、ツールを導入する前の手法に戻ってしまうことになります。当然、ツール自体が学校教育のようなやり方に適していないので使いづらく、結局使われなくなってしまいます。
抜本的な改革には手法を取り入れるだけでは十分ではなく既存の手法や考え方ーールールーーを捨てること。自分の中で当たり前と思っていること、やり慣れたルールを変更する柔軟性があって、初めて新しい手法を活かすことができます。
■エリヤフ・ゴールドラット博士の『チェンジ・ザ・ルール(Necessary but not sufficient)』
最近私が読んだ書籍で『チェンジ・ザ・ルール』というのがあります。これは『ザ・ゴール』という名著の著者であるエリヤフ・ゴールドラット博士が書いたものです。
この物語の主役はERPパッケージを提供する会社です。ERP(Enterprise Resource Planning)とは企業全体資源の有効活用を目的とした統合基幹システムのことです。利益を上げるためにこれを導入したにも関わらず、思ったように成果が出ないという会社が出てきます。原因を突き詰めた結果、新しいシステムを導入したにも関わらず、以前のルールのまま運用していたため、限界を突破できないことが分かってきたというお話です。副題にあるNecessary but not sufficientというのは、ERPパッケージは必要だが、それだけでは不十分だということですね。
書評では「ザ・ゴール」よりも読者受けしていないように見えますが、私個人としては本書は名著です。実企業で起こっている現象がそのまま再現されているのが面白い。実際にこのようなルールを変えようとしない組織で働いていた人にとっては思い出させられる部分が多いかと。特にITシステム導入経験のある人には既視感を覚えるような内容だと思います。
本書はエリヤフ・ゴールドラット博士の第三作目にあたるので、それまでの考え方であるボトルネックや思考プロセスを読者が理解している前提で書かれています。『ザ・ゴール』『ザ・ゴール2』も名著なので、本書の前に読むとより理解が進むとともにTOC理論(制約理論)全般について学べるのでおススメです。
■最後に
慣れたやり方を変えるのは容易ではありません。自分では変えられると思っていても、気がついたら慣れ親しんだ方法に戻っていたということは往々にして起こります。
人は何も考えないと既存のルールで実行してしまいがちです。そこで、新たな手法を取り入れる際には、それまでのルールと一緒に変更することを常に意識しておくべきです。
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JUGEMテーマ:ビジネス
ハインリッヒの法則をご存知でしょうか。これは『1:29:300の法則』とも呼ばれることもある労働災害における経験則のことで「1件の重大事故の背後には29件の軽易な事故があり、さらにその背後には300の事故には至らなかった"ヒヤリとした"体験が存在する」というものです。この経験則は何も労働災害にのみ当てはまるものではありません。成功についても同様に、1つの成功の背後には29の小さな成功、そして成功に至らなかった300の試みがあります。これを『逆ハインリッヒの法則』と呼ぶ人もいるようです。
人は概して成功体験を聞きたがります。SNSを見ていても成功経験の反響が多い一方で、失敗経験はそんなに共感を得られているように見えません。なぜ人は成功体験を聞きたがるのか。それはほとんどの人が怠惰であり、最小限の努力で成功したいーー換言すれば、楽をしたいからです。成功体験をなぞって成功できることほど楽なことはありませんからね。
私が今回主張したいのは他人の成功体験を真似することよりも参考にすべきことがある。それが「成功経験よりも失敗経験が重要である」ということです。
■成功はタイミングによるところが多い
成功を「運」と一言で決定づける人もいるかもしれません。確かに運も必要ですが、当然運だけで成し得るものではありません。「実力」があってこその成功です。この「実力」があればあるほど成功の確率は上がっていきます。実力というのは、その人自身の知識やスキルの他、ノウハウも含まれます。
つまり、成功というのは運と実力によるところが多い。運をタイミングと読み替えれば『タイミング×実力(知識×スキル×ノウハウ)』で成功の可否が決まります。つまり、どれだけ実力があってもタイミングが合わなければダメで、逆にどんなにタイミングが良くても実力が伴わなければ成功することは難しい。
他人の成功体験は、成功する要素の1つである実力の中の更にノウハウ部分についてしか言及されていないことが問題です。ベースとなる知識やスキルが十分でなければノウハウを生かせませんし、尚且つタイミングが合わなければ成功できない。ごく稀に成功体験をなぞったことで成功できたという話を聞きますが、これはすべての条件がたまたま一致した状況に過ぎないということです。
■失敗体験は再現性がある
逆ハインリッヒの法則から、数ある失敗の中に埋もれているものが成功であることが分かります。そして、その成功をたまたま運良く引き寄せられれば良いのですが、多くの場合はそんなにうまくいきません。数ある失敗をかいくぐった先に成功があります。
当然ですが、失敗体験を全く同じタイミングでなぞれば同じように失敗することができます。逆に考えれば、そのような体験を避けていけばいつかは成功にたどり着けるとも言えます。これは並大抵の努力でやり切れるものではなく、何十回、時には何百回もトライすることにもなります。
被害を最小限に抑えるためには多くの失敗体験を聞くことです。当然、それだけで失敗パターンを網羅できるわけがないので、自分自身で何度も何度も試行錯誤を重ねた結果、成功体験を掴むことに繋がります。多くの人が怠惰であるという前提で考えれば、失敗体験で皆の共感を得られるわけがありません。なぜならば、失敗体験を知った後で膨大な努力を経なければ成功できないことは明白だからです。
■最後に
多くの人は成功体験を聞きたがり、実際にSNSでも「いいね」が多く付くことからも共感が得られやすいのでしょう。しかし、成功体験をなぞるほとんどの人は失敗に終わるということがお分かりいただけたかと思います。そこで、成功体験は参考程度にとどめておいて失敗体験に興味をもつことで他の人から一歩先んじることができます。
私は人から話を聞くときは成功体験を重視しません。それよりも失敗体験の方が興味があり、過去にどんな失敗があって、それに対してどう考えて、どういうアクションを起こしたか、という質問をします。資格試験の受験においても、失敗した勉強法に注力して情報を集め、最後に合格体験記をもとに計画を立てています。
華やかな成功体験の陰には多くの失敗が隠れている。この事実に気がつき、そして多くの失敗を知り、自分で試行錯誤する人が成功できるのでしょう。
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『大企業は安定』
この大企業安定説は、私が新卒で就職活動していた頃から言われていたことです。おそらく皆が口々に話す安定とは、企業自体の倒産リスクが低いことでしょうか。
しかし、当時リーマンショックという歴史的な大イベントを見ていた私は、大企業安定説に疑問をもっていました。リーマンブラザーズという世界的大手企業に勤めていても会社がつぶれることがあるんだという事実は衝撃的でした。
リーマンブラザーズに勤めていた人たちがその後どうなったのかは知りませんが、他の会社に就職した人、独立した人(起業、資産運用を含む)、そしてどこにも就職できずに職を失った人の大きく3パターンがあったことは想像できます。前者2つはともかく、最後の職を失った人たちは安定なはずの大企業にいたにも関わらず、それが覆されてしまったことになります。さて、職を失ったのがどのような人たちかというと、おそらく他の企業が欲しくなるようなスキルを持たなかった人たちだと推測できます。
そこで私は「世の中が欲しがるスキルを持っていれば会社が潰れようがすぐに再就職できるし、独立もできるのではないか?」と考えて、ベンチャー企業を最初の就職先に選ぶことにしました。なぜベンチャー企業かというと理由は2つあって、?ベンチャー企業は特定の業務に関係なく会社全体に幅広く携われるため起業を選択をした際に経験が役立つから、そして?いつ潰れるか分からないといった危機感を持ちながらでないと自己研鑽が疎かになるという私自身の性格を理解していたから、でした。
危機感を持たないとやる気が起こらないというのは我ながら困った性格です……
結局いくつか小規模企業を転々としましたが、ある程度スキルが充実してきたなと思ったタイミングでビズリーチという転職サイトに登録して転職活動をした結果、いくつかのベンチャー企業と大企業からオファーをいただくこととなりまして現在に至ります(経歴はオンライン家庭教師のプロフィールにて)。今ではたとえ会社を辞めても、資産がなくなろうとも、自身の力で問題なく生活できる程度の下地は出来上がっていると思います。
今回は世の中が欲しがるスキルーーグローバルスキルについて議論します。が、以前Twitterで「スキルは劣化する」という話を受けたので、それについての私の考えを踏まえて話を進めていきたいと思います。
なお、本記事ではスキルとは専門知識や専門技能に限らず、簿記、英語、資産運用、経営、コミュニケーション等を含めた『訓練によって得られる技能全般』と定義します。
■スキルは劣化する?
ほとんどのスキルは磨き続けなければ劣化します。しかし、劣化しない(しづらい)スキルもあります。例えば、論理的思考力や英語力などです。劣化スキルに対して、このような劣化しない(しづらい)スキルを非劣化スキルと定義して話を進めていきます。
実は一般的にスキルと言われているもののほとんどが、劣化スキルと非劣化スキルの組み合わせです。プログラミングをスキルと考える人が多いと思いますがこれを例に挙げると、まずプログラミングの目的を定義する「企画力」、どのように仕上げるかという「設計力」、各プログラミング言語の「文法知識」、実際にコーディングを記載する「コーディング能力」、そして実装したプログラムが動くかを検証する「検証力」となっています。
このうち「企画力」「設計力」「検証力」以外は劣化スキルです。
プログラミング文法は新しいプログラミング言語の登場によって廃れます。また、現在はコーディングしないで誰でもプログラミングができるようにという流れになっているのでコーディングスキルもいづれは劣化する可能性があります。一方で、企画や設計、検証といったスキルは、コーディングに関わらず何かを実装する際には必要となるスキルです。
ここではコーディングを例にして「企画・設計・検証力」をあげましたが、他の非劣化スキルとしては「論理的思考力」「語学力」「コミュニケーション能力」「多様性の受容力」「変化への柔軟性」「イレギュラー対応力」等があります。
つまり、一言でスキルと言っても細分化すると劣化するもの(劣化スキル)と劣化しないもの(非劣化スキル)があるため、日常的に非劣化スキルを磨き上げながら、劣化スキルをアップデートしていくといった作業が必要になります。ちなみに、非劣化スキルは一度習得すれば恒久的に、尚且つあらゆる職業に応用が利くため、よりコスパの良いスキルと言えるでしょう。
■グローバルスキルとは
さて、グローバルスキルとは何でしょうか。先に説明した非劣化スキルをグローバルスキルと呼ぶのか、というとそうではありません。
論理的思考力や英語力、コミュニケーション能力が高いだけでは即戦力として通用しないため、企業には育成コストがかかってしまいます。新卒であれば問題ないのですが、中途採用であれば非劣化スキルだけでグローバルスキルと呼ぶのは難しいと思われます。
それでは専門性の高い劣化スキルはどうでしょうか。
例えば、IT業界においてグローバルなスキルとはどのようなものかと問われて「AWS」「5G」「DX」「AI」「ブロックチェーン」などをあげる人は多そうです。プログラミング言語であればPythonでしょうか。
確かにこれらは近年のブームであり、それらのスキルを欲しがる企業は多いでしょう。しかし、AWSに関する求人をみてみると年収300万円から2000万円以上と、非常に幅広いことが分かります。年収というのはスキル価値の希少性も含んでいるため、ここまでの差があるのは奇妙に思えます。その専門知識に対する知識の深さが関係していそうですが、実際AWSの業務を請け負っている下請け会社のエンジニア等は非常に高い知識レベルを持ち合わせているにも関わらず、年収が600万円を超えていないといった例もあります。
実際に年収の高いAWSエンジニアと会話したことがあるのですが、彼らは専門知識を持ちながら、高いコミュニケーション能力、そして提案力があることに驚かされました。私が直面している問題を相談する際にも、上手にヒアリングをして問題を聞き出し、それを分解・分析し、私の環境に合った解決法を提案いただけました。
これこそがグローバルスキルであり、他の企業が欲しがる人材ではないでしょうか。最新の技術に関するスキルは当然として、それに加えて多種の非劣化スキルとの組み合わせを持ち合わせている点で卓越しています。
■最後に
スキルが劣化するという話に続いてグローバルスキルについて議論をしました。
記事内にも書きましたが、非劣化スキルはコスパの良いスキルです。一度習得してしまえば恒久的に使える他、新しい分野に足を踏み入れる際にも、すでに下地が完成しているため、後は専門知識の習得さえすればグローバルスキルになります。
しかし、非劣化スキルは意識しなければ中々伸ばすことが難しく、どうしても成果が目に見えやすい劣化スキルばかりに注力してしまいます。海外では社会人が再び大学に通ったりすることも多いのですが、日本ではその文化が浸透していないのも非劣化スキルの習得を難しくしている原因です。ですので、行き帰りの通勤時間や空き時間を利用して、意図的に学習することをおススメします。
最後に、自分の今やっていることがグローバルで通用するかどうかは、今いる環境から少し離れてみて世の中全体を見回すのが良いでしょう。そのためにも資格試験や外部の勉強会やセミナーに参加するという手段がありますし、転職市場にて自分の価値を知るのも良いでしょう。
以前の記事「エンジニアに向いていない人の特徴を4つほど考えてみた」にて詳しく紹介しましたが、BIZREACHではエントリーシートを書くことなく、自身のプロフィールを登録しているだけで企業担当者から連絡が来るのも待つだけですので、取りあえず登録しておくだけで自身の市場価値が分かるのでおススメです。
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何かに限らず反対する人はいます。それは資格勉強についても同じで、勉強をしているとなぜか反対意見を述べる人が現れます。
「そんなことして何の役に立つの?」
「そんなことよりも実務経験を増やすべきだ」
「勉強ばかりだと頭でっかちになりそう」
しかも不幸なことに周囲の反対によって受験を辞めてしまう人が多いという事実。私の周りだけでも何十人もの受験者が勉強から離れていきました。人間は社会的な生き物なので、周囲からの影響を受けてしまうのはある程度仕方がないことです。そのような状況を受けて、今回はそのような反対意見によって学習意欲をそがれている方々の支えになれればなと思います。
なお、いつもの記事では主張を支持するために3つほど理由をあげているのですが、今回は理由を1つだけに絞ることにしました。なぜならば、この1つが全てだからです。
■他人の人生と自分の人生は全く違う
もうこれに尽きます。自分の信念を持つようにしてください。さて、再び反対意見を見てみましょう。
「そんなことして何の役に立つの?」
「そんなことよりも実務経験を増やすべきだ」
「勉強ばかりだと頭でっかちになりそう」
ちょっと考えてほしい。これは本当に相手は私のことを考えた上での発言だろうか。いや、発言者自身の話をしているように思えます。実はこれら反対意見は主観的意見に過ぎないのです。主観的であるということは、これがその人固有の考えでしかなく、その人以外に当てはまらないことがほとんどです。一例ですが、こんな風に考えてみてはどうでしょうか。
・その人には役立たないけど、私にとっては役に立つ
・その人は専門職で実務が全てかもしれないけど、私にとっては勉強と実務を並行することで効率化できる
・その人は知識が増えることで頭でっかちになるのかもしれないが、私にとっては知識が増えることで選択肢が増えて柔軟な思考ができるようになる
そう、私が実践していることは私にとっては大事なことなんです。ではなぜその人はこのような発言をしてくるのだろうか。それは、その人の将来ロードマップがあなたにも当然当てはまるものだと考えているからでしょう。初めにも話したように人間は社会的な生き物です。縄張りの中にいる人は全員同じ考えをしていて、同じ行動をするはずであると思っていてもおかしくないでしょう。心理学ではこれを同調行動と言ったりするようです。
例えばその人の将来ロードマップが、その企業で、その専門職で、定年まで働くのだとすると、その考えは正しいのかもしれません。しかし、将来ロードマップはーー当然ですがーー各人によって違います。ある人は転職前提でスキルを磨こうとしているでしょうし、ある人はその企業の中の別部署でキャリアップをするつもりでしょうし、ある人は昇進せずにのんびりと今の生活を続けたいでしょう。根本となる考え方が異なれば、何が必要で何が不必要か、というのは人それぞれ異なります。つまり、他人の考え方に口を出すということが非常に無意味で、悪い言い方をすれば自己中心的だということになります。
このことは他人事でなく常に自分自身も意識しておかなければなりません。ある職業でそれなりに経験を積んでくると、どこかのタイミングで誰かに教える立場になると思います。全員とは言いませんが、人は教える立場になると教えられる側を下に見てしまう傾向にあります。そこで、人によっては相手は自分と同じ立場になりたいものだと勝手に思い込んでしまいます。同調行動です。こうなると惨事で、自分の経験の押し付けを相手にしてしまい、ある時自然と「そんなことやっても意味がない。こっちの方が重要だ」と言ってしまうことになってしまいます。
自分がそうならないような防止策としては、?自分が相手より上というわけではなくそのタスクにおいては経験が豊富でしかないと考えること、?相手は自分とは違う将来像を描いている前提で話すこと、です。もし相手からこれまでのキャリアについて聞かれたら、あくまでも自分はこうやってこの立場になったいう話に留めて「こうやるべきだ!」みたいな強制まで踏み込んではなりません。なぜならば、他人の人生と自分の人生は全く違うからです。
■最後に
ここまで一貫して相手の言うことを気にするなという姿勢で述べてきましたが、もちろんあなたがその人と同じ、もしくは似たような将来ロードマップを描いていると考えた場合には素直に受け入れるのが良いでしょう。尊敬している人からの提言であれば、それこそ従うべきです。
しかし、少しでも相手の反対が気に障ったのであれば「この人は同調行動をとりたいんだな。自分とこの人とは将来ロードマップが違うから気にするのはやめよう」という思考に切り替えて、自身の将来ロードマップを突き進みましょう。
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※本記事では純粋に暗号通貨(特にビットコイン)についての説明を目的とするため取引所の紹介はおこないません。
2017年末ーー世間はビットコインに熱狂した。それから数年経ち、今では大半の人がビットコインは危ない物という認識のままビットコインは時代の陰でヒッソリとナリを潜めているのです。
私がビットコインを知ったのは2011年頃でした。インターネット上の新通貨という文句があれど、当時は関心を持たずにスルーしておりました。しかもその時はリーマンショック後の東日本大震災ということで、私自身も株、為替で大きくポジションを減らしていたタイミングで新たに投資をするにも余剰資金が少ない状態でした。
そして、2017年初めに再度ビットコインの話が流れてきて、その時なんとビットコイン価格は10万円を超えていました。ただの電子上の通貨にこんなにもの価格がつくのは何かあるはずだ、と考えてビットコインについての勉強を数ヶ月ほどしました。そして、イーサリアムやリップルの勉強を終えて、ようやくビットコインが信用に値するものだということで初めて購入したのが2017年の6月頃ーーちょうどビットコインからビットコインキャッシュがハードフォークし、リップルが当時の史上最高値50円をつけた直後に20円まで落ち込んだ時でした。
その時に購入したのはビットコインとリップルでした。そして、リップルはその半年後に400円までと20倍になって、そしてそれから4年かけて再び20円へ戻ったのです。バブルの絶頂期に高値でつかまされたたくさんの人々、そして某販売所で数百億円以上のXEMと呼ばれる暗号通貨(いわゆる仮想通貨のこと。本記事では一貫して暗号通貨と呼ばせていただきます)が盗まれたこともあり、世間では「ビットコインは詐欺」とのイメージのまま今に至ることになりました。
さて、今私は中小企業診断士で経済学や経営学を教える傍ら、ITエンジニアとしてシステム構築やアプリ開発をおこなっています。実はビットコインは経済学とITの両方の知識を駆使して発明された次世代技術の形なんです。特に、ビットコインの仕組みの中核であるブロックチェーン技術は、今後のイノベーションの源泉になるだろうと期待されています。ビットコインは決して詐欺ではなく、新技術なんだということを皆さんに知っていただきたいというのが本記事の目的です。
私自身がビットコインのことを調べるにあたって、書籍やインターネットサイトを読んでみても、表面的な説明ばかりな内容が多く、なんちゃって理解にとどまるのみでした。そこで、もう少し踏み込んでビットコインのことを知ってもらおうと、そして少しでも初学者にも理解しやすいようにまとめたつもりです。
以前私がビットコインの講義で使用したスライドは「暗号通貨とは」にまとめてあります。こちらのスライドと並行してブログを読み進めていただければと思います。
■ビットコインとは
ビットコインについて世間一般には、日本円やアメリカドルと同じような通貨のようなものだと思われているようです。はたしてビットコインとはお金何でしょうか。
まず、インターネット上でお金を実現するためには、まずお金とは何かという深い理解、そしてお金をインターネット上で実現する計算機科学の知識が必要です。これらのどちらが欠けてもビットコインは作ることができません。つまり、ビットコインを生み出すためには複数の専門的知識が必須ということです。
経済学でお金は「価値の尺度」「価値の保有手段」「交換の媒介」であると学びました。そしてお金になるための条件は「所有者の明確性」「取引の明確性」「偽造&多重利用の不可」であることがあげられます。ビットコインはこれらを最新の情報技術であるブロックチェーンで見事に解決したのです。
ところでビットコインがどこで作られているかご存知でしょうか。実は、ビットコインは約10分ごとにこの世に発掘されます。そして、発掘されたコインはインターネット上の仮想空間に生まれるわけです。
■ビットコインは誰が作った?
ビットコインを生み出したのはサトシ・ナカモトだと言われています。しかし、この人物が何者なのかは不明です。というのも、その姿を見せないまま現れ、そして姿を消したからです。日本人の名前ですが、サトシ・ナカモトの掲示板への書き込み時間、そして論文がネイティブ英語で書かれていることから欧米人だと考えられています。しかもその論文がイギリス英語のことからイギリス英語圏出身というのが濃厚だとか。
また、サトシ・ナカモトは個人ではなくグループなのではないか。強いAIなのではないか。という話も出ています。というのも、ビットコインの仕組みは非常に複雑で、なおかつ高度な経済学の知識と高度な計算機科学の知識を必要となります。そのため、個人で作れるようなものではないという見方をする方が多いのです。
実際に過去にサトシ・ナカモトと疑われた人はいました。フィンランドの経済社会学者のVili Lehdonvirtaとアイルランドの暗号理論を研究するMichael Clear。暗号理論で特許を取得したニール・キング、ウラジミール・オクスマン、チャールズ・ブライ。セキュリティ研究者のダスティン・D・トランメル。日本人としては望月新一が疑われたことがあります。この望月新一というのは、京都大学の准教授なのですが、グロタンディーク予想を特異な手法で証明したり、最近では査読に8年を要したABC予想証明といった功績があります。
これらの方々はサトシ・ナカモトであることを否定しています。が、共通しているのが超のつくほどの天才であるということです。つまり、ビットコインを作れるのは、凡人では不可能だということです。このことからもビットコインが詐欺なんてものではないことが分かるかと思います。
■ブロックチェーン技術の根幹となる「電子署名」
ビットコインはブロックチェーンという技術によって実現されています。このブロックチェーンを理解するためには電子署名という技術を知らなければなりません。
電子署名には公開鍵暗号方式という技術が使われています。我々が日常使っている鍵は、開ける鍵と閉める鍵が同じです。が、公開鍵暗号方式では開ける鍵と閉める鍵が異なります。インターネット上での情報のやり取りはこの公開鍵暗号方式が使われており、例えばAmazonや楽天のようなECサイトではこの技術を使ってクレジットカードのやり取りが行われています。
まず、ECサイト側で開ける鍵と閉める鍵を作成します。専門用語で、開ける鍵を秘密鍵といい、閉める鍵を公開鍵といいます。この開ける鍵、すなわち公開鍵を我々のようなECサイトで商品を購入する人たちへ渡します。その鍵を使って購入者の情報とクレジットカード番号を暗号化します。暗号化された状態でECサイトに渡して、ECサイトは自身のもつ秘密鍵でクレジットカード情報などを取り出します。たとえ公開鍵が他の人に盗られたとしても、公開鍵では暗号化された情報を取り出せないので、安全に情報のやり取りができるわけです。
電子署名は、この暗号化技術の応用です。この電子署名によって送った情報が改竄(かいざん)されたことを検知することができます。先ほどの暗号化とは違って、情報を送る側で公開鍵と秘密鍵のペアを作成し、秘密鍵で暗号化し、暗号化された情報と公開鍵を相手へ送ります。詳細は割愛しますので、気になる方は私の用意した資料「暗号通貨とは」を読んでください。
■ブロックチェーン技術とマイニング
いくつかの取引情報をひとつのブロックとしてまとめあげ、そのブロックが次々と連鎖的に繋げたのがブロックチェーンです。各ブロックがあたかも鎖で繋がれたかのように連結されているため、このような名称がつきました。それぞれのブロックは、前述した電子署名の技術を用いられているため、改竄することができなくなっています。これによって、偽造防止というインターネット上での通貨に必須の要求を満たしたことになります。
ビットコインにおいては、各ブロックに前ブロックの情報、取引情報、そしてナンス(Nonce)と呼ばれる文字列を格納できるように作られています。前ブロック情報と取引情報は勝手に変更することができない固定値ですが、ナンスは好き勝手に値を変えられる可変値となっています。このナンスがビットコインの肝となっています。
ビットコインでは新規のブロックが作られるためには、ある条件を満たさなければならないような仕様になっています。それは、前ブロックの情報、取引情報、そしてナンスを足し合わせた値を、ある特定の法則にのっとって変換した値の先頭に0がある一定数以上ならばなければならないというものです。このある特定の法則を専門用語で「ハッシュ変換」、それによって得られた値を「ハッシュ値」と言います。このハッシュ値は、元の値からは全く推測不可能なので、先頭に0が複数個並ぶようなものを得るには、ナンスを連続的に変えていくしかありません。
このように新たにブロックを作る作業をマイニングといい、マイニング作業とは世界中のコンピュータがこぞって正解のハッシュ値を計算する作業のことなのです。マイニングを成功させるためには、非常に性能の良いコンピュータが必要で、さらに計算には大量の電力を必要とします。このように採掘コストが高いため、通常であれば誰もマイニングなんてしないでしょう。そのような事態を想定していてか、サトシ・ナカモトは新ブロックが作られるとマイニングの報酬が支払われる仕組みを提供しました。マイニングをいち早く完了させたものには、ビットコインが与えられることになります。この報酬がマイナーのモチベーションとなり、ビットコインの仕組みは動き続けているのです。
また、このブロックは世界中のコンピュータが一斉に作ろうとしているため、非常に低い確率ではありますが、同時に新規ブロックが作られることもあります。この場合、ブロックチェーンは分岐することになります。すると、世界中のマイナーは新しくできた各々のブロックに分散してマイニングをはじめます。たとえ一度に複数の新ブロックが作られたとしても、同時にマイニングが完了するような事象は二度連続することはほとんどあり得ません。ビットコインの発明者であるサトシ・ナカモトはこのような事態も想定していて、ビットコインにおいては最も長いチェーンが正当なチェーンとされています。
■ビットコインの半減期
ビットコインは10分ごとにマイニングされるように作られています。これは、サトシ・ナカモトがビットコインの寿命を延ばすためにそうしたのでしょう。実は、ビットコインは約4年ごとにマイニング報酬が半減するようになっています。ビットコイン誕生時は1ブロック作ると50BTC(BTC:ビットコイン)支払われていました。そして、それから4年後の2012年には25BTC、そして2016年には12.5BTCというように。
実はこれが非常に上手い仕組みでして、半減期によってビットコインの希少性が高まるため価格が上昇します。なので、報酬が半分になったとしても、その分価格が上がっているため、マイニングのモチベーションが維持されることとなります。実際に、1回目の半減期ではビットコインの価格は80倍に上がり、2回目も20倍にもなりました。
■ビットコインは分散型台帳管理
世の中の金融システムは、銀行が1つの台帳を保管していて、その台帳を各ATMが参照してへと放射状に繋がるスターネットワークと呼ばれるものです。この場合、台帳を管理しているシステムがダウンした場合、金融システムはストップしてしまいます。当然、フォールトトレラント設計になっているため、複数のサーバが同時稼働しているため、余程のことが無い限り、そのような事態になることがありませんが可能性はゼロではありません。
一方、各台帳が無作為に他の台帳同士と参照しあっているようなシステムをP2Pネットワークといいます。この場合、世界中の台帳が相互に参照しあっているため、ある台帳の内容が消されたとしても、すぐさま他の台帳のデータと同期されます。この場合、世界中の台帳がまとめてなくならない限り、システムダウンが起こることはありません。ビットコインが採用しているのはこのP2Pネットワークのため、金融システムが使えなくなることは事実上あり得ないこととなります。
また、台帳は常に公開されているため、誰もが取引情報をみることができます。つまり、不正な取引はすべて衆目にさらされるため、非常に透明性の高いシステムを実現できます。公文書などもブロックチェーンの分散型台帳で管理すれば、一部の人間によって勝手に改竄されることもなくなります。
■最後に
ビットコインは投資対象というだけではなく、その仕組みには最新の技術が使われており、今後のイノベーションにつながる可能性を多く秘めています。また、応用情報技術者試験にブロックチェーンという単元が加えられましたが、試験で学べることは電子署名の応用であることにとどまり、実際にどのように活用されているまで学ぶことは難しいです。「ブロックチェーンを学びたければビットコインを知れ」というように、ITエンジニアにとってもビットコインを学ぶことは非常に有意義なことです。
本記事を執筆するにあたり、様々な書籍を参考にしました。特に参考になった2冊を以下にリンクを貼っておきます。どちらも経済学、計算機科学に詳しい方が書いた本です。ブログだけでは概要は説明できても詳細までは書ききれません。さらにビットコインについて学習した人には書籍を読むことをおススメします。
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『何をするにもまずは目標を立てることだ』
多くのビジネス書に書かれていることで、ほとんどの社会人が信じてしまっている「目標を立てる」という標語。かくいう私も昔は目標は必ず立てるものだと信じて疑っていませんでした。確かに会社の勤め人のような日々の業務をこなしていく人にとっては目標は大事でしょう。しかし、新しく何かをはじめるときや、自己スキルアップにおいては目標を立てる必要がないことも多く、返って仇となることもあるんです。
これまで資格勉強を否定する人にたくさん出会ってきました。彼らは「資格なんて取得しても実務に何の役もたたない」と何度も何度も何度も何度も繰り返し繰り返し言ってきます。
私が資格を勉強しはじめた頃は余計なお世話だと思って、ほとんど相手にしていませんでした。が、最近になって彼らがそのように発言する真意が分かってきました。転職を繰り返してステップアップしたり起業したりするのではなく、ひとつの会社で、ひとつのスキルだけをマスターして、生計を立てていくなら資格は必要ないんです。
資格を必要ないという人たちはひとつの会社でひとつのスキルで勝負しているので実務が重要だと主張するのです。彼らにとってのゴールは会社で出世するという明確なものとなっており、それに向けて日々スキルアップをするわけです。そしてこれは正しい選択でしょう。
一方でそのような分かりやすい人生を送るのではなく転職を繰り返したり、起業を試みたりと、いわゆる普通の人生を歩まない人にとってはゴールは明確ではなく、つまり目標がふわふわした雲のように掴みどころがないのです。そういった人たちにとっては目標を立ててから自己研鑽をするという選択をすべきではなく、その逆で自己研鑽をしながら目標を定めていくことになります。
■自己研鑽に目標は必要ない
いきなりですが自己研鑽に目標を設定する必要はありません。
私がお会いした方にデータベースマスターになりたいからデータベーススペシャリスト、ORACLE MASTERプラチナを目指すという方、ネットワークマスターになりたいからネットワークスペシャリスト、CCIEを目指すという方等がいらっしゃいました。目標を立ててスキルアップできるのは、素晴らしいことなので全く否定する気はございません。
しかし、個人的にこの考え方は非常にリスキー。その人自身がデータベースに向いていると思うことと、実際にその人がデータベースに向いているかどうかは別だからです。もしかしたらその人が本当に得意なのはシステム設計かもしれませんし、マネジメントかもしれません。やってみなければ分からないですからね。目標を立てずに自己研鑽すれば幅広いスキルに触れられるため、自分の天職を探せる可能性は高くなるんです。
私自身もジャンルに縛られずに様々な資格勉強をしたことで、本当に自分が好きなこと、やりたいことを見つけられました。例えば、中小企業診断士やITストラテジストを勉強することで自分は仕組みづくりが好きなんだと知ることができました。また逆に秘書検定やプログラミングの試験を受けたことで、秘書やプログラマーに適性がないことが分かりました。ならなんでアプリ開発してるんだって話ではありますが(笑)。
「目標がないから自己研鑽に踏み切れない」と考えている人は逆に「自己研鑽をすることで目標が見つかる」という発想に切り替えましょう。目標を枷(かせ)にしてはいけません。
■将来像を明確にする必要もない
今現在、あなたが五年前、十年前に思い描いたような自分になっていますか?
清涼飲料水で世界一有名なコカ・コーラも、リーバイ・ストラウスの世界一有名なジーンズも、偶然できた産物であるのは有名な話です。メジャーリーガの松井秀喜は小さい頃サッカーをやっていたようですし、NBA選手の八村塁は野球が大好きだったようです。つまり、将来像がそのまま自分の将来と重なることなんてほとんどないわけです。
私の場合も五年前、十年前にイメージしていた姿からはかけ離れていますし、十年後の自分がどうなっているかなんて予想もできません。個人家庭教師になろうとしていた私が応用情報技術者試験を受験するときに、たまたま問題集アプリを購入しました。満員電車でも起動でき、ワンクリックで先に進んでいかれるので紙の本よりも使い勝手が良いことを知りました。
そこでプログラミングを多少かじっていたこともあり、自分でも作成しようとして完成したのが私の初アプリ問題集「最短合格! 世界遺産検定2級」でした。資格勉強をはじめたときは、まさか自分が個人アプリ開発者になろうとは予想だにしておりませんでした。現在ではアプリ数も増えており、アプリ問題集では解説が難しいものについてはnoteにて発信するに至っています。直接指導するのでは教えられる人に限界があるので、今後もアプリのようなインターネットを通じた不特定多数への教育サービスにメインとしていきたいと考えております。
将来の漠然としたイメージを持つことは必要です。私の場合は、質の高い教育を届けたいという漠然としたイメージはあります。人生はその場その場の生き方や考え方で変わります。そしてそれは知識や経験に影響されていくため、事前に完璧に予測することはほとんど不可能です。であれば、今できることを全力で実践し、その時々の時流に合わせて方向性を修正していくことが良いのではと思います。
■仕事はたのしいかね?
とはいえ、たったの2500文字程度の文章を読んだだけでは自己研鑽に踏み切れない方は多いかと思われます。そのような方におススメするのが「仕事は楽しいかね?」という本。物語風に進んでいくビジネス書なので、本を読むのが苦手な方でも取っつきやすいでしょう。
この本はひとりの仕事に悩みを抱えたサラリーマン視点で物語が進んでいきます。乗るはずの飛行機が運休してしまいシカゴ空港で足止めをくらった時に、ある老人と出会います。その老人が界隈では有名なコンサルタントで、サラリーマンの悩みについて助言をしていくというストーリーです。
この本の中の一節である「明日は今日と違う自分になる」という人生の考え方、そして「あるべき状態より、良くあること」という成功の秘訣は、今でも常に意識しております。
目標を立てて足踏みするよりも取りあえず努力しろ。これを実践するだけなので、ぜひとも実践してください。
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とある日、一通のメールが届きました。タイトルは「文部科学大臣賞のご連絡」。これまで多くの試験を受験してきましたが、このようなメールをいただいたことは初めてでした。
私が受験したのは2019年度のCGクリエイター検定前期エキスパート試験です。この時の合格率は23.55%であり、例年よりも多少難化していました。確かに、過去問と比較するとやや踏み込んだ問題も多かったような印象を受けました。
本記事ではCGクリエイター検定エキスパートの合格率の考察および最高得点を取得するに至った私自身のバックグラウンドを紹介したいと思います。合格体験記については「CGクリエイター検定エキスパート 独学1発合格 〜勉強時間: 10時間〜」をご参照ください。
■文部科学大臣賞とは
CG-ARTS主催の試験は5検定各2レベル(ベーシックおよびエキスパート)の計10個です。それぞれは下記のようになっています。
◎CG-ARTS主催の試験一覧
・CGクリエイター検定エキスパート
・CGクリエイター検定ベーシック
・Webデザイナー検定エキスパート
・Webデザイナー検定ベーシック
・CGエンジニア検定エキスパート
・CGエンジニア検定ベーシック
・画像処理エンジニア検定エキスパート
・画像処理エンジニア検定ベーシック
・マルチメディア検定エキスパート
・マルチメディア検定ベーシック
上記それぞれの試験の最高得点取得者に文部科学大臣賞が贈られるようです。試験の手ごたえはそれなりにありましたし、途中退出も早めにしましたので合格は確信しておりました。しかしまさか最高得点だったは思いもよりませんでしたが。
受賞すると後日CG-ARTSの方からメールが届きます。受賞者情報をどこまで公開して良いかとのお話でしたが、私は団体名の開示の欄は非公開でお願いしました。個人でSkype家庭教師をやっていたのですが、現在積極的に募集をしていないため、わざわざ載せる必要もないかなと思い。
以下、文部科学大臣賞の贈呈品の紹介です。
【贈呈品の紹介】
梱包
賞状を持ち運ぶためのバッグ?
賞状
■CGクリエイター検定エキスパート検定の合格率
2019年度の合格率は下記のようになっております。
出典:https://www.cgarts.or.jp/kentei/result/passing.html
CGクリエイター検定は5検定の中でもっとも受験者数が多いのが特徴です。エキスパート試験において合格率は20%〜50%の間で推移しています。このことから受験者の上位何パーセントを合格させるような相対評価ではなく、基準点を超えたら全員合格という絶対評価をしていることが分かります。
とはいえ、文部科学大臣賞受賞については20%でも50%でも関係ないのかなと。試験がどんな難しかろうと易しかろうと1位を取るということは合格率にはほとんど関係ないので。50%の時の最高得点者の方はもちろん20%でも合格できるでしょう。なんといっても例年1000人ほどの受験者のうち1位は0.1%ということですから。
■筆者のバックグラウンド
私はCGクリエイターではなく、ITエンジニアを本業としています。本業の傍らスカイプ家庭教師をしていますが、教えている内容も中小企業診断士や行政書士、応用情報技術者試験、簿記といったCGクリエイターからはかなり遠い。つまり、現場でバリバリCG作成に携わっているような人間ではありません。
とはいえ全くのCG作成が初心者というわけでもありません。まず、私は以前にCG-ARTS社の主催するCGエンジニア検定エキスパート試験および画像処理エンジニア検定エキスパート試験に合格しております。直接CGクリエイターと関係するわけではありませんが、CGに関する基礎的な知識は持ち合わせておりました。
また、写真撮影を趣味としておりまして、休日に一眼レフカメラと三脚を持ち出して風景写真を撮っております。ですので、シャッター速度やISO、F値(絞り)を変更すればどのように変化するかは体感として覚えているため、撮影関連の項目については勉強しなくても解けるレベルにありました。
そして、個人的に人物の3DCGも作成したことがあります。
私はVTuberが出る前から仮想キャラクタを動かして私の分身を作れないかと日々考えておりました。そこで、私の代わりのアバターとしてCGでキャラクタを描き、仮想空間上での学校みたいなものが作れないかと今でも思っております。
そこで目をつけたのが3DCGモデリングでした。3Dで作成したキャラクターと対話しながら勉強できるような仕組みを作れば、私自身が教えることなく教育の場を提供できないかと考えているからです。
とはいえ、そのような仕組みをどうやって作れば良いかは分からない。そこで3Dプログラミングを容易にするUnityと3DモデリングツールであるAutoDesk社の提供する3dsMaxを学習することにしました。
元々ITエンジニアということもありUnityについては習得コストはそれほどかからずに使えるようになりました。しかし、3Dモデリングは非常に難しかった。リギングやスキニング、アニメーションといった初めて聞くような用語と戦いながらも通常3年以上かかると言われる人物モデリングを数ヶ月でできるようになりました。
人物モデリングまでできるようになれば、モデリング系の問題はどれもサービス問題に思えるかと思います。ライティングやアニメーションについてもツールでやったことを試験で答えるだけです。
また、エキスパート検定には必ず著作権法に関する出題があるのですが、ここら辺の法律については中小企業診断士試験でひたすら勉強していたので覚えることはほとんどありませんでした。
このようなバックグラウンドがあるためか、試験勉強も非常に楽しく、いつもは勉強時間をギリギリまで削った最短合格を狙っていたわけですが、ことCGクリエイター検定においてはオーバー気味に勉強してしまいました。とはいえ総勉強時間は10時間程度のため、必要最小限の勉強時間に抑えたとは思いますが。
■最後に
以上のように勉強時間10時間とはいえ、それまでの蓄積がかなりあったから文部科学大臣賞を受賞できたのだと思います。おそらく全く勉強しなくても合格できていたかもしれませんし、どの年度の試験を受けたとしても少しでも勉強すれば合格できる自信はあります。
最高得点というものは取ろうと思って取れるものではありません。その時の問題の相性にも強く影響されるからです。試験で最高得点を取得した合格体験記というものはあまり見かけませんので、本記事が何かしらの役に立てられればなと願います。
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ある朝ーーカバンに本を入れ忘れてしまい、通勤時間に何もやることがなくなってしまいました。その時、スマホのAmazon Kindleアプリを開いて気になるタイトルを発見。それはとても有名な本で以前から読みたいと思っていたものでした。通勤の片道時間だけで読み切れるサイズでしたが、その内容は非常に深い。早速、この本で学んだことを記事にしようと思いました。
■人生は迷路である
まずは人生とはどのようなものかを考えてみます。
明日のことを分かると言う人はどれほどいるだろうか。明日のことなんて分からないから、取りあえず今日一日を過ごしてみる人が多いのではないでしょうか。ほとんどの人は無意識に毎日を過ごしているでしょうが、よくよく思い起こしてみると一日の中で「どこに行こうか」「何をしようか」といった選択を何度も迫られていることが思い起こされます。そこで間違った選択をした場合は寄り道をしたと感じ、他の選択をすることになります。
迷路は先が分からないからこその迷路です。そして分岐の連続です。色々な分岐があって、行き止まりがあり、そのたびに寄り道をしたと感じて軌道修正してゴールを目指す。
こうみると人生と迷路は似ています。人生は迷路と言っても良いのかもしれません。であれば、人生を攻略するためのヒントは迷路にありそうです。
迷路をクリアするためにはいくつかの方法があります。その一つが右手法と呼ばれるものです。右手を壁につけてひたすら壁沿いに進んでいけばーー効率云々はさておきーーいつかはゴールにたどり着けます。
たとえ進んだ先が行き止まりでも戻れば良いだけです。むしろ、右手法において寄り道とはゴールに着くために必要なルートのひとつに過ぎません。
もしかしたら迷路に規則性があるかもしれませんし、どこかに迷路を詳細にあらわした全体マップがあるかもしれません。しかし、規則性を発見するにしても、どこかに落ちているかもしれない全体マップを拾うにしても、はじめは歩き回るしかありません。先が分からないからと、その場でとどまっていても何の進展もないわけです。
ーー動き回って社会の仕組みを学んでいく。そして運が良ければ全体マップのようなものが見つかるかもしれない。
人生を迷路と考えると、今自分たちが何をやらなければならないのかが見えてくるような気がしませんか?
■行動するだけではまだ凡人、行動し続けられて脱凡人
成功者の話を聞いて必ず聞くのが「行動力」というフレーズ。彼らに成功の秘訣を聞いてみると「行動したからだ」と一言にまとめてしまいます。しかし、よく考えてほしい。周りを見渡してみると、行動する人って結構いるような気がしませんか?
ーーブログなどで日記をつける人、一攫千金を狙ってギャンブルをする人、早起きしてランニングする人、スキルアップのために資格合格を目指す人
これらはすべて「行動力」と言えるのではないでしょうか。今までやってこなかったことに一歩を踏み出すことは行動したからに他なりません。ということは、行動する人というのは意外と多いのではないかと推し量ることができます。
しかしここでもう一歩踏み込んで考えていただきたい。先ほどの行動を一年以上続けられている人はどれくらいいるでしょうか。皆さんの周りの人たちを思い浮かべてみてください。一人でしょうか、二人でしょうか、それとも十人以上でしょうか。
もしこの問いに十人以上と答えられたとしたら、環境に恵まれていると思います。きっとあなた自身も行動力の塊のような人で、お互いに刺激しあって成長していくことでしょう。
しかし、大半の人はゼロ人、多くて一人か二人といったところではないでしょうか。どうしてそんなに続けられないのか。その原因はいくつか考えられます。
ーー行動した結果失敗してしまい自信喪失してしまった人、周囲の反対にやる気をそがれてしまった人、目に見える結果がでなくて続ける意義を見出せなかった人、そもそも飽きてしまった人。
そうです。行動をすることは比較的容易なのですが、行動の継続は非常に難しいのです。自信喪失を克服するには強い精神力が、周囲の反対を押し切るには強い意志力が、結果が出ないのに続ける勇気が、飽きに負けないモチベーションがーー必要になるからです。
さらに、ただ単に行動をし続けるだけでは効果が薄い。前回行動した結果を反省し、改善し、常に工夫して試行錯誤できる姿勢も求められます。凡人は行動し続けることができない。それができるだけで凡人から脱出できたことを意味します。
■チーズはどこへ消えた?
行動をし続けるための魔法のような方法はありません。それは自分自身の気持ちを変えるしかないからです。しかし、ヒントやキッカケは与えられます。それを与えてくれるのが今回紹介する「チーズはどこへ消えた?」(著:スペンサー ジョンソン)です。
迷路に迷い込んだネズミ二匹と小人二人を主役にした本書は秀逸です。迷路は人生を象徴し、四人(?)の登場人物は現実にいるであろう四タイプの人間を表しています。またタイトルにある「チーズ」はただの食べ物のことではなく、人生において私たちが追い求めるもののシンボルとされている点も面白い。
書籍の概略は「今まで当然のように続いていた日常が崩れた時に各登場人物はどのように行動するのか」といったもの。たぶん皆さんも自分自身と周囲の人たちを登場人物に当てはめることができるかと思います。
『恐怖がないとしたらどうするか?』
これが本書で特に印象に残ったフレーズです。行動するときにも、恐怖で行動をし続けることを辞めようと思ったときにも使える自分への万能問いかけです。本の登場人物の中の一人は、この言葉を自分に言い聞かせたことで「チーズ」にたどり着けることになりました。
『七つの習慣』のような「ザ・ビジネス書」といったものも良いのですが、量が量だけに挫折する人も多いと聞きます。しかし、本書は『金持ち父さん、貧乏父さん』のような物語を題材にしたストーリーとなっていて、読んでいるだけで楽しい。しかも文字数が少ないためすぐに読み切ることができる。
「ビジネス書って何を読んだらいいの?」「ビジネス書って最後まで読めないんだけど……」という方々に真っ先におススメできる良書です。
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今回は、中小企業診断士二次試験の口述試験です。
長かった試験もこれで最後です。ここを落とすと再び筆記試験からやり直しになってしまいます。とは言っても、ほとんど落ちることはありませんので、今までほど試験対策する必要はありません。
■概要
一次試験および二次筆記試験に関しては過去記事をご参照ください。本記事では二次試験の中の、特に口述試験について概要を説明します。
口述試験は中小企業診断士試験の最終試験になります。これに合格すると、その後に実務補習を受けることができます。
口述試験の合格率は毎年99%以上です。ということは、落とすための試験ではなく受からせるための試験です。おそらく、対人関係が極度に苦手な人や大事な場面で欠席するような人だけをフィルタリングするつもりでしょうね。
筆記試験の合格発表の1週間後に口述試験となります。筆記試験に確実に受かっている自信のある人は非常に少ないと思われるため、基本的にはこの1週間で準備することになります。
口述試験は一般の企業面接などとは違って、二次試験で出された事例から口頭で問題を出される形式です。中小企業診断士試験の受験動機などはまず聞かれることはありません。口述試験会場への持ち込みは時計のみという点に注意です。筆記試験の問題はもちろん筆記用具やメモ用紙を持ち込むこともできません。つまり、筆記試験で出題された4つの事例すべての与件文を頭に入れておかねばなりません。
また、概して面接官が中小企業の社長役をして、受験者がコンサルタントとして助言をするという流れになります。
あと、気をつけるべき点は当日の急用などです。試験時間の変更は不可能なことに加え、勤務先の命令による住居の移転を伴う勤務地変更ではない限り受験場所の変更はできません。つまり、インフルエンザに罹ったり、当日急な出張が入ってしまった場合はアウトです。
■試験結果
短期間で、なおかつ新たに対策本を購入することなく合格できました。
・期間:6日(勉強時間 6 時間)
・費用:0円(参考書代等0円)
・得点:面接のため不明
■計画
口述試験の対策は筆記試験の合格発表後から開始することにしました。合格率がほぼ100%ですので1週間もあれば十分です。また、面接形式ですので、特に机に向かうことはなく通勤時間だけを使って対策することにしました。1日1時間学習するとして6時間は使える計算です。
初日に4つの事例を再度全部読み直します。筆記試験で何度も読んだ事例のため、一度読めば容易に思い出すことができるはずです。そして、筆記試験の再現答案を用意し、予備校の模範解答を入手しておきます。この際、全ての予備校の解答を入手する必要はありません。1ヵ所だけで良いでしょう。資格学校の中には口述試験の予想質問集をネットで無料公開してるところもあります。筆者は、資格の大原のものを選択しました。郵送等の面倒な手間を必要とせず、簡単な個人情報の入力だけでダウンロードできるからです。
2日目から事例1を開始し、再現答案、予備校の解答、予備校の口述試験予想問題を使いながら進めます。各事例を1日ずつあてていきます。
口述試験前日に各事例のSWOT分析だけ作成しておきます。口述試験は模擬的なコンサルティングということなので、SWOT分析をしていれば最悪沈黙することだけは避けられるはずです。SWOT分析をしたら、それぞれの項目に?、?…… のように採番し、それぞれの会社に強み、弱み、機会、脅威がいくつずつあるか明確にしておきます。これによって、面接官に「A社の強みを教えてください」と質問された場合に「A社の強みについて説明します。A社の強みは3つあります。1つめは……」のようにコンサルらしく話せるからです。
■実行
予備校の解答と自分の再現答案と比べると結構違う。筆記試験には公式解答が存在しないため、必ずしも予備校が正しいとも限らないため、自分の解答をベースに口述試験に備えます。とは言っても、予備校の解答中の良さそうなものはシッカリと頭に入れておきます。追加で質問が来た場合への対応用です。
1日1時間1事例はそんなに大変でもなく、十分電車の中だけで終えることができました。
試験直前日は各事例のSWOT分析をした結果を頭に入れておきます。特に事例4は他の事例と比べて試験中にSWOT分析をする機会が少ないため、この時点で良く覚えておく必要があります。
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IT、デザイン、簿記、FP、語学、販売サービス、法律、会計、経営、美容、旅行、自然環境……
これらは私が取得してきた資格ジャンルの一部です。分野に捉われない幅広い種類の資格勉強をする過程で経済学や経営学にも触れてきました。
経済学においては、お金は「価値の尺度」「価値の貯蔵」「交換の媒介」の手段であると。そして経営学では、企業の目的は顧客の創造であり、その効用に対して顧客は支払いの意思も持つ(つまりお金の移動が起こる)と学びます。
ここにお金を悪とするような思想は一切なく、現代社会が回っていく上での便利ツールとしての位置づけでしかありません。
世の中にはお金を毛嫌いする人がいる一方で、お金を絶対視してそれを稼ぐために人生を捧げる人もいます。ただの便利ツールにどうしてそこまで感情に違いが出てくるのか不思議でならず、そこから本記事を執筆するに至りました。
インターネット上にはお金に関する数多くの記事が溢れています。しかし、ただ単にお金のことについて話すだけでは他記事との差別化が図れません。そこで本記事においては問題解決のアプローチにのっとり、初めに目的設定(自由人になること)をし、次に現状分析(感情に支配されている現状理解)、そして最後に行動指針(感情をコントロールして自由になる)という構成で進めていきたいと思います。
■自由人と不自由人
この世の中に生きているほとんどは不自由人に分類されます。不自由人とは、経済的、社会的、精神的に誰かに依存している人のことです。毎日会社に通って仕事をしないと生活ができない人、何か困ったときに会社や国に何とかしてもらおうと思っている人、常日頃からストレスを感じながら生きている人、など。
一方、自由人とはそういった柵(しがらみ)から解放された人を指します。具体的にはビジネスオーナーや資本家、有名スポーツ選手など。彼らは独自にお金が入ってくる仕組みを作り出せるため、自身で働かずとも生きていくことが可能です。基本的には私生活を満喫し、退屈な日々に嫌気がさしたら働けばいいし、寝ていたければ好きなだけ寝ていられる。煩わしい人間関係に苦労することもないのでストレスを溜めることもない。つまり、経済的、社会的、精神的に自由な人たちです。
もしかしたら不自由人を好む奇特な人もいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどの人は自由人を選ぶのではないでしょうか。そして、ここからはこの自由人になるためにはどのようにしたら良いか、について議論を進めていきます。
■感情をコントロールして好きなことを見つ出す
人には「得意なこと」と「好きなこと」があります。そして残念なことにそれらがイコールでないことが多い。ちなみに私の好きなことは知識の幅を広げることです。まぁつまりは好奇心を満たしたいだけです。
現実問題としてほとんどの人は日々の仕事に追われてしまっているため、自分が好きなことを分かっていないように思えます。過ちとしてありがちなのは、得意なことを好きなことに重ね合わせてしまうことーー今の仕事が好きなことだと自分自身に思い込ませ、目の前の仕事に人生をかけるほどに注力してしまう人を少なからず見かけてきました。いわゆる洗脳状態です。そういう人は仕事仲間や上司、会社、さらには家族などの悪口を言う傾向にあります。
これを回避する手段が感情のコントロールです。
感情のコントロールは、まず自身について考えるところからスタートします。一度仕事から離れてみて自分は何をやっている時が幸せなのかを熟考します。そして好きなことが分かったら、それを全力で実行します。好きなことに夢中になっていれば他人の悪口なんて言っている暇もないでしょう。周囲に不満を持つということは感情に支配されてしまっている証拠ですから。
次に好きなことをどのように仕事と結びつけるか。
人と話すのが好きなら接客や営業職、プログラミングが好きならエンジニア、教えることが好きなら教師。中には動物と遊んだり、ゲームをしたり、スポーツをしたりすることが好きな人は仕事に結びつけるのが難しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、それも発想次第で何とでもなります。
動物が好きなら動物と触れ合えるコミュニケーションサイトを運営することもできますし、ゲーム好きの中にはゲーム実況や攻略法をYouTubeやブログで公開する人もいます。スポーツであればジム経営やインストラクター、スポーツテクニックの紹介動画を公開するという手もあります。
かく言う私は知識の幅を広げることが好きです。そこからより多くの人に私の勉強法を公開したいと思ってブログを開設し、問題集アプリやnoteも作成し、さらには個人スカイプ家庭教師という形で教育サービスに結びつけています。
昔から「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるように自分が好きなことは上達も早い。現在の分業社会においては、残念ながらほとんどの人が洗脳状態にあります。上手に感情をコントロールすることで洗脳状態に気がつき、自分が好きなことを探すことで自由人へ近づくことができます。
感情のコントロールのやり方については、以前ブログで紹介したのでそちらもご一読くださいませ。
「『自省録』に学ぶ 〜感情をコントロールして人生を謳歌する〜」
■お金は人を喜ばせた分だけ貰える
感情をコントロールして自由人になりたいと思えたら、次はどのように自由人になるかです。そこで肝になるのがお金です。
まず、お金とは何かについて考えてみましょう。
お金の役割は「交換の媒介」です。元々物資のやり取りは物々交換が主体でしたがとても不便でした。そこで生まれたのがお金です。昔はりんご農家がお米を欲しいときに、お米農家に伺ってりんご10個とお米1kgを等価交換していました。しかし、お米農家がりんごを欲しくないときにこの取引は成立しません。そこで、りんご1個100円、お米1kg1,000円のように物に金額を設定し、りんごとお米の取引をお金のやり取りを通じてーーすなわち、お金を物々交換の媒体として−ー成立させたというわけです。
お金は国によって発行されますーー日本なら日本円、アメリカならアメリカドルです。どうしてお金が効力を持つかというと、ひとえに国の信用力があるからです。日本やアメリカが存続する限り、そのお金はその国で使えることになります。しかし、ひとたび国が危機に陥るとお金の価値が暴落します。過去のジンバブエドルや近年ではベネズエラが該当するでしょうか。国家がピンチになれば信用が落ち、お金の価値は下落することになります。つまり、信用の上に価値が成り立っているものがお金です。
まとめるとお金とは「国の信用力によって価値が保証された交換の媒介手段」です。まさに経済学で学んだことです。
ここで考えていただきたいのは、お金は信用が形になったものであるということです。サービスというものは、設定された金額以上だと客が感じた場合に売買が成立します。誰かがあなたにお金を支払うということは、あなた自身もしくはあなたの提供するサービスに信頼をおいているからこそです。つまり、お金を稼ぐ行為は、客から信頼を得ていると言い換えられることができます。
すなわち、客がお金を払ってもいいと思うぐらい価値のあるサービスを提供することが経営です。
■『ユダヤ人大富豪の教え』で成功の原理原則を学ぶ
本書は2020年時点で全三巻が出版されていますが、そのうち一巻と二巻はお金の哲学について、三巻は人間関係に焦点をあてた内容です。
『ユダヤ人大富豪の教え』というタイトルだけ聞くと「お金持ちになる方法かな?」とも感じ取ることができて、少々胡散臭さもあります。しかし、本書はそのようなお金を稼ぐ方法論を述べる内容でなく、お金持ちになるというのはどういうことか(自由人と不自由人の対比)、そしてお金持ちになったらどう行動すべきか(他人に施すことの大切さ)、といったところまで踏み込んでいます。
確かに資本主義社会において金を持つということは重要なことですが、それが目的になってはいけない。あくまでもお金は手段であり、お金を持つにはどのような資質が求められるか、そしてどのような還元を社会にしなければならないか、というお金を稼ぐ前から稼いだ後までを一貫して紹介しているところに本書の面白さがあります。
筆者の大好きな書籍に『7つの習慣』というものがあります。大ベストセラーのためご存知の方も多いでしょう。『7つの習慣』は、成功するためのHow to本ではなく、原理原則を述べた内容となっています。
『ユダヤ人大富豪の教え』も『7つの習慣』同様に、原理原則に触れた本なので万人におススメできる書籍です。
■まとめ
問題解決の基本は「目標設定→現状分析→実行」です。人生においてもこのアプローチは有用です。
『思考が人生を形づくり、感情が人生をコントロールしている』
これは『ユダヤ人大富豪の教え』の中の一文です。まず自由人になるという思考によって人生を形づくって、感情をコントロールして、人生を成功に導いてください。
今回はIPA主催の応用情報技術者試験を受けました。2ヶ月前に受けて今月やっと合格発表が行なわれました。 結果は合格。無事に応用情報技術者に認定されました。
働きながらの勉強期間20日での合格はかなりハードでした。 とにかく無駄な時間を省き、休日も効率的に使うことが大事です。 たまに学生が1週間で合格したという話しをききますが、 確かに昼間も勉強できる学生であれば1週間で合格できそうです。
ちなみに筆者は基本情報技術者試験を受験していません。 次の2つの理由から基本情報技術者を飛ばして応用情報技術者を受けました。
まず、ITパスポートが実質勉強期間3日で受かったので、 応用情報技術者に受かる自信があったから。 そして、IPAの試験は1年に2回しか実施されないため 基本情報技術者試験を受ける時間が勿体無いと考えたからです。
試験後の各資格学校の発表している解答速報で自己採点したところ合格点ギリギリでしたので心臓に悪い2ヶ月間でした。 ちなみに日商簿記2級試験の発表日もIPAの合格発表日と同じく12月21日で、 この結果報告については後日まとめようと思います。
■概要
応用情報技術者試験はスキルレベル3に分類され、合格者は国からITエンジニアとして応用的な知識・技能を有することを認められたことになります。一般的には実務経験が数年程度あるITエンジニアを対象としているため、スキルレベル2の基本情報技術者と比べて新卒での取得者数は限られてきます。逆に言えば、新卒でこの資格を取得していることで他との差別化を図れることになりますので、現役ITエンジニアには当然として、将来ITを使った職業に就こうと考えている学生等にもおススメの資格です。
■試験結果
■計画
本試験が10月21日でしたので、勉強開始予定の10月1日までに情報収集を行ない、 10月1日から勉強を始めました。 情報収集の段階で本試験を分析したところ、以下のような傾向があることが分かりました。
つまり、午後問題は午前問題の知識を利用して解くように作られているため午前問題の勉強で丸暗記をせず、問題の本質を理解するよう勉強すれば、 午後の勉強はほとんどしなくても合格できるということです。
とは言っても午後問題に慣れておく必要はあると考え 午前のためだけに14日間勉強し、 残りの7日間を午後の勉強時間にあてるようにしました。
午後問題は12題から6題を選択するようなので、以下の6題に決めました。
ここで注意がひとつ。短期間で合格することを目的にするのであれば、12題すべて勉強するのは得策ではありません。前述したように午後問題は午前問題の応用で解くことができますので、午後の学習は午前の知識を応用する手法を学んでいくことになります。つまり、本番で学習した6題以外の問題を本番に選択したとしても、午後の解き方が分かっていれば得点することが可能なのです。本記事の後の方で書きますが、実際に筆者は本番ではプロジェクトマネジメントを選択し、見事に9割近く取得することができました。
閑話休題、本番に選択予定の問題が分からなかった場合の保険として「経営戦略」「システム開発」を考えました。 使用する参考書、問題集はiPhoneアプリの「応用情報一問一答」「応用情報技術者予想問題集」「応用情報技術者 午後問題の重点対策」「ニュースペックテキスト 応用情報技術者」です。
※筆者合格時は「合格への総まとめ」を使っていたのですが古くなったので、同様のまとめ書籍である「ニュースペックテキスト(Kindle版も有)」をおススメします
現在、応用情報一問一答のKindle版が発売されていますが、どうしても書籍で学習したい方は「応用情報技術者 最頻出問題集」等で代用できるので、以下「応用情報一問一答」を「応用情報技術者 最頻出問題集」等に読みかえてください。
具体的な計画は以下の通りです。
・1日目〜3日目
「応用情報一問一答」の1周目を終える
・4日目〜5日目
「応用情報一問一答」の2周目以降を実施し、 さらに1周目で分からなかった問題を3回解けるまで繰り返す
・6日目〜7日目
休息
・8日目〜10日目
「応用情報技術者予想問題集」の午前範囲の1周目を終える
・11日目〜12日目
「応用情報技術者予想問題集」の2周目以降を実施し、 さらに1周目で分からなかった問題を3回解けるまで繰り返す
・13日目〜14日目
「応用情報技術者予想問題集」の選択予定の6題の午後範囲の1周目を終える
・15日目〜17日目
午前知識の確認として「ニュースペックテキスト」の1周目を終える。
午後対策として「応用情報技術者午後問題集」の選択予定の6題の1周目を終える
・18日目〜19日目
午前知識の確認として「ニュースペックテキスト」の分からなかった問題を3回解けるまで繰り返す。
午後対策として「応用情報技術者予想問題集」「応用情報技術者午後問題集」の選択予定の6題の分からなかった問題を3回解けるまで繰り返す
・20日目
前年度試験の過去問を解く。
時間があれば 「応用情報技術者予想問題集」「応用情報技術者午後問題集」の「経営戦略」「システム開発」の範囲の、問題は解かずに問題と答えだけを流し読みをする
■実行
計画通りはじめの3日間で「応用情報一問一答」の1周目を終わらせましたが、 2周目が予想以上に時間がかかり、5日目にしてようやく終了。 土日は休みたかったのですが、 計画通りに進めるために土曜日を使って全ての問題を3回解けるまで繰り返しました。
7日目〜12日目までは、 計画通りに「応用情報予想問題集」の午前範囲を仕上げることができました。そして、13日目の土曜日に「応用情報技術者予想問題集」の午後範囲を行なったのですが……
ネットワークと情報セキュリティの分野以外全く分かりませんでした。
今まで取得したベンダ試験の中ではCCNAくらいしか役に立ちませんでした。というのも、Oracle MasterやLPIC等の試験では細かいコマンドや、そのソフトウェアやOSに特化した仕組み等を覚えてきたのですが、応用情報技術者試験では幅広く汎用的、一般的な知識を問う問題が出題されます。つまり、狭く深く問われるベンダ試験と比べて、広く浅く問われるのが応用情報技術者試験です。
プログラミングに関しては実務でほとんど書いたことがなかったため、答えを見ても理解できない状態でした。そのため、時間をかけて勉強しても非効率だと割り切り、意味が分からないながらも答えと解説だけを見て1日で切り上げました。 14日目から選択予定の午後問題の6題を順番に進めていき、 17日目に予想問題集の午後問題と午後問題集の1周目が終了しました。
プログラミング、データベースに関しては全然分からないまま試験日3日前になってしまい焦りました。 18日目にシステムアーキテクチャの2周目から開始し、 ネットワーク、情報セキュリティ、組み込みシステムまでを何度も繰返して解説を読みました。 19日目にデータベースとプログラミングの2周目を開始し、解説を見て理解できる問題だけに集中してそれ以外は切り捨てました。
また、プログラミング問題は配点が高いのですが、それまでの演習量の少なさが不安でしたので「情報処理教科書 基本情報技術者 合格問題集」を急遽購入し、プログラミングの章だけ選択肢を隠して記述形式で解答しました。当然解けない年もありましたが、何とか解ける年が増えてきました。応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験を記述式にしたものですので、このような学習方法によって演習量を増やすことが可能です。
20日目には、時間配分を確認するために前回試験の過去問を解き、「経営戦略」「システム開発」の範囲に関しては解説だけ読んで 本試験に挑みました。
本試験会場は、新宿の専門学校でした。試験時間に余裕をもって到着。下層階は基本情報技術者試験で、上層階が応用情報技術者試験と分かれていました。エレベーターで基本情報技術者試験の階にとまると受験者たちの声が聞こえてきました。おそらく、集団で受験しているのでしょう。しかし、応用情報技術者試験の階は、シーンと静まり返っており、緊張感が漂っていました。
試験が開始すると午前試験は順当で、過去問と同じ問題がいくつか出題されました。合格ラインを超えていた自信がありましたので、午後問題には不安なしで挑むことができました。昼食を食べ終わってから会場の周りをぶらぶらして気分をリラックスさせました。
次に本番の午後試験。予想外にも午後問題はデータベースと組み込みシステム開発に関しては問1から解けなかったので、急遽全問を見渡し「情報システム」「プロジェクトマネジメント」に切り替えました。 それまで一度も学習していなかった「情報システム」「プロジェクトマネジメント」でしたが、午前知識の応用と午後記述式の対策をしていたことで解くことができました。特にプロジェクトマネジメントは9割近く得点することができました。また、直前の演習量が功を成してか、最も心配だったプログラミングが解けたのは幸いでした。
合格発表日には成績開示時間が待ち遠しく、時間になった後で半ば諦めた気持ちで結果をみると合格していました。
■総評
私の場合20日間で合格できましたが、これは決して簡単な試験ではありません。基本情報技術者に合格した直後で知識が十分だと思っていても、午後は記述なので選択式に慣れた曖昧な知識で挑んでしまうと、手も足も出ない怖れもあります。 特にIT系の知識のない人は2ヶ月程勉強しないとキツイ試験だと思いますので、 自分のレベルと試験のレベルの差を確認し、適切な計画を立てることが重要です。
最後に。
それまでの経験が勉強時間に影響するとのコメントをいただいたので、筆者の経歴は「スカイプ家庭教師」でご確認を。応用情報技術者試験は、新卒でIT業界に入社したその年の秋受験で合格しました。
大学時代にプログラミング実習の経験はありません。具体的にいうと、研究室でC++による高速演算処理をやろうと思いましたが数日で挫折し、それ以後3年間プログラミングアレルギーになっていました。今でこそプログラミングができるようになり、個人でAndroidアプリを作成していますが、未だにプログラミングが好きではありません。必要だからやっているだけです。
IT業界に入ってからは1週間に1つの資格を取得することを目標にしました。過去の記事をみていただければ分かりますが、5月入社(事情があり4月入社ではないんです……)してから応用情報技術者に挑戦するまでに取得した資格は下記の通りです。IT系以外は除外します。
色々取得していますが、本記事にも書いてある通りCCNAくらいしか役に立たなかったというのが本音です。午前に関してはITパスポートが役に立ったといえば役に立ったのかもしれませんが、試験慣れしてる人にとっては午前試験は一般的な選択式試験ですので問題なく通過できるかと思います。
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■はじめに
久々の資格試験の合格体験記です。今回合格したのはAWS(Amazon Web Service)認定ソリューションアーキテクト アソシエイト試験(SAA)。現在、クラウドサービスの世界トップに君臨するAWS社の開催する資格試験です。
ちょうど、今月12月の上旬にAWS re:InventというAWS最大のカンファレンスに参加することになっていて、知識レベルを上げておくために本試験の受験を決めました。あと、AWS認定資格をもっているとAWS主催のイベントで認定者限定のラウンジを使えるってメリットもありましたしね(笑)
ちなみに受験前の私のレベルですが、AWSはS3とEC2、そしてIAMとLambda以外はほとんど触ったことがない状態でした。実際にAWSを使ったことはありました。が、受験してみて分かったことは、資格合格が目的であれば実機を動かす必要はありません。そもそも、出題範囲が広すぎて、出題される全サービスを触ったことのある人なんてほとんどいないのではないでしょうか。
ですので、AWSにこれから携わろうとしている方も触ったことがないからと臆することなくぜひ受験してみてください。
■AWSとは
まず、AWS社とは何ぞやというところから説明を。
AWSはAmazon Web Serviceの略です。名前にAmazonとついていることからも分かるように、皆さんもご存知の世界最大のオンラインショッピングストア『Amazon.com』の裏側で動いているサービスを運営する会社です。365日24時間停止することがなく、顧客にショッピングサービスを届けられるシステムは秀逸です。その素晴らしいシステムをAmazon以外でも使えるように提供されているのがAWSと呼ばれるクラウドサービスであり、それがそのまま会社名になっているわけですね。
こういったサービスが出てきたことによって、システムエンジニア(SE)の仕事も昔と今ではかなり違ってきています。
以前はサービスを提供するためのシステムを構築するとなると、まず機器を揃えてきて、配線を行なって、機器ごとの設定をして、OSをインストールして、各種アプリが動くようにパッケージを入れて、、、といったような非常に面倒くさい作業がありました。初期コストも大きいですしね。
それを今ではクラウドサービスといった形で、顧客がすぐにサービスをはじめられるようなインフラが丸ごと提供されるようになりました。なので、お金に余裕のない中小企業、さらには個人レベルでもサービスを提供しやすくなりました。
まぁ、ここら辺の詳細についてはAWSで検索すれば色んなサイトがありますのでそちらに譲るとして。次に、このクラウドサービスについてのスキル証明であるAWS認定資格試験について簡単に紹介を。
■AWS認定資格について
AWS認定資格には、2020年現在11種類存在します。
●基礎
・クラウドプラクティショナー
●アソシエイト
・ソリューションアーキテクトアソシエイト(アーキテクト)
・SysOpsアドミニストレータアソシエイト(運用)
・デベロッパーアソシエイト(開発者)
●プロフェッショナル
・ソリューションアーキテクトプロフェッショナル(アーキテクト)
・DevOpsエンジニアプロフェッショナル(運用、開発者)
●専門知識
・ネットワーク
・ビッグデータ
・セキュリティ
・マシンラーニング
・Alexaスキルビルダー
この中で私が今回受験したのは「アソシエイト」の中の「ソリューションアーキテクトアソシエイト」という試験です。
これを選択した理由としては、AWSに関する幅広い知識を習得したかったからです。プロフェッショナル系と専門知識はまだ必要なく、クラウドプラクティショナーよりは深い知識を得たかった。
で、アソシエイトレベルになるのですが、運用や開発者よりもシステム設計が幅広く知識を習得できると考えたためソリューションアーキテクトを選んだという次第です。
実際にこのソリューションアーキテクトアソシエイトは初AWS認定資格受験者にとって人気があるようで、合格体験記もかなり多かったように思います。
■試験結果
・期間:30日(勉強時間 20 時間)
・費用:23,823円(受験料16,500円、参考書代等7,323円)
・得点:881点(1000点満点中720点以上で合格)
IT系の資格試験は相変わらず受験料が高い。ただし、このソリューションアーキテクトアソシエイト試験はまだ安い方で、ソリューションアーキテクトプロフェッショナルは受験料が約2倍です。
試験終了時には合格した確信はありませんでした。が、結果としては合格基準点をかなり上回った881点で合格できました。記事の後の方で紹介するWeb問題集のおかげです。
■計画
勉強期間は約1ヶ月。そもそもAWSについてほとんど知らなかったので入門書を買うことにしました。
実際に書店に行ってみて立ち読みして一番気に入った「最短突破 AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト 合格教本」を購入決定。文字数が多くなく、サービスごとに概要が書かれおり、イラストを多用していて分かりやすかったからです。
逆に、AWSについて知見のある人は「AWS認定資格試験テキスト AWS認定 ソリューションアーキテクト-アソシエイト」がおススメです。分量が多く、入門書のようなサービスの羅列ではなく中身まで踏み込んだ内容となっているため、より実用的な書籍になっています。
書籍では圧倒的に演習量が足りないため「AWS WEB問題集で学習しよう」というWEB問題集サイトを利用しました。ソリューションアーキテクトアソシエイトであれば60日間3,880円のゴールドプランで十分です。その後に別のAWS試験も合格する予定の方は、目的に応じてプラチナプランやダイヤモンドプランにしても良いでしょう。私はソリューションアーキテクトアソシエイトだけを受験する予定でしたのでゴールドプランにしました。
このサイトにはソリューションアーキテクトアソシエイトの問題が900問以上収録されています。しかし、チェックしておきたい問題にマークをつける機能がなく、さらに問題ごとの正解履歴を残せないという使いづらい面が多い。まぁ他にマトモなWEB問題集サイトがないので仕方がないでしょう。
この問題集を3周ほど回せば合格レベルに達することができます。
ちなみに、ある程度AWSに詳しい人であればこのWEB問題集だけでも十分合格できると思います。AWSサービスの種類をほとんど知らないような私のような方は、素直に書籍からはじめるのが良いです。問題集では「EC2とは何か?」みたいな初歩的なことは省かれていますので。。。
なお、AWSの公式模擬試験は受けませんでした。インターネット上の合格体験記では絶対に受けておいた方が良いという意見が多かったのですがね。
その理由は、模擬試験がわずか20問で税抜2,000円という金額のこともありますが、それ以上に模擬試験を受けても解答が分からないという書き込みがあったからです。となると、すべての問題のスクリーンショットを取得して、自分で正しい解答を調べなければならない。こういった作業は非常に時間がかかるため非効率です。
料金が2倍の4,000円でも解答と解説付きだったら受験したと思います。
■実行
まずは書籍から。各章の問題や巻末の模擬テストは必須ではありません。1ページ目から順番に読んでいってもイラストが多いのでつまずくことなく進められると思います。
当初、私はいつも通りに問題を解いてから説明を読むというスタイルで、各章の問題を解いてから章の初めに戻って説明文を読むようにしました。しかし、この本は本当の初学者向けのため説明が非常に丁寧で短く簡潔なので、いきなり説明文を読み進めても問題ないかと思います。
この本からは、AWSにはどんなサービスがあって、どんな機能があるか。また、AWSの基本構想(三層アーキテクチャ)を理解できれば十分でしょう。この本のレベルだと、CloudFormationとElastic Beanstalk、OpsWorksの違い及びそのユースケースは分からないと思います。後ほど手をつけるWEB問題集でそこら辺はカバーできるので、取りあえずはインフラ構築を自動化できるサービスなんだなとひとくくりにしてしまって良いでしょう。
CloudWatchとCloudTrail、EBSのボリュームタイプについても深くは理解できないので、前者は監視サービス、後者については色んなタイプが用意されていて用途に応じて使い分けるんだな、という程度で留めておけばOK。WEB問題集で何度も繰り返して出題されるポイントなのでイヤでも覚えることになります。
そんな軽い気持ちでサラッと3周ほど読み通します。私は章末問題までキッチリと解いたのでここまで3時間ほどかかりました。これでWEB問題集に進む準備ができたことになります。
次にWEB問題集に進みます。
この問題集は7問ずつが1セットになっていて、それが約130セットあります。そして、後半に行くにつれて問題分が長くなって、より実試験問題に近いような出題になっていきます。おそらく、試験が開始された当初は前半のような単純な出題だったのですが、徐々に試験問題が進化して応用問題を含むようになったのでしょう。
1セット目〜80セット目くらいまでは1時間で20セットをこなしていきます(4時間)。分からない問題はすぐに解説を読み、解説文が長ったらしいものに関してはポイントだけ抑えて読み飛ばします。
一般的な問題集では、どうして他の選択肢が間違っているのか、というところまで踏み込んで考えた方が良いのですが、本WEB問題集においてはそこまで深入りする必要はありません。その選択肢が正解となる理由を抑えるだけで十分です。なぜかというと、問題によっては解説が長ったらしいことに加えて、そもそも全問題数が900問以上と多いため、その他の選択肢が解答となっている問題も多く含まれているからです。
で、80セット目から130セット目までは1時間で10セットをこなしていきます(5時間)。問題文が長くなってくるので進めづらくなってきます。その他、気になったワードをインターネットで調べたりする作業が追加で1時間くらいかかりました。
WEB問題集の1周目は10時間ほどでした。
2周目も同じように最初から順番に解いていきます。ただし、2周目に分からなかった問題および解けたけれども少々不安な問題はスクリーンショットを取るようにしておきます。
これがこの問題集の悪いところなのですが、どの問題が解けて、どの問題が解けなかったかの履歴を確認することができません。なので、2周目に自信をもって答えられた問題は3周目に再度解くことのないようにスクリーンショットで撮った問題だけを3周目に解くようにします。これで時間節約です。
2周目は5時間ほどでした。
そして3周目。
2周目でスクリーンショットを撮ったものだけを解いていきます。分かったものからどんどん写真を削除していきます。3周目で分からなかった問題については4周目で解きなおし、全問題のスクリーンショットが削除出来たら終了です。
3周目以降は2時間ほどでした。
ちょうどこの作業が受験日の前々日に終わり、最終日は特に何もせずにゆっくりしました。
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日本では忙しく走り回り、人以上に努力することが美徳とされてきました。定時に帰る人は暇だと思われる一方で残業を多くする人が評価される。学校でも上手に手を抜いて成績を修めるよりも真面目な生徒が先生に気に入られる。無駄に大量の宿題を出されて、それを完璧にこなす生徒の評価が上がる。
我々日本人はこれが当たり前のように教育されてきました。が、いざ冷静になって考えてみると「おや?」と違和感を覚えます。確かに努力することは大切ですが、それ以上に結果を出すべきだということが忘れられている。まさに主客転倒。
とはいえ、多くの日本人がこのような思考になったことには原因があります。いや、日本というよりも世界的にでしょうか。
本記事では、なぜこのような努力が美徳と考えられてきたかを初めに論じます。そして次に世間的に悪とされる「楽をすること」のメリットをあげて、最後にビジネス書の名著である『金持ち父さん 貧乏父さん - アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』を紹介したいと思います。
■世の中はあくせく走り回る人がいなくては回らない
あくせく走り回る人がいなければこの世の中は回りません。これは資本主義の原理です。人間は元来苦労を避けて楽をしたがる生き物です。しかし、大人へ成長する過程において徐々に感情をコントロールできるようになって我慢を覚えます。ほとんどの人はこの我慢を駆使して楽をする気持ちを抑えることで社会を生きのびています。しかし、我慢をする必要がなくなったらどうなるでしょうか。当然、その人は再び楽をするようになります。
これが資本家や投資家ーーいわゆる金持ちです。苦労から解放されて楽に生きることを実現した希少種です。彼らは自分が動く代わりに、自身が働かないようにするために仕組みを作ります。あくせく働きまわる労働者が生み出した利益の一部を受け取ることで生活しています。株式会社は出資者からお金を借りて事業を行なっています。そして現場で働く人々が稼いだ金の一部が出資者に還元される仕組みとなっています。
これが現代の社会システムです。この世の中は残念ながら労働主義社会ではなく資本主義社会です。資本主義社会というものは、資本ーーつまり金をベースとして世の中が回るという思想です。
頑張ることを否定するつもりは全くありません。私が主張したいことは頑張る方向性を単純に労働時間を増やすことに費やすのではなく、仕組みをつくる方に向けるべきだということです。つまり、体で忙しくなるのではなく頭で忙しくなること。このように頑張る方向性を頭を使うことに注力することが資本主義社会で有利に生きるために必要なのです。
■楽をしなければ影響力のあることはできない
さて、ここからが本題です。
大きな影響力を持ちたければ自分自身で何でもやろうとしてはいけません。極端に言えば、楽をするということです。なぜならば、人間がひとりでできることには限界があるからです。
私自身、大学生の頃は、自分で研究して何か大きなことを成し遂げてやろうと考えていました。当時はノーベル賞を取得してやろうとも考えたこともありました。しかし、大学院で研究をやる傍ら家庭教師や塾講師の仕事をしていて徐々に心変わりしました。それは、自分一人の力だけでは多少の功績しか残せないだろうこと。それよりも、自分が教える側に徹して教え子たちがそれぞれの道で成功を残す方が、社会への影響が大きいということに気がついたからです。
そこで、就職後も個別指導塾のアルバイトを続け、その後スカイプ家庭教師として独立しました。私自身教えることが好きなので本業と副業を楽しく両立することができました。しかし、スカイプ家庭教師を続けているうちに一つの疑問が浮かびました。それは、家庭教師という手法では教えられる生徒に限りがあるということです。
人を雇って学習塾をはじめるという案も思いつきましたが、教育を任せられる人を探すことが大変難しい。また、当時はお金が無かったため、そもそも人を雇うほどの余裕はありませんでした。書籍にしても初期投資がバカにならない。そこで、スマホのアプリ開発に手を出すことにしました。スマホアプリならパソコン一台あれば開発できる上、一度作成してしまえばユーザが自由にダウンロードできるという。まさに初期投資が少なく、より多くの人々へ届けることができる素晴らしい手法でした。
その結果、教えるための仕組みができたことで私が直接教えなくても受験法を多くの人々に届けることができるようになりました。今では、アプリの他にもnoteというサービスを使って私の受験ノウハウを公開しております。今現在は、より大きな影響を与えられるソフトウェアの構想を練り終え、これから形にしていこうと準備をはじめている段階です。
■金持ち父さんの教え
「金持ち父さん 貧乏父さん - アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学」というのはロバート・キヨサキ氏が世に出した非常に有名なビジネス書です。皆さんの中にも読んだことがある方は多いでしょう。この本はお金に関する哲学の他に、実に多くのことを教えてくれました。その教えのひとつが「仕組みを作る」というポイントです。
例えば、店舗経営には大きく三つの役職があります。
一つ目は店舗で働いている店員です。この人たちは自身の労働力を店に提供し、複数人がシフト制で店を切り盛りします。
二つ目はマネージャーです。この人は管理に長けており、効率の良い人員配置や時間割、店舗の品ぞろえを考えてくれます。マネージャーのおかげで店員は販売という自分の役割に注力することができます。
そして三つ目がオーナーです。オーナーは店舗を提供するだけでよく、あとは優秀なマネージャーを見つけさえすれば優秀な店員とともに勝手に店が繁盛してくれます。
この店舗の例の中で人々の役に立ちたいと思った場合、どの役職になるべきでしょうか。
店員は対応した顧客ひとりひとりにとっては役に立てるでしょう。身近な人の役に立ちたいというのであれば現場の店員は良いと思います。しかし、店員はその店だけでしか影響力を持てません。
マネージャーにしても一つか二つの仕事を持つのが限界でしょう。この人が影響を与えられるのは、自分が担当した店舗のみです。店員よりは広範囲の地域貢献というのであればマネージャーが適任かもしれません。
一方でオーナーは何十個、何百個、時には何千個以上もも店舗を持つことができます。その影響力は日本だけにとどまらず世界にまで及ぶ可能性もあります。つまりそれだけ影響力を持っているということです。
ソフトバンクの孫正義社長は誰もがご存知だと思います。道を歩けば至る所にSoftBankの看板が見られます。この影響力はすさまじい。以前は、NTTやKDDIといった大手が高価格で牛耳っていた携帯電話料金でしたが、それを安くし、今では小学生でも持てるようになったのはこの人あってのことでしょう。店員でどんなに頑張ったとしても、ここまで多くの人に携帯電話というサービスを提供することは不可能です。
若い時は何でも自分でやりたがります。そして根拠のない自信によって、実際にできると思ってしまいます。しかし、実際にやってみると自分ひとりだけでできることに限界があることに気がつきます。
何かを成し遂げるためには複数のスキルが必要です。企画、マーケティング、営業、プログラミング、力仕事etc。それぞれの分野には、その道何十年というベテランがいます。その人たちに勝てるはずがありません。自分が得意なもの以外は得意な人に任せ、自分の得意分野だけに注力するのがもっとも効率的な方法です。
私自身、今の段階でそこまで多くの影響力を持ってはいません。しかし、このブログやアプリ、今後新たに作るサービスによって影響力を少しずつ増やしていきます。それによって、自己研鑽に励んでいる方々の役に立ちたいと考えております。
もし、多くの影響力を持って、より多くの人の役に立ちたいと思うのであれば、あくせく働きまわるのではなく『如何に楽をするか』という視点を持つのが大切だということです。
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われわれの人生とはわれわれの思考が作りあげるものに他ならない。
マルクス・アウレリウス・アントニヌス(Marcus Aurelius Antoninus)
人生を謳歌できる人がいる一方で、人生に振り回される人がいます。どうせなら人生を謳歌したいと望む人が多いのではないでしょうか。では、どのようにすれば謳歌できるのか。
人は、喜んだり、腹を立てたり、悲しんだり、時には楽しんだりします。人生というのは、この喜怒哀楽のローテーションとも言えます。いつも喜んでいたり、楽しんでいたりする人は人生を謳歌してそうですし、その一方でしょっちゅう怒ったり、悲しんだりしている人は人生に振り回されているように思えます。それでは、感情に流されないことが人生の満足度向上に繋がるのでしょうか。
感情に流されないために無感情になる、という意見も聞きます。しかし、感情があってこその人間だと思いますし、何よりも喜びや楽しみのない人生なんて退屈でしょう。ではどうするか。感情をコントロールできれば良さそうです。とはいえ、一言で感情をコントロールしろと言われても、実践することは難しいでしょう。
そこで、本記事では感情をコントロールする方法、そしてそれによって自然と行動力が生まれること。最後に、冒頭の名言を残したマルクス・アウレリウス・アントニヌスの『自省録』を紹介したいと思います。
■今現在を最優先にする思考をする
感情をコントロールするための一つのテクニックとして、今を大事にするという考え方があります。今現在幸せになるためには何をすれば良いか、どう行動すれば良いか、それだけを考えるということです。
何かに苛立ったり、悩んだり、不安になったり、悲しんだりする原因は、今現在ではなく過去又は未来に固執していることにあります。誰々の言動が腹立たしい、来週大勢の前でプレゼンしなければならないから不安で悩んでいるetc...etc...
確かに、過去があってこその現在であり、未来があってこその現在と主張される方もいるかもしれません。しかし、過ぎ去ったことを考えても仕方がありませんし、起こるかどうか分からない未来のことを考えていても仕方がありません。過去に失敗したのであれば、同じ過ちを犯さないように今学べば良いですし、未来が不安であれば自信を持てるように今の自分を変えれば良いのです。どちらにせよ、現在の行動に注力することで過去の失敗が良い体験と為し、未来の不安も消え去ることになります。
このように、過去は過去のこととして割り切り、そして未来は現在の行動次第で変わるものだという意識をすることで、怒りや不安といったマイナスの感情から解放されることが可能です。
■他人は変えられないことを知る
当たり前のことですが、他人を変えることは非常に難しい。その一方で、他人に対する自分の反応を変えることは思考を変えるだけで実現できます。とはいえ、この当たり前のことが中々実践できない。
例えば、信じていた友達から嘘をつかれたから悲しむという人がいます。もしかしたら悲しみではなく憎しみが生まれるかもしれません。こういった感情が噴き出てくる原因は、他人の言動に納得がいかないことによります。納得いかなければどうするか。人はそれを変えようとします。そして、変えることがとても難しいことを自分では理解しているため、それでも変えようとあがく。でもそれを実現するのは非常に困難であることに気がつき、その結果、悲しんだり怒ったりといった負の感情が湧き出てくることになります。
もし、ここで他人は変えられないということを理解し、実践できていれば話は別です。他人が嘘をついたのであれば、その原因は、例えば信頼されていなかったからでしょうか。であれば、より信頼されるように自分を変えるか、もしくは自分をもっと信頼してくれる人を新たに探せば良いだけです。この世の中にはその人、ただ一人だけが存在しているわけではありません。その人以上に自分とウマが合う人は必ずいるでしょう。
他人は変えられません。しかし、他人に対する自分の考え方は変えられます。それを意識すれば、悲しんだり、怒ったりすることもなくなるでしょう。
■これまでのことを実行すれば自然と行動力は高くなる
さて、これまで説明したことを実践できれば自然と行動力はできるようになります。なぜならば、これから起こる未来を不安に感じても仕方がなく、それよりも今現在自分がやりたいことをすることが重要だからです。また、自分の行動した結果、他人にどう思われるかを心配する必要もありません。ただ、ひたすらに今の自分が満足するように実行すれば良いだけです。
勉強をしようと思って勉強をする人は稀でしょう。テストで良い点を取りたい、誰かに勝ちたい、受験で合格したい、将来良い企業に入って安定を手に入れたい。そういった思考があるからこそ勉強という行動に結び付くのではないでしょうか。トレーニングをするのも同様に、健康でありたい、スポーツで上手くなるための基礎体力をつけたい、といった思考が働いてこそでしょう。
行動力というのは、行動しようと思って生まれるものではなく、思考から自然と生まれるものだということです。
■『自省録』のススメ
感情をコントロールしたい方に是非おススメするのが『自省録』です。この書籍は、世界史を学んだことがある人なら誰でも知っている古代ローマ帝国最後の五賢帝「マルクス・アウレリウス・アントニヌス」の言葉を集めた語録です。語録と書いたのは、『自省録』自体がマルクス・アウレリウス・アントニヌスが自身の思ったことを殴り書きしたものにすぎないからです。おそらく、彼自身も自分の言葉が後世で書籍化され、しかも大ベストセラーになるとは思ってもいなかったことでしょう。
そのような内容なので、第一章から順番に読んでいく必要もありません。少々哲学チックな書き方なので、読書慣れしていない方には読みづらく、途中で挫折してしまう可能性が高いことが想定されます。
そこで、全文読まずとも、流し読みして気になった言葉をピックアップし、別途自分でまとめるなり、付箋を貼っておいて後で見直すような、いわゆる辞書的な使い方が良いかと思います。私自身も本書籍を何回か読み通しているにも関わらず、半分以上理解できておりませんが、必要に駆られた時に付箋の貼られた箇所だけ何度も開きなおすという使い方をしています。
感情のコントロールは誰でもできるわけではありません。訓練を積んだもののみが達成できます。そして、具体的にどう訓練をすれば良いのか分からない方は、ぜひとも『自省録』を手に取ってみてください。
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■はじめに
二年前にCGエンジニア検定エキスパートおよび画像処理エンジニア検定エキスパートを合格してエンジニアリングマイスターの称号を得ていたので、今回はCGマイスターの称号も取るべくCGクリエイター検定を受験することにしました。
元々3dsMAXで趣味程度にキャラクターモデリングをしていましたし、カメラ撮影もしているので受験前のモチベーションはかなり高かったです。こういった背景から、初学者と比べてかなり有利な状態での学習スタートだったと思います。
なお、本試験において私は最高得点を取得し、文部科学大臣賞をいただきました。そちらは「CGクリエイター検定エキスパート 最高得点合格で文部科学大臣賞受賞!」にて紹介しております。
■概要
CGマイスターというのは公益財団法人 画像情報教育振興協会(通称:CG-ARTS協会)が認定する称号の1つです。この資格体系は少し複雑ですので以下簡単に説明します。
まず、CG-ARTS協会がCG-ARTS検定を主催しております。この検定は大きく5つのカテゴリーに分かれておりまして、それぞれ「CGクリエイター検定」「CGエンジニア検定」「Webデザイナー検定」「画像処理エンジニア検定」「マルチメディア検定」となっていて、それぞれの検定に「ベーシック」と「エキスパート」の2つのレベルが設定されております。そして、複数のエキスパート試験(ベーシックを複数合格しても意味ありませんよ!)に合格するとCG-ARTSマイスターとして認定されます。得られるマイスターの組み合わせは以下の4通り。
・「CGマイスター」
CGクリエイター + CGエンジニア
・「クリエイティブマイスター」
CGクリエイター + Webデザイナー
・「エンジニアリングマイスター」
CGエンジニア + 画像処理エンジニア
・「ディジタルメディアマイスター」
Webデザイナー + マルチメディア
さらに、マイスターの取得数に応じて「ピュア→シルバー→ゴールド→ブラック」と認定証が発行されます。
つまり私の場合は、前回CGエンジニア検定エキスパートと画像処理エンジニア検定エキスパートに合格しており、今回新たにCGクリエイター検定エキスパートに合格したことで、エンジニアリングマイスター&CGマイスターとともにマイスターシルバーに認定されたことになります。
さて、次に試験日程、試験時間です。
試験は年2回、7月の初めと11月の終わりに実施されます。1回の試験でベーシック2つまで、エキスパート2つまで併願可能です。詳しく説明すると、ベーシックは午前、エキスパートは午後に行なわれ、それぞれ2つまで併願できるシステムです。残念ながらエキスパート4種とかは受けられないので注意が必要です。
また、単願と併願では試験時間が異なります。併願受験では単願受験の約2倍の試験時間となります。なので、一般的に難しいと言われるCGエンジニアエキスパート検定や画像処理エンジニアエキスパート検定を受験する際に、他の試験区分と併願して試験時間を稼ぐ方法もあるわけです。もっとも、CGエンジニア検定と画像処理エンジニア検定は出題が結構かぶってるので一緒に受けてしまった方が効率が良いのですが、準備不足になってしまった場合にこの手法は使えそうではありますね。
次に試験方式ですが、すべてマークシート方式となっていて記述はありません。問題数は大問が10問で、それぞれに小問が4、5つ出題されるので合計40〜50問です。問題冊子は100ページ以上と非常に厚くなっていて、5つの試験区分すべての問題が1つの冊子となっております。マークシートも5検定分すべてマークする箇所があります。この試験は、事前に受験する検定を申告し、その問題を解答しなければなりません。なので、問題が配られてから他の検定が簡単だからといって、受験する試験区分をその場で変更することはできませんので気をつけましょう。事前に選んだ検定試験のところだけにマークしていくことになります。
この方式が嬉しいのは、次回受験予定の過去問が手に入るところですね。
試験の解答は試験日の1週間以内に公表され、合格発表は約1ヵ月後にされます。マークシートなんだからもうちょっと早く分かってもいいような気もしますが……
■試験結果
・期間:10日(勉強時間 10 時間)
・費用:13,512円(受験料6,600円、参考書代等6,912円)
・得点:90%(70%以上で合格)
1日1時間、10日間の勉強で合格することができました。結果は40問中36問正答の90%。合格基準である70%を大きく上回りました。やはり3DCGとカメラの経験はかなり影響しています。今回私が合格した時の合格率は23.55%とかなり難しく、過去問より深く突っ込んだ内容が出題されましたが、経験をもとに答えられた問題も多く、テキストだけではカバーしきれていない内容も多かったと思います。
■計画
まずは計画からです。とはいえ、CG-ARTSの検定試験については前回受験時に下調べは終わっていたので、今回もその延長で対策をすることにしました。
使用したテキスト、問題集ともに公式教材。「ディジタル映像表現 -CGによるアニメーション制作-」「CGクリエイター検定エキスパート・ベーシック公式問題集」の2冊。私は自信があったので「入門CGデザイン -CG制作の基礎-」は買いませんでしたが、CGクリエイターとは何ぞや?? という方は入門書から読み込んだ方が良いかと思います。なお、私は書籍版を購入しましたが、Kindle版の方が安いのでタブレットやPCでの学習慣れしている方はそちらを選んだ方が良いでしょう。
教材の進め方はまず問題集から。公式問題集にはエキスパート試験3回分、ベーシック試験2回分が収録されておりますので、初めにベーシックをやってからエキスパートに着手します。ここでベーシックがあまりにも解けないようであれば、ベーシック2回分終わらせてから復習した方が良いでしょうが、ある程度解ける感触があればベーシックからエキスパートまで通してしまって構わないでしょう。
テキストは辞書代わりに使います。問題集を解いていて分からない用語があった場合に開く程度で良い。このテキストはCGクリエイター検定だけに使えるのではなく、CGクリエイターとして活動する際にも役立つ本なので試験合格後にも空いた時間にすぐに手の届くところに置いておくと良いかと思います。
試験対策期間は10日でしたので、1日目に公式問題集のベーシックを終わらせ、そこから2日かけてエキスパートを終わらせて合計3日間で1周目を終わらせます。そこから2日かけて2週目を終わらせ、1日で3周目終了。ここまで合計6日間。
問題集を終えたら不安な箇所を中心にテキストに戻り、関連分野を覚えていきます。「実写撮影、映像編集」「モデリング、リギング」「CGアニメーション」「シーン構築とリアルタイムCG」にそれぞれ1日かけてテキストの内容をじっくりと頭に入れていきます。知的財産権に自信のない人はここに時間をかけましょう。エキスパート検定では必ず共通問題として出題される知的財産権分野を得意にしておけば、今後マイスター称号を増やしていく際に有利に働くからです。
なお、「プロダクションワーク」「Appendix」については特に対策をしなくても良いかと思います。常識で解けますし、難問が出題された場合はテキストの範囲を大きく超えることが多く、コスパが悪いからです。
■実行
まずは問題集のベーシックパートから。
初見で解ける問題が多く、特に引っかかるところはありませんでした。暗記で切り抜けられるため、3DCG経験がない人でも進められると思います。
ベーシックをササっと終わらせてエキスパートへ。問題のレベルが一気に上がります。趣味で3DCGをやっていたときは人体モデリングがメインだったため、Ceaseの適用をしたことがなかったため、こういう機能もあるんだなと学習。確かに無機物を作成する際には役立つ機能です。
シャッタースピード、F値、露出あたりはカメラ撮影している人なら楽勝。F値を大きくすれば被写界深度が深くなってボケにくくなるとか、シャッタースピードを落とせば露光時間が長くなるため明るくなるとかは体が覚えています。しかし、ホワイトバランスは普段の撮影であまりイジったことがなかったので、多少勉強時間を割くことになりました。
ここら辺の理解をテキストだけで学ぼうとすると難しいと思います。いや、難しいというよりも面白くなさそう。やはり実際に撮影してみるのが良いでしょう。一眼レフカメラがおススメですが、最近のスマホはマニュアル撮影もできるようなので、色々と設定をいじって撮影してみると良いかも。簡易三脚を取り付ければスマホでもシャッタースピードを遅くできますしね。実機を触る時間がなければ捨ててしまっても構いませんが。
動画撮影についてはショットサイズ、イマジナリーライン、パンやティルト等のカメラオペレーションが頻出。ショットサイズのところはもう覚えるしかない。ミディアムショットとクローズショットの違いとか、テキストに戻りながら理解していきます。イマジナリーラインはそういうものだと覚えるだけなので得点源。
カメラオペレーションについてはドリーの理解が少し難しいかも。ズームインとドリーインはともに被写体に近づいていく手法なんですが、ズームインが撮影者の見ている風景を拡大したものですが、ドリーインは撮影者自体が被写体に近づいているため周囲の風景が変わります。
これらは暗記というよりも、実際にカメラを動かしたときにどう風景が変わるかをイメージすることで応用問題に対応することができます。実機を
映像編集についてはモンタージュ理論、そしてカットつなぎが良く出題されるようです。まぁ理論についてはそういうもんだと覚えるとして。フェードイン・アウトやワイプはパワーポイントでアニメーションを設定したことのある人であれば問題ないでしょう。ダブルエクスポージャーやインサートカットとかに普段から馴染みのある人は少ないと思いますが、テキストの内容を暗記するだけで問題ありません。
モデリングに関しては、3DCG経験者が圧倒的に有利です。階層化した時の動き方等を頭の中だけで理解するのは難しいので、合格を目的にするだけならここは捨ててしまっても構いません。その代わり、ペジェ曲線やマッピング、マテリアル設定でしっかりと得点できるようにしておきましょう。
リギングは、モーフターゲット、スキニング、インバースキネマティクス(IK)およびフォワードキネマティクス(FK)そしてコンストレインあたりを抑えておけば良いでしょう。ここの分野も実務経験がなくてもテキストだけで十分です。
アニメーションは、パスアニメーション、キーフレーム、シミュレーション、そしてキャラクターアニメーションの手法、リップシンクあたりを中心に学習すれば良し。キャラクターアニメーションの手法では、アピールやアンティシペイション、ヒップファースト、セトルやホールドといった個々の手法まで出題されるので理解しておきましょう。かなり覚えることが多いです。
シーン構築は、マテリアル表現のサブサーフェススキャッタリング、アンビエントオクルージョン。ライティングでは、方向性ライトや面光源、ポイントライトは特に頻出。グローバルイルミネーションについては、ラジオシティ法、フォトンマップ法、パストレーシングまで踏み込むように。レンダリングは、ビューボリュームのLODやモーションブラー、フォグ効果等のレンダリング手法、そしてZバッファ法、スキャンライン法、レイトレーシング法といったレンダリングアルゴリズムの概要くらいは覚えておくべきです。ここら辺の理解は難しいので、苦手であれば捨てても構いません。
リアルタイムCGについては、ハードウェアの基本構成とビルボードやLOD等の技法を覚えておけば十分です。また、ファイル形式については出題されることも多いのですが、すべてのファイル形式の特徴を覚えるのは得策ではないので、JPEGやTIFFといった代表的なものだけ覚えておけばOK。
で、知的財産権は過去にエキスパート検定を受験している人であれば対策済みでしょうし、私の場合は中小企業診断士試験の経営法務でここら辺はみっちりとやったので読み飛ばしました。知的財産周りは、CG周りの実務をする上で必ずまとわりついてくるものですので、初学者はここでシッカリと対策しておきましょう。
試験前日までに公式問題集をすべて解けるようにしておき、テキストで不安な用語のところに付箋を貼っておきます。当日に付箋の貼られた箇所だけ目を通して、試験会場に向かいます。
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■はじめに
本格的にVRアプリを作りたいと考えておりまして、まずは知識取得のために何か資格試験はないかなぁと模索していたところ丁度良いものを発見しました。それが今回取得したエンジニアリングマイスターというもの。このエンジニアリングマイスターというのはCGエンジニアエキスパート検定と画像処理エンジニアエキスパート検定の2つに合格すると与えられるもので、今回はこれら2つの試験をダブル受験して、無事合格することができました。本記事はダブル受験の合格体験記となっていますが、それぞれの検定の特徴なども踏まえて書きますので、片方だけ受験する方もぜひご覧下さい。
なお、CGクリエイター検定エキスパートも後日合格しました。
■概要
エンジニアリングマイスターというのは公益財団法人 画像情報教育振興協会(通称:CG-ARTS協会)が認定する称号の1つです。この資格体系は少し複雑ですので以下簡単に説明します。
まず、CG-ARTS協会がCG-ARTS検定を主催しております。この検定は大きく5つのカテゴリーに分かれておりまして、それぞれ「CGクリエイター検定」「CGエンジニア検定」「Webデザイナー検定」「画像処理エンジニア検定」「マルチメディア検定」となっていて、それぞれの検定に「ベーシック」と「エキスパート」の2つのレベルが設定されております。そして、複数のエキスパート試験(ベーシックを複数合格しても意味ありませんよ!)に合格するとCG-ARTSマイスターとして認定されます。得られるマイスターの組み合わせは以下の4通り。
・「CGマイスター」
CGクリエイター + CGエンジニア
・「クリエイティブマイスター」
CGクリエイター + Webデザイナー
・「エンジニアリングマイスター」
CGエンジニア + 画像処理エンジニア
・「ディジタルメディアマイスター」
Webデザイナー + マルチメディア
さらに、マイスターの取得数に応じて「ピュア→シルバー→ゴールド→ブラック」と認定証が発行されます。
つまり、私は今回CGエンジニアエキスパート検定と画像処理エンジニアエキスパート検定に合格したため、エンジニアリングマイスターとして認定されたとともにマイスターのピュアに認定されたことになります。
さて、次に試験日程、試験時間です。
試験は年2回、7月の初めと11月の終わりに実施されます。1回の試験でベーシック2つまで、エキスパート2つまで併願可能です。詳しく説明すると、ベーシックは午前、エキスパートは午後に行なわれ、それぞれ2つまで併願できるシステムです。残念ながらエキスパート4種とかは受けられないので注意が必要です。
また、単願と併願では試験時間が異なります。併願受験では単願受験の約2倍の試験時間となります。なので、一般的に難しいと言われるCGエンジニアエキスパート検定や画像処理エンジニアエキスパート検定を受験する際に、他の試験区分と併願して試験時間を稼ぐ方法もあるわけです。もっとも、CGエンジニア検定と画像処理エンジニア検定は出題が結構かぶってるので一緒に受けてしまった方が効率が良いのですが、準備不足になってしまった場合にこの手法は使えそうではありますね。
次に試験方式ですが、すべてマークシート方式となっていて記述はありません。問題数は大問が10問で、それぞれに小問が4、5つ出題されるので合計40〜50問です。問題冊子は100ページ以上と非常に厚くなっていて、5つの試験区分すべての問題が1つの冊子となっております。マークシートも5検定分すべてマークする箇所があります。この試験は、事前に受験する検定を申告し、その問題を解答しなければなりません。なので、問題が配られてから他の検定が簡単だからといって、受験する試験区分をその場で変更することはできませんので気をつけましょう。事前に選んだ検定試験のところだけにマークしていくことになります。
この方式が嬉しいのは、次回受験予定の過去問が手に入るところですね。実は、私も次回はCGクリエイター試験を受験予定なので1回分の過去問が入手できたのは非常に嬉しいです。
試験の解答は試験日の1週間以内に公表され、合格発表は約1ヵ月後にされます。マークシートなんだからもうちょっと早く分かってもいいような気もしますが……
■試験結果
・期間:22日(勉強時間 30 時間)
・費用:31,560円(受験料13,200円、参考書代等18,360円)
・得点:CGエンジニアエキスパート検定 82%(70%以上で合格)
画像処理エンジニアエキスパート検定 80%(70%以上で合格)
1ヵ月かけてある程度シッカリと勉強したら合格基準を10%以上も上回って合格できました。なお、本記事執筆時にはまだ合格は確定していませんので、不合格だった場合は記事を削除します。
■計画
まずはいつも通りインターネットで情報収集からです。
CG-ARTS検定の中でもCGエンジニアエキスパート検定と画像処理エンジニアエキスパート検定は比較的難易度が高いことが分かりました。なので勉強時間も長めに1ヵ月とりました。
調査した結果、物理、特に数学がかなり重要らしいことが分かりました。物理・数学の習熟度レベルで合格までの時間はかなり変わるようです。私の場合は、物理学科出身であり、理系科目の家庭教師をやっていることもあるので、ここら辺は一切心配ありませんでした。数学では線形代数、微分積分、三角関数、極座標変換、物理ではレンズの焦点距離などが不安な方は基礎を固める時間も考慮した方が良いかと思います。フーリエ変換や確率、ガウシアンやラプラシアンに関しては頻出ですが、目的だけ理解すればよいので途中式を1つ1つ丁寧に追う必要はありませんのでご安心ください。
さて、学習計画はCGエンジニアと画像処理エンジニアでそれぞれ1日1時間のペースで10日ずつ確保し、最後に試験直前の総復習のためにそれぞれ5時間ずつとりました。参考書と問題集は公式書籍を使いました。具体的には、参考書についてはCGエンジニア検定と画像処理エンジニア検定の共通入門書である「ビジュアル情報処理 -CG・画像処理入門-」、CGエンジニア検定の「コンピュータグラフィックス」、画像処理エンジニア検定の「ディジタル画像処理」の計3冊。問題集はそれぞれの検定用の「CGエンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集」および「画像処理エンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集」の計2冊。参考書と問題集合わせて合計5冊です。
しかし「ビジュアル情報処理 -CG・画像処理入門-」は必要なかったかもしれません。もちろんあった方が良いとは思いますが、節約したい方は上記入門書は省いても良いかと。他4冊は必須です。
まずはCGエンジニア。
学習を開始するのは「CGエンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集」から。本ブログでも何度も申し上げておりますが、最短合格が目的であればまず問題集からはじめてください。学校教育通りに参考書から読み始めるのは愚の骨頂です。読んだだけで頭の中に入るようなら誰も苦労しません。実践あるのみです。参考書は問題集を終わらせてから知識の補完のために利用してください。
問題集にはベーシック3回分、エキスパート3回分掲載されておりますので、1日に2回分解けるとして3日で十分でしょう。その際には分からなかった問題だけチェックするようにすれば2回目以降の学習の時間が短縮されます。そして2周目は2日。3周目は1日。合計6日で問題集は終わる計算です。
次に参考書の「ビジュアル情報処理 -CG・画像処理入門-」を2日。「コンピュータグラフィックス」を2日。ここまでで合計10日。
次に画像処理エンジニア。
こちらも「画像処理エンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集」から開始。この本はCGエンジニアの問題集よりボリュームが多く、ベーシック3回分、エキスパート5回分掲載されております。なので1日2回分計算で4日。2周目を2日。3周目を1日の計7日。
次に「ディジタル画像処理」はコンピュータグラフィックスよりも少し内容が重そうなので3日で読み切ります。これで画像処理エンジニアだけで合計10日。CGエンジニア検定と合わせて20日経過。
最後に試験直前日にそれぞれ5時間ずつ復習して試験に備えます。
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小さな損をすることができなければ、遅かれ早かれ、丸損を経験することになる。
ジャック・D・シュワッガ
これはマーケットの魔術師という書籍の著者である有名トレーダーの言葉です。小さな損というのはトレードでいう損切のこと。当初は上がると思って株を購入したけれど予想とは逆に下がってしまった場合に、損失額が大きくなる前に手放すことです。つまり、意図していた方向性が間違っていたら素早く手仕舞し、再起不能に陥ることを回避するべきだという教訓です。
人生においても損切をすることは非常に重要です。人には必ず天職がありますが、新卒で就いた仕事が自分の天職だとは限りません。むしろ世の中に存在する仕事の数を考えれば、初めの仕事が天職である可能性の方が低いでしょう。もし天職でないと判断したら、早めに損切して他の職に切り替えるべきです。
それでは天職かどうかの判断はどうすれば良いのか。同じようなトピックでネットサーフィン(死語?)をしてみると「コミュニケーションが苦手」とか「スケジュール管理ができない」とか「効率化の意識がない」といったエンジニアというよりも働くうえで致命的になるようなものや「プログラミングが苦手」とか「パソコン操作が苦手」といった議論するまでもないことをわざわざあげているサイトが多く見受けられました。
向いていない理由をそのようなマイナス面で考えるよりは、自身が好きなこと、得意なことを基準としてエンジニアに向いているかどうかを議論した方が有益です。そこで、エンジニア職を経験し、それが天職ではないと判断した筆者の経験を踏まえて、エンジニアに向いていない人の特徴を考察していきましょう。
■直感を大切にする行動力の高い人
エンジニアは「なんとなく良さそうだな」とか「なんとなく分かったからOK」みたいな思考はNGです。「なんとなく」という感覚的な部分を根絶やしにして、無理やりにでも論理に落とし込むような姿勢が求められる職業だからです。
私は物事を突き詰めて考えることが好きではありません。何かはじめるときはメリットとデメリットを3つくらいずつ挙げてみて、メリットが上回れば実行してしまいます。これまでの人生の中で心配し過ぎたことの9割以上が実際には起こらなかったという経験からも突き詰めて考えるという思考があまり得策ではないと実感しています。考えることは重要ですが、考え過ぎてしまうと行動に移せないというケースは多々見受けられます。
考え過ぎることとトレードオフにあるのが直感です。そしてこの直感が行動力に結びつきます。
例えば、新規ビジネスをはじめる際に直感は重要です。なぜならば、現在のビジネス環境は非常に複雑化しており、頭の中で描いた戦略通りに事が運ばれることはほぼあり得ないからです。よく使われるSWOT分析にしても、完璧にマトリックスを作り上げることは不可能でしょう。特に、O(機会)とT(脅威)については、実際にその中に身を置かなければみえてこないことは多い。S(強み)とW(弱み)についても、自分では強みだと気がつかなかった要素が実需要に対して強みになっていたということもあり得ます。
本ブログも元々は出世を目標とする30代前後の男性サラリーマンを対象としていました。しかし、実際にブログを運営してみると女性読者が非常に多く、むしろ男性よりも女性読者に支えられていることが分かりました。アロマテラピー検定や色彩検定の記事について問い合わせで多くのご意見をいただき、またアプリや商品リンクから多くご購入いただいています。そのような方々のおかげで本ブログを継続できており、非常に感謝しております。
考え抜くことがあまり好きではなく、ある程度感覚に頼る部分を重視する人はエンジニア以外の職業が天職である可能性は十分に高いと思われます。
■すぐに人に聞きたくなる性格
解決すべき問題があるときに、すべて自力で何とかしようとするのがエンジニアです。基本的には自分で解決し、どうしても難しい場合のみ助けを求めるというスタンスで仕事をする人が多いように思います。その逆が、すぐに人に助けを求めるタイプの人です。
これは、初めて訪れた場所で「自力で目的地にたどり着こうとするか」「初めから人に聞くか」で自分がどちらのタイプか分かります。地図を見たり、スマホの道案内アプリを使って、自力で目的地を探すような性格はエンジニア向きです。一方で、すぐに目的地までの行き方を聞く人はエンジニアとしては微妙かもしれません。
確かに自分で調べるプロセスを経て学べることも多いでしょうが、少なくとも目的地に着くということだけを重視するのであれば人に聞くのが一番でしょう。もしかしたらその日は交通規制があるかもしれません。また、地図には載っていない裏道を教えてくれるかもしれません。
エンジニアでいると気づきにくいかもしれませんがすぐ人に聞く性格は長所です。たとえ自分自身のスキルで何とかできるとしても、他の得意な人がやればもっと上手くやれる。その空いた時間を使って自分の得意なことに打ち込む。このような思考を持っている方はエンジニアでは苦労するかもしれませんが、別の仕事では評価されることを覚えておかなければなりません。
かの有名なヘンリー・フォードは、ある時エンジニアから技術的な質問を受けたそうです。彼はすぐに電話をとってその道のエキスパートに電話をかけて代わりに答えてもらったようです。
何でも人に聞くことは短所でもなんでもありません。特に、人を使って何かをするようなビジネスオーナー向きの性格だとも考えられます。
■プレゼンを観衆を楽しませる手段と考える
机に座って黙々と作業し続けることがあまり好きではなく、むしろ皆の前でプレゼンをすることが好きな人はエンジニア以外の選択肢も考えてみてはどうでしょうか。
プレゼンといっても学会や技術発表で行われるような、自身のやっている仕事内容や技術について深掘り・考察するような技術プレゼンではありません。ここでいうプレゼンは、人に興味を持ってもらえるように物事を分かりやすく説明したり、自分の主張を広くアピールするようなものです。専門家の間ではなく、専門外へのプレゼンというイメージでしょうか。これを先ほどの「技術プレゼン」に対して「一般プレゼン」と呼ぶことにします。
技術プレゼンと一般プレゼンの大きな違いは、訴えるポイントにあります。技術プレゼンの目的は、技術原理や実験結果の紹介、それについての考察がメインとなります。聞く側も専門家が多く、すでに興味の下地ができているため話す側がわざわざ興味を持ってもらおうとしなくても熱心に聞いてくれるため、事実を淡々と説明するだけで良いという特徴があります。
一方、一般プレゼンは原理や結果なんてどうでも良く、聴衆が何を知りたいか、何を求めているか、どのように話したら興味を持ってもらえるか、にフォーカスします。つまり、相手のメリットを起点とし、それを面白おかしく聞いてもらうことが目的。なので原理などはどうでも良いのです。
プレゼンを議論の手段ではなく、相手に伝えたい、知ってもらいたいというコミュニケーション手段と考えている人はエンジニア向きではないかもしれません。
■幅広いスキルを習得したい
幅広いスキルを習得したいというと響きがいいのですが、つまりは飽きっぽい性格の人です。1つのスキルを追究できるのがエンジニアです。が、私のような飽きっぽい人間は1つのことをある程度やったら、他のことに手を出してしまいたくなります。
私がなぜこのように手を広げるのかというとナンバーワンよりもオンリーワンになるという信念があるためです。なぜならば、ひとつのスキルを極めるよりも複数のスキルの組み合わせで差別化を図る方が効率が良いからです。例えば、野球でイチローになろうとしたら100万分の1の才能を引き当てなければなりません。これは非常に難しい。しかし、英語×IT×法律のような3つのスキルセットでそれぞれ100分の1の人材になれたとすれば100*100*100=100万となり、イチロー同様に100万分の1の人材になることができます。100万人に1人と言われると努力だけではなく才能が関わってきますが、100人に1人くらいであれば努力で何とかなるでしょう。
またまた私の実例ですが、情報技術者試験のようなIT資格は世の中に学習アプリが出やすいです。実際にGoogle Play StoreやApple Storeで検索すると分かりますが、基本情報技術者試験の学習アプリは数えきれないほど検索にかかります。しかし、世界遺産検定やアロマテラピー検定、エコ検定といったITスキルとはかけ離れている学習アプリになるとアプリ数が極端に減ります。お陰で私のアプリが選ばれることが多くなっており、実際に教育有料アプリでランキング1位を取得したことがあります。
これらは「アロマテラピー×IT×教育」「世界遺産×IT×教育」「地球環境×IT×教育」という異なるスキルを組み合わせた一例です。つまり、ひとつのスキルをとことん極めることよりも、複数のスキルセットで勝負するという選択肢に魅力を感じる人はエンジニア以外にも目を向けてみると幸せになれるかもしれません。
■自分のスキルを生かせる道
エンジニアには向き不向きがあります。突き詰めて考えることが嫌いであればどうしようもありません。将来何かやりたいことがあって、その手段としてエンジニアということであれば構いませんが、そうでなければ他の道を考えるのは賢い選択でしょう。
かくいう私もエンジニアには向いていないことを実感しています。スキルを学びはじめたのが遅すぎますし、何よりプログラミングとか全然好きではありません。こんな人間がエンジニアが天職の人にどうしたって勝てっこありません。それではなぜエンジニアになったのか。それはエンジニアとしてのスキルが自分の将来やりたいことにどうしても必要だったからエンジニア職を選んだという経緯です。
もし、あなたがエンジニアに向いていないことを自覚し、そして社内でのポジション異動が難しい場合は転職する選択肢もありでしょう。そこでおススメするのがBizreach(ビズリーチ)です。私自身が転職活動で一番役に立ったのがこのサイトです。プロフィールを載せておけば、企業側からアプローチをしてくれます。このサイトが秀逸なのは、転職エージェントだけでなく、企業から直接オファーが届く点です。
なお、Bizreachは転職を急いでいる人というよりも長期的にしようと考えている人向けのサービスです。私は登録をしてからしばらく放置していて、気に入った企業からメールが届いた場合のみ反応していました。
エンジニアとして評価されないからといって世間から評価されないということではありません。人それぞれ得意・不得意があるので、色んな選択肢に目を向けて、最終的に得意なフィールドに立てることが人生成功への道ではないでしょうか。
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「貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書」
名前は知ってるし、どんな項目があって、それぞれの役割は何となく分かる。けど、それらの繋がりや読み方、実際に会社を設立したときに数字がどう動くのかをイメージできない人は多いのではないでしょうか。
今回は、財務諸表のひとつひとつの項目を詳細に説明したり、仕訳のやり方を説明したりするのではなくもっと広い視点。各財務諸表の役割、そしてそれぞれがどう繋がっているかを簡単に説明します。
本記事は中小企業診断士のような経営的な視点での財務諸表の見方に興味がある方や、簿記をやっているけれど何のために学習しているのか分からない方を対象としております。会計学に詳しい方は不十分だと思う点があるかと思いますがご容赦ください。
■貸借対照表
貸借対照表はBSと表記されます。これは英語の"Balance Sheet"の略です。BSは資産と負債、純資産の状況がまとめられています。
貸借対照表には左側と右側があって、左が資産、右が負債および純資産を表しています。資産や負債は分かりやすいですね。しかし、純資産って一体全体何でしょうか。資産に純がついただけなのに、貸借対照表上は資産と同じ左側ではなく反対の右側ってのが初心者には分かりづらい。負債は債権者から、純資産は株主から、とか言われても債権者って専門用語をすんなり理解できる時点で結構博識です。
そこで、もう負債とか純資産とか分けずに考えてしまいます。貸借対照表の右側は会社が使えるお金、左側はそのお金の使い道、と理解してしまいましょう。
試しに右側の負債の中身を見ていると銀行等から借りてきた「借入金」という項目が見られるかと思います。これは銀行から借りたお金です。
で、純資産の中身をみてみると「資本金」と書かれているのが分かります。これは会社自身の持っているお金。また、この純資産には会社が自身で利益を上げた「繰越利益剰余金」というものがあります。借入金、資本金、繰越利益剰余金はすべて会社が使えるお金です。
次に、左側を見ると「現金」「商品」「建物」といった項目があります。これは、会社がお金を使って得た資産であり、貸借対照表の右側のお金がどのような資産に変わったかを表しています。会社が商品や建物を買えば、その購入金額が左側の資産の部に書かれることになります。つまり、貸借対照表の右側と左側は一致することになります。
貸借対照表を埋めるためにはルールを覚える必要があります。簿記で学ぶ「仕訳」とは、そのルールにならって貸借対照表を作成する作業に他なりません。
貸借対照表は右側が会社が使えるお金、左側がお金の使い道。そして左側には繰越利益剰余金という会社自身が稼いだ利益があることを覚えてください。
■損益計算書
損益計算書はPL。"Profit and Loss statement"からきています。PLからは企業が売り上げた収益と、それにかかった費用が分かります。
PLには5種類の利益「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」があります。売上総利益は粗利とか呼ばれたりもします。
売上総利益は売上高から売上原価を引いたもの。つまり、その企業の商品力だけで稼げる利益の指標です。例えば、製造業などはこの売上総利益が重要になります。
営業利益。これはその企業が主ビジネス(本業)で稼いだ利益です。人件費はここに含まれます。つまり、売上高から商品の原価、人件費を引いたその企業の稼ぐ力を表しています。たとえ商品力が高くても人材を使いこなせる力が弱ければ営業利益は少なくなってしまいますし、その逆、商品力が弱くても人材を上手く使って商品を売ることができれば営業利益は増えます。理想は商品力も人材力も高いことです。この営業利益は製造業に限らずすべての業種で非常に重要な指標です。
経常利益。これは営業利益に主ビジネス以外で稼いだ利益を加えたものです。例えば、不動産賃貸や株・為替の利益などです。仮に経常利益で赤字だったとしても、それだけで企業に稼ぐ力がないとは断定できません。本業で黒字ーーすなわち営業利益がプラスであれば、その期は一時的なマイナスだったと考えられます。企業分析においては営業利益と同じくらい重要な指標です。
税引前当期純利益。災害が起こった場合の社屋の損傷等を含めたものです。特別な事態を含めた利益なので、企業分析では営業利益や経常利益の方が重要視される傾向にあります。そして、当期純利益は税引前当期純利益から税金を引いたものです。つまり会社の手取り額です。税効果会計とか特殊なことを考えない限りはこの理解で構いません。
損益計算書では、営業利益や経常利益が企業分析をする上でとても重要ということ。そして当期純利益が会社の手取り額だと覚えてください。
■キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書はCS。"Cash flow Statement"からきています。家庭における家計簿に相当します。
このキャッシュフロー計算書は現金の出入りを表します。貸借対照表に書かれている売掛金や固定資産は資産ですが、すぐに現金化できないため現金とは分けて考える必要があります。例えば、その期に黒字だったとしても、いざ税金を支払おうというときに手元に現金がなかった場合、最悪黒字倒産ということもあり得ます。そのような事態は何としてでも避ける必要があり、現金を管理するキャッシュフロー計算書の必要性はここにあります。
ではキャッシュフロー計算書の中身をみていきましょう。企業は、お金をもってきて、何かに投資して、稼ぐ、という3ステップを踏みます。そこで、それらの活動を財務活動、投資活動、営業活動と分けて、それぞれのキャッシュフローをひとつの表にまとめたものがキャッシュフロー計算書です。
一般的にキャッシュフロー計算書では、損益計算書の税引前当期純利益を基準にして、そこから現金が増えた分と減った分を足し引きして現金を求めます。といいますのも、会社の膨大な現金をゼロから順番に計算するのは非常に手間がかかるからです。小さな個人事業ならともかく、売上何兆円もの大企業になると非常に大変です。そこで、損益計算書ですでに計算済みの税引前当期純利益を使って、貸借対照表を参考にしながら出ていったお金と入ってきたお金を和算すれば比較的楽に現金の流れが把握できそうですよね。
この足し引きの方法ですが、基本的には財務諸表に書かれている数字を用いて行ないます。例えば、棚卸資産が増えた分は資産として計上されていますが購入するのに現金を使っているのでキャッシュフロー計算書上ではマイナスします。一方、減価償却費は現金が出ていないにも関わらず利益を押し下げていますので、その分をプラスしてあげて手元にある現金を求めていきます。貸借対照表の「現金」は、このキャッシュフロー計算書から求められます。
キャッシュフロー計算書は現金がいくら残っているのかを教えてくれて、税引前当期純利益を基準にして求められることを覚えておきましょう。
■財務3表の関係性
さて、ここまで貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CS)について概要を説明してきました。それではここからは三つの財務諸表がどのように連携しているのかを簡単に紹介します。
まず、貸借対照表(BS)から見ていきましょう。
BSの左側、つまり資産の部の「現金」はキャッシュフロー計算書(CS)の一番下の「現金」に繋がっています。そしてキャッシュフロー計算書(CS)の一番上に書かれている税引前当期純利益は損益計算書(PL)と繋がっていて、そこから税金が引かれた後の「当期純利益」は貸借対照表(BS)の右側、純資産の部の「繰越利益剰余金」と繋がっています。
簿記アレルギーの方は、まずこのように財務諸表全体のつながりを覚えて、それから個別の仕訳を学んでいくと簿記の学習も楽しくなるかと思います。
■まとめ
財務諸表について簡単に説明しましたが、より詳しく学びたい方は國貞克則氏の「財務3表一体理解法」をご一読ください。仮想会社を設立して商品を仕入れて、売上げて、決算までにどのように財務3表が変動するのかを丁寧に説明されています。この財務3表一体理解法を実際に紙とペンで書きながら覚える実践ドリルもありますので、より実践的な理解を求めている方はこちらもおススメです。
筆者も簿記で仕訳をやったり、中小企業診断士で財務分析をしたりしていましたが、それぞれの財務諸表がどう繋がるかについてはかなり曖昧でした。そして、この本と出会ってそれぞれの財務諸表、構成項目、そして繋がりが見えたおかげで企業分析が楽しくなりました。特にこの本と出合う前はキャッシュフロー計算書の足す項目と引く項目についてはすべて暗記していました。が、CSの意味を考えれば暗記なんてする必要もありません。このような確かな理解をしたことで、その年中小企業診断士二次試験に合格することができました。
中小企業診断士や簿記等の受験生、そして投資家をはじめとした企業分析に興味ある方々は財務諸表の読み方を一度じっくりと学んでみることをお勧めします。
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「完璧がついに達成されるのは、 何も加えるものがなくなった時ではなく、. 何も削るものがなくなった時である。」 by サン=テグジュペリ
今は何でも手に入る時代です。欲しい物があればネット通販ですぐに買えますし、知りたい情報であれば検索エンジンを使えばたくさんのホームページが表示されます。そしてこの作業には別段熟練のスキルが必要なわけでもなく、スマホ1台あれば小学生でも欲しいモノに辿りつけるという非常に便利な世の中になっています。
では、このモノに溢れた世界で個々人に求められてるスキルとは何でしょうか。それは何かを収集したり、蓄えたりする力ではありません。その逆、余分なものを省く、すなわち引き算思考ではないか、というのが今回のテーマです。
■パソコン VS スマートフォン
個々人のスキルを議論する前にまずは現代人の趣向についてみていきましょう。人々が求めているモノを知ることで、それを作り出す側のスキルが見えてくるのではないかというアプローチです。
いきなりですが、パソコンとスマートフォンを機能比較したらどちらに軍配があがるでしょうか?
……考えるまでもありませんね。圧倒的にパソコンの勝利です。しかし、実際に消費者が選んでいるのはどちらでしょうか?
総務省の統計によると、2017年の時点でスマートフォンの世帯保有率がパソコンを上回ったようです。パソコンにできてスマートフォンでできないことはあっても、スマートフォンでできることはすべてパソコンでできると言っても過言ではありません。にも関わらず、人々はスマートフォンを選んでいるのです。
スマートフォンがパソコンに勝っている点はシンプルさです。パソコンはパソコンで非常に高機能で素晴らしい発明です。パソコンが登場した時代にはそれが求められたのでしょう。しかし、今の時代が求めているのはむしろスマートフォンの方です。なんでもかんでも詰め込むといった多機能製品は現在では敬遠される傾向にあります。パソコンからキーボードやら重いバッテリーやらを取っ払って、持ち運びが簡単かつ片手で操作ができる、それでいて人々が生活する上で必要な機能はほとんど網羅されているのがスマートフォンです。
スマートフォンの開発は我々が予想する以上に困難だったと思われます。なぜならば、適当に機能を省いてしまってもそれは劣化パソコンとなってしまうからです。
人々が携帯端末に求めている機能のみを特定する、すなわち無駄なものを省く作業を実行するためには徹底的に考え抜かなければなりません。かのスティーブ・ジョブズはこのコンパクト化を実現するために相当悩んだそうです。
顧客が何を求めているか、の調査からはじまり、そこに自社の技術をどのように適用するか、そしてどのように製品を仕上げるか。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という有名な孫子の言葉がありますが、まさにその通り実践した結果がスマートフォンなのではないでしょうか。このように絞り込むという作業は非常に大変かつ難しく、現代が求めているのはまさにこの「引き算思考」です。
■受験は「引き算思考」をできる人が勝つ
さて、ここから資格キラーのブログらしく受験の話に切り替えたいと思います。
先ほど例にあげたパソコンとスマートフォンの話は、受験勉強についても同じことが言えます。ある試験を受けようとした際に、書店に行けば何冊、何十冊もの教材が見つけられます。それらを全部購入するのは非常にお金がかかるのは当然ですが、それ以上に、そんなに教材を揃えても情報過多になってしまい、吸収しきれず、結局中途半端になってしまうことが容易に想像できます。
そこで重要なのが絞り込む力となるわけです。絞り込むといっても無計画に絞りこんでも仕方がありません。スティーブ・ジョブズが実践したように、必要なポイントを抑えつつ、省くことが重要です。
ではどのように省くのか。それは前述した孫氏の言葉通りに実践するのみです。
まず、自分が受験する試験を徹底的に研究します。受験日はいつなのか、出題範囲はどうなっているのか、配点はどうなっているのか、過去問ではどのような問われ方をされているのか。
そして次に自分自身の研究です。受験資格を満たしているのか、試験を受けることが自身の目的に合致しているのか、自分の得意分野はどこか、苦手分野はどこか。
そして最後に、実際に本を開いてみて、自分のスタイルに合っている教材か、出題範囲が網羅されているか、網羅されていなければ補足としてどの教材を加えれば良いのか、分量は適切か。
そのような思考プロセスを経て、ようやく自分オリジナルの受験対策教材集が出来上がることになります。つまり、ここで必要なスキルは教材を収集する力ではなく絞り込む力、すなわち「引き算思考」だということです。
■最後に
昔はモノが少なかったので、何でも備えていることに利点がありました。しかし、現代はモノに満ち溢れています。そのため、処理するデータ量が多過ぎてパンクしている世の中になっていると言って良いでしょう。なので、今になってそれらを処理する力が求められてきたということです。つまり、時代の変遷とともに「足し算」という思考から「引き算」の思考へと求められる力がシフトしたのです。
で、実はこの記事を書きながら以前から更新が止まっていたホームページを変更しました。以前は「スカイプ家庭教師」という非常に幅広い層に向けた内容だったのですが、今では「中小企業診断士特化型スカイプ家庭教師」と変更しました。これによりアクセスされるキーワードが変化してきております。
本記事に興味を持たれた方は、ぜひとも「引き算する勇気 ―会社を強くする逆転発想」を読んでみてください。中小企業診断士の試験委員も勤めたこともある岩崎邦彦さんの書籍です。本の中では、ここで説明したことをより多くの具体例とともに紹介してくれています。
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最近「業務に関係ない種類の資格をたくさんとって何の意味があるんですか?」と聞かれることが多くなりました。
ビジネス本を読んだり、SWOT分析に関する本を読むと必ずと言っていいほど「強みを作りなさい」とか「コアコンピタンスに注力すべし」みたいなことが書かれています。実際これは企業戦略に関しては正しくて、確かに強みを作らなければ他社との差別化は難しいでしょう。しかし、それを一個人レベルに落とし込んで忠実に実行してしまった場合のリスクについて語られることはあまりありません。
今回は「強み」に捉われない幅広い知識がアイデアを生み出す元になるということを綴っていきたいと思います。
■「強み」の正体に迫る
まず、企業の強みという意味であれば、販売力を強くしたいから人材を投入するとか、販売研修を充実させるとか、具体的なアクションをイメージしやすいでしょう。ですが、一個人レベルで考えた場合はどうでしょうか。
個人の強みというと、プログラミングだったり、会計知識だったり、人脈だったり、マネジメント能力だったり…… もっと具体化すれば、プログラミングでもデータ構造に強いのか、アルゴリズムに強いのか、それともC言語やJava、Python等のいわゆるプログラミング言語に強いのか。さらにデータ構造の中でも…… というように非常に細かく細分化できます。同様に、会計知識やマネジメント能力についても細分化できてしまうわけで、一言で「強みを伸ばしなさい」と言われても何を伸ばすべきなのか困ってしまいそうです。つまり、強みというのは一般的に定義できるようなものではなく、状況に応じて範囲を広げたり、狭めたりする必要があるものだと解釈できそうです。
まぁそんな言葉の本質に迫っていても議論は進まないので実際のケースを挙げてみましょうか。例えばサラリーマンが上司から「強みを伸ばしなさい」と言われた場合は、おそらく今現在携わっている業務のスキルを伸ばせということになるでしょう。つまり、今現在従事していること、すなわち自身の専門を「強み」とでもしましょうか。そもそも強みが自身の仕事でなかった場合は、なんで得意でもない仕事に対してお金を払う必要があるんだって話にもなりますしね。
■で、「強み」を伸ばすってどういうこと?
で、「強み」が専門だとして、一体全体自分の強みを伸ばすことができていない人なんているのでしょうか? 毎日その業務に浸っているわけで、その専門スキルが伸びないなんてことがあるとは到底思えません。先ほど例にあげたプログラマーであれば、ほぼ毎日プログラミングをしているでしょうし、成長するスピードに差はあれど伸びているに違いありません。
つまり、強みなんてものは普通に日々の業務をこなしているだけで自然と伸びてしまうものなので、わざわざ意識して伸ばすようなものでもないということになります。
■世界に目を向けてみよう
それによく考えてもらいたいのは、こういった専門スキルは日本中、いや世界中に同じようなものを持った人間がたくさんいるということです。ひとつの専門分野に特化し過ぎてしまった場合、それだけで勝負するってことは努力だけではどうしようもないーーいわゆる才能が関わってくることについても意識すべきです。
IT人材を例にあげると、日本だけでも100万人程度はいるようですし、世界までその範囲を広げればその十倍以上にもなるのではないでしょうか。自分に100万分の1の才能、1000万分の1の才能が備わっているという自信がない限り、その専門だけで勝負するという選択をすべきではありません。
専門だけに特化することについては他にもリスクがあります。それは、そのスキルが時代の流れとともに不必要となってしまった場合です。こうなってしまった場合、再雇用先もなくなってしまうため、専門を絞り過ぎてしまうと相当なリスクを負っているということを理解しておくべきでしょう。
■知識の幅を広げるという選択肢
これまで専門だけで勝負するのは難しいと話してきました。それではどうすれば良いか? 答えは至ってシンプル。専門知識を生かせば良いのです。
ところで皆さんはアイデアの源泉は何だと思いますか?
私もこれまでアイデアの源泉とは何かについて考えあぐねたことがありますが、ある一冊の本との出会いでその疑問が解消されました。それがジェームス W.ヤングの「アイデアのつくり方」という本です。この本の内容についてここで詳細に述べるつもりはありません。あとで読者の皆さんに読んでいただければ良いでしょう。この本の中で、アイデアというものは専門知識と一般常識の掛け算だと書かれています。
ここでいう一般知識とは専門知識以外のことです。それは学校で学んだ教養かもしれませんし、前職のスキルかもしれませんし、あなたの趣味かもしれない。はてまた、あなたの地域固有の習慣かもしれない。この一般知識を広げることで新規アイデアが生まれる確率を高められるということです。
例えば、現代のサッカーが発展した過程に、バスケットボールの動きを取り入れたというものがあるようです。これは、バスケットボールに知見のあるとあるサッカーコーチが試しに練習に取り入れてみたところ、絶大な効果を発揮したというものです。まさに専門知識(サッカー)と一般知識(バスケットボール)の掛け算だと言えるでしょう。
「専門知識だけで生まれるアイデアもある!」と反論される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そんなものはすでに他の誰かが考えついていて、すでに出尽くしていると思いませんか?
■アイデアの作り方だけを意識した場合の落とし穴
さて、本記事ではこれまで一般知識を広げることを薦めてきたわけですが、それだけでは評価されない事実があることも心にとめておかなければなりません。
仕事にしろスポーツにしろ何にしろ、絶対に抑えておかなければならないスキルがあります。それができていなければ、どんなに一般知識があったとしても使えない人間のレッテルを張られてしまいます。試験でいうところの足切りに似ていますね。仮に複数科目で100点を取ったとしても、一科目だけ基準点に達していなければ問答無用でバッサリ斬られるアレです。つまり、まずはその最低限抑えなければならないところをクリアすることが必要です。
■まとめ
結局、アイデアというものは無からいきなり出てくるものではなく、専門知識と一般知識の掛け算という過程を経て生まれるものです。専門だけを伸ばしていてもアイデアは生まれません。それ以外の一般知識がアイデアの源泉となるため、それを広げることでより多くの組み合わせが思い浮かぶようになり、アイデア創出に繋がるわけです。
私はエンジニアでありながら法律も会計も語学も学んでいますし、趣味として音楽、スポーツにも触れています。これがきっと将来的に新たな閃きに繋がると確信しているからです。
もし皆さんがアイデアが生まれないことに行き詰っていたら、いったん専門から離れて、一般知識を増やすという選択肢にも目を向けてみることをおススメします。
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■はじめに
昨今のAIブームを受けてディープラーニング(深層学習)についての知識を増やそうという目的で、何か面白い資格はないかなぁ、とインターネットサーフィン(もしかして死語?)をしていたらたまたま見つけたのがこのG検定です。
ちょうど筆者もディープラーニングに手を出しており、TensorFlow&KerasでAndroidアプリを作ってみたり、VGG16に転移学習をして新たな画像認識にチャレンジしたり、LSTMでTwitterbotを作成したりしていました。しかし、体系だった知識がなく、一般的な手法やその歴史を学ぶことでさらに深い知識を得ることを目的とし、受験を決意しました。
■概要
ディープラーニング検定とは、日本ディープラーニング協会(JDLA)という団体によって2017年から開催されている検定試験で比較的新しい試験です。このJDLAの理事長にはディープラーニングの権威である松尾豊氏が務めています。さらに、トヨタ自動車や日立、さらにはGoogle等が賛助会員として登録されています。
ディープラーニング検定にはG検定とE検定があり、G検定がディープラーニングを事業活用するジェネラリスト向け、E検定がディープラーニングを実装するエンジニア向け、となっております。本当はE検定に興味があったのですが、受験するためにJDLA認定プログラムを終了しなければならないという面倒臭さがあったので、まずはG検定を受けることにしました。
G検定の試験時間は120分で自宅受験形式です。試験を受ける際の注意書きにカンニング行為はダメだと書かれているため、試験中のインターネット検索は禁止されていると考えるべきでしょう。とはいえ、インターネット検索してもバレることはないとは思いますが、どちらにせよ120分で226問も出題されるため、1問あたり30秒以内で答えなければなりません。ゆえに、問題ごとに検索していたら間に合わないので、やはり正攻法で挑むのが良いかと思います。
■試験結果
・期間:20日(勉強時間 10 時間)
・費用:19,008円(受験料12,960円、参考書代等6,048円)
・得点:不明
期間は20日。1日30分電車の中で勉強しました。参考書は2冊に絞ったため、費用は2万円もかかりませんでした。得点は残念ながら非公表で合格最低点も分かりません。受かっても分野ごとの得点詳細等は何もなく、ただ合格通知が届くのみです。
■計画
まずはインターネットで情報集め。合格率が60%前後で推移しているため、必要最小限の知識を抑えれば合格できそうです。とはいえまだ歴史の浅い試験のため、現在受験している方々はある程度ディープラーニングへの知識があると推測されます。
試験対策本が少ないので、出題範囲を確認する目的も含めて公式テキストの購入を決めました。出題傾向としては公式テキストの「第4章 機械学習の具体的手法」「第5章 ディープラーニングの概要」「第6章 ディープラーニングの手法」の3つの章だけで全体の6割を占めているようだということが分かりました。
この第3章〜第6章をより深く理解するためには、JDLAの公式推薦図書でもある岡谷氏の「深層学習」が良いとの情報を得たので購入。実際にこの判断は正しかった。本試験受験後に思ったのは、よほど実務で色々な種類のニューラルネットワークを実装している人でない限り、公式テキストだけでの合格は難しいかなと。あとは、大学で線形代数や微分積分を学んでない場合はかなり覚悟して挑む必要があるのかなとも思いました。
他サイトには「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」が第1章〜第3章、「AI白書」が第7章〜第8章をカバーしているのでおススメだと書かれてはいましたが、試験合格のためには6割取れれば十分との判断から今回は極力書籍を揃えずに挑むことにしました。もし万全を期して挑みたいのであればこれら2冊を追加しても良いでしょう。本試験では前半にAI白書問題が連続で出題されたため、初めは全然解けず結構不安になりましたので。
あと、Study-AIというサイトの模擬テストが無料で受けられるらしいので会員登録しました。
ここのサイトに載っている問題と全く同じ問題が本試験で出題されたので必ず登録しておきましょう。
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最初に断っておきますが、独学できる方はわざわざこの記事を読む必要はありません。独学できればそれに勝るものはないので。
さて、これまで資格キラーのブログでは独学での合格体験記のみを公開してきました。というのも、私自身が通学や通信を利用したことがなかったことが大きな理由です。
しかし、今回ゆえあって資格スクエアさんのサービスを利用することとなりました。使わせていただいたのは、去年私が合格していた行政書士の講座。実際に使ってみると独学に慣れていない方々に対して上手くサポートできているなという印象を受けました。公式では通学でも通信でもないと謳っておりますが、オンライン動画配信による自習というスタイルになるため、通信に分類されるサービスなのかなと思います。
本記事は、独学慣れしていない読者をターゲットに、筆者が感じた資格スクエアのメリットとデメリットを列挙し、最後に資格スクエアの効率的な使い方について紹介したいと思います。
■資格スクエアのメリット
◎レジュメを自分なりに書き換えられる
PCでマイページにログインするとレジュメを編集することができます。追記したり、ハイライトしたり、文字色変えたりできます。テキストに書き込みするような人には重宝する機能かもしれません。
初めはスマホでしかログインしていなかったので、こんな機能があることに気がつきませんでした……
◎他分野と関連付けて学習できる
これが独学にはない最大のメリットですね。受験のプロが頻出ポイントを抑えたうえで他分野と関連付けて説明してくれます。特に、書籍だけで独学していると大事なところでも読み飛ばしてしまったりもするのですが、講師の先生が重要な箇所を強調して説明してくれる点がグッド。
◎通勤時間中に「倍速」で講義が視聴できる
個人的にはこれが一番嬉しい。しかも1.5、1.6倍のように細かく調節できる。筆者は大体1.7倍速〜2.2倍速くらいで聞いてました。講師の先生メッチャ早口(笑)
通勤時間の満員電車だと本を広げられないこともあります。しかし、スマホであればスペースを取らないし、スマホすら見られないほどの満員状態でもリスニング学習できるので非常に有難いと思います。
■資格スクエアのデメリット
△倍速で動画を再生すると動画が途切れ途切れになる
1倍速で講義を動画で見る分には全く問題なかったのですが、2倍速以上だと頻繁に動画をローディングしまくりで勉強できたもんじゃなかった。それが嫌なら別途3〜4万円する動画ダウンロード機能を追加で購入しろと言われればそれまでですが。
対処法としては、動画を切って音声だけにすれば問題ないので分かりづらいところだけ低倍速にして動画を視聴し、基本は2倍速で音声のみにして使うのがイイかなと。事前に問題集とかである程度内容を理解していればこの方法で対応できると思います。
△頻出分野ではない講義がやたらと多い
今回は行政書士講座を使わせていただいたのですが、実際に試験で出題される範囲のうち憲法は全体のごく一部。にも関わらず、講義数がやたらと多い。個人的には憲法を削って民法や行政法を増やすべき。もしくは問題演習を増やしてもいいと思いました。
△料金が独学と比べて高い
これはまぁ当然かなと。私が独学で行政書士に合格した際のトータル費用は2万円もしませんでした。とはいえ通学だと20万円くらいするらしいので、その半額以下の資格スクエアはコスパ良いと思います。
以上、メリットとデメリットを挙げてきましたが、デメリットに関しては料金以外はやり方次第でどうとでもなるのかなと。資格スクエアに限ったことではありませんが、ツールを使いこなせるかは使い手にかかっているので、メリットが多いと感じたのであれば申し込んでみるのも良いのかなと。
■資格スクエアの効率的な使い方
まず、公式ホームページの「資格スクエアの学習法」に書かれているような、講義を聞いてから問題を解いていくというスタイルはおススメしません。筆者は行政書士試験に一度合格し、それから一年程度間をおいてから資格スクエアの講義を聞いてみました。ところが説明が全く頭に入ってこない…… そこで受験時代に使用していた参考書や問題集をパラパラめくってある程度思い出した後に講義を聞いてみました。すると頭の中が整理されていく感じでした。
ここで皆さんにご理解いただきたいことは、一度行政書士試験を合格している人間でさえ、いきなり講義を聞いても理解しづらいということです。まぁ「憲法を分かりやすく」のように漫画形式で進めてくれるようなものならいいんですがねー。
とはいえ完全独学と違って試験に出るポイントは丁寧に説明を受けることができて、なおかつ質問もできる仕組みは秀逸です。独学では分からない問題があっても、とりあえず分かった気になって最後まで一度通す、というのが王道です。これができずに挫折する人が多いんです。一方で、資格スクエアを使えば分からないところを潰しながら進むことができるため、挫折率が減るのではないでしょうか。
さて、ようやく具体的な使い方ですが、筆者のおススメは次の1〜3のサイクルを回すことです。
1.講義のタイトルを確認
2.問題集でその分野を学習
3.講義を聞く
問題集は資格スクエア公式の「コンパクト行政書士の問題集All-in-One」を使用すると講義に沿った学習ができますが、すでにご自身で良書があればそれを使っても良いかと思います。
■まとめ
今回はじめて有料のサービスを使わせてもらいましたが、独学で難しい点を上手くカバーしているなと気がつかされる点も多く、勉強になりました。
独学が不安で、通学するための時間もお金もない方にはおススメしたいサービスだと思います。しかし、当ブログの読者の最終目標はあくまでも独学だと考えています。せっかく高いお金を払うのですからこういうツールを使いながら、ポイントの抑え方を真似してみて、学習内容だけでなく学習の仕方を学ぶところまで視点を広げていただきたいと思います。
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最近「勉強時間は嘘だろ!」とか「アフィリ目的乙」といった苦情らしき問い合わせ、コメントが寄せられることが多くなってきました。弊ブログがそれなりに影響力が出てきたというのは喜ばしいことではありますが、やはり事実に対して疑われるのは気分が良いものではありません。ということで、今回は私がどのように独学しているかを公開することで透明性を確保し、少しでも疑い(?)を晴らしたいと考えて執筆に至りました。
まず、皆さんに理解していただきたいことは、概して通学より独学の方が短期間で合格できるということです。つまり、資格学校を利用すると勉強時間は必然的に長くなりますので、例えば応用情報技術者の合格までの平均勉強時間が数百時間という情報が世に出回ることになります。独学が通学と比べて効率化できる理由については以前の記事で紹介したのでご参照いただくか、「24週間で独学合格!公認会計士試験マル秘学習法」を読んでいただければなと。
この書籍の筆者は公認会計士試験に1,000時間以内で合格しております。勉強時間が減る理由については私のブログよりも丁寧に説明されているので、ご一読をおススメします。
さて、早速私がどのように独学しているのかを紹介していきたいと思います。ポイントは「可視化、優先付け、スケジュール管理」です。
■可視化
試験を受けると決めて最初に実施することは作業全体の洗い出しです。こと受験に関しては試験範囲の特定および使用教材の列挙をこの段階で決定します。この可視化をせずに教材が終わる都度、追加購入してしまうと合格までの学習量の全体像が見えないため、学習意欲の低下を招きます。その結果、挫折するリスクが高くなってしまいます。
この可視化作業は受験経験者からのヒアリングやインターネット情報などを参考に決定します。身近に受験経験者がいて、尚且つあなた自身の実力や性格を良く知っている人がいれば問題はありませんが、インターネット情報を参考にする際には注意が必要です。なぜならば、ネット上の情報というのは万人に有効ではない場合があるからです。例えば、当ブログはある程度試験慣れしている方々を対象にしているため、受験経験が少ない方にとっては有用ではない可能性も高いということになります。
可視化ではこれらのことを踏まえて、自身にあった教材を取捨選択するところがポイントになります。
基本的にこの段階で決定したものは変えてはいけません。学習を進めるうちに当初予定した教材だけでは不足だと気がつくことはありまして、その際には教材を増やすという選択も出てくるわけですが、極力そういったことを防ぐことが最短合格につながります。
PDCAサイクルではプラン(Plan)、実行(Do)、チェック(Check)、改善(Action)を回すとのことですが、改善の必要がなければプランを立て直すこともありません。もっと言えば、チェックすらも本来省きたいところです。つまり、一度プランを立てたら実行のみすることが最効率となるわけです。
■優先付け
可視化を終えたら次は手を付ける教材(テキスト・問題集・過去問)の順番を決定します。この優先付けは挫折率を低下させ、高効率な学習を可能にしてくれます。例えば、得意分野と苦手分野を交互にすることで飽きを排除したり、暗記科目を試験直前に持っていくことで復習の回数を減らすなどです。
また、教材の取り組み順序は、参考書を読むことから始めるのではなくいきなり問題を解くことを推奨します。学校の勉強に慣れている人は、参考書からはじめる傾向にあるように思えます。しかし、その方法は本当に効率的でしょうか? 説明を聞いて、すぐに問題を解けたことはあるでしょうか? 一部の天才や自分の得意分野においては参考書を読んだだけで問題が解けるようになりますが、一般的には問題を解きながら学ぶ方がはるかに効率的です。
過去問の着手タイミングに関しては賛否両論ありますが、可能であれば過去問ははじめに着手するのが理想です。試験まで十分に時間があったり、解説を読んでも全く理解できない場合に限り、問題集から開始しても良いのではないでしょうか。実際に私自身、中小企業診断士試験までは8ヶ月ほどあったので問題集から開始し、行政書士試験の時は試験日まで一ヶ月しかなかったので過去問から開始しました。
過去問は出題傾向の確認と、現在の自身の実力を知ることに大いに役立ちます。
少し話がビジネスの話にそれますが、一般的に問題解決のプロセスは、まずゴールを知り、次に現状を知り、最後にゴールと現状の間を埋めることになります。受験ではゴールは合格に対応します。
基本的には「過去問→問題集→テキスト」の順番を意識し、適切な優先付けのもとで次のスケジュール管理に進むのが良いでしょう。
■スケジュール管理
最後にこれまで検討したものをスケジュールに落とし込みます。優先付けまでの段階では、立てた計画通りに学習を進めて試験日まで間に合うかどうかは分かりません。絵に描いた餅を実際に食べられるようにするのがスケジュール化の目的のひとつです。
スケジュールにおいては各教材を「何日間で終わらせるか」でとどまらず「何月何日から開始して何月何日に終えるのか」まで検討します。ここでのコツは、複数教材を並行して進めるのではなく、ひとつの教材をやり切ってから次の教材に進む計画を立てるのが良いでしょう。学習においてモチベーション維持は非常に重要なので、教材が中々終わらないと途中で勉強を投げ出したくなってきます。ひとつでも教材を終えると達成感を得られるとともに一冊やり切ったという事実が自信につながります。
次に教材の進め方です。
ひとつの教材を章ごとに区切って各章を完璧にしてから次の章へ進むという方法をとっている人が多いように見受けられます。おそらく、学校の授業の仕方が関係しているのだと思います。学校では単元ずつ定期テストを実施し、間違ったところをすべて復習し、完璧にした後で次の単元へ進みます。この方法が頗る悪い。なぜならば、合格のためには満点を取る必要はなく――試験にもよりますが――大体6割〜8割が合格ラインです。つまり、苦手分野をすべて潰す必要はなく、その分得意分野を伸ばすことに注力した方が良い場合が多いのです。合格ラインが6割〜8割ということは、80%以上の理解は、こと試験合格を目的とした際には不要となります。資格学校が豪語している平均勉強時間はほぼ確実に合格できるまでのものであり、ギリギリ合格を目指す独学には当てはまらないということです。
さらに、各分野は相互に絡み合っていることが多々あります。中等教育に例えれば、三角比は三角関数を理解していた方が学びやすいですし、単振動は微分を使った方が本質を捉えられます。
まずはひとつの教材をとりあえず全て終わらせてしまいましょう。分からないところは無理に理解せずに、ひとまず暗記で対応してしまっても構いません。
スケジュール管理は手帳で管理してもExcelで管理しても独自のデータベースシステムで管理(ここまでやる人がいたら尊敬しますが)しても構いません。ただし、必ず予定と実績が比較できるように管理してください。予定よりも大幅に遅れた場合は何かしらの改善アクションが必要になります。遅れたことに気が付かずにズルズル日が過ぎ、もう試験日までどうしようもなくなった、という事態は避けねばなりません。スケジュールを前倒しで進められれば予定と実績のチェックが減るのでより時短になります。
スケジュール管理は期限まで設定し、教材はひとつひとつ終わらせるようにすると良いでしょう。
■まとめ
以上長々と説明してきましたが、本記事で言いたいことは大きく2つで「過去問→問題集→テキストの順に着手する」「独学は通学よりも効率的」ということです。
特にブログでコメント欄が荒れているITストラテジストについて一言書かせてもらうと、合格までの勉強時間と試験難易度は比例しないことをご理解いただきたい。ITストラテジストは間違いなく難関試験です。しかし、勉強する内容は極端に少なく、それよりも発想力や論文能力が試されるため何千時間費やしても受からない人はいらっしゃるでしょう。
記事が長くなったのでまとめはこのくらいにしておきます。何かコメントがあれば遠慮なくお願いします。
■世界遺産検定とは?
最近話題になってる世界遺産。
観光地として有名な自由の女神やフランスのヴェルサイユ宮殿、エジプトのピラミッドは全て世界遺産に登録されています。この世界遺産には日本からも登録されていて、2014年には群馬の富岡製糸場、続く翌年の2015年には明治日本の産業遺産群が登録されました。これらは、国内からだけでなく世界からも評価されている建造物です。このように世界的に価値があると判断された遺産を世界遺産といいます。
世界遺産検定とは、人類共通の財産である世界遺産についての知識を学び、社会へ貢献する試験です。近年では趣味による取得の他、旅行業界で評価される資格になっています。
■世界遺産検定って難しいの?
世界遺産検定には、1級〜4級のマークシート式試験に加えて、さらに1級の上に君臨する論述式のマイスター試験の5ランクに分けられています。1級以上はいきなり受験することができず、必ず2級以下から受ける必要があります。
本題の世界遺産検定の難易度についてですが、級ごとに大きく異なります。
同じ資格内で比較すれば、マイスターは難、1級はやや難、2級はやや易、3級と4級は易、といったところでしょうか。他の資格と比べれば、最上級のマイスターでもそこまで大変ではないので誰でも狙えるレベルにあるといえます。
■世界遺産検定を取得する
このサイトをご覧になっている方は、おそらく大半が世界遺産検定を受けたことがない人だと思われます。世界遺産検定をはじめて受験しようと考える人のほとんどは3級から受験することになりますので、3級に絞って記事を記載していきます。
もし、いきなり2級からの受験を考えているのであれば、2級の勉強法が記載されている「世界遺産検定2級 独学一発合格」をご覧ください。
世界遺産検定3級はすべての級の中で最も受験者数が多く、全受験生の半分弱を占めています。3級の合格率は大体75%〜80%で推移しており、4人か5人に1人は落ちている試験ですが、決して難しい試験ではなく普通に勉強すれば100%受かる試験です。
全く勉強しなかった人を除いた不合格になる人を分析したところ、「世界の遺産」を中心に学習していることが分かります。やはり、世界遺産検定の勉強で一番楽しい分野は世界の遺産であり、何も調査をせずに受験する人はここに偏って勉強してしまうようです。
ですが、最も出題されるのは「基礎知識」。この分野は、お世辞でも楽しく勉強できるところではなく、多くの受験生が避けたいと考えているはずです。次に出題されるのは「日本の遺産」で、本試験では細かいところまで問われるので学習が少し大変です。しかし、基礎知識および日本の遺産を制してしまえば合格は目前です。その理由を説明するために出題傾向を分析してみます。
■出題傾向
世界遺産検定3級の出題傾向は公式ホームページ(文部科学省後援 世界遺産検定)に載っています。以下抜粋します。
分野 | 配点 |
基礎知識 | 25% |
日本の遺産 | 30% |
世界の遺産 | 40% |
その他 | 5% |
分野 | ページ数 |
基礎知識 | 14ページ |
日本の遺産 | 20ページ |
世界の遺産 | 110ページ |
その他 | (記載なし) |
分野 | ページ当たり配点 |
基礎知識 | 1.79点 |
日本の遺産 | 1.50点 |
世界の遺産 | 0.36点 |
その他 | (不明) |
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試験に不合格になったことは失敗でもなんでもありません。試験に受験しなかった、すなわち挑戦しなかったことこそが失敗です。なので、不合格になったことを後ろ向きに捉えてはいけません。人生を成功に導くには不合格のような失敗を経験することは不可欠なのですから。
……いきなり講釈垂れてしまい失礼いたしました。では、なぜ冒頭でいきなりこんなことを言ったかというと、本記事に辿り着いた方々はおそらく何かしらの試験に不合格になってしまったのだと推察しております。
不合格になってからの立ち直り方を探し回っている人、心の拠り所を探している人、同じような気分を共有したい人…… 他にも様々だと思われます。
試験の不合格の理由は何も実力不足だけではありません。試験によっては明らかに実力が上回っていても運で落ちてしまうこともあります。何年も不合格になったからといって自信を失う必要は全くありません。
また、試験に不合格にならないということは、実力以上の試験を受けていないということでもあります。筆者の場合は、勝率が六割超えたら受験してしまうようにしています。そうなると必然と不合格を経験することになります。確かに合格は素晴らしいことですが、不合格になることで得られるメリットも多い。そこで本記事では不合格になったからこそ得られるメリットについて考えていこうと思います。
■不合格を克服することで精神力が鍛えられる
試験に落ちると大きく落ち込む人がほとんどです。不合格経験が少ない人ほどその傾向が強いように思えます。特に、難関大学受験生や難関資格試験の場合は、そのために何年も学習してきて、たった一回の試験結果でもう一年受験しなければならないのは相当精神的にツライ。
筆者も何度も不合格を経験してきましたが――今でこそ不合格にめげることはありませんが――初めて不合格になった時は、真剣に自己嫌悪に陥ったこともありました。落ち込まないということは、逆に本気で打ち込んでいなかったという裏返しでもあります。人間はこのツライ失敗というものを経験しなければ大きく成長することは難しいでしょう。
もし、それを克服することができれば大きく成長できます。挫折してこなかった人間よりも挫折を経験した人間の方がその後の人生において成功する確率が高いようです。それは、挫折を乗り切ったことで精神力が鍛えられ、そこで学んだことがその後に活かされるからでしょう。
大きく落ち込んだ時に、それを糧として成長に結びつけられる。そのような精神力は失敗したからこそ学べることです。
■誤った勉強法を改善できる
不合格になった場合は、まず勉強法に問題がある可能性を疑うべきでしょう。
人生は学習の連続です。たまたま運良く合格して、その勉強法を正しいと思いこんでしまうのが一番怖い。間違った勉強法が一度身についてしまうと、改善するのが難しく、その後の人生においてロスが非常に大きくなってしまいます。不合格になることによって自身の勉強法のどこが間違っていたのかを反省する機会を得られるというのは大きなメリットではないでしょうか。
それではどうやって勉強法を改善するのか。
一般的な試験では不合格者にも分野ごとの得点が通知されます。そこでどの分野が足を引っ張っていたのか、そこから自分の弱点を知り、勉強時間の配分に問題がなかったか、暗記すべきではないところを暗記してはいなかったか等、様々なフィードバックを得られると思います。
特に勉強慣れしていない方は、得意分野に注力してしまい時間配分や出題傾向を考えずに挑んでしまう傾向にあるように思えます。自分よがりな学習をしていてはいつまでたっても試験に強くなれません。敵を知り己を知れば百戦危うからず、という格言通り、まずは敵すなわち試験を知ることが第一なのです。
勉強法というものは一朝一夕で完成するものではありません。何度も失敗して、改善して、その繰り返しの結果、完成するものです。不合格になってしまった場合は、是非とも勉強法の見直しをしてみてください。
■確かな知識をつけることができるチャンス
不合格になったことによって、再びその試験に向き合えることになります。一度覚えたものを再び覚え直すのは無駄なような気もします。が、見方を変えると、覚え直すという作業が入った時点でその記憶は不確かなものだったとも考えられます。
多くの受験生にとって試験合格は目的になり得ません。試験で学んだことを応用して価値創造に向けて発信していくことになります。それがビジネス実務だったり、研究だったりするわけで、つまり試験は過程でしかないということです。
たとえ何年も不合格になったとしても、それまでに続けてきた学習は必ず知識として長期記憶に遷移しています。何度もそれを繰り返すことで、ほとんど勉強しなくても受かるレベルに達することでしょう。試験の内容を息を吐くように思い出せてこそ、真に実用的な知識であると言えます。
試験に不合格になっても将来的に成功すれば良いのです。高々一年、二年程度、長い人生の何十分の一でしかありません。不合格になった時は、知識基盤を確実にするチャンスに恵まれたと考えてみたらいかがでしょうか。
■まとめ
「賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ」という言葉があります。人間は誰しも初めは愚者です。生まれてからいきなり賢者なんて人はまずいません。残念ながら人間とはそういう生き物です。失敗を何度も繰り返して徐々に賢者に近づいていくことになります。
試験なんてのは過程でしかありません。その試験を通じて何を得たかが一番重要です。試験に不合格になったとしても、それを自己成長につなげていただければと思います。
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「もしも今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることをやりたいと思うだろうか?」
―スティーブ・ジョブズ
この質問に何日もNOが続くようなら考え方を改めるべきだ、とスティーブ・ジョブズは言いました。もしあなたがこの問いかけに対して自信をもってYESと答えられたとしたら継続するのみです。しかし、YESと答えたとしても本当にそれが本心かどうかを過去の自分を振り返ってもう一度考えていただきたい。就職する前に抱いていた野望や大学時代の将来の夢――社会に出る直前の当時に考えていたことを実現する途上に現在の自分の姿があるでしょうか?
明るい未来への期待に溢れていた新卒時代。やりたいことがあって、将来達成したい大きな夢があったにも関わらず、いつの間にか淡々と日々をこなすように。数年間も会社に所属していると与えられた仕事だけをこなすだけになってしまい、次第に自分の目標を見失ってしまう。そして、いつの間にか自分の目標が会社に居続けることに寄り添ったものになってしまった。これがいわゆる会社洗脳です。
会社洗脳は、その間はあたかもやりがいを感じているように錯覚しますが、40歳、50歳、そして60歳の定年を迎える頃になって解けた時に非常に後悔するという実体験をされている人が多いと聞きます。
本記事は、そのような環境に流されて後悔しない生き方をするためにはどうすれば良いのかという趣旨の下、主にこれから就職しようとしている学生、そして新卒社会人に向けて書かれたものです。が、現在社会に出られている方にもご一読いただければ幸いでございます。
■信念を持つことの大切さ
何よりも初めに、自分が将来実現したいことを軸にした自身の信念を持つことが大切です。日々の業務をしていると、目の前のことだけを考えてしまって、いつの間にか自分のやりがいを忘れてしまうことがあります。また、それなりに給料を貰っていると、やりたいことを実現しなくても十分生活できるからいいだろう、と安定思考に陥ってしまう可能性も高い。
社会に出ると様々な環境に触れて、自身の信念が埋もれてしまうことがあります。そんな環境下でも信念を持ち続けるためには、会社勤めの中でも自分のポジションを逐一確認すると良いです。具体的には、退職の時にどの部署のどの地位で辞めたいのかを明確にしておくこと、そして今現在の自分のポジションが会社全体のどの部分に位置するかを常に意識しておきます。退職時のポジションになるために各年齢でどのポジションになっていなければならないかを逆算し、現在のポジションがそのポジションに達しているかを確認することで、目標と現状の認識ができるため信念を忘れてしまうリスクを軽減できるでしょう。
他の手段として社外交流を深めるのも良いでしょう。社外のセミナーや勉強会に参加したり、志の高い仲間との付き合いを多くすることで外部からの刺激を受けることができます。
人間は変わらない環境にいると思考停止に陥りやすいので要注意です。信念を持つためには自ら積極的にアクションを起こす必要があります。
■目の前の仕事をキッチリこなす
自分の目標に向かって最短距離を辿ることが理想ですが現実はそう容易ではありません。これは企業に属している場合のみならず、自分でビジネスをしていても同様です。お金を貰っている以上は自分がやりたくないことをやらなければならない状況は必ず訪れるでしょう。嫌なことがあって逃げたくなることもあるかと思います。しかし、そこで逃げてしまうと成長する機会を失うことになっ
てしまいます。
自分がやりたいことはお金を貰わなくても続けることができる一方で、やりたくないことは自発的にやりたいとは思わないのが普通です。しかし、そのようなやりたくもない仕事から自分のが将来やりたいことへの気づきを得られることも多い。例えば、初めは金欲しさではじめたレストランのアルバイトがキッカケで接客を楽しいと知ったり、学校の授業でプログラミングを学んでIT全般に興味をもったりする事例は多いようです。つまり、やりたくない仕事が割り振られたということはお金を貰えて適性を測れる、そして成長する機会を与えられたチャンスだとも考えられます。
また、目の前の仕事をキッチリとこなしていくことで自分のスキルが周囲に認めてもらえます。その結果、希望した部署に異動させてもらえたり、大幅に裁量を与えられることもあります。そうなれば自分の目標に大きく近づけることになるでしょう。
仕事を一度やると決めたら、やりきるまで決して降りない。一見すると自身の目標への遠回りのようにも思えますが、その姿勢が自己実現に結びつくことになるのです。
■人の言葉を真摯に実行する
人間は主観でしか物事を判断できません。そこで客観的に見てくれている他人の意見を聞ける機会はとても貴重です。自分では正しいと思っていても大多数から見て間違っている、というのは良くあること。なので、他の人の言葉を真摯に受け止めて実行することで自分の弱みを克服し、強みを認識することができます。
ただし、ここで注意しなければいけないのは全部丸ごと聞き入れてはいけないということです。全ての人の意見を受け入れてしまうと何でも人の言う通りに実行するような、いわゆる優柔不断な人間になってしまいます。このような状態を以前テレビにて東進の林修先生が「ロバの親子症候群」と揶揄しておりました。これはイソップ物語の「ロバの親子」という話からの教訓です。簡単に説明すると、主体的に考えずに他人の話に流されてばかりだと最終的に不幸になる、という教えです。
特に、自分のことを良く知っている人からの意見は慎重に聞くべきです。周りに流されそうになった時に軌道修正してくれることもあるかと思います。
何でも意見を取り入れるのではなく、自分の信念が軸にあり、その上で他者の意見を受け入れるのが良いでしょう。
■まとめ
後悔しない生き方をするためには環境に流されてはいけません。そのためには、信念をシッカリと持ち、目の前の仕事をキッチリとこなすことで自分のできることの幅を広げ、他人の言葉を真摯に受けとめて実行することで自分の強みと弱みを把握しながら軌道修正をしていくことが必要です。
もしも、時間があるなら内永ゆり子さんの書籍「部下を好きになってください」を読んでみてください。女性でありながらIBMの役員まで上り詰めた方が、自身の出世体験談を綴った内容となっております。本書は女性が社会で活躍するための方法論が書かれていますが、その内容は男性にとっても非常に役立つものとなっております。特に、本記事での会社でのポジションを逐一確認する方法や、目の前の仕事をキッチリとこなすというのは本書から学んだ内容です。
やりたいことができる人生。それは理想でも何でもありません。自身の心の持ち方次第で何とでもできるのです。変わらない日常が続くと感じたなら、逐一冒頭のスティーブ・ジョブズの言葉を問いかけてみてください。
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「中小企業診断士試験に合格したはいいけど、どうやってスキルを上げればいいんだろう……」
ほとんどの中小企業診断士合格者にとって資格取得がゴールではありません。その後どのようにスキルアップしていくか、どのように他のコンサルタントと差別化していくか、のように自分自身をブラッシュアップしていくことになるでしょう。
もちろん現役でバリバリにコンサルタントととして働いているという方もいらっしゃると思います。しかし、中小企業診断士試験を取得したばかりの方にとって実務レベルでのコンサルティングは簡単ではありません。
そこで、小規模企業を転々とし、現在個人スカイプ家庭教師として中小企業診断士の合格者を排出してきた筆者が資格取得直後の読者を対象に、診断士試験の復習の必要性、フレームワーク習得の勧め、そして事例を多くこなす方法、そして最後に具体的なスキルアップ方法を紹介します。
■定期的な中小企業診断士試験の復習
かなりの勉強時間を費やして資格を取得したものの、取得後に復習を疎かにしてしまい、せっかく覚えた知識を全く使わないまま忘れてしまう、というのは多々あることです。特に業務独占資格ではない中小企業診断士においては、忘れてしまうというのはその他の自称コンサルタントと知識で差をつけられないため致命的でしょう。
コンサルタントには第三者立場での広い視野からの意見が求められます。一般的に日々の業務の中では自分の仕事のやり方や考え方というものが決まっていて、基本的にその型に当てはめて物事を進めていくということが多くなります。特に、これは成功体験をしている場合に多くみられる傾向のように思えます。そのような定型思考に陥っている会社の経営陣に対して、一般的な知識をその会社の業務や性質に合わせて提案するには、中小企業診断士一次試験で学んだ運営管理や企業経営理論の知識を完璧に理解しておかなければなりません。
概して知識は覚えているだけでは使い物になりません。ある場面に出くわしたときに、瞬時に思い出せるようになって初めて実用化できます。例えば、新商品の開発をしたいと相談された際に、関連多角化と無関連多角化、そしてブランド戦略などがすぐに頭に浮かび、それぞれのメリットとデメリットを考えられて提案に結び付けられる、といった感じです。
試験から時間が経つとどうしても記憶が薄れてしまいます。試験合格後もスキマ時間を利用して復習すると良いでしょう。
■最小限のフレームワークを抑える
先ほど説明した復習に近いのですが、診断士試験の中で学んだフレームワークは特に集中して学習すべきです。中小企業診断士の二次試験では外部環境や対象企業の特徴などが与件に書かれていますが、実際のコンサルティングにおいては自分たちでそれらをゼロから調査しなければなりません。
そこで5Cや4P、ポーターのファイブ・フォース分析等が役立ちます。念のために説明しますと5CはCompany(自社), Cost(コスト), Competition(競合), Customer(顧客), Channel(流通)の頭文字で主に買い手側からの視点、4PはProduct(商品), Price(価格), Place(流通), Promotion(広告宣伝)の頭文字で主に売り手側からの視点のマーケティングミックスです。また、ポーターのファイブ・フォース分析は外部環境分析に有用で、競争要因が「業界内の競合」「新規参入企業」「代替品」「サプライヤー」「顧客」の5つにあるとする考え方です。
5Cや4Pはコンサルタントとして初めに何を調査したら良いかという手掛かりになりますし、ファイブ・フォース分析は新商品開発や新規市場参入の事例に対して漏れのないストーリーを作り上げることに貢献してくれるでしょう。
フレームワークは数多く存在するため、それらを全て覚えてもあんまり意味がありません。たくさん覚えようとするとかえって消化不良を起こしてしまうことも考えられます。さらに悪いことにはフレームワークに頼ることで企業の事例に柔軟に対応できなくなることもありえます。ですので、上記に説明したような最小限のフレームワークだけを頭の中に入れておき、フレームワークありきで事例を考えるのではなく、事例に取り組んでいる最中に必要に応じてフレームワークを適用する、というやり方がスマートでしょう。
現在筆者は小規模企業に勤務しており、企画ミーティングをすることがあります。業界内の人間だけで企画をしようとすると、どうしてもそれまでの知識や経験から顧客や市場をある程度絞り込んだ状態スタートで戦略を練ってしまうことがあります。そこで、広く浅いところから徐々に深く絞り込んでいく思考できるコンサルタント脳は非常に大事だと痛感します。
■数多くの事例を知る
中小企業診断士として成長するためには多くの事例に遭遇して、多くの問題解決を実践することが一番の近道です。が、実務ともなると1つの事例に何か月もかかるのが常であり、そうなるとコンサルタントとしての力量が中々に上がりづらい。
そこでおススメするのが書籍やインターネットにて事例を収集することです。有難いことに世の中には事例についての多くの書籍やインターネットサイトがあります。最初は解説の充実している書籍などを用いて、慣れて来たらインターネットサイトなどで事例を集めて自力で解いてみるのが良いかもしれません。中小企業診断士二次試験の問題を毎年解くのも良い練習になると思います。
中小企業診断士試験を突破したばかりで実務経験が全くないコンサルタントにとって「弊社の利益が減少している原因とその対策を教えて欲しい」のような白紙の状態から自分で結論までの筋道を立て、論理づけてシナリオを作ることは難しいと思います。
例えば、利益増加であればまずは目的の確認。次に外部要因を調査し、業界自体が落ち込んでいるのか、それとも自社だけなのか、を判断し、自社だけであれば他社の手法を参考にする、などの戦略が候補となる。次に内部要因に移り、利益を売上とコストに分解して売上面とコスト面でそれぞれブレークダウンさせて考えられる要因を列挙する。最後に、販売戦略の策定として「売上=単価×販売量(×頻度)」に分解して、単価を上げるのであればいくらにするのか、販売量を増やすのであれば流通チャネルを増やすのか、などをひとつひとつ検討していきます。最後に提案をまとめて終了です。
つまり、次のようなステップで考えられる思考を作り上げる。
1.目的の設定・確認
2.フレームワークを用いて大項目レベル(目的確認、外部要因、内部要因、販売戦略)で全体の流れを構築
3.大項目を順番に小項目にブレークダウンし、それぞれ検討
4.提案まとめ
このような大項目に分けてそれぞれフレークダウンさせていくという思考はコンサルタントにとって必須スキルです。初めにも説明しましたが、コンサルタントに求められるのは第三者立場での広い視野からの意見です。なので、事例を漏れなく細かく分解し、それぞれについてひとつずつしらみつぶしに検討していく、という思考プロセスが常に求められます。これができるようになるためには数多くの事例をこなして慣れるしかありません。
■具体的なスキルアップ方法
以上のように「診断士試験の復習→フレームワークの確認→事例をこなす→診断士試験の復習→……」というサイクルを回すことで知識と応用力を兼ね備えた診断士に近づけます。理論だけでは実践に使えませんし、実践だけでも理論が疎かになると説得力に欠けたり、視野の狭い提案しかできなくなります。ゆえに、両方のバランスを維持することが大切です。
診断士試験の復習については試験勉強で使った参考書を使えば問題ないでしょう。しかし、フレームワークとツールについては実際の事例と関連付けて説明されているような書籍をおススメします。
例えば「戦略コンサルティング・ファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策」では、ハーバード大学のMBAコースにてケース面接の指導を何年も行なってきたマーク・コゼンティーノ氏が実践で使えるフレームワークの紹介とともに豊富な事例を紹介してくれています。元々マッキンゼー等の外資系戦略コンサルティングファームのケース面接対策本なのですが、診断士試験を通過したばかりの方にも十分有用な書籍です。
特に、本書のアイビー・ケース・システムは非常に有用で、戦略シナリオ(新規参入や価格戦略など)からオペレーション・シナリオ(売上増加、ターンアラウンドなど)に渡る合計12種類のケースを想定したフレームワークとなっています。また、本書には事例が36個も掲載されており、それぞれの事例について面接官と志願者が対話しながら進めていく形式で解説されています。
この対話を覚える必要は全くありません。事例を自分で考えてから対話を読み進めて、自分のやり方と比較し、良い部分はどんどん取り入れていくという使い方が良いのではないでしょうか。
中小企業診断士として活躍を目指されている方は、是非とも実務と並行して書籍やインターネットサイトを用いた学習を継続していただければなと思います。
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最近、資格勉強が続いて読書が疎かになっていたので、昔買ったまま何年も読まないで本棚に放置されていた本を手に取ってみました。久しぶりの読書は楽しかった。やっぱり資格試験は頭をフルに働かせて何度も何度も同じページを読み返すのに対して、単純に内容を読んで頭の中が整理される読書は楽しいなって思います。こうやってブログにまとめるのは結構大変ですが(笑)
今回読んだ本は『上司が「鬼」とならねば部下は動かず』というタイトル。名前からして共感できなさそうでした。しかし、読んで正解だった。この本の結論とか主張とかよりも、考え方の違った人の意見を読むということの大事さを知る良い経験になったと思います。
一般的に本というのは、自分が興味があるものしか読まないと思います。タイトルに惹かれて共感するからこそお金と時間を使ってまでも内容を読もうとするのでしょう。
人間は共感してくれる人に好意をもつ傾向にあります。おそらくほとんどの人は、自分の意見に対して否定されるよりも肯定された方が気分が良いと感じることでしょう。そして無意識に同意してくれる人を選んで深い関係を築いていく。つまりは、自分の考えは元来正しくて、それを肯定してくれた人こそが仲間であり正義ということ。
本の選定・評価基準もそれと同様。自分の確固たる考えがあって、それが正しいと確信するために、それを補強するために本を読むということは往々にしてあり得ることでしょう。が、そのような行動をとってしまった場合、既存の思考を補完することしかできず、新しい考え方を学ぶことが非常に難しい。敢えて興味のないものを読むのも違った世界が見えて面白い、というのが今回の主題。
私自身も全く共感できない人の本を読んだことで、違った視点でのモノの見方を知る良いキッカケになりました。共感できない人とでも主張と結論が同じになることもある。しかし、主張と結論に相違はないけれども、その間を埋めるプロセスやメソッドが異なる可能性を知り非常に興味深かった。
この本の作者はトップダウンの考えの持ち主で、現在のいわゆる「ゆとり世代」とは正反対の考え方をしています。つまり、上司がやれと言われたことを部下は我慢して実行しろ主義者。私自身トップダウンは好きではありません。しかし、その好きではない主張の中でも納得できる部分と納得できない部分がありました。つまり、根本的に違う思考をしている相手でも部分部分では共感できる部分は存在し、全く折り合えないわけではないということに気がつきます。
自分と正反対の考えを持つ人の思考を知ることで、多種多様な人間に合わせるようになることは社会で生活をしていく上で非常に大切です。ある人が悪人に見えたとしても、本質的にその人が悪人かと言われるとそうではないと思います。その人の育ってきた環境や現在その人の置かれている状況等によってその相手方が自分の敵に見えてしまっている可能性はかなり高い。この場合、相手が悪人というわけではなく、ただ単に相手と自分の考え方やモノの見方が違うというだけ。
そうした自分とは異なる考え方を知ることで、人との付き合い方を知り、人間としての器が広がるのだと思います。
皆さんも敢えて興味のない本を手に取ってみてはいかがでしょうか?
JUGEMテーマ:検定試験にむけて
JUGEMテーマ:環境問題
■はじめに
11月頃に資格試験の予約を全くしていないことに気がついたので、急いで直近の試験を調べて見つけたのがエコ検定。元々環境問題には興味があったことに加えて、そもそも環境問題について研究をしたかったという理由でイギリスに留学した経験もあるので即申込みました。
■概要
eco検定(環境社会検定試験)とは、仕事と環境の相関を的確に説明する能力を習得することを目的とした試験です。合格率は大体75%前後。
近年、企業には利益を生むだけではなく、社会貢献に対する責任もあるという考え方が主流になっています。その社会貢献のひとつが環境問題です。
オゾン層破壊物質であるフロンガスの使用禁止などの法規制面も厳しくなっており、企業は環境面に配慮した製品設計をしなければなりません。また、排出規制の法律相談所や太陽光発電装置の設置・取付業などの環境ビジネスで台頭しているものもあります。
つまり、環境とビジネスは非常に関係が深いため、一般社会人も取得しておいて損はない試験だと思います。比較的容易な部類の試験でもありますし(笑)
■試験結果
・期間:15日(勉強時間 15 時間)
・費用:7,603円(受験料5,400円、参考書代等2,203円)
・得点:95点(100点満点中70点以上で合格)
試験結果表が届いたので見てみたら95点と書かれていて驚きました。他に並行して勉強していた試験がなかったのでついつい時間をかけ過ぎてしまったのかも。公式ホームページでも1ヵ月未満の勉強時間での合格者の割合が3割と発表されているので、勉強が得意な方なら数日で合格できると思います。
■計画
1ヵ月未満の勉強期間で十分ということなので直前1週間だけで挑もうかとも考えましたが、他に受験予定の試験がないためじっくりと2週間かけることにしました。勉強時間は1日1時間、通勤の電車内だけにします。
まずはインターネットにて情報収集開始。
公式テキストについて調べたところ「ページ数が多く、文章がみっちり書かれていて読みづらい」との意見が多かったので他のテキストを探すことにしました。
eco検定はテキストがそんなに多くなかったのですが特に気になったのが「eco検定 ポイント集中レッスン」。口コミを見てみると、出題される場所だけに絞り、さらに演習問題もあるため解きながら覚えられるというところが気に入ったのでこれを購入することに決めました。
確かな知識を得るためには公式テキストと並行して進めるのが良いのでしょうが、あくまでも目標は最短合格。テキストは「eco検定 ポイント集中レッスン」1冊で挑むことにしました。
eco検定は公式テキスト内の全6章+テキスト外からの出題となっています。各章ごとの出題割合は第3章が圧倒的に多く、その出題割合は全体の5割以上! しかし、第3章はテキストの中でも一番多く扱っているところでもあるためページあたりの配点の比重が高いわけでもありません。
また、勉強を進めると分かりますが1章〜5章までは記載されている内容がかぶっているところが多いため、結局すべて平均的に学習することになるでしょう。そして、第6章とテキスト外からはほとんど出題されません。年度によっては全く出題されないことも多いので、全く読まなくてもOK
以上より、学習計画はテキストの第1章から第5章までを15時間で終わらせることになります。
テキストが約200ページなので具体的なスケジュールは下記の通り。
◎テキスト1周目
1日30ページで7日
◎2周目
1日50ページで4日
◎3周目
1日100ページで2日
◎総復習
・テキスト全ページを1日で読み切る×2回
・過去問2回分
■実行
テキストを書店で取り寄せ注文してから勉強開始。本を開いてみると章が各節に分かれてて、節ごとに説明と演習問題が載ってる形式。
テキストの進め方は説明文は飛ばして初めに演習問題を解き、その後左ページの説明文を読む。これが効率的です。これも毎度書いておりますが、参考書ではなく問題集から着手。
初めの方の章は読みやすいんですが、後半になってくると1回読んだくらいじゃ覚えられないところも出てきます。理解の難しい箇所は1回読んでなんとなく理解した気持ちになって飛ばします。何といっても合格率が70%以上の試験なので細かいところはできなくても良いでしょう。理解しやすいところでシッカリと得点すれば合格できます。
1周目は予定通り7日間(つまり7時間)で終了。過去問はやる必要ありません。
先ほど勉強の仕方を説明しましたが、例えば第1章2節の「環境問題の世界動向」は表を全部読む必要はなく、演習問題を終わらせて表と説明文はサラッと読むだけで問題ありません。この節に時間をかけると全く先に進みませんので。
2周目は1周目で分かっていたところは読まなくても良いので、これも4日で終了。ここでも過去問はやらず。
3周目になってくると細かいところ以外はほとんど自信をもてるようになるかと思います。ここでも過去問はやらず。
試験の2日前から全ページを1日かけて読み通すことを2回繰り返しました。ここにて実力試しのために初めて過去問に取り組みます。過去問を完璧にしても構いませんが、これまでの勉強をこなせてあるのであれば7割は確実にとれているはずなので復習は必要ありません。もしも7割取れてないような気がしたり、石橋を叩いて渡りたい場合は過去問の復習をするのもいいかもしれません。ちなみに筆者は復習はしませんでした。
全体を通して、グリーンコンシューマーと消費者市民やCSRとSRIとかまで理解しましたが、合格するためならここまで理解する必要はないでしょう。何となく同じようなものだという認識で大丈夫です。国際機関も略称だけ覚えておけば問題ありません。国連なんちゃらかんちゃらはUNEPとかUNESCOで問題ありません。
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JUGEMテーマ:検定試験にむけて
JUGEMテーマ:参考書
JUGEMテーマ:教育
「資格勉強のために必要以上にお金をかけたくない」という理由で独学をはじめる人は少なくないと思います。実際に、独学は金銭的なコスト面で有利というだけではなく、試験に比較的短期間で合格をするのに適しています。しかし、独学で受験しようとしたはいいけれど、中々最後までやり切れる人が少ないのも事実。そこで独学で何十個も資格を取得している私が、独学において意識すべきことの中でも特に重要だと思われることを5つに絞って紹介いたします!
■1つの分野を完璧にしてから先に進む必要はない
予備校や塾、資格学校の授業などでは1つの分野を終わってからその分野に関する確認テストを行い、ある程度ひとつひとつの分野を完璧にしてから先に進みます。このような進め方を予備校等がする理由のひとつには、合格までに必要以上の勉強時間をさせてでも合格者数を増やしたいということがあげられます。
試験の合格最低点が60点とした場合に、予備校等は可能な限り生徒に高得点を取らせようとします。合格最低点ギリギリではなく余裕をもたせて合格できるよう指導をした方が合格者数が増えて合格実績が増えるし、何より生徒自身もお金を支払って予備校等に通っている以上は高い確率で合格をしたいと考えるため理にかなっているのでしょう。
そのため予備校等は、一つの分野を完璧にさせるために、時間の許す限り定期的に試験や補習をおこなって何回も何回も同じところを復習させます。さらには合格が確実視されるような生徒に対しては、過去数年、あるいは何十年に渡って1度や2度しか出題されなかったような問題についても演習させることがあります。
確かに試験に合格するためには合格ラインに余裕をもった方が良いでしょう。もちろん独学でこの方法をとっても構いません。が、折角独学という選択肢を選んだ以上は独学によるメリットを十分に享受するのが賢い選択でしょう。独学の目標としては試験合格ラインギリギリを目指す意識で勉強することをおススメします。私はいつも合格ラインギリギリを攻めており、合格する確率が60%あれば十分だと考えております。そのメリットを生かす方法が「超速繰返し学習法」です。
この学習法は、試験の全範囲を何回も何回も繰り返して全範囲を平均的に底上げすることを目的とします。分からない問題はすぐに解答を読み、理解したらどんどん先に読み進めるというもの。1つの分野が終わった時点で復習する必要はありません。取りあえず問題集1冊をすべて終わらせて、最後まで終えたら再び最初に戻って、何回も何回も繰り返し解き続けます。初めの1周目や2周目は時間がかかるかもしれませんが、繰り返しているうちに問題集1周をこなすスピードが上がっていきます。これによって特定の分野だけ偏って学習するということはなくなり、複数の分野に渡って平均的に得点することで合格最低ラインギリギリを目指すことが可能になります。
独学の場合はこのように全範囲を少しずつ底上げして、記憶から消えないうちに再び同じ範囲を繰り返すことで記憶定着をはかる方法を採用できることが予備校等とは違う点でしょう。
■分からないところは飛ばす
分からない問題に直面した時に、独学では説明してくれる人がいないため、自力で何とかしなければなりません。手持ちの参考書を開いたり、インターネットで調べたりしても中々理解できないことも少なくありません。その場合には潔く諦めて問題を飛ばしてしまいましょう。
では、なぜ読んでも分からないところが存在するのか? それは。試験の対策書を作成している人のほぼすべてがその試験の合格者であり、書籍を執筆するにあたって試験に必要な前提知識を備えているからです。彼ら・彼女らは、テキストの後半に出てくる考え方を知らず知らずのうちに前半で使ったりしていることがあります。時には試験独特の考え方があったりもするため、その思考ができない受験生にとっては大きなハードルとなり得ます。ゆえに、初学者がいきなり解説を読んでも理解できないことがあるのは当然であり、ここら辺が独学の難しさともいえます。
予備校等では分からなければ先生に質問すると丁寧に、問題を解くのに必要な前提知識を教えてくれたりもしますが、独学ではそうはいきません。分からないと割り切って先に進むという今まで義務教育等で学んできた過程で経験しなかった決断をする必要があるのが独学が難しいといわれる要因のひとつだと思います。
■多くのテキスト・問題集に手を広げ過ぎない
予備校等であれば先生が合格に必要な知識を網羅した独自のテキストや問題集を用意してくれます。合格実績があるところであれば、そのテキストだけ勉強すれば十分であるという裏付けにもなるでしょう。しかし、独学となると自分で市販の書籍から使用するものを選ばなければなりません。そうすると、自分で選んだものが合格するための必要十分なテキスト・問題集であるかどうかが不安になることがあります。過去問を解いたときに、自分の選んだ書籍に記載のない初めてみる問題が多かったりすると不安に感じてしまうことも多々あるでしょう。
そこで、独学においては使用するテキストを必要と感じた都度購入するのではなく、初めに全て決定してしまう必要があります。まずはインターネット等で合格体験記などを読んで綿密な事前調査の上で合格までに必要な書籍をシッカリと見極めるべきです。自分が選び、信じた書籍を完璧に理解することが先決であり、不安になって下手に他の書籍に手を出してしまうと、どれも中途半端になってしまう、いわゆる消化不良を起こしてしまいます。手持ちの書籍をすべて終えて、そこで初めて他の書籍の購入を考えてください。
そのために必要なのが事前計画。使用する参考書・問題集を決めることの他にも、可能であればスケジュール表まで作るのが理想です。他のテキストに浮気せずに自分の信じたテキストをとことんやり切ることが非常に重要です。
■「忙しい」を言い訳にしない
仕事で毎日の帰りが遅くなるとついつい口にしてしまう「忙しい」。しかし、忙しい中でも何とか時間を作って合格している人が多いのも事実。予備校等に通ってる人であれば授業料を支払ってしまっているので、忙しい合間をぬってでも既に支払った対価を無駄にしないためにも勉強を続けることができますが、独学だといつやめても大した不利益はないという完全自己責任の状況です。独学で受験を諦める原因の99%は諦めたいという意思に負けてしまうからです。しかし、それを認めたくないという心理が働き、自分の外、すなわち忙しいという外部環境に原因があると思い込むことで自分を納得させようとしてしまいます。これが独学が続かないメカニズムのひとつ。
お金と違って時間だけは全員に平等に与えられるものです。また、時間は待っていれば増えるものではなく自分自分で作るものです。もし時間がない状態にあったとしたら、それは自分の時間の使い方が上手ではないか、もしくは自分でそういう状況を作り出していることに他なりません。
忙しいと口に出しそうになったら「時間がない」ではなく「時間を作る」というように思考を転換し、自分より忙しくても受かっている人もいるのだと考えましょう。
■適度な遊びを取り入れる
勉強習慣がついてくると今度は休みの取り方に目を向けると良いでしょう。1日20時間くらい勉強してしまう人もいると思いますが、それでは体がまいってしまい勉強が続かない恐れが高く、また人間は寝てる間に記憶の整理を行うという研究結果もあるようなので休みを入れることは非常に重要です。
休みをいれずに学習をしてしまった結果、段々と集中力がきれてきてダラダラ読み進めてしまったという経験はないでしょうか? この状態の学習効率は非常に悪く、限りある時間の浪費の他何ものでもありません。そういう時は、遊んで気分をリフレッシュしたり、寝てしまったりして、英気を養った方が良いのです。また、学習のモチベーションを維持する点でも遊びは重要です。
思いっきり集中して思いっきり遊ぶ。これがもっとも効率の良い学習方法です。
■まとめ
以上、独学で気をつけるべき点を5つあげてみました。もちろん他にも気をつける点はたくさんありますが、特に大事だと思われるものに注力して紹介しました。
独学で学習を続けることは難しいのも事実ですが、慣れてしまえばなんてことはありません。時間とお金を賢く使うためにも独学できるようになってみてはいかがでしょうか。
P.S. 本記事をきらケアさんの「ケア業界でプロフェッショナルを目指す方へ!介護系の資格取得に役立つ学習方法まとめPart2」にて紹介いただきました! 他の方々の勉強法なども多数掲載されておりますので、是非ご参考ください。
]]>JUGEMテーマ:検定試験にむけて
■はじめに
LPIC Level3試験の中の300試験に合格しました。これで正式にLPICレベル3を名乗れることになります。
受験動機は更新月が迫っていたため。LPIC Level2試験に合格したのは5年前の8月でしたので急いで受験しました。PeasonのIDとかパスワードとか忘れてて再発行したりと受験予約するまでが結構大変でした(笑)
■概要
LPICとは、特定非営利活動法人LPIがLinux技術者のスキルを評価するために実施している認定試験です。"IT資格といえば Linux技術者認定試験Linux/LPIC"と、公式でもうたっており、IT業界では非常に高く評価される資格試験です。過去にはアイティメディア@IT自分戦略研究所が調査結果では「最もキャリアアップにつながった資格」「最も実務で生かせた資格」「取得したい資格」で三冠に輝きました(ソース: http://www.lpi.or.jp/top1/)
私自身新卒でいきなりこの資格を取得して非常に良かったと思います。研修を一切せずにいきなりサーバ構築を任されたのは、おそらくこの資格で前提知識をつけていたからだと思います。
Linuxとは一般の方には聞きなれないかもしれませんが、Windows、MacのようなOSの1つです。WindowsやMacと大きな違いはマウスを使って画面を操作するのではなく、すべてキーボードでコマンドを叩いて操作するCUIがメインなことでしょうか。あとは、基本的に無料なので費用が抑えられます。Linuxもっとも、この記事を読んでいるような方はLinuxについて理解があるでしょうから詳細な説明は必要ないかもしれませんね。
LPIC Level3には、300試験、303試験、304試験と3種類試験があります。どれかひとつにでも合格すればLPICレベル3を名乗れます。今回受験した300試験はLDAPとSambaの概要が問われるもので、広く浅くといった問われ方をします。実は、この300試験はレベル3の中でも難しいと言われているようですが、後述するPing-tが300試験にしか対応していないので受験しました。そこまでPing-tを信頼しています(笑)
■試験結果
・期間:18日(勉強時間 13 時間)
・費用:37,260円(受験料30,000円、参考書代等7,260円)
・得点:700点(800点満点中500点以上で合格)
受験料の定価は32,400円なのですがping-tで購入したバウチャーを使いました。期間限定、数量限定で発売されているもののようですので、受験時期によっては販売していませんのでご注意を。……それにしても受験料高い。オラクルに比べればマシだけど。
■計画
レベル2までストレート合格していたので今回も前回までと同様の方法で挑むことにしました。LPIC Level1、LPIC Level2の記事はハイパーリンク先をご参照ください。昔書いた記事を見てみましたが簡潔に書き過ぎてて参考になるかどうか心配ですが(笑)
300試験に合格された方々が次々に口にされるのがレベル2の方が難しかった、という言葉。実際その通りだと思いますので、レベル2まで合格された方は自信をもって受験してください。しかし、受験料が30,000円と半端ないので不合格になったときが非常に痛い。ギリギリ合格をモットーとしていますが、今回に限ってはかなり余裕をもって合格するようにしました。あと、レベル2に合格してからすぐに300試験を受験すると受かりやすいようです。というのも、LDAPとか一部出題範囲がかぶっているので。
学習計画はPing-tをすべて金にして、その後コマ問をやりながらあずき本で理解を深める、という方法をとりました。コマ問は最短合格には必要ないと思いますが、先ほど申し上げた通り今回は受験料が高いので絶対に不合格は避けねばなりませんゆえ。
Ping-tとは、E-ラーニングのサイトです。月額支払えば期間内は何度でも使用可能。そして1ヵ月から36ヵ月契約までできるのですが、期間が長くなればなるほど割安になる。今回はLPIC 300試験のみ合格するつもりなので1ヵ月契約にしました。これによって1ヵ月で合格しなければならないのでモチベーションの維持にもつながります。
今回も電車やバスの移動時間だけで合格します…… といいたいですがコマ問がだけは机に座ってPCにて。
■実行
まずはPing-tから。乗り換え時間の短い電車の中では10問もしくは20問ずつ解いて、長い場合は50問ずつ解いていきます。はじめは全然分からないので問題文を読んですぐに解答、解説を読む作業。何回もやって同じ問題や類題が出たときにやっと正解できるといった感じで少しずつ前に前に進んでいきます。
All銀になるまで5時間。そこから2時間ですべて金に変わります。金になる直前に不安な問題にはチェックをつけておきましたが、結局復習しませんでした。ここまで合計7時間。全部金になった後はコマ問をやりながらあずき本を片手に理解を深めます。
コマ問はスマホではやりにくいのでパソコンを使います。全問題をいきなり解くのではなく、まずはセクションごとに解答。コマ問は解答に時間がかかる上に、全部解き切らないと見直しができないので初めはセクションごとにするのが良いでしょう。コマンドが曖昧に覚えていたことに気がつかされながらも間違えた問題をすべてやり直して、セクションごとにパーフェクトをとります。いきなりすべてのセクションを終えるのではなく、半分の4セクションを終えたら4セクションを全部選択して一気に復習。後半の残り4セクションも同様にまずは1セクションずつ終わらせて、その後まとめて4セクション復習。試験直前日に再度4セクションごとに区切って総復習します。これを全て終わらせるのに4時間くらいかかりました。
コマ問をやりながらあずき本を読み進めます。電車の時間をあずき本、机に座ってコマ問という感じです。あずき本は斜め読みで良いでしょう。Ping-tでは分かりづらかったところも図を使って丁寧に説明してくれてるので理解が深まりました。個人的にはあずき本の問題は解く必要がないと思います。あずき本で大事なのは問題以外の部分。説明文を読んで分からないところはシッカリと理解しておきましょう。本番試験では、Ping-tと同様のことを問われていても表現を変えて出題されることもあるので確実に理解しておくことが大切です。あずき本に使った時間は2時間程です。
試験日にはPing-tの模擬試験を実施します。何回やっても95%以上は取れるようになっていたので自信をもって試験に挑みました。
]]>JUGEMテーマ:検定試験にむけて
■はじめに
今回取得した資格は甲種防火管理者および防災管理者です。
資格といっても特に事前勉強が必要ではなく、防火・防災管理者新規講習を受講して最後に簡単なテストを受ければ修了できるものです。本記事では講習会の簡単な概要と必要費用などについて説明したいと思います。
甲種の下位資格として乙種防火管理者という1日コースのものがありますが、2日コースの甲種の取得をお勧めします。これは講習会でも言われたことです。
会社の規模によって乙種で十分な場合もありますが、いずれ事業所が大きくなると甲種が必須になります。乙種から甲種へのアップグレード講習というものは存在しないようなので、乙種から甲種に移行する場合は、新たに甲種新規講習を受講しなければならないようです。
また、防火・防災管理者は5年ごとに資格更新をしなければなりません。
■受講結果
・期間:2日(受講時間 14 時間)
・費用:5,000円(受講料0円、教材費5,000円)
・得点:20問(20問中14問以上正解で合格)
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JUGEMテーマ:検定試験にむけて
JUGEMテーマ:就職活動
JUGEMテーマ:ビジネス
■はじめに
今回受験したのは秘書検定2級です。なお、本記事に掲載している勉強時間は社会人経験のない学生を対象にしているため、社会人であれば14時間未満での合格も可能です。
この資格を受験することで、社会人としての最低限のマナーが学べるため就職活動前の学生が取得するには非常に良い資格です。会社の面接官が重視しているポイントとしてコミュニケーション能力、協調性に匹敵してビジネスマナーが挙げられます。統計資料によってはビジネスマナーが面接で重視するポイントに書かれていないこともあります。その理由は、ビジネスマナーはある意味基礎の基礎なので持ってて当たり前という前提があるからです。本資格勉強を通じて、このビジネスマナーを学ぶことができます。
あとですねぇ…… 秘書になりたい人には絶対に取得してもらいたいと思います。別にこの資格を持ってるから秘書になれるとは限りません。多少有利には働くかもしれませんけどね。それよりも、この資格から秘書に求められる資質と役割を知ることができます。それを事前に知ることで、自分が本当になりたいのは秘書なのかどうかという判断ができるようになります。
ちなみに筆者は秘書検定学習後、絶対に秘書にはならないことを誓いました(笑)。
■概要
秘書検定は「人柄」について学ぶためには非常に良い試験であり、公式に「人材育成を目指している」旨が発表されています。
受験者数はなんと年間15万人! 基本情報技術者試験が年間10万人なので、その1.5倍もの受験者のいるマンモス資格です。宅地建物取引士の20万人と比べても引けをとりません。秘書検定は、年間3回も試験が実施されるため受験しやすいのも特長です。
秘書検定は1級、準1級、2級、3級の4段階のレベル設定となっており、準1級以上は面接試験を受けなければなりません。準1級以下にはマークシート問題が存在しますが、1級はすべて記述です。
本検定では理論と実技の2分野について、以下の5領域に渡って出題されます。「一般知識」「マナー・接遇」「技能」の3領域については、知識問題が出題されることが多いです。
1.必要とされる資質
2.職務知識
3.一般知識
4.マナー・接遇
5.技能
■試験結果
・期間:18日(勉強時間 14 時間)
・費用:6,500円(受験料3,800円、参考書代等2,700円)
・得点:理論80% 実技90%(理論と実技ともに60%以上で合格)
結構シッカリと勉強したら圧倒的な点数で合格できましたね。確かに社会人経験のある人であれば過去問数年分を自分で解いただけで合格できると思います。
■計画
まずインターネットでの情報収集です。
調べてみて分かったことは、どうやら社会人経験のある人であれば過去問題集を1冊終わらせれば大丈夫とのこと。なぜならば、普段の業務で行なっていることをそのまま答えれば、あとは出題形式だけ理解しておけば合格できるとか。まぁ確かにその通りかもしれませんが、それでは役立つ合格体験記になりませんので、テキストも購入することにしました。
使用した参考書類は早稲田教育出版のもの。理由は、単純に合格実績が多かったからです。ただし欠点は、表紙がダサい! こういう、如何にも試験です!! みたいな本はあまり好きではないのですが、まぁそんなところで好き嫌いを言っていても仕方がないので。
過去問題集には過去6回分が掲載されています。後ろの方に、要点整理という項目があるのですが読まなくても大丈夫。というか読むと眠くなってくるので読んじゃダメですね。
テキストは集中講義とクイックマスターの2種類がありました。最短合格を目指すのであればクイックマスターにしましょう。秘書について知見を深めたい場合や、過去問を解いて全然分からなかった場合に集中講義を選ぶと良いと思います。なお、筆者は集中講義を選びました。将来的にアプリ問題集を作る予定なので、シッカリとした知識をつけたかったからです。
あと、「一般知識」「マナー・接遇」「技能」の3領域については知識問題が出題されるため勉強の比重を高めます。際どい設問が多い秘書検定においては知っていれば解ける問題は得点源になりますので。
具体的な学習計画は以下の通りです。勉強は1日1時間だけとし、土日は休みました。効率重視のため、過去問題集→テキスト、の順番です。
◎秘書検定2級の学習計画
・1日目〜3日目
「秘書検定2級 実問題集」の1周目 ※1日2年分ずつ
・4日目〜5日目
「秘書検定2級 実問題集」の2周目 ※1日3年分ずつ
・6日目〜7日目
休息
・8日目
「秘書検定2級 実問題集」の3周目 ※1日6年分
・9日目〜11日目
「秘書検定2級 集中講義」の1周目
【9日目】
・必要とされる資質
・職務知識
【10日目】
・一般知識
・マナー・接遇
【11日目】
・技能
・12日目〜13日目
「秘書検定2級 集中講義」の2周目
【12日目】
・必要とされる資質
・職務知識
・一般知識
【13日目】
・マナー・接遇
・技能
・14日目〜15日目
休息
・16日目
「秘書検定2級 集中講義」の3周目
・17日目
「秘書検定2級 集中講義」の模擬試験
・18日目
「秘書検定2級 実問題集」の総復習
「秘書検定2級 集中講義」の総復習
■実行
まずは実問題集から。
問題を読んですぐに解答解説を読む作業です。1つの問題が分からないからといって時間をかけて考える必要はありません。分からなかったらすぐに解説を読んで出題傾向と解答パターンを学んでいきます。特に記述式問題は考え過ぎないこと。分からないものはいくら考えても分かりません。
たんたんとこなして、1年分は約30分で終えることができたので2年分を1時間で終了。過去問2年分やった感想としては、確かに社会人経験があれば無勉強でも受かりそうな試験かなと。
土日を挟んで実問題集を3周終える頃には、確証はないけれど何となく解答にたどりつけるようになっていました。厄介だったのは時候の挨拶。「〇〇の候」って問題でした。新緑が5月で、余寒が2月で…… みたいな。「覚えられるかー!」って感じで取りあえずサラッと頭の中に入れて流し読み。こういう暗記問題は試験直前に一気に頭に入れれば良いので、この段階では無理に覚えようとはしませんでした。
次にテキストに入るのですが、こんな分厚いテキストを順番に読んでいく必要はありません。
まず各セクションごとの後ろの「SELF STUDY」というところに進んで問題を解いていきます。解説を読んで納得すれば次のセクションに進み、少しでも引っかかるところがあれば前のページに戻って、そこで初めて解説部分を読みます。普通にやったら何日もかかる集中講義テキストですが、こうやって自分の分からないところのみ絞って本文を読むことで効率よく学習を進めることができます。
なお、クイックマスターを選択した方であれば論点が集約されているため集中講義ほど端折る必要はありません。初めから読んでも大して時間はかからないかと思いますが、初めに問題を解くことで合格までの勉強時間をさらに少なくすることができます。
テキストの3周目を終えた時点で試験まで残り2日。集中講義の一番最後についている模擬試験2回分を解きます。この段階では、すでにかなりの量の問題を解いてきているため、同じような問題に出くわすことも多くなります。
テスト前日は実問題集とテキストの総復習です。はじめから全ての問題を解いていくのですが、この時点で間違った問題やテキストの中で自信のない箇所にどんどん付箋を貼っていきます。付箋を持っていない方は鉛筆でチェックマークをつけても構いません。後で見返した際に、分からなかった問題を見つけられるようにしてください。
そしてテスト当日に付箋がついた問題のみ解いていき、正解したら付箋を外します。全部付箋が外れたら終了です。
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JUGEMテーマ:プログラミング
■はじめに
近年、プログラミングを学ぼうとしている人が増えているようです。学校内での教育だけでなく、専門塾までも開校されています。
今回は、プログラミング教育のメリットとデメリットについて書きたいと思います。
■プログラミングとは
プログラミングとは"コンピュータプログラムを作成することにより人間の意図した処理を行うようにコンピュータに指示を与える行為である"と、Wikipediaに説明されています。これではちょっと分かりにくいので、まずはプログラミングの説明から入りたいと思います。
一般的なコンピュータは人間の言葉を理解できません。コンピュータが理解できるのはプログラミング言語のみです。最近のコンピュータにはSiriなどの機能がついていて人間の言葉を理解してくれるものもあります。今はそれを無視してください(実は、それらの音声認識もプログラミングによって実現されているのですが)。
そこで、コンピュータに何か仕事をしてもらう場合には、コンピュータが理解できる言語を用いなければなりません。それがプログラミング言語です。日本語の分からない海外の人に日本語は通じないため、相手の言語を話す必要がありますよね? こちらが相手に何かを伝えようとした場合には相手の言語を用いなければならないことと同じです。
"コンピュータプログラムを作成することにより人間の意図した処理を行うようにコンピュータに指示を与える行為"とは"コンピュータの理解できる「プログラミング言語」を使って、自分がして欲しい仕事をコンピュータに依頼すること"ということです。
■プログラミングの種類
先ほどプログラミング言語について説明しましたが、プログラミング言語の数だけプログラミングの種類が存在します。C言語、Java、Ruby、PHP、Pythonなどなど…… どうしてそんなにたくさん存在するの? と疑問に持たれるかもしれませんが、我々の世界にも日本語、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ロシア語等、複数の言語が存在します。それらは文化に密着して作られました。文化とは人間たちが生活しやすいように作り上げられたものです。換言すれば、その地に住む人たちの用途に合わせて進化したものともいえます。それぞれには得意分野と不得意分野があります。文法に関しては日本語は簡単だが、読み書きは難しく、逆に英語は読み書きは比較的簡単だが、その分文法が難しいなど。
プログラミングも同じで個々の文化によって種類が分けられており、それぞれの得意分野と不得意分野があります。具体的には、C++と呼ばれる言語は多言語に比べて比較的処理速度が早く、コンピュータの奥深くまで操作することが出来るので組み込み型の製品に使用されます。一方で、Javaと呼ばれる言語は処理速度はC++ほど早くはありませんが、複数人で行なう大規模作業に適しており、大規模システムに使用されています。
プログラミングを学ぶ場合には自分の目的に応じて適切なプログラミング言語を選択することになります。
■プログラミングで何ができるの?
プログラミングを学んで何ができるのか、はこれからプログラミングを学ぶ方にとっては興味深い内容だと思います。結論を言いますと、プログラミングを使えば基本的に人間のする作業であれば全てできます。この世の中にはウィザードと呼ばれるスーパープログラマーが約1,000人存在すると言われており、彼らはプログラミングを使って何でも作ってしまうようです。それがまるで魔法のように見えるのでウィザード(魔法使い)と呼ばれています。
また、プログラミングによって自分自身の分身を作ることも可能です。前述したように、人間のする作業はすべてできます。特に、コンピュータは単純作業、反復作業が得意です。そこで、本来自分がやらなければならない退屈な単純作業、反復作業をプログラミングをすることでコンピュータに依頼でき、自分自身の自由な時間が作れます。
将来たくさん働きたい人にとっても、楽をしたい人にとってもプログラミングは有益です。
■プログラミングができる人にお願いすればいいんじゃないの?
世の中にはプログラミングを書ける人がそれほど多くはなく、習得に少々時間を要することから、プログラミングの作成を依頼する人が多々おります。しかし、プログラミングができない人が効率よく仕事の依頼をできるでしょうか?
筆者は、実務でプログラミングを書くことが多く、他人から依頼されることも多いのですが、プログラミングができる人とできない人の依頼の仕方には大きな差があります。
できる人は、何が簡単で何が難しいかを理解しているため、依頼内容が非常に的確になる傾向にあります。そのため、無理なスケジューリングを設定せず、作成するプログラミングも詳細に説明してくれるため、場合によっては短期間で作業が完了することもあります。一方、できない人からの依頼は非常に難しい。概してできない人は完成形の機能から作業量を見積もる傾向にあります。そのため、プログラミングで実装するのが難しい機能であっても簡単だと誤断し、スケジューリング設定などでしばしばトラブルが生じます。その結果、開発が長期間に渡り依頼料が膨大になることもあるし、最悪のケースでは依頼自体が途中で反故になることもあります。
将来的にプログラミングの作成を依頼する立場につくつもりならプログラミングの習得を推奨します。
■どのプログラミング言語からやったらいいの?
先ほど各プログラミング言語にはそれぞれの得意分野があると説明しました。ですので、目的に応じたものを学ぶのが良いと思います。しかし、プログラミング言語には比較的習得の困難なものから容易なものまで幅広くあります。
筆者は、はじめ大学の研究室にて高速計算をする必要があったためC++からはじめました。このC++という言語はプログラミング言語の中でも非常に難しい部類に分類されるため、筆者は見事に一度挫折を経験しました。その3年後にウェブページを作りたいと思って手をつけたのがPHPと呼ばれる言語です。
PHPは、軽量プログラミング言語(lightweight language)と呼ばれる比較的習得が容易なプログラミング群に分類されます。書店にある参考書などもC++と比べて簡単なものも多く、簡単に作りたいものが作れました。初めて自分の動かしたいものを自分で作ることができたため、ここで初めてプログラミングの楽しさを知りました。
一度プログラミングが書けるようになると、基礎が分かり、モチベーションも上がるため、その後Java、C++と勉強を進めても挫折する恐れは極端に減ります。実際に、筆者は現在ではJavaを使って個人でAndroidアプリの開発をしていますし、業務でC++を使用しています。
よほどプログラミングを学ぶ意識が高ければ目的にあったものを、そうでなければ軽量プログラミング言語から学ぶことを推奨します。どの軽量プログラミングにするか迷った場合は、RubyかPHPをお勧めします。これらは多くのシステムで使われているため、将来仕事で利用する可能性が高いからです。特に、グローバルで活躍したいのであればPHPを習得するのがベターです。例えば、faceboodは当初PHPで開発されていました。Rubyは国内で作られたという経緯があるため、日本では多く使われていますが、世界的にはまだPHPの方が主流だからです。また、RubyはPHPと比べて多少堅いという特徴があります。PHPは初心者が自由気ままに書いても動いてくれますが、Rubyにはある程度守らなければならない作法があります。
以下のサイトにおいてもPHPをまず学び、その後にRubyなどの他言語を学んだ方が良いと紹介されています。
参考URL:『WebプログラマーとしてPHPは必須、でも他言語できないと厳しくなる』
■最後に
以上のようにプログラミングの必要性は非常に高く、年々世界的にも需要が増えています。ただ単に就職のために学ぶというのも良いかもしれませんが、やはり自分自身がプログラミングを必要と感じて学習する方がスキル向上も早く、長続きもするでしょう。プログラミングは日々進化を遂げており、プログラミングでできることは未知数です。将来大きなことを成し遂げたい人も、楽をしたい人も、自分自身の分身を作るため、と考えて取り組んでみてはいかがでしょうか。
以下の書籍は筆者がはじめてPHPを学んだ時に使用した入門書です。HTMLとCSSを絡めて学べるので、ウェブページなどを作成したい方には特にお勧めです。はじめは簡単な画面への出力、そして最後の方ではツイッターの作り方まで載っています。入門書でプログラミングの面白みを感じたら次のステップへ。まずは1冊を仕上げ、その後に中級者向けの書籍に進んでください。
JUGEMテーマ:ビジネス
JUGEMテーマ:検定試験にむけて
■はじめに
本記事は、主に企業においてITを利用した戦略立案をする方やITを導入しようと考えている方を対象としています。実務以外ではITストラテジストをこれから受験しようとしている方にも役立てればなと思います。
近年、業務効率を容易にできるようなサービスが増えており、以前と比べて社内システムの構築が格段に容易となりました。ホームページを作成するのであればホームページビルダーやWordPress、管理システムにおいてはJoomlaやSalesforceなどが有名どころでしょうか。これらのツールは、数年前では何百万円もかかっていたIT構築費用を大幅に削減してくれるため、IT業界を中心として多くの企業に導入されています。
現代社会をみれば分かる通り、この世の中の仕事が徐々に自動化されてきています。自動販売機、駅の改札、セルフレジが実用化されており、更には今後、自動車の運転もオートメーション化されようとしています。これらに共通するのは考える必要がないもの、すなわち人間が作業する必要がない仕事が機械に取って代わっていることが見て取れます。
以前からITの発展によって人間の仕事はなくなっていくと言われていましたが、依然としてそれが実現していないのは、ひとえにIT化を推進していない企業が多いからでしょう。
IT化を推進した企業は目覚ましい成長を遂げています。コカ・コーラ、マリオット、DELL、ボーイング、モルガンスタンレー、メリルリンチなど、その例を挙げたらキリがないほどです。24時間無休で働いてくれるコンピュータは、コスト削減のみならず売上の向上にも一役買ってくれるため、組織にとって大幅な利益増加をもたらす有効な手段となるのです。
筆者はITエンジニアとして複数の企業を常駐した経験がありますが、これほどまでITが有用な手段にも関わらずExcelで管理している企業が多いことに驚きました。Excelならまだしも紙の書類で管理している企業もしばしば。特に紙の書類なんかは早急にシステム化されるべきです。
ITに馴染みのない方々は、ITシステムが有用と言われても、具体的にどのように役立つのかはイメージしづらいかと思います。本記事では、社内管理システムの目的やコスト削減や売上増加に代表される効果について分かりやすく説明しようと思います。
■社内システムの目的
会社にとって重要なものはいくつか考えられますが、そのうちのひとつは利益でしょう。利益とは「売上−費用」の式で表せるように売上と費用から成り立ちます。そこで、費用を削減することと、売上を上げること、の2つのアプローチが考えられます。
ITを使うことで社内の事務作業が激減し、紙などの資源の消費が減ることで会社の経営にプラスとなります。
しかし、ITがもたらしてくれるのはコスト削減だけではありません。むしろコスト削減以上に売上増加に役立ってくれるのです。近年、SalesForceが急激な成長を遂げましたが、まさにITの戦略的利用に目をつけたからに他なりません。
■社内システムの効果 〜コスト削減〜
代表的なコスト削減は社内の書類整理でしょう。プリンタを使用することによって、トナー、紙代金などの変動費がかさむことになります。打合せ資料のためにモノクロならまだしも、片面印刷のカラーコピーを大量に印刷するとなると資料準備だけで数千円になることも多々あることでしょう。
そこでプロジェクターを利用したり、事前にメールにて資料を添付したり、社内共有フォルダに資料を配置したりすることが考えられます。プロジェクターの代わりに、大画面のモニタを購入し、パソコンとつなぐことでパソコンの画面を皆に共有する方法をとることもできます。
毎週打合せをするのであれば、これによって年間数万円あるいは規模によっては数十万円、数百万円のコスト削減効果が期待できます。
また、ITを利用することで勤怠管理、経費申請、日報や週報などの事務管理が簡易になります。
多くの企業では、毎月の勤怠情報などを紙に印刷し、押印をした上で事務に提出しております。経費申請も申請ごとに上長の承認を得ていることも多いかと存じます。これらの作業は前述した印刷の無駄という他に、各人の作業コストが発生してしまいます。
IT化の進んだ企業では、勤怠管理をWebシステムで実施しており、システム上のボタンクリックで申請から承認まですべて可能になっています。自宅や出張先からも容易に申請等ができるため、各人がわざわざ本社に出向く必要がありません。
企業において人件費は大きな負担となります。そこで、ITを利用することで極力人間のする作業を減らし、従業員には利益をもたらす作業に注力していただくことは会社経営にとって大きなメリットとなります。
■社内システムの効果 〜売上増加〜
次は売上増加についてです。
近年は、ITを利用したマーケティング分析が非常に増えています。紙やExcelで管理している企業の多くは、1回のアンケートで利用した情報は、その直後のマーケティングには利用することはあるのですが、数か月後にはアンケートで集めた情報は忘れ去られ、2度と使われることがないのが実状ではないでしょうか。
なぜそのような状況になるかというと、毎回アンケートなどの情報を蓄積しているうちに使用している書類やファイルが多くなり過ぎます。その結果、どこからどの情報を引っ張ってくれば良いかが不明となり、収集・分析する手間が非常に多くなってしまいます。
目当てのファイルが見つかったけれども、Excelのシート数が多過ぎたり、データ量が数十万件にも膨れ上がってしまったためにファイルを操作する動きが遅くなり、分析を断念した経験がある人も多いのではないでしょうか。
そのようなデータは死んでいるも同然です。
それでは、そのデータを死んだ状態にせず、生きたデータにするにはどうすればよいでしょうか。
それは社内のデータをすべてシステムで一元管理し、すべての従業員が自分の端末から必要な情報を、必要な時に、容易に入手できるようにすれば良いのです。そのためにはすべてのデータを紐づける共通のキーを設定し、そのキーからすべての情報に直接的、または間接的にアクセスできるようにしなければなりません。
具体的には、顧客を中心とした企業であれば、最初に顧客マスタを作成して各顧客に一意のキーを採番する。そして、顧客名から蓄積されたすべての情報を取得できるようデータベースを設計するのです。それによって、過去1年以内に見積もりをした顧客や失注した顧客などを選別することが容易になります。
システム化の素晴らしい点は、集計やソートが容易にできる点です。
特定の期間における売上の高い順に顧客を並び替えしたり、特定の商品を集計することで売れ筋などを把握することができます。それによって見込み客の特定や需要予測ができるようになり、今後の販売戦略に生かすことが可能になります。
冒頭で紹介したパソコンを主力製品としているDELLコンピュータは、ITを利用した受発注システムを構築しています。DELLを公式ホームページから買おうとすると、細かくカスタマイズできることが分かります。にも関わらず、パソコンを注文してから手元に届くまで数日以内ということがあります。
これは見込生産できる部分を限りなく完成品のそばまで近づけて、受注されてから組み立てする部分を極力少なくすることで消費者に届けるまでの時間を可能な限り短くしていることによります。
見込生産で製造する半製品と、最終組立を行う受注生産の分岐点のことをデカップリングポイントと言います。DELLは、デカップリングポイントを限りなく完成品に近い側にすることを実現していますが、これにはITを駆使したデータ蓄積が必要とされています。
長年溜め続けたデータによって、どの地域で、どの時期に、どのような色の機種が売れ、どのような機能を持ったパソコンが売れやすいかを把握できるため、それに基づいた見込生産が可能になります。もちろん消費者がカスタイマイズ情報を入力してから生産の現場に最速に届く仕組みもITによって実現されています。
ここに示したのは売上増加利用の一例ですので、他にも各企業が独自のIT利用によって売上を上げている手法は多々あります。それらについては本記事の最後で紹介したいと思います。
■最後に
IT投資を無駄だと考えている企業も多いと聞きます。しかし、これまで説明してきたようにITに投資しないことは、本来得られるべき利益を損失していることと同義です。もちろん資金に余裕がなく、システムエンジニアがいない会社がすぐに社内システムのIT化を推進することは難しいでしょう。その際には、将来IT化することを考慮して、出来る限り書類管理を無くし、パソコンの中でファイル管理することを意識し、できればデータベース化しやすいようにファイルのフォーマットを考えることが肝心です。
以下の書籍「思考スピードの経営」には実在する巨大企業がどのような社内システムを導入しているかを、著者であるビル・ゲイツの考察とともに読むことができます。ビル・ゲイツはマイクロソフト社に「デジタルナーバスシステム」と呼ばれる社内情報を共有できるシステムを構築することで、社員が頭を使う仕事に注力できるようにしている旨が書かれています。
従業員が自分の勤怠状況や会社の売上等、社内の情報を集める際にもITを活用して従業員全員が自分の端末から欲しい情報を欲しい時に即座に入手できる状態にしておけば、資料を歩き回って集める必要もなく、従業員が頭を使う仕事に集中できるということも記されています。
本書籍は、社内システムの参考にするのはもちろん、ITストラテジスト試験などで論文ネタが思いつかない人にもお勧めの1冊です。
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JUGEMテーマ:教育
「人間関係が面倒くさい」
「あの人は自分のことをどう考えてるんだろう」
「どうしてあの人はあんなことを言うんだろう」
こんな心配を抱いたことがあるだろうか?
本記事は、そんな心配をしている方の不安を少しでも取り除く力になれたらと思う。
■どうして他人が気になるの?
他人が気になる最大の理由は「自分を良く見せたいから」と言われている。「悪く思われたくない」「否定されたくない」「叱られたくない」――このような逃げの感情、すなわちマイナス思考を払拭したいという願望から、自分自身の気持ちを押し殺してまでも他人からの評価を得たいと思ってしまうようだ。
人間は周囲の環境とは切っても切り離せない関係にある。大昔は違かったかもしれない。自分で野菜を育てて、動物を狩り、魚を釣って食べる。衣服も樹皮や草、獣や魚の皮を繋げて作っていた時代だった。しかし、現代ではそれはほとんど不可能になっている。様々な規制に縛られてしまい、勝手に動植物を採取することはできないし、変な服装をしていたら警官に呼び止められて厳重に注意されることだってあり得る。つまり、社会のしがらみが多いのだ。
そんな現代では他人との関係は無視できないものとなっている。自分勝手に生きていては嫌われてしまう。逆に、他人に良くしていればいざとなった時に助けてくれるかもしれない。そんな経緯もあって現代人には他人の目を気にする人が多いのだろう。
他人が気になるのであれば、どうしたら良いのだろうか。
■他人を変えられればいいのに……
絶対にそんなことを考えてはいけない。他人を変えようとして不幸になるのは他でもない自分自身だ。時として、変えようとした他人さえも不幸にしてしまう最悪な手段だ。
さて、あなたが楽しくゲームをしていたとしよう。そこで周りから「そんなことやめて、早く読書をしなさい!」と言われたらどう思うだろうか。素直に納得して読書をはじめる人もいるかもしれない。しかし、ほとんどの人は不満に思いながらも渋々読書をはじめるか、無視してゲームをするか、反抗するか、のいずれかであろう。
この状況は誰一人得をしていないことに注意してもらいたい。いや、得をしていることがあるとすれば、それは「読書しなさい!」と言った人が他人を支配できたという達成感だけだろう。そんなのには何の意味もない。大事なのは、読書させることではなく、言われた本人が自分で読書が必要だと価値観を納得することだからだ。
他人を変えようとしてもお互いの関係が悪化してしまうことにお分かりいただけたであろうか。もしかしたら他人を変えることは可能かもしれない。しかし、他人を変えられたとしてもそれには多大な労力を要し、よしんば変わったとしてもそれが本当に他人のプラスになることかどうか分からない。将来ゲーム関連の仕事をしたいと考えている人であれば、読書よりもゲームをすることの方が役に立つことだって考えられるからだ。
他人が気になるのに、他人は変えられない。それじゃあ泣き寝入りして他人に合わせるしかないのだろうか。これは困った。
■人を見る目を養うという選択肢
他人を変えられないことに気がついた人が次に辿り着く1つの選択肢は、だったら自分にとってプラスになる人と付き合えばいいだけだろう、という考えだ。
多くの人は、直感で人を判断する。いわゆる第一印象(ファーストインプレッション)というやつだ。しかも厄介なことに、この第一印象は余程のことが無い限り覆すのは難しい。
「良い人だと思ってたのにこんな酷い人だとは思わなかった」「無口だと思ってたのにおしゃべりだった」「出来る人だと思ってるのに残念だ」――あなたは他人と長らく生活してみて、こんな感情を抱いたことはないだろうか。そこで憤りを感じる人もいるだろう。そこで悪い人間関係に巻き込まれてしまって最悪だと考えるかもしれない。しかし、それは相手としては迷惑この上ない話だ。なぜなら、勝手に自分のイメージを作り出されて、それと異なっていたという理由で不機嫌になられるのだから。
この第一印象による弊害は、人を見る目を養うことで回避できる。
残念ながら、人と会っただけでその人となりを完璧に把握するのは不可能だ。それは実社会に目を向ければ分かることである。ほとんどの企業は人材募集において面接という手段をとっている。そして5月病という用語があることからも分かる通り、当初マッチングしたにも関わらず、企業側はすぐに辞める人間だということを見抜けないのだ。
■人を見る目を養う方法
人を見る目というのはただ単に人生経験が長いというだけでは身につかない。PDCAサイクルを回すことで養うことができる。PDCAを知らない方はインターネットで調べると良い。
第一印象でその人を決定づけるのではなくまずは、きっとこういう人だろうな、と相手の人間像を予想する(少し強引だがこの予想がPDCAのP(計画)に対応)。そして、実際に少し生活してみて(D)、その人を再認識する(C)。もし予想と違っていたらイメージを修正する(A)。そして再びその人を予想し直す。
再認識の過程で確認すべきなのは、その人の言動と行動だ。言動の捉え方は、その人のイメージに左右されることが多い。あなたのイメージを通じたその人の言動と、実際にしたその人の行動が一致しているのか確認するのだ。一致しているのであれば、もう少し生活してみて、再々認識する。これを1年くらい続けて問題なければ、あなたのイメージ通りの人だったということだろう。これを継続することで徐々に第一印象で人を見分ける力がつくはずだ。
以上の方法により、人を見極める力がつくことで付き合う相手を選別することが可能になる。くだらない人間関係に巻き込まれる恐れは激減するだろう。が、これにも問題がある。人を見る目というものは養うのが難しく、今まで説明してきた通り少々大変だ。
■そこで自己研鑽の出番!
初めに、他人が気になる最大の理由は「自分を良く見せたいから」と説明した。そう思う最大の原因は、自分に自信がないからだ。だとすれば、自分が変わってしまえばいい。もう他人を変えたり、見極める必要もない。
経営コンサルタントとして有名な大前研一は、人が変わる方法は3つしかないと主張している。
1.時間配分を変える
2.住む場所を変える
3.付き合う人を変える
これら3つをひとつずつ変えていく必要はない。全部一気に変えてしまえば良い。その方法が自己研鑽だ。今回は自己研鑽の中でも資格勉強にしぼって議論を進めていく。もちろん運動でも音楽でも何でも置き換えられるので、あなたの状況にあてはめて以下読み進めてもらいたい。
1つめの時間配分。
自己研鑽をするようになると時間配分は自然と変わってくる。電車の中で勉強するようになるだろうし、風呂の中にも参考書を持ち込むようになる。帰宅してからテレビを見る時間を勉強にあてるようにもなるだろう。
勉強時間を確保するために、仕事を早く終えるように思考した結果、タスクの優先順位をつけられるようになるかもしれない。
2つめの住む場所。
勉強するようになると自宅から離れるようになる人も多い。筆者の場合は、図書館や自習室に入り浸ることが多い。休日は一日中そこにいることもしばしば。図書館や資格学校の近くに引っ越してしまっても良いだろう。
3つめは付き合う人。
試験日が間近に迫ると、居酒屋で遊び呆ける仲間と一緒にいる時間が減って、その代わりに勉強を教えてくれる仲間、一緒に勉強する仲間、との時間が増える。資格勉強での勉強会などに参加すると、普段で会えなかった人と出会うことにもなる。
このように自己研鑽することで簡単に自分を変えることができるのである。
■最後に
結局、他人のことなんて気にしないで自分自身を変えることが一番なのだ。自己研鑽をすることで人はどんどん成長できて、付き合う相手も勝手に変わっていく。他人のことなんて一切気にする必要はなく、自分に合う人間が自然と向こうから近寄ってきてくれる。これはただ単純に自分が努力すればいいだけの話だ。自己研鑽が素晴らしいのは、他人が気にならなくなることだけではなく、人間関係も非常に良いものとなっていく。
筆者も以前は人間関係を自分から構築しようと躍起になっていた時期があった。しかし、人間というものは不思議で、自分から求めると逃げて行ってしまい、求めなければ近寄ってきてくれる。その結果、今では、自分から追い求めて関係が続いている人は1人もいない。いたとしてもほとんど疎遠になっているため赤の他人同然だ。逆に、何も考えずに自然に付き合うようになった人とは長く続いている。
是非とも皆さんは他人を変えるという不毛なことをせずに、自分自身が成長する選択肢を選んでもらいたい。
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JUGEMテーマ:ビジネス
■はじめに
今ではSWOT分析という言葉をよく聞きます。しかし、SWOT分析を正しく使えている人はどれほどいるでしょうか? 本記事では物語を用いて、主に中小企業のSWOT分析の使い方に絞って説明していきます。
SWOT分析とは、企業の経営者が意思決定をする際に使うフレームワークのことです。フレームワークとは、特定の事柄だけでなく、幅広く一般に利用することができる共通の考え方のことです。
SWOT分析を説明している書籍やホームページは数多いのですが、本記事では中小企業にとってのSWOT分析に絞って説明していきます。実は、SWOT分析というものは企業の成長段階によって使用方法が異なり、大企業と中小企業のそれとでは全く違います。
とは言っても、いきなり中小企業のSWOT分析の応用を説明してもついて来られない人も多いでしょう。そこで、はじめに簡単にSWOT分析とは何か、というところからはじめたいと思います。もちろん、SWOT分析をご存知の方は読み飛ばして「■中小企業のSWOT分析」から読んでいただいても構いません。
■SWOT分析
SWOT分析とは、前述した通り、意思決定におけるフレームワークです。
SはStrength(強み)、WはWeakness(弱み)、OはOpportunity(機会)、TはThreat(脅威)の頭文字を繋げてSWOT(スウォット)分析と呼ばれます。
特に「強み」と「弱み」は内的要因、「機会」と「脅威」は外的要因、といい、前者は企業自身がコントロールできる範囲、後者は企業自身ではコントロールできない企業を取り巻く環境のことです。例えば、高い研究開発力は強み、知名度の低さは弱み、需要の波は機会、不景気は脅威、というように。この例からも分かるように強みと弱みは自身でコントロール可能な一方、機会と脅威はコントロール外にあるといえます。
■中小企業のSWOT分析
さて、それでは中小企業のSWOT分析の活用法について論じていきます。
基本的に中小企業ではSWOT分析の4つの要素(強み、弱み、機会、脅威)の中から2つしか考えません。それは「強み」と「機会」です。機会に合わせて強みを生かすという戦略を採用するのが最適であり「機会→強み」の順に分析する流れになります。
そんなこと言わずに4つ全てを考慮したらどうか、と反論する人もいるかもしれません。しかし、中小企業は一般的に経営するための資本が不足しています。人においても従業員が限られているし、金においても資本は限られています。そのため、4つの要因すべてに投資することができないのが実状です。
まず「脅威」を回避する術は中小企業には極めて困難です。大企業等ならまだしも、影響力の少ない会社が周囲の環境を変えることはほぼ不可能なのは容易に想像できるでしょう。
一番厄介なのは「弱み」の優先順位が低いことの理解です。弱みの克服は強みの強化と比べて難しく、弱みを克服することによる効果は強みを強化することによるそれと比べて薄いのです。
以上の内容を文章だけで理解することは容易ではないでしょう。そこで、今回も太郎君を主役とした物語で説明していきたいと思います。
■物語スタート
◇機会
「最近楽しいことがないなぁ……」
太郎君はぼやきました。
太郎君は何でもできるような完璧超人ではありません。勉強は全般的に得意。スポーツに関しては得意なものはそこそこですが、苦手なものは全然できません。
太郎君はちやほやされるのが大好きです。前回の中間テストでは問題の把握と適切な課題設定、そして具体的な対応策を練ることでクラス順位3位という素晴らしい結果を残してちやほやされましたが、それもすでに過去のこと。そこで、次にちやほやされるような大きなイベントがあるかどうか探ることにしました。
思いついたが吉日。太郎君は早速先生に今後のスケジュールを伺いに職員室に向かうことにしました。クラスメートの雑談の聞こえる教室を後にすると、ペタペタと上履きの踵を踏みながら誰もいない静かな階段を一段一段上がっていきます。そして最後の一段を上り終えた後、右足でつま先立ちをして、右手の人差し指と中指で靴の踵を起こしてゆっくりと足を入れました。右足でトントン床を鳴らして履き具合を整えた後、左側も同様に履き直します。
少し歩いて突きあたりを右側に進むとすぐに左手に扉が現れました。太郎君はそこで大きく深呼吸しました。普段は近づかない特別な部屋――職員室です。平常より早い心拍数を少しでも和らげるようにもう一度大きく深呼吸して、横開きの扉を一気に開けました。
「失礼します!」
元気よく声を上げてから、首をゆっくりと右に動かして担任の鈴木先生を探します。奥の窓際に黒縁眼鏡のスーツを着た男教師を見つけると、太郎君は部屋の中に右足を踏み入れました。
「どうしたんだ? 太郎君」
そう言いながら、鈴木先生は足を組んだままキャスターつきの回転椅子に座ったまま太郎君に向き直ります。
眼鏡の奥から見える切れ長の目が真っ直ぐに太郎君を見据えます。その視線に太郎君は多少たじろぎながらも口を開きました。
「鈴木先生。今後のスケジュールについて伺いたいんです。中間テストは終わってしまったので、そういう学校行事は直近で何かありますか?」
すると顎に手を当てて鈴木先生は考え込んだ後、机の上に揃えられたバインダーから1つ抜き出して開きはじめました。パラパラめくって今月のカレンダーページで手が止まりました。それをジッと見つめてから
「今月の終わりに球技大会があるな」
鈴木先生がページをめくって次の月に進むところで太郎君が質問を投げかけます。
「球技大会ってどんな種目があるんですか?」
機会「球技大会が開催すること」
◇強み
太郎君は職員室に来る時よりも大きな足音を鳴らしながら教室に帰りました。廊下に差し込む強い日差しがまるで太郎君の心に呼応したように燦燦と廊下を照り付けます。教室に戻って席に着くと、いつもと違って部屋の中が明るく感じました。
机の中からノートを出してから早速、鈴木先生の話しを思い出して書き綴ります。
――野球、バスケットボール、サッカー。
それが球技大会の種目でした。
この中から自分が参加するスポーツをひとつだけ選んで参加することになります。そこで太郎君は、気分に任せて漠然と決めるのではなく、ひとつずつ分析することにしました。
まずは野球。
太郎君は今までまともに野球をやったことがありません。小さい頃にお父さんにバッティングセンターに連れて行ってもらった記憶があるくらいで、それ以来バットを掴んだこともありませんでした。
次にサッカー。
小学生になった時から少年サッカー団に入っていましたので野球よりは自信があります。ボールの扱いには慣れていますし、ロングパスでもある程度正確に出すことができます。しかし、太郎君が得意なポジションはディフェンスでした。重要なポジションであることには間違いありませんが、お世辞でもちやほやされるポジションではありません。取りあえず保留にして次の種目を考えることにしました。
最後にバスケットボール。
友達と頻繁に遊んでいるスポーツです。ルールは分かっていますし、レイアップシュートはほとんどミスすることなく入れることができます。フィールドに上がる人数が5人と非常に少ないため目立つこともできるところに太郎君は目をつけました。サッカーで地味に活躍するよりもバスケットボールで活躍する方がちやほやされそうだと考えました。
以上から、太郎君はバスケットボールを選択することに決めました。
しかし、太郎君の欠点は体力。並みのプレイヤーの持久力はありますが、1試合をフルで走り続けることはできません。バスケットボールはひとりで攻防ともにやらなければならく、ずっと走り続けなければなりません。また、太郎君はシュートが得意なのですが、さらに活躍するためにはシュートの精度を上げる必要があります。球技大会まで1ヶ月。太郎君は自分の得意なバスケットボールに注力し、特に自分の強みであるシュート力をさらに伸ばすことに決めました。
強み「バスケットボール。特にシュート力」
◇エピローグ
1ヶ月後。球技大会という機会に、自分の強みであるバスケットボール、特にシュート力を高めることで球技大会では大活躍できました。体力づくりもしていましたが、中々短期間で克服することは難しかったため、フルタイムで試合に出ることは叶いませんでした。が、限られた時間の中で見事にシュートを入れまくることに成功し、スリーポイントシュートも多く決めることができました。
しかし、バスケットボールはチームスポーツ。残念ながら決勝戦でバスケットボール部が多く所属しているクラスに負けてしまいました。
大会の表彰式では、全プレイヤーの中で一番得点したベストシューターとしてMVPを取ることができました。
■最後に
何でもできる人ならともかく、ほとんどの人は何でもできるわけではありません。しかし、何でもできる人でなくとも機会を見逃さず、その機会に対して自分の得意なことを絞って力を入れれば、突出することが可能です。
これは、実際のビジネスにおいても同じです。
資金も人材も豊富な大企業と違って、中小企業は限られたリソースで戦わなければなりません。そんな中小企業が周囲との差別化を図る最良の手段は、脅威を避けたり、弱みを克服することではありません。機会に強みを生かすことで差別化を図ることができるのです。
あなたが学生にしろ、中小企業の経営者であるにしろ。もしも活躍したければ、周囲の流れやイベントを注意深く観察すること。そして、自身のアンテナに引っかかるものがあったら、自分を分析し、生かせる強みを発見し、それを他の誰にも負けないようにさらに伸ばすこと、が大事なのです。
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学習効率を上げるために速読の仕方について教えてほしいとの連絡をいただいたので、今回は速読をテーマとする。
まず、速読を習得した場合の効果について説明する。よく勘違いされるのは、速読ができることによって国語のテストなどで点数が上がると考える人が少なからずいるようだ。しかし、速読ができることによって国語力が上がることはほとんどない。速読とはあくまでも文章を早く読めることを可能にする手段でしかないので、国語力が上がるわけではない。国語力とはすなわち論理力だ。文章として書かれていることを論理的に読み取って、そこから帰結される結論を導くものである。つまり、文章を早く読めるからといって文章読解力が上がるわけではない。
さらにいうと、速読ができるようになり、論理力が高まったとしても、読解スピードが上がるわけではない。読解スピードを上げるためには、高い情報処理能力が必要となる。そこで、速読で読み取った文章を頭の中で素早く整理する力を向上させる必要がある。つまり、速読で基盤を作り、論理力を向上させ、情報処理能力を高める、というステップを踏むことで真に読解スピードを向上させることが可能となる。論理力および情報処理能力の向上については、機会があったときにでも記事を書こうと思う。
閑話休題、速読の話に戻ろう。
さて、今までのことを理解した上で以下文章を読み進めるということは、速読を学ぶ気があるということだろう。初めて速読を学ぼうとする人には、まず速読の種類から説明したいと思う。実は、全員が全員同様のやり方で速読をしているわけではない。
筆者が考える速読術には「フォトリーディング」「ブロック式」「結論主導型」「単純速読」の4つがある。フォトリーディング以外は一般名称ではないため、他の人に話しても通じないかもしれないが。
以下順番に説明していく。
■速読の種類
●フォトリーディング
フォトリーディングとは、文字を文字としてではなく画像として認識する方法だ。速読というジャンルに含まれないという人もいるが、文章を早く読める方法ということで本記事では速読に含めることとする。
他の速読法との大きな違いは、読んですぐにその内容を理解できない点だ。フォトリーディングの場合は。脳の中にイメージを残し、そのイメージの中から適宜必要な情報を取り出すことになる。つまり、文章をすべて読んだとしても自ら取り出そうとしない情報以外は抜け落ちることになる。
また、習得にはある程度のセンスを要する。イメージ化が苦手な人には難しいかもしれない。
フォトリーディングは、ある程度知識が豊富な事柄について、膨大な書籍の中から欲しい情報を抽出する際には非常に強力な速読術であるが、逆に新しい知識を得ようとする場合には不向きである。
◎メリット
・前提知識が豊富な内容の中から欲しい情報を素早く取り出すことができる
・出来るとカッコいい
・眼球が疲労しない
×デメリット
・資格勉強や大学受験などで効果を発揮しにくい
・習得が難しい
・目的以外の情報が得られない
●ブロック式
筆者がはじめに手をつけたのはこれだ。
ブロック式とは、単語をひと塊のブロックごとに区切って、ブロックごとに一気に読んでいく方法である。日本語ではブロックにする単位は分かりづらいかもしれないが、英語で考えるとイメージが湧きやすい。
例えば、人は普通"This is a pen, but that is a pencil."という文章があったときに、"This"の次に"is"のように単語ごとに読んでいく。しかし、これだと読むスピードが非常に遅くなる。1つ1つの単語を毎回毎回脳に送って情報を処理するのは得策ではない。そこで、複数の単語をまとめて読んでまとめて処理してしまう方法がブロック式だ。先ほどの文章であれば"This is"の次に"a pen"というように、単語ごとではなく複数の単語を一気に処理してしまう。初めから一気に複数の単語を同時処理するのではなく、まずは2語ずつ。慣れて来たら3語、4語、5語…… のように少しずつ処理できる単語量を増やしていくのだ。そのうち"This is a pen, but that is a pencil."の全文まとめて処理できるようになる。極めれば書籍の見開き1ページを一気に理解できるようになるかもしれない。眼球を上下に動かさなくても横に動かすだけで読めるのも特徴だ。
ブロック式は、習得に多少なりとも訓練を要するが、TOEICなどの時間制限のある試験においては非常に効果を発揮する。
◎メリット
・資格勉強や大学受験などで効果を発揮する
・内容を網羅できる
・眼球が疲労しない
×デメリット
・習得が比較的難しい(フォトリーディングや単純な速読よりは楽)
●結論主導型
結論主導型は、結論だけを抜き取る方法である。フォトリーディングと用途は類似しており、あらかじめ探したい情報が決まっているときに効果を発揮する。
この方法は速読の中でも一番簡単で、誰でも実践することができる。本に書いてある内容のほとんどが具体例や雑談という前提で本当に主張したい部分はごく一部である、との考えを利用した方法である。
やり方は、まず本のタイトルをみる。タイトルは内容を端的に表したものであるため、はじめにシッカリと頭の中に入れておく必要がある。タイトルを頭に入れたら次は目次とイントロダクションを読む。目次を読めば中身の構成が分かり、イントロダクションを読むことで本の概要および背景を知ることができる。イントロダクションの次には、そのまま中身を読まずに一気に結論(サマリー)に飛ぶ。結論では、筆者が主張したいことが端的に書かれているはずだ。結論まで読んでも腑に落ちなかったり、いまいち内容が理解できなかった場合は、各ページの図やテーブルを見るとよい。もしも図だけで分からなかったら、そこではじめて文章を読むのだ。
過去記事で以前に本手法を紹介したことがあるので「人生を変える読書術」を熟読していただきたい。
結論主導型は、時間が非常に短時間で趣旨を読み取ることが可能な方法だ。特別な訓練は必要なく、誰でもやり方を知っていれば実践可能である。
◎メリット
・習得が易しい
・眼球が疲労しない
×デメリット
・目的以外の情報が得られない
●単純な速読
はじめから全ての文章を高速に読む方法である。もしかするとこれが一般的に考えられている速読なのかもしれない。単純であるが、普通にいつも通り早く読むということではない。ほとんどの人は文章を読む際に頭の中で音声化している。この文字の音声化を行なっている限り、文章を読むスピードには限界がある。人間の脳は、視覚情報を高速に処理できるが、聴覚情報はそうではない。速聴というものがあるが、早い人でも4倍速程度のようである。つまり、毎回音声変換してしまうと、音声速度の4倍程度が限界となってしまう。
そこで、文章を視覚だけで読み取る訓練が必要になる。毎回頭の中で音声を再生せずに、視覚情報を直接処理していく。そんなのは無理だ、というのであれば絵画を思い描いてもらいたい。絵を見ると、視覚情報が直接頭の中にインプットされて、詳細部分はともかく、全体像は理解できるはずだ。まさか絵を音声変換している人はいないだろう。人間は音声再生しなくても情報を処理できるのだ。
単純な速読は、文章を音声化せずに視覚情報をそのままインプットする方法であり、習得は難しいが目の疲労以外のデメリットがないのが特徴である。
◎メリット
・資格勉強や大学受験などで効果を発揮する
・内容を網羅できる
×デメリット
・習得が難しい
・眼球が疲労する
■どれを取得するべきか?
ここまで速読の種類を列挙したが、どれを取得するべきかはそれぞれのメリットとデメリットを考えて自分自身で選択するとよい。
ちなみに筆者は、どれか1つだけを習得することはお勧めしない。場合によって使い分けるように、組み合わせることを推奨する。
筆者は、フォトリーディング以外はすべて多用している。例えば、複数の論文を読む必要があるときは結論主導型を使う。すべて読んでいては効率が悪く、不必要な情報が多く入ってきても大量の情報で頭がパンクしてしまうからだ。ビジネス書を読む際にも結論主導型を使うことが多い。
一方、小説を読む場合はブロック型と単純な速読を組み合わせる。単純な速読は眼球運動を高速にしなければならないため、目に疲労がたまりやすい。そこでブロック式で眼球を水平に移動するだけで読めるようにすると、長時間読むことが可能となる。ブロックごとに速読することで単語ごとに追うよりもスピードが上がるという利点もある。
■速読の学び方
まず理解してもらいたいことは、結論主導型以外を除いて速読は一朝一夕で習得できるようなものではない。使いこなせるようになるためには、それなりの時間と根気を要する。
速読を学ぼうと思った直後は良いが、人のモチベーションは長く続くものでは無い。そこで、まずお勧めするのは通信講座やトレーニングソフトの購入である。それらの内容自体はさておき、はじめにそれなりの金額を支払ってしまうことで、自分自身を追い込むことが目的である。筆者自身もどうしても身につけたい知識がある場合には、それに関連する受験料の高い資格試験に申し込んでしまうことが多い。後戻りをできなくしてしまうのだ。
もしあなたが自分自身を管理できるようであれば、独学をお勧めする。筆者が過去に読んだ本では以下のようなものがある。方法論が書かれているので、根気よく続ければ必ずできるようになるだろう。ただし、挫折する人も多いので、独学でやるからにはシッカリとモチベーションを維持し続けるように。
■筆者が習得した方法
ここからは筆者自身が速読を習得した方法を紹介しようと思う。独学で学ぼうとしている人の参考になれれば幸いである。
●ブロック式
筆者はまずブロック式から習得した。
まずは指を使って文字をなぞるという方法を実践した。指でなぞった文字を一気に読むのだ。はじめは2語づつ、人差指と中指、薬指を下に添えるようにし、徐々に各指の間隔を広げるようにした。そして訓練しているうちに3本の指では間に合わないようになってきたので、親指と人差指で一気に読む箇所を掴むようにした。徐々に一度に読める単語が増えていき、出来るようになってくる実感が湧くため、モチベーションの維持はしやすかった。
●単純な速読
ブロック式を一通り出来るようになった後で単純な速読を学んだ。学んだというよりは、自然にできるようになり、その後で原理を知ったという感じである。
筆者の場合は、本で学んだというよりは、ゲームやSNSを通じて学んだことが多い。例えば、ゲームだと一度に表示される文字数が本と比べて非常に少ない。多くても4行程度だろう。そのため、一気に視覚情報が頭の中に入ってきやすい。少量の文字を読んで次の文章に進むというサイクルを繰り返すのだ。
最近のゲームだと音声が入っているようだが、一々すべてを聞いてはいけない。そもそも前述した通り、速読では音声は厳禁だ。慣れてくるとボタン連打で読み進められるようになる。
ゲームをしない人であれば、ツイッターがお勧めだ。ツイッターは一度につぶやける文字数が制限されている。そのため、タイムラインを上から追っていくだけで少量の文章の塊を繰り返して読むという訓練ができる。
いきなり長い文章で速読するのは難しい。短い文章に区切って一気に視覚情報を取り込む訓練をすることで、頭の中の音声化を排除するのだ。
●結論主導型
これは単純にやり方を知っているかどうかである。
■まとめ
速読は習得するのは大変だが、できるようになると情報処理能力を飛躍的に上げる基盤ができる。一度習得してしまえば、その後の情報処理に役立つので、ぜひ早めの習得をお勧めする。
速読ができるようになったら、次は論理力の向上、そして情報処理能力の向上、を図ることで読解スピードをあげていただきたい。
今回受験した資格はアロマテラピー検定1級です。
視覚系の色彩検定を取得していたので、今度は嗅覚系の資格も取ってやろう、というのが受験動機です。初めは実用的でない資格試験だと思っていましたが、学習するうちにその有用性に気がついてきて、だんだんと勉強が面白くなってきました。
■概要
アロマテラピー検定とは、香りに関する資格試験です。ストレス社会といわれる現代で、心身ともにリラックスできるひとつの手段としてアロマテラピーを利用する人が増えているようです。ただし、興味を持ったからといって適当に好きな香りの精油を購入して利用するわけにもいきません。なぜならば、皮膚に強い刺激を与えるものや、光に当たると炎症を引き起こすような使用に注意が必要な精油もあるからです。正しい知識をもってアロマテラピーを楽しむための前提知識をつけるための試験です。
なお、試験には1級と2級がありますが、いきなり1級を受験することも可能です。筆者は1級から受験をしました。
公式ホームページでは級の違いを以下のように説明しています。
1級は「アロマテラピーを家族や周囲の人々とともに楽しみ、健康維持のために用いる知識を問います」
2級は「アロマテラピーを自分で楽しみ、健康維持のために用いる知識を問います」http://www.aromakankyo.or.jp/licences/aroma/ より
簡単にまとめると、2級は個人で楽しむため、1級は個人でなく周囲の人とともに楽しむため、という位置づけでしょう。
■試験結果
短期間で合格することができました。得点に関しては、問題冊子の持ち帰り不可の試験のため、自己採点の結果を記載しています。
・期間:10日(勉強時間 15 時間)
・費用:13,716円(受験料6,480円、参考書代等7,236円)
・得点:58〜60問正解(60問中48問以上で合格)
■計画
まずはインターネットで情報収集です。
日本アロマ協会の公式ホームページを確認したところ、合格率はおよそ90%とのこと。この合格率であれば、2級から順番に受けるよりもいきなり1級から受けても大丈夫だと考えました。
問題集はアロマテラピー資格試験研究所作成の「アロマテラピー検定1級・2級テキスト&問題集 〜20日間完全マスター〜」に決めました。理由は3つで、1級だけでなく2級にも対応しているため基礎的な事柄から学べるだろうから、そして20日間でマスターという文句に惹かれたから、最後にテキストと問題集がセットで実際に問題を解きながら学べるため学習効率が良いと考えたから、です。
実際に本を購入すると分かりますが、タイトルに書いてある通り20日でマスターできるのは基礎知識のみで精油プロフィールはその期間に含まれていません。しかし、本が指定する1日の学習量は非常に少ないため、1日で2日分進めることは容易であり、それを考えると精油プロフィールを含めて20日間でマスターできるというのはあながち間違いではないかもしれません。
さらに、アロマテラピー検定では精油が配られて、その香りを嗅ぎ分ける「香りテスト」なるものが出題されます。インターネット情報では香りテストの対策をしなくても合格できるとの話がいくつもありましたが、折角アロマテラピーを学んでいるのに香りの嗅ぎ分け訓練をしないのはもったいないな、との考えから精油を購入することにしました。寝る前の息抜きとかにも丁度いいですし。試験後の感想ですが、やはり検定試験に合格するために「香りテスト」対策は必須ではない、と思いました。
購入した精油は「生活の木」が取り扱っている「アロマテラピー入門セット アロマテラピー検定1級対応 Aセット」および「アロマテラピー入門セット アロマテラピー検定2級対応」です。1級のBセットは香りテストの対象外ですので試験に合格することを第一に考えるのであれば購入する必要はありませんが、折角学んだ精油の香りを実際に嗅いでみたい人は購入すると良いでしょう。
これらの精油は特に計画を立てることなく、テレビを見ながらや寝る前の息抜きとして香りを嗅ぐようにしました。
■実行
まずは問題集です。
20日で終わると書いてありますが、そんなに焦ってやらなくても4日程度で終わらせることができました。一番大変だったところは、アロマテラピーの歴史の章です。流し読みだと中々覚えづらい。誰が何を書いてどんなことを実現したか、というところをシッカリと整理して覚える必要があります。とは言っても、出題される範囲はそこまで広くなく、歴史の章は自分なりにノートに書いてまとめたり、語呂合わせを作成したり、暗記カードを作ったりすれば結構簡単に対応できるかと思います。
次に大変だったところはアロマテラピーのメカニズムです。具体的には、においが嗅覚器を通じて脳に伝わるところの仕組みです。
筆者は生物学をほとんど勉強したことがなかったため、用語を聞いたことはあっても意味は全く分からない状態でした。例えば、視床や視床下部という用語はテレビなどで聞いたことはあっても、実際に人体のどこにその器官が存在して、どのような役割があるかは完全に知識ゼロでした。
文字だけを見ていても中々整理ができなかったのですが、嗅覚器と脳のメカニズムに関しては図でイメージごと理解すると意外とすんなり吸収することができました。今回使った問題集には各器官のイメージ図が載っていますが、他の書籍にも当然載ってるかと思います。ですので、これまでこの分野を学習してこなかった方々には、イメージで理解することをお勧めします。
一通り基礎知識を学んでから精油プロフィールの学習に進みました。
確実に抑えなければならないのは、どの植物が何科で、どの部位から精油が抽出できるか、です。これも闇雲に覚えても効率はあまり良くありません。
まず、何科の植物かを覚えるコツですが、はじめに1つしかないものを暗記していくと良いです。例えば、イランイランはバンレイシ科、ゼラニウムはフウロソウ科、のように。そして1つだけのものを覚えたら次はユーカリやティートリーだけのフトモモ科、といったように少ないものから順番に覚えていくと整理しやすいと思います。
そして一番厄介なのはシソ科。この科に属する植物は一番多いからです。シソ科に関しては、覚える必要はなく、シソ科以外の科をすべて覚えておいて、それ以外をシソ科と答えるのが試験攻略の上では得策です。
抽出部位も同様です。ただし、科名の時とは異なり、花から抽出される精油と葉から抽出される精油の両方が多いため、試験に受かるだけなら、花および葉から抽出される精油以外を完璧に覚えておいて、覚えているもの以外が出たら雰囲気で答えるのもありだと思います。ここを落としたとしても合否には然程響かないでしょう。
あとは各精油の特徴と注意事項ですが、特に大変なのは注意事項です。注意事項には、香りが強いとか光毒性とか皮膚刺激とかあるのですが、皮膚刺激のある精油は多く、覚えるのが非常に大変です。注意事項についても香りが強いものと光毒性のものをシッカリと覚えておき、皮膚刺激のものに関しては雰囲気で答えると良いでしょう。
最後に香りテストです。香りテストは1級ですら2問しか出題されないような低い出題率です。
香りテストで出題される精油は2級で10種類、1級で17種類です。ですが、グレープフルーツやレモン、ペパーミントなどは嗅ぎ分ける訓練をしなくても解けるでしょう。しかも実際にこれらが本試験で出題されることも多々あります。つまり、全く対策をしなくても得点することができることもあるのです。
という感じで、ここを学習しても合否にはあまり響かないので、特に意識しながら学習することはなく、寝る前や息抜きに順番に嗅いでいき、好きな香りがあったら覚えていく、というようにしました。
■本試験
まず受験の際の注意事項は、精油の持ち込み及び強い香りのする化粧品などの使用は厳禁です。その理由は、香りテストがあるためでしょう。
本試験会場はTKP市ヶ谷カンファレンスセンター。以前に中小企業診断士試験で訪れたことがある場所です。
試験会場の入口に着くと、他の試験ではあり得ないほどの数の女性が列をなして並んでいました。公式発表によると約9割が女性の受験生だということですが、実際にはそれ以上に多いような錯覚を受けました。
エレベータに乗って5回に上がって部屋に入ってみると、やはり女性だらけ。しかし、入口ほど女性率は高くなく、ちらほら男性受験者も見られました。
席を確認した後にお手洗いを済ませようと、その階のトイレを探したところ女性トイレだけでなく男性トイレにも女性の列が。なんと全7フロアのうち1、4、7階以外は男女用トイレともに一時的に女性用にしているようでした。圧倒的に女性受験生が多いため、トイレの混雑を避けるための対処だと思われます。これには感服し、他の試験も見習うべきだと思いました。IT系の試験やコンサル系の試験は9割以上が男性なので、男トイレに長蛇の列ができるのでいつも不満に思います。
席について少し待っていると試験の説明がはじまりました。試験問題冊子の持ちかえりができないと聞いたときは、また自己採点ができない試験か、とも思いながら待っていると香りテストの説明がはじまりました。
香りテストの詳細ですが、知識試験とは別に時間を取るようです。1級の場合は試験時間が70分ですが、そのうち初めの10分間が香りテストになります。
問題冊子と解答用紙が配られると、氏名や受験番号を記入することになります。
試験時間が開始すると先ずは精油ビン2つがパッキングされて配布されます。ビンにはそれぞれ?と?のラベルが貼られています。そして全員に精油が配られた後で、問題集の香りテストのページを開くように説明されました。それ以降のページは知識問題になるため、開かないように注意を促されます。
試験開始の合図に合わせて精油?のふたを開けて直接匂いを嗅ぎました。スッキリした清涼感のある匂いでしたので即座に選択肢の中からそれっぽいユーカリを選択、すぐに?に移ると今度はミントのような香りがしたのでペパーミントを選択しました。
1分以内に終わったので、暇つぶしにユーカリとミントの香りを楽しんでいると、試験終了の合図。精油をパッキングに入れて机に置くよう指示された後で回収されました。
回収が終わると改めて試験開始の合図。今度は知識問題です。問題を順番に解いていくと、一瞬で答えが分かるものばかり。驚いたのは「次のうち『運動』によってもたらされる効果として適切ではないものはどれか?」という問の選択肢に「内臓脂肪の燃焼に効果がない」というようなものがあったことです。こんなのは勉強しなくても一般常識レベルで解ける問題ですよね…… そういう問題がいくつかあった後で精油プロフィールの問題が出てきました。恒例の植物の科名を答えさせる問題や抽出部位を答えさせる問題にはじまり、次に精油の特徴問題が続きます。突っ込んだ内容はほとんどなく、テキストから外れたような奇問はありませんでした。
最後の方には法律や環境問題などの問題がありましたが、ここも一般常識レベルで解ける問題だらけでした。
全60問解き終わった時点で試験時間は5分しか経過していませんでした。1問目に戻って再度問題冊子で選んだ解答を確認しながらマークシートに転記。間違えないように注意しながら全てマークが終わった時点で時計を確認すると試験開始から15分が経過していました。
試験時間は60分ですので45分が余りました。何回か見直しましたが特に間違っているところもありませんでした。途中退室ができないので非常に暇。仕方がないので机に突っ伏して寝ましたが、目が覚めて時計をみるとまだ時間が30分残っていました。
何もせずにボーっとしているとやっと試験終了。解答用紙と問題冊子が回収されると、下の階から順次退出するようお願いをされ、試験終了後10分程度経ってからやっと試験会場をあとにすることができました。
■総評
アロマテラピー検定試験は、非常に合格率が高い試験です。とはいえ無勉強で受かる試験でもありませんので対策が必要です。テキストは2冊以上買う必要は一切なく1冊を徹底して覚えれば十分受かるでしょう。
また、アロマテラピーの資格を取得するメリットですが、現職でアロマを用いたリラクゼーションやマッサージを行っている方々は当然ながら、デオドラント(体臭や汗の臭いを防いだり、取り除いたりすること)や虫除け、化粧品などを使う方にもおすすめです。男性でも体臭が気になっている方はいらっしゃるでしょうし、虫刺されが嫌いな人は虫除けスプレーを自作することができます。市販のものだとどうしても添加物などが気になってしまい、使用するのをためらってしまいますが、自作であれば天然の精油と精製水、無水エタノールなどで簡単に、しかも安く大量に作成することができるようになります。
現在ではそのイメージから圧倒的に女性に支持されているアロマ資格ですが、今後は男性でもどんどん取得していってもらいたいと思います。アロマ男子というのも増えてきているようです。
◎アロマテラピー検定最短合格のためのアプリ
アロマテラピー検定に効率よく合格するためのアプリを作成しました。基礎知識問題と精油プロフィール問題に分けています。解説を丁寧に書きましたので、これひとつで合格できるようにしました。1,000問以上問題を載せているサイトやアプリもありますが、そんなにこなす必要はありません。本アプリでは2級では約80問、1級では約200問にまで優良な問題だけに絞り、効率よく合格できるようにしました。
以下のリンクからGoogle Play Storeにアクセスできます。
最短合格!アロマテラピー検定1級 Lite
最短合格!アロマテラピー検定2級 Lite